グローバル市場での需要増が見込まれるHGFタンパク質製造の効率・拡大化に向けてクラリス・バイオセラピューティクス社との協業開始

2023 年9月 22 日
各 位
会 社 名 ク リ ン グ ル フ ァ ー マ 株 式 会 社
大阪府茨木市彩都あさぎ七丁目7番 15 号
住 所
彩都バイオインキュベータ 207
代 表 者 名 代 表 取 締 役 社 長 安 達 喜 一
(コード番号:4884 東証グロース)
問い合わせ先 取締役経営管理部長 村 上 浩 一
TEL.072-641-8739


グローバル市場での需要増が見込まれる HGF タンパク質製造の効率・拡大化に向けて
クラリス・バイオセラピューティクス社との協業開始

当社は、このたび、米国ハーバード大学発のバイオベンチャーであるクラリス・バイオセラピューティ
クス社(本社:米国ニュージャージー州ジャージーシティ、最高経営責任者:クラーク・アトウェル、以
下「クラリス社」)と新たに業務提携し、組換えヒト HGF タンパク質(以下「HGF タンパク質」
)の製造の
効率・拡大化に向けて協業を開始いたしますのでお知らせいたします(以下「本協業」。 )

当社は、クラリス社と License and Supply Agreement(2020 年4月 13 日付け、以下「原契約」
)を締
結し、クラリス社に対して HGF タンパク質及び関連情報を提供してきました。 両社における臨床開発の進
捗とその後の薬事承認などを総合的に考慮した場合、今後は HGF タンパク質の新たな適応拡大やグロー
バル市場のニーズが増大し、HGF タンパク質の必要量がますます増加することが見込まれることから、両
社は提携関係をより一層強化するべく原契約を改定することといたしました。

現在、当社は国内において脊髄損傷急性期に対する第Ⅲ相臨床試験、 並びに声帯瘢痕に対する第Ⅲ相臨
床試験を実施しております。また、脊髄損傷急性期パイプラインについては、2023 年8月 14 日付け当社
プレスリリースの通り、 米国での臨床開発に着手することを表明いたしました。一方、クラリス社は当社
が提供する HGF タンパク質を用いて、神経栄養性角膜炎に対する第Ⅰ/Ⅱ相臨床試験を米国とカナダで実
施しております。

HGF タンパク質は、692 個のアミノ酸からなる非常に複雑な構造を有していることから、製造の難易度
が非常に高く、GMP 省令に準じた医薬品グレードで製造・供給できる体制を有している企業として、当社
は現在、 世界的にも評価されています。 今後のグローバル市場での需要拡大に応じて HGF タンパク質の安
定供給を果たすためには、 現在よりもさらに効率的な製造方法を確立することが不可欠であり、 本協業を
通じて、 これまでに当社が培ってきたノウハウと、 クラリス社による新たなアプローチを融合することで、
HGF タンパク質の製造工程の効率化が期待されます。製造工程の効率化には、HGF タンパク質の高発現細
胞株の作製や、 培養及び精製工程における効率的な製造プロセスの確立が含まれます (次ページ図参照) 。

当社は引き続きクラリス社と協業関係を強化することで、医薬品シーズとしての HGF タンパク質の価
値を最大化してまいります。
なお、原契約の改定内容の詳細につきましては、 当事者間の守秘義務に基づき非公開とさせていただき
ますが、本件による 2023 年9月期の業績予想への影響はありません。
HGF(Hepatocyte Growth Factor, 肝細胞増殖因子)について
HGF は、成熟肝細胞の増殖を促進する生体内タンパク質として日本で発見されました。その後の研究か
ら、HGF は細胞増殖に加えて細胞運動促進、細胞死抑制、形態形成誘導、抗線維化、血管新生など多彩な
生理活性を有し、肝臓のみならず、神経系、肺、腎臓、心臓、皮膚など様々な組織・臓器の再生と保護を
担うことが明らかになりました。
HGF は神経保護作用や軸索伸展作用も有し、神経難病とされる脊髄損傷に対する薬理効果は、慶應義塾
大学医学部生理学教室 岡野栄之教授及び整形外科学教室 中村雅也教授らのグループの研究により明ら
かにされており、新たな脊髄損傷治療薬として、HGF への期待が高まっています。
他方、京都府立医科大学耳鼻咽喉科・頭頸部外科学教室 平野滋教授らのグループは、HGF の抗線維化
作用に着目し、 線維化疾患である声帯瘢痕に対する薬理効果を明らかにしており、 声帯瘢痕を端緒として、
他の線維化疾患への適応拡大が期待されています。

クラリス・バイオセラピューティクス社について https://clarisbio.com/
クラリス社は、眼科領域において HGF タンパク質の医薬品開発を推進する米国ハーバード大学発バイ
オベンチャーです。クラリス社は、当社から提供した組換えヒト HGF タンパク質原薬及び関連情報を活用
し、現在、神経栄養性角膜炎を対象とする第Ⅰ/Ⅱ相臨床試験(プラセボ対象二重盲検比較試験)を米国
とカナダで実施しております。

クリングルファーマ株式会社について https://www.kringle-pharma.com/
当社は「難治性疾患治療薬の研究開発を行い、 難病に苦しむ患者さんに対して画期的な治療手段を提供
し、社会に貢献すること」 を企業理念とし、希少疾病を対象に HGF タンパク質医薬品の自社開発を推進す
るバイオベンチャー企業です。
現在、当社が有する HGF タンパク質医薬品の開発パイプラインでは、 脊髄損傷急性期を対象とする開発
と、声帯瘢痕を対象にした開発の2つのいずれもが、 それぞれ医薬品開発の最終段階である第Ⅲ相臨床試
験に進んでおります。
当社は、HGF タンパク質性医薬品の社会実装を通じて新たな価値を創造し、人々の健康と幸せに貢献し
てまいります。

以上

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