脊髄損傷に対するHGFとiPS細胞併用治療に関する特許の優先権主張出願のお知らせ

2023 年9月8日
各 位
会 社 名 ク リ ン グ ル フ ァ ー マ 株 式 会 社
大阪府茨木市彩都あさぎ七丁目7番 15 号
住 所
彩都バイオインキュベータ 207
代 表 者 名 代 表 取 締 役 社 長 安 達 喜 一
(コード番号:4884 東証グロース)
問い合わせ先 取締役経営管理部長 村 上 浩 一
TEL.072-641-8739


脊髄損傷に対する HGF と iPS 細胞併用治療に関する特許の優先権主張出願のお知らせ

当社は、2021 年2月 10 日付け当社プレスリリースの通り、学校法人慶應義塾(理事長:伊藤公平、以
下「慶應義塾大学」 )医学部生理学教室 岡野栄之教授及び同大学医学部整形外科学教室 中村雅也教授と
新規の脊髄損傷治療に関する共同研究(以下「本研究」 )を進めてまいりましたが、本日までに、慶應義
塾大学と共同で重度の脊髄損傷に対する HGF と iPS 細胞併用治療に関する特許の優先権主張出願(以下
「本優先権主張出願」 )を行ったことをお知らせいたします。

本優先権主張出願は、2022 年9月8日に慶應義塾大学と共同で行った特許出願※1 に基づく優先権を主
張して出願するもので、重度の脊髄損傷に対する HGF と iPS 細胞併用治療の研究成果について、幅広く包
括的、且つ円滑に特許権として保護されることを目的としております。
※1:2022 年9月9日付け当社プレスリリースをご参照ください。https://ssl4.eir-parts.net/doc/4884/tdnet/2180346/00.pdf


発明の名称:急性期から亜急性期までを対象とする脊髄損傷治療剤
出願番号:PCT/JP2023/32768
出願日:2023 年9月8日

本研究では、 あるいは iPS 細胞の単独投与では十分な運動回復効果が認められなかった重度の脊髄
HGF
損傷モデル動物に対して、急性期に HGF を投与することに加え、亜急性期に iPS 細胞由来神経幹/前駆細
胞を移植したところ、 顕著な運動機能の回復がみられたことから、本研究に基づく2件目※2 の特許出願を
2022 年9月8日に行いました。その後、さらに本研究が進む中で、権利範囲を補充する新たな研究デー
タが得られたことから、本優先権主張出願を行うこととなりました。
※2:本研究に基づく1件目の特許出願につきましては、2023 年3月 13 日付け当社プレスリリースをご参照ください。
https://ssl4.eir-parts.net/doc/4884/tdnet/2250478/00.pdf


当社代表取締役社長 安達喜一は次のように述べております。 「HGF 及び iPS 細胞由来神経幹/前駆細胞
の単独治療は既にヒトでの臨床段階に進んでいることから、 両者の併用治療は、 急性期及び亜急性期の重
度脊髄損傷に対する次世代複合治療法として早期の実用化が期待されます。当社は本優先権主張出願を
グローバルで権利化し、これを基盤として革新的な脊髄損傷治療法のグローバル展開を目指してまいり
ます。

なお、本件による 2023 年9月期の業績予想への影響はございません。
HGF(Hepatocyte Growth Factor, 肝細胞増殖因子)について
HGF は、成熟肝細胞の増殖を促進する因子として発見された生理活性タンパク質であり、その後の研究
から細胞増殖のみならず、細胞運動促進、抗細胞死、 形態形成誘導、血管新生など様々な組織・臓器の
再生と保護を担う多才な生理活性を有することが明らかにされました。
HGF は神経保護作用や軸索伸展作用も有し、神経難病とされる脊髄損傷に対する薬理効果は、慶應義塾
大学医学部生理学教室 岡野栄之教授及び整形外科学教室 中村雅也教授らのグループの研究により明ら
かにされています。新たな脊髄損傷治療薬として、HGF への期待が高まっています。

iPS 細胞由来神経幹/前駆細胞について
ヒト iPS 細胞(人工多能性幹細胞)に由来し、 未分化な状態を保ったまま増殖することが可能な自己複
製能と、中枢神経系を構成する3系統の細胞(ニューロン、アストロサイト、オリゴデンドロサイト)へ
と分化できる多分化能を併せ持つ細胞です。
現在、 慶應義塾大学病院において、 「亜急性期脊髄損傷に対する iPS 細胞由来神経前駆細胞を用いた再
生医療」の臨床研究が実施されております。詳細は、 同大学による 2022 年1月 14 日付けプレスリリース
をご参照ください。
https://www.keio.ac.jp/ja/press-releases/files/2022/1/14/220114-1.pdf

脊髄損傷について
脊髄の外傷による損傷のことで、 受傷原因は平地転倒 交通事故 転落などの順に多いとされています。
・ ・
近年は、人口の高齢化に伴い、転倒による受傷が増加傾向にあります。国内では、年間に約6千人の脊髄
損傷患者が発生しており、慢性期までを含めた患者総数は 10~20 万人と言われています*。
適切な初期治療と専門的なリハビリテーションにより一定の回復が望めますが、運動麻痺や筋の痙性、
拘縮、知覚麻痺、体幹内臓機能不全(膀胱直腸障害、発汗体温調節機能障害、内臓機能低下、呼吸機能低
下)などの複合した重度の後遺障害が残る場合が多く、治療薬の開発が強く望まれています。

出典:Miyakoshi N et al. Spinal Cord 2021 Jun;59(6):626-634.
坂井宏旭ら「わが国における脊髄損傷の現状」(2010)

クリングルファーマ株式会社について https://www.kringle-pharma.com/
当社は「難治性疾患治療薬の研究開発を行い、 難病に苦しむ患者さんに対して画期的な治療手段を提供
し、社会に貢献すること」 を企業理念とし、希少疾病を対象に HGF タンパク質医薬品の自社開発を推進す
るバイオベンチャー企業です。
現在、当社が有する HGF タンパク質医薬品の開発パイプラインでは、 脊髄損傷急性期を対象とする開発
と、声帯瘢痕を対象にした開発の2つのいずれもが、 それぞれ医薬品開発の最終段階である第Ⅲ相臨床試
験に進んでおります。
当社は、HGF タンパク質性医薬品の社会実装を通じて新たな価値を創造し、人々の健康と幸せに貢献し
てまいります。

以上

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