国内初、商業用ナフサ分解炉の燃料としてアンモニア燃焼を実施

2024 年3月 15 日
各 位
会 社 名 出 光 興 産 株 式 会 社
代 表 者 名 代表取締役社長 木 藤 俊 一
(コード番号:5019 東証プライム市場)
問 合 せ 先 経理財務部 IR 室長 茂 木 大 輔
(TEL : 03 - 3213 - 9307)


国内初、商業用ナフサ分解炉の燃料としてアンモニア燃焼を実施
-2 割超の燃料転換達成、化学産業の CO2 排出量削減へ-

出光興産株式会社(本社:東京都千代田区、代表取締役:木藤 俊一、以下「当社」)は、徳山事業所
(所在地:山口県周南市、所長:三品 鉄路)の商業用ナフサ分解炉※等において、アンモニアを燃料として
使用するための実証を 2 月 6 日~8 日に実施しました。今回の実証では、既存の燃料の 2 割超をアンモニ
アに切り替えて操業し、アンモニア燃焼が可能であることを確認しました。商業用ナフサ分解炉での燃料ア
ンモニアの燃焼は国内初であり、世界でも先進的な試みです。
※ナフサ分解炉:ナフサを高温で分解し、石油化学製品の基礎原料となるエチレンやプロピレンなどを製造する設備。




アンモニア燃焼時のナフサ分解炉内の様子
実証実験を行ったナフサ分解炉


当社は、2050 年のカーボンニュートラル社会の実現に向けて燃料アンモニアなどの次世代のエネル
ギーの社会実装に取り組んでいます。2023 年 4 月に「石油供給構造高度化事業費補助金(次世代燃料安
定供給のためのトランジション促進事業のうち、化石燃料供給事業再構築支援事業)」の採択を受け、徳山
事業所において、アンモニアの貯蔵タンクや配管などの中間供給設備およびナフサ分解炉等におけるア
ンモニア燃焼設備の設置工事を、株式会社IHIおよび株式会社IHIプラントのご協力を得て進めてきまし
た。本年 2 月に本設備が完成し、同月、国内初となるアンモニア燃焼の実証を行いました。
2 月に完成したアンモニアの中間供給設備

脱炭素社会の実現へ向け、燃焼時に CO2 を排出しないアンモニアは、エネルギーキャリアや発電・工業
ボイラー用の新燃料として注目されています。しかし、アンモニアは化石燃料と比較して発熱量が低く、着
火性も悪いことから燃焼性に劣ると言われています。また、燃焼時に発生する窒素酸化物の抑制にも取り
組む必要があり、国内では試験用設備などでアンモニアの燃焼技術開発が行われてきました。 一方、
工場などの操業中の大規模化学プラント等でのアンモニア燃焼は、操業へのリスクがあることや設備整備
に大きな投資が必要になることなどから、これまで行われたことはありませんでした。

今回、操業中のプラントを利用したアンモニアの燃焼実証を、燃焼排気ガス中の窒素酸化物を低減させ
るための脱硝設備を装備していないナフサ分解炉で実施し、アンモニア専用バーナーの採用や燃焼制御
等により、窒素酸化物が環境規制値以下であることを確認しました。また、化石燃料と遜色ない燃焼性を確
認するとともに、操業への影響もないことが確認できました。

実証で得られた結果は、国内の化学産業からの CO2 排出量の多くを占めるナフサ分解炉への適用にも
大きく貢献することが期待できます。今後も本設備を活用して、アンモニア燃料の実用化に向けたデータや
ノウハウを蓄積し、化学分野等の工業用加熱炉へのアンモニア燃料への転換ソリューションの提供を目指
します。

当社はクリーンアンモニアの製造・調達から供給までのサプライチェーン構築を目指し、さまざまなス
テークホルダーと協同して検討を進めています。本取り組みを通じて、カーボンニュートラル社会の実現に
貢献してまいります。

(ご参考)
・2021 年 6 月 25 日付
出光・徳山事業所の既設設備を活用したアンモニアサプライチェーン構築の共同検討を開始

・2021 年 10 月 5 日付
アンモニアサプライチェーン構築に関する JERA およびヤラ・インターナショナルとの共同検討について

・2023 年 4 月 21 日付
韓国最大の発電事業者である KEPCO とのブルー・カーボンフリーアンモニアサプライチェーン構築に向
けた協力について

・2024 年 2 月 27 日付
米国レイクチャールズにおけるクリーンアンモニア製造プロジェクト検討について
以 上

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