アデノウイルス感染および感染症に対するブリンシドフォビル注射剤による用途特許を日本において取得

2024 年 1 月 19 日
各位

会 社 名 シ ン バ イ オ 製 薬 株 式 会 社
代 表 者 名 代表取締役社長兼 CEO 吉 田 文 紀
(コード番号:4582)
問合せ先 IR 室(TEL.03-5472-1125)



アデノウイルス感染および感染症に対する
ブリンシドフォビル注射剤による用途特許を日本において取得


シンバイオ製薬株式会社(本社:東京都港区)は、造血幹細胞移植後など重度な免疫不全状
態にある患者のアデノウイルス(AdV)感染および感染症を対象に実施中の第IIa相臨床試
験(NCT04706923)(以下、
「本試験」)において、ブリンシドフォビル注射剤(以下「IV
BCV」)を用いたAdV感染治療の治験を実施し、その中で、用量依存的に一定の用法・用量
による投与によって効果を示すデータが得られたことを公表いたしておりました。このた
び、この治験結果に基づき出願しておりました用途特許が特許庁から特許査定を受け、登録
されましたことをお知らせいたします。


本用途特許は、特許庁から迅速承認手続によって査定を受けたものであり、同一内容の特許
を欧米等の各国において出願してまいります。本件は、用途特許としては、シンバイオが初
めて取得した特許となります。今後、順次非臨床試験および臨床試験を進める中で、多くの
治療領域に対する効果を明らかにして、積極的に特許出願を行ってゆくことによってBCV
事業の事業価値の拡大をめざしてまいります。


本用途特許の概要は以下の通りです。
対象薬剤:液剤BCV
対象適応症:ADV感染によって発生する感染症
用法用量:患者の体重に従って一定量の液剤BCVを一定の間隔で静脈投与する
所定期間の投与を継続し、中止基準に従って投与を終了する


吉田文紀社長兼CEOは「我々は、AdV感染症治療薬としてのIV BCVの抗ウイルス効果を
示す第Ⅱ相試験のデータに基づき用途特許が取得できたことを発表できることを大変嬉し
く思います。本特許を皮切りに、シンバイオは、アンメット・メディカル・ニーズの高い
治療領域でのBCVの適応に向けて、非臨床試験および治験の成果に基づき特許出願を戦略
的に行うことによってBCV事業価値の向上に努めてまいる所存です」と述べています。
以上
【注記】
抗ウイルス薬ブリンシドフォビル
ブリンシドフォビル(BCV) は米国では既承認のシドフォビル(CDV:cidofovir、本邦で
は未承認)の脂質結合体として新しい作用機序を有しています。CDV及び他の抗ウイルス
薬と比べ、より低用量で広範囲の抗ウイルス効果を示すなど優れた特徴を併せもち、様々な
2本鎖DNAウイルス(サイトメガロウイルス、アデノウイルス、エプスタイン・バー ウイ
ルス、ヘルペスウイルス、BKウイルス、パピローマウイルス及びサル痘ウイルスや天然痘
ウイルスなど)に対して有効な治療方法となり得るものと期待されています。CDVに特定
の長さの脂肪鎖が結合することにより、BCV分子の細胞内への取り込み効率が飛躍的に向
上し、細胞内ではウイルスの複製阻害として作用するCDV-PP(CDV diphosphate)分子に
変換され高い抗ウイルス効果を発揮します。更には、CDVをはじめとする他の抗ウイルス
薬に比べ深刻な副作用である腎毒性あるいは骨髄抑制を回避できる新規の高活性抗マルチ
ウイルス薬として期待されています。
2019年9月、シンバイオはChimerix, Inc.(キメリックス社、本社:米国ノースカロライナ
州)との間で、天然痘やサル痘などのオルソポックスウイルスを除いたすべての疾患につい
て世界全域を対象として、BCVに関しての開発・販売・製造を含めた独占的権利の取得を目
的とするライセンス契約を締結しました。
尚、錠剤および経口懸濁液(経口剤)は、2021年6月4日に天然痘の治療薬として成人およ
び新生児を含む小児の患者を対象に、キメリックス社が米国で承認を取得しています。
BCVは、高い抗ウイルス作用に加え抗腫瘍効果も期待されており、現在、シンガポール国立
がんセンター、カリフォルニア大学サンフランシスコ校などとの間で抗がん活性の確認及
び抗ウイルス活性との相乗効果を確認するための共同研究を進めています。また臨床試験
及び著名な研究機関との主な共同研究開発として下記を推進しています。
- 造血幹細胞移植後など重篤な免疫不全状態にある患者のアデノウイルス感染および感
染症を対象とした第Ⅱa相臨床試験を開始(2021年3月)、米国食品医薬品局(FDA)
よりファスト・トラック指定(2021年4月)。コーホート3までのデータに基づき抗ウ
イルス効果のPOC(Proof of Concept)の確立を確認(2023年5月)。
- カリフォルニア大学サンフランシスコ校脳神経外科脳腫瘍センターで難治性脳腫瘍に
対するBCVの抗腫瘍効果を検討する非臨床試験を開始(2021年9月)。
- EBウイルスの関連疾患であることが近年証明された難病の多発性硬化症について、本
疾患の治療におけるBCVの効果を検証し、今後の臨床試験の実施に向けて必要とされ
る情報を得ることを目的とし、米国国立衛生研究所(NIH)に所属する米国国立神経疾
患・脳卒中研究所(NINDS)との間で共同研究開発契約(CRADA:Cooperative
Research and Development Agreement)を締結(2023年3月)。
- EBウイルス関連リンパ増殖性疾患に対するBCVの有効性を評価することを目的とし、
NIHに所属する米国国立アレルギー・感染症研究所(NIAID)との間でCRADA を締
結(2023年4月)。
- アルツハイマー病を含む様々な重篤な脳神経疾患に関し、潜伏ウイルスの再活性化の
関与についての研究が近年活発に行われている。米国タフツ大学ではヒト神経幹細胞
を用い、脳組織を3次元的に培養し単純ヘルペスウイルス(HSV)感染・再活性化さ
せるモデルを確立しており、当社は本モデルを用いたBCVの抗HSV効果を検証する委
託研究契約(Sponsored Research Agreement)を締結(2022年12 月)。


当社会社概要
シンバイオ製薬株式会社は、米国アムジェン社元副社長で、旧アムジェン株式会社の実質的
な創業者である吉田文紀が2005年3月に設立した医薬品企業です。経営理念は「共創 共生」

(共に創り、共に生きる)で表され、患者さんを中心として医師、科学者、行政、資本提供
者を「共創・共生」の経営理念で結び、満たされない医療ニーズに応えてゆくことにより、
社会的責任及び経営責任を果たすことを事業目的としています。なお、2016 年5月に米国
完全子会社SymBio Pharma USA, Inc.(本社:米国ノースカロライナ州、代表者:ステフ
ァン・ベルティエ)を設立しました。

8057