ヘアカラー染料の流出機構に着目し、褪色抑制ヘアケア技術を確立

News Release
2024 年 3 ⽉ 7 ⽇



ヘアカラー染料の流出機構に着⽬し、褪⾊抑制ヘアケア技術を確⽴
〜染料への作⽤に焦点を当てて褪⾊抑制成分を選定し、その効果を確認〜


美容室向けヘアケア・化粧品メーカーの株式会社ミルボン(本社︓東京都中央区 代表取締役社⻑︓坂下秀憲)は、
シャンプーやヘアトリートメントにおける褪⾊抑制技術として、“染料そのもの”に着⽬したアプローチで、洗髪時の褪⾊を抑
制する効果的なヘアケア成分を⾒出しました。なお、本研究の成果は、以下の学会にて発表します。


【外部発表】
発表学会︓ 第 19 回⽇本感性⼯学会春季⼤会
発表タイトル︓ヘアカラーにおける褪⾊の認識と抑制に関する研究
発表⽇︓2024 年 3 ⽉ 8 ⽇


【研究の背景】
ヘアカラーは、染料によって⽑髪を好みの⾊に染める美容施術です。⾃分の印象を変えたり⽩髪を隠したりするなどの⽬
的で活⽤されています。しかし、ヘアカラーによって美しく染められた髪⾊は、⽇々の⽣活習慣に伴い徐々に褪⾊してしまう
ことが知られています。美しい髪⾊を⻑く楽しみたいというニーズに応えるため、シャンプーやヘアトリートメントなどのヘアケア製
品で⽇々の褪⾊を抑制する研究が進められています。
褪⾊の要因の 1 つに、⽇々の洗髪時において、⽑髪内部に⼊り込む⽔にヘアカラーの染料が溶けて流出してしまうことが
挙げられます(図 1-A)。そのためこれまでには、シャンプーやヘアトリートメントなどにおいて、⽑髪表⾯をコーティングし、染料
の流出を抑制する褪⾊抑制技術が多く研究されてきました(図 1-B)。しかし、⽑髪表⾯のコーティングは⽇々の洗髪で
徐々に洗い流されやすく、褪⾊抑制効果を⼀定以上に⾼めることは困難でした。
そこでミルボンでは、⽑髪表⾯のコーティングとは異なるアプローチとして“染料そのもの”を保護して流出を抑制する⼿法
(図 1-C)があれば、⽑髪表⾯のコーティングと組み合わせることでより⾼い褪⾊抑制効果を得られるのではないかと考え、
新たな褪⾊抑制研究を⾏いました。




図 1 ⽔による褪⾊やその抑制技術のイメージ図
(A) 染料の流出 (B) ⽑髪表⾯をコーティングする褪⾊抑制技術 (C) ”染料そのもの“を保護する褪⾊抑制技術

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【研究の成果】
“染料そのもの”への作⽤という観点から成分選定を⾏い、⾼い褪⾊抑制効果を確認
“染料そのもの”を保護して⽔への流出を抑制する成分として、次の条件が必要であると考えました。
① 染料と類似した分⼦構造を有し、染料になじみやすいこと。
② ⾼い疎⽔性をもつ分⼦構造で、⽔に溶けにくいこと。
以上の分⼦構造に関する条件に加え、実際の⽑髪への定着性も評価することで、約 15,000 の化粧品成分の中からミリ
スチン酸 PPG-3 ベンジルエーテル(PBEM)を選定しました(図 2)。




図 2 褪⾊抑制成分の選定条件のイメージ図


PBEM による、染料の流出を抑制する効果について、ヘアカラーを施した⽑束を⽤いて検証しました。⽑束を⽔に浸漬
すると、時間とともに染料が⽔中に流出して⽔が呈⾊するのに対し、PBEM 処理をした⽑束では⽔の呈⾊が少なく、染料
の流出が抑えられていることがわかりました(図 3-A)。また⽑束の⾊を⽐較すると、PBEM 処理により⽑束に⾊味が濃く残っ
ており、褪⾊が抑制されることが確認できました(図 3-B)。




図 3 PBEM による褪⾊抑制効果
(A) PBEM 処理した⽑束から染料が流出しにくくなった様⼦ (B) PBEM により褪⾊が抑制された⽑束の⾊


【今後の展望】
今回⾒出した“染料そのもの”を保護する技術と⽑髪表⾯をコーティングする技術を組み合わせることで、ヘアカラー後の褪
⾊をより効果的に抑え、理想のヘアカラーデザインを楽しみ続けられるヘアケア製品の開発につなげてまいります。



■リリースに関するお問い合わせ先
広報室 東京都中央区京橋 2-2-1 京橋エドグラン
TEL 03-3517-3915 FAX 03-3273-3211
株式会社ミルボン/本社︓東京都中央区、社⻑︓坂下秀憲、証券コード︓4919(東証プライム)

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