米国2024 Tandem MeetingsでPediatric Best Abstractsに選出アデノウイルス感染および感染症に対する注射剤ブリンシドフォビル第2a相臨床試験

2024 年 1 月 23 日
各位

会 社 名 シ ン バ イ オ 製 薬 株 式 会 社
代 表 者 名 代表取締役社長兼 CEO 吉 田 文 紀
(コード番号:4582)
問合せ先 IR 室(TEL.03-5472-1125)



米国2024 Tandem MeetingsでPediatric Best Abstractsに選出
アデノウイルス感染および感染症に対する注射剤ブリンシドフォビル第IIa相臨床試験


シンバイオ製薬株式会社(本社:東京都、以下「シンバイオ」
)は、造血幹細胞移植後など
重度な免疫不全状態にある患者のアデノウイルス(AdV)感染および感染症を対象に実施中
の第IIa相臨床試験(NCT04706923)
(以下、
「本試験」)において、注射剤ブリンシドフォ
ビル(以下「IV BCV」)の抗AdV効果を示す抄録が、米国テキサス州サンアントニオにて
2024年2月21日~24日に開催される2024 Tandem Meetings(米国移植細胞治療学会
(ASTCT)および国際血液骨髄移植研究センター(CIBMTR)合同会議)におけるPediatric
Best Abstractsセッションの演題として選出されたことをお知らせいたします。


本発表は、本試験を主導したシンシナティ小児病院医療センター(Cincinnati Children's
Hospital Medical Center)教授のマイケル・グリムリー博士が行います。なお本試験で血
中AdVの消失が認められ、IV BCVが抗AdV効果を有することを確認したPOC(Proof-of-
Concept)データについては、すでに昨年12月に開催された第65回米国血液学会年次総会に
おいて発表致しましたが、今回は新たに便中のAdVに対する抗ウイルス効果に関するデー
タを追加した内容での発表となります。AdV血症は特に高ウイルス量の場合、免疫不全患者
ではリスクが高く、致死的となることが知られています。また、便中のAdVは小児において
AdV血症に先行して陽性となることが知られており、欧州など海外では通常診療の中で早
期の指標としてモニターが実施されています。


本発表の概要
- 3段階の用量漸増によりIV BCV投与の安全性、忍容性および抗ウイルス効果を評価する本
試験では、コーホート1からコーホート3の3群において計27名のAdV感染が認められる免
疫不全患者にIV BCVが投与されました。
- 抗AdV活性は用量依存的に認められ、最も高用量のIV BCVを投与されたコーホート3の患
者においては100%の患者で血中AdVの消失(72時間以上の間隔で2回の連続したPCRテス
トで検出限界以下のウイルス量に達している状態)が認められ、そのうち90%の患者は治療
開始から4週間以内に血中AdVが消失していました。
- コーホート2およびコーホート3で血中AdVの消失が認められた患者では、追跡期間中に血
中AdVが再度検出されることはありませんでした。
- 便中のAdVの消失(PCRテストで検出限界以下に達している状態)も用量依存的に認めら
れました。
- IV BCVは血中のAdV量の抑制について用量依存的に効果があり、短期間の投与で血液およ
び便からAdVを迅速に消失させ、持続的な抗AdV効果を示しました。
本発表の抄録は学会ウェブサイト(下記リンク・英語)をご参照ください。

https://tandem.confex.com/tandem/2024/meetingapp.cgi/Session/7839

現在AdVに対して承認されている抗ウイルス薬や、安全で有効な治療法の選択肢がな
いことから、本試験のデータはAdV感染や感染症の治療に対するIV BCVによる第Ⅲ相臨
床試験への移行を支持するものであると結論付けられています。


以上
【学会発表の詳細】

Title “Preliminary Results of a Phase 2a Clinical Trial to Evaluate Safety, Tolerability and Antiviral

Activity of Intravenous Brincidofovir (BCV IV) in Immunocompromised Patients with Adenovirus

Infection”

Session Name: PEDS-04 - (PEDS) Pediatric Best Abstracts

Session Date: Wednesday, February 21, 2024

Session Time: 3:30 PM - 5:30 PM

Presentation Time: 4:10 PM

Room: Henry B. Gonzalez Convention Center - 221



(タイトルの参考訳)
「免疫不全患者におけるアデノウイルス感染症を対象とした注射剤ブリンシドフォビルの
安全性、忍容性および抗ウイルス効果を評価する第IIa相臨床試験の暫定結果」
【注記】
抗ウイルス薬ブリンシドフォビル
ブリンシドフォビル(BCV) は米国では既承認のシドフォビル(CDV:cidofovir、本邦で
は未承認)の脂質結合体として新しい作用機序を有しています。CDV及び他の抗ウイルス
薬と比べ、より低用量で広範囲の抗ウイルス効果を示すなど優れた特徴を併せもち、様々な
2本鎖DNAウイルス(サイトメガロウイルス、アデノウイルス、エプスタイン・バー ウイ
ルス、ヘルペスウイルス、BKウイルス、パピローマウイルス及びサル痘ウイルスや天然痘
ウイルスなど)に対して有効な治療方法となり得るものと期待されています。CDVに特定
の長さの脂肪鎖が結合することにより、BCV分子の細胞内への取り込み効率が飛躍的に向
上し、細胞内ではウイルスの複製阻害として作用するCDV-PP(CDV diphosphate)分子に
変換され高い抗ウイルス効果を発揮します。更には、CDVをはじめとする他の抗ウイルス
薬に比べ深刻な副作用である腎毒性あるいは骨髄抑制を回避できる新規の高活性抗マルチ
ウイルス薬として期待されています。
2019年9月、シンバイオはChimerix, Inc.(キメリックス社、本社:米国ノースカロライナ
州)との間で、天然痘やサル痘などのオルソポックスウイルスを除いたすべての疾患につい
て世界全域を対象として、BCVに関しての開発・販売・製造を含めた独占的権利の取得を目
的とするライセンス契約を締結しました。
尚、錠剤および経口懸濁液(経口剤)は、2021年6月4日に天然痘の治療薬として成人およ
び新生児を含む小児の患者を対象に、キメリックス社が米国で承認を取得しています。
BCVは、高い抗ウイルス作用に加え抗腫瘍効果も期待されており、現在、シンガポール国立
がんセンター、カリフォルニア大学サンフランシスコ校などとの間で抗がん活性の確認及
び抗ウイルス活性との相乗効果を確認するための共同研究を進めています。また臨床試験
及び著名な研究機関との主な共同研究開発として下記を推進しています。
- 造血幹細胞移植後など重篤な免疫不全状態にある患者のアデノウイルス感染および感
染症を対象とした第Ⅱa相臨床試験を開始(2021年3月)、米国食品医薬品局(FDA)
よりファスト・トラック指定(2021年4月)。コーホート3までのデータに基づき抗ウ
イルス効果のPOC(Proof of Concept)の確立を確認(2023年5月)。
- カリフォルニア大学サンフランシスコ校脳神経外科脳腫瘍センターで難治性脳腫瘍に
対するBCVの抗腫瘍効果を検討する非臨床試験を開始(2021年9月)。
- EBウイルスの関連疾患であることが近年証明された難病の多発性硬化症について、本
疾患の治療におけるBCVの効果を検証し、今後の臨床試験の実施に向けて必要とされ
る情報を得ることを目的とし、米国国立衛生研究所(NIH)に所属する米国国立神経疾
患・脳卒中研究所(NINDS)との間で共同研究開発契約(CRADA:Cooperative
Research and Development Agreement)を締結(2023年3月)。
- EBウイルス関連リンパ増殖性疾患に対するBCVの有効性を評価することを目的とし、
NIHに所属する米国国立アレルギー・感染症研究所(NIAID)との間でCRADA を締
結(2023年4月)。
- アルツハイマー病を含む様々な重篤な脳神経疾患に関し、潜伏ウイルスの再活性化の
関与についての研究が近年活発に行われている。米国タフツ大学ではヒト神経幹細胞
を用い、脳組織を3次元的に培養し単純ヘルペスウイルス(HSV)感染・再活性化さ
せるモデルを確立しており、当社は本モデルを用いたBCVの抗HSV効果を検証する委
託研究契約(Sponsored Research Agreement)を締結(2022年12 月)。


当社会社概要
シンバイオ製薬株式会社は、米国アムジェン社元副社長で、旧アムジェン株式会社の実質的
な創業者である吉田文紀が2005年3月に設立した医薬品企業です。経営理念は「共創 共生」

(共に創り、共に生きる)で表され、患者さんを中心として医師、科学者、行政、資本提供
者を「共創・共生」の経営理念で結び、満たされない医療ニーズに応えてゆくことにより、
社会的責任及び経営責任を果たすことを事業目的としています。なお、2016 年5月に米国
完全子会社SymBio Pharma USA, Inc.(本社:米国ノースカロライナ州、代表者:ステフ
ァン・ベルティエ)を設立しました。

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