米国FDAとのpre-INDミーティングにかかる回答受領のお知らせ

2023 年 11 月 17 日
各 位
会 社 名 ク リ ン グ ル フ ァ ー マ 株 式 会 社
大阪府茨木市彩都あさぎ七丁目7番 15 号
住 所
彩都バイオインキュベータ 207
代 表 者 名 代 表 取 締 役 社 長 安 達 喜 一
(コード番号:4884 東証グロース)
問い合わせ先 取締役経営管理部長 村 上 浩 一
TEL.072-641-8739


米国 FDA との pre-IND ミーティングにかかる回答受領のお知らせ

当社は、米国における脊髄損傷急性期患者を対象とする組換えヒト HGF タンパク質製剤(開発コード:
KP-100IT)の開発に関して、米国食品医薬品局(以下「FDA」
)との pre-IND ミーティングを実施しており
ましたが、本日までに FDA より回答を受領しましたのでお知らせいたします。


すでにお知らせしております通り、当社は、日本国内において脊髄損傷急性期に対する KP-100IT の第
Ⅰ/Ⅱ相臨床試験を終了し、安全性を確認するとともに有効性を示唆する結果を得ております。また、KP-
100IT は厚生労働省より希少疾病用医薬品指定を受け、現在までに、第Ⅲ相臨床試験の最終症例の経過観
察を終えており、2024 年前半に試験結果の速報を公表する予定です。


このような状況の下、当社は、組換えヒト HGF タンパク質の事業価値を最大化すべく、世界最大の医薬
品市場である米国における開発プロセスに着手いたしました。このプロセスにおいて FDA との pre-IND ミ
ーティングは、今後の米国における KP-100IT の医薬品開発のファーストステップであり、当社が考える
米国での KP-100IT の臨床試験デザインにおける論点を、あらかじめ整理・確認するためのものでした。


今回受領した FDA の回答により、脊髄損傷急性期を対象とする米国での臨床試験デザインに関する FDA
の考え方を確認することができました。また、当社が日本で蓄積した臨床データを米国での開発プロセス
でどのように活かせるのか、さらには、BLA(生物製剤承認申請)までの開発戦略についても示唆を得る
ことができました。


当社は、米国での医薬品開発については、現地に精通した提携パートナーと共同で開発を進める方針の
下、すでに複数の製薬・バイオ企業と交渉を行なっており、今回受領した FDA の回答を踏まえて、提携パ
ートナーの選定に向けた交渉を更に加速してまいります。


脊髄損傷急性期のアンメット医療ニーズは、日本のみならず米国や世界中の国々に共通する課題です。
当社は、日本発の再生創薬シーズである HGF タンパク質を脊髄損傷急性期治療薬として社会実装し、世界
中の患者様に一刻も早く届けられるよう、これからも全社を挙げて取り組んでまいります。
HGF(Hepatocyte Growth Factor, 肝細胞増殖因子)について
HGF は、成熟肝細胞の増殖を促進する生体内タンパク質として日本で発見されました。その後の研究か
ら、HGF は細胞増殖に加えて細胞運動促進、細胞死抑制、形態形成誘導、抗線維化、血管新生など多彩な
生理活性を有し、肝臓のみならず、神経系、肺、腎臓、心臓、皮膚など様々な組織・臓器の再生と保護を
担うことが明らかになりました。
HGF は神経保護作用や軸索伸展作用も有し、神経難病とされる脊髄損傷に対する薬理効果は、慶應義塾
大学医学部生理学教室 岡野栄之教授及び整形外科学教室 中村雅也教授らのグループの研究により明ら
かにされており、新たな脊髄損傷治療薬として、HGF への期待が高まっています。
他方、京都府立医科大学耳鼻咽喉科・頭頸部外科学教室 平野滋教授らのグループは、HGF の抗線維化
作用に着目し、線維化疾患である声帯瘢痕に対する薬理効果を明らかにしました。HGF には、声帯瘢痕を
端緒として、他の線維化疾患への適応拡大の可能性が期待されています。


脊髄損傷について
脊髄の外傷による損傷のことで、受傷原因は平地転倒 交通事故 転落などの順に多いとされています。
・ ・
近年は、人口の高齢化に伴い、転倒による受傷が増加傾向にあります。国内では、年間に約6千人*1 の脊
髄損傷患者が発生しており、慢性期までを含めた患者総数は 10~20 万人*1、全世界*2 では年間約6万人
*3
が受傷し、慢性期までを含めた患者数は約 110 万人*3 と言われています。
適切な初期治療と専門的なリハビリテーションにより一定の回復が望めますが、運動麻痺や筋の痙性、
拘縮、知覚麻痺、体幹内臓機能不全(膀胱直腸障害、発汗体温調節機能障害、内臓機能低下、呼吸機能低
下)などの複合した重度の後遺障害が残る場合が多く、治療薬の開発が強く望まれています。
*1
Miyakoshi N et al. Spinal Cord 2021 Jun;59(6):626-634.、坂井宏旭ら「わが国における脊髄損傷の現状」(2010)
*2
高度治療が可能な先進国
*3
国内の患者数、Spinal Cord Injury Facts and Figures at a Glance (2021)、The International Spinal Cord Injury
Society HP、総務省統計局「世界人口の推移」を基に当社推計


クリングルファーマ株式会社について https://www.kringle-pharma.com/
当社は「難治性疾患治療薬の研究開発を行い、難病に苦しむ患者さんに対して画期的な治療手段を提供
し、社会に貢献すること」を企業理念とし、希少疾病を対象に HGF タンパク質医薬品の自社開発を推進す
るバイオベンチャー企業です。
現在、当社が有する HGF タンパク質医薬品の開発パイプラインでは、脊髄損傷急性期を対象とする開発
と、声帯瘢痕を対象にした開発の2つのいずれもが、それぞれ医薬品開発の最終段階である第Ⅲ相臨床試
験に進んでおります。
当社は、HGF タンパク質性医薬品の社会実装を通じて新たな価値を創造し、人々の健康と幸せに貢献し
てまいります。


以上

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