HSP法を用い、毛髪ダメージ補修成分の効果予測システムを構築

News Release
2021 年 5 ⽉ 25 ⽇


HSP 法を⽤い、⽑髪ダメージ補修成分の効果予測システムを構築

〜⾼効果な⽑髪補修成分の特定に活⽤〜

美容室向けヘア化粧品メーカーの株式会社ミルボン(本社︓東京都中央区 代表取締役社⻑・佐藤⿓⼆)は、関
⻄⼤学 ⼭本秀樹教授との協働により、HSP 法*1 を⽤いて⽑髪ダメージに対して⾼効果な補修成分を予測するシステ
ムを構築しました。この⼿法によりイソステアロイル加⽔分解コラーゲンという成分が⾒出され、実際の⽑髪のダメージに対
して効果的に補修できることがわかりました。本研究成果は以下の学会で報告致しました。


【外部発表】
発表学会︓第 57 回ぺプチド討論会
発表タイトル︓COMPARATIVE ANALYSIS OF THE EFFECTIVE PEPTIDE FOR HAIR REPAIRS USING
HANSEN SOLUBILITY PARAMETER
発表⽇︓2020 年 11 ⽉ 9〜11 ⽇


【研究の背景】
ヘアカラーやパーマ、ヘアアイロンなどはヘアデザインを創る有効な⼿段ですが、同時に⽑髪へダメージを与えることも知
られています。ミルボンではこれまで様々な⽑髪補修成分を⾒出してきましたが、それらの探索には幾多の成分を網羅的
に実験することが必要とされ、多くの⼈的コスト・時間的コストがかかっていました。そこで、⽑髪に対して⾼効果な補修成
分を予測できるシステムを構築することで、効率的かつ⾼効果な製品開発につながると考え、研究に取り組みました。


【研究の成果】
関⻄⼤学との協働により、HSP 法によって⽑髪とあらゆる化粧品成分のなじみやすさを数値化してデータベース化し、
そのなじみやすさから補修効果を予測するシステムを構築しました。このシステムを⽤いて複数のペプチド*2 成分について
⽑髪補修効果を検証したところ、イソステアロイル加⽔分解シルクが効果的であること、またそれよりも更に、イソステアロ
イル加⽔分解コラーゲンが効果的であると予測されました。
イソステアロイル加⽔分解シルクは、⽑髪を補修できる成分として既に⼀部製品に採⽤されています。今回新たに⾼
効果と予測されたイソステアロイル加⽔分解コラーゲンの⽑髪への効果を検証したところ、イソステアロイル加⽔分解シル
クだけでは補修しきれなかった⽑髪のダメージも補修できている事が確認できました。今回⽑髪へのなじみやすさを測定し
た他の成分についても、補修効果の予測値と実際の効果に相関があることを確認いたしました。
以上より、HSP 法による⽑髪補修効果予測システムの妥当性は⾼く、効率的な成分探索⼿法になると考えていま
す。


【今後の展望】
HSP 法による⽑髪補修効果予測システムを活⽤することで、ダメージ状態やお客様のニーズに応じて効果的な補修
成分をスピーディに⾒出すことができます。その結果、より⾼効果なヘアケア製品の効率的な開発が期待されます。

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【補⾜︓イソステアロイル加⽔分解コラーゲンの実際の⽑髪補修効果(図1)】
今回の⽑髪補修効果予測システムの妥当性は、ミルボンが過去に発⾒した世界共通のダメージ現象である「棒状空
洞化現象*3」の補修をモデルとして検証しました。
(https://www.milbon.co.jp/ir/upload_file/m000-/20160427_rodshaped-hollowing.pdf)
空洞化ダメージが起こっている⽑髪(図 1︓左)に対して、イソステアロイル加⽔分解シルクを処理したところ、補修され
て空洞は減少しています(図 1︓中央)。さらにその⽑髪に対してイソステアロイル加⽔分解コラーゲンを処理したとこ

ろ、空洞が補修されて減少している様⼦が観察できました(図 1︓右)。X 線 CT スキャンによる⽑髪内部観察


結果




図 1 イソステアロイル加⽔分解コラーゲンは、
イソステアロイル加⽔分解シルクだけでは補修しきれなかった空洞も補修できている




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[注記]
*1 HSP 法(Hansen Solubility Parameter)
Hansen 溶解度パラメータ法ともいう。 物質同⼠が互いに溶け合う場合はその性質は似ており、溶けにくい場合は
性質が異なるという事を利⽤した物質の評価⼿法です。


*2 ペプチド
アミノ酸が短い鎖状につながった分⼦の総称。


*3 棒状空洞化現象
ミルボンが発⾒した世界共通の⽑髪ダメージ現象です。⽑髪内のタンパク質や脂質がダメージによって流出すること
で、⽑髪内に棒状の空洞が⽣じる現象です。




■リリースに関するお問い合わせ先
広報室 東京都中央区京橋 2-2-1 京橋エドグラン
TEL 03-3517-3915 FAX 03-3273-3211
株式会社ミルボン/本社︓東京都中央区、社⻑︓佐藤⿓⼆、証券コード︓4919(東証1部)


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