個別化ネオアンチゲンワクチン(BP1209)の抗原予測アルゴリズムについて AACR 2022で発表しました

2022 年 4 月 11 日
各 位
会 社 名 ブライトパス・バイオ株式会社
代表者名 代 表 取 締 役 社 長 永 井 健 一
(コード番号:4594 東証グロース)
問合せ先 管 理 部 I R 担 当
(irpr@brightpathbio.com)




個別化ネオアンチゲンワクチン(BP1209)の抗原予測アルゴリズムについて
AACR 2022 で発表しました



当社が研究開発を進めている免疫チェックポイント抗体連結個別化ネオアンチゲンワクチン BP1209 に
関連して、抗原予測アルゴリズムに関する研究成果を 2022 年度米国癌研究会議(American Association
for Cancer Research:AACR)年次学術総会において発表しました。
年次学術総会(日本時間 4 月 9 日(土)午前 3 時)を受けて、公表資料を当社ホームページに掲載しま
した。


主な公表内容は次のとおりです。
• 当社は、多様性に満ちた腫瘍のネオアンチゲンを精度・再現性高く予測するアルゴリズムを構築し、国
立研究開発法人国立がん研究センターの中面哲也 免疫療法開発分野長との共同研究において、100 症
例以上の腫瘍の次世代シークエンサー(NGS)データを解析してきました。
• また当社は、構築した抗原予測アルゴリズムの予測精度を実験的に確かめるため、ヒト HLA 遺伝子導
入マウスへ予測ネオアンチゲンをワクチンとして投与し、ネオアンチゲンの免疫誘導能を確認するデ
ータを蓄積してきました。
• 今回は、これを学習データとして、アルゴリズム構築にフィードバックし、バージョン・アップした予
測アルゴリズムを構築しました。
• 旧バージョンに比べ、より高い効率で免疫誘導能のあるネオアンチゲンを選択できることが示されま
した。


BP1209 は、腫瘍の遺伝子変異由来の抗原(ネオアンチゲン)に対する個別化がんワクチンです。ワク
チンを免疫チェックポイント抗体に連結した抗体-抗原複合体ワクチンの形態をしています。





ネオアンチゲンは腫瘍に特異的ながん抗原で正常細胞には存在せず、免疫系からは非自己として認識さ
れます。そのため高い免疫原性を持ち、自己免疫反応を引き起こす心配も少ないため、がん免疫療法の格
好の標的と考えられています。実際に、抗 PD-1/PD-L1 抗体などの免疫チェックポイント抗体が活性化す
る抗腫瘍免疫の標的がネオアンチゲンであることは科学的に証明されつつあります。BP1209 はこのネオ
アンチゲンをがんワクチンの標的とし、これまでのがんワクチンでは得られなかった腫瘍に特異的な高い
抗腫瘍活性を達成しています。




免疫チェックポイント抗体と抗原(ネオアンチゲン)を複合体化することで、腫瘍特異的 T 細胞を活性
化する抗原提示細胞(樹状細胞)に、ワクチン抗原を効率良く送達することができます。また、免疫チェッ
クポイント抗体の作用によって樹状細胞による腫瘍特異的 T 細胞の活性化が顕著に促進されます。


これまでのがんワクチンは、ヒトに投与可能な免疫賦活剤(アジュバント)が薬事規制上限定されていた
ために、高い免疫賦活が困難でした。BP1209 では、安全性が確認されている免疫チェックポイント抗体を
アジュバント成分としても用いることで、ネオアンチゲンに対するワクチン効果が高められています。これ
まで、アテゾリズマブやペンブロリズマブなどの抗 PD-L1/PD-1 抗体は、腫瘍局所での T 細胞の免疫抑制
を解除する抗体医薬品と考えられてきましたが、近年、リンパ節で PD-L1 を発現する樹状細胞が T 細胞を
抑制することを解除する作用があることが報告されています。また、抗 CD40 抗体は CD40 を発現する樹
状細胞の活性化を増強することがわかっています。これらの免疫チェックポイント抗体とネオアンチゲンワ
クチンを複合体化した BP1209 は、腫瘍特異的な T 細胞を効果的に誘導・増幅することができます。


腫瘍の遺伝子変異とネオアンチゲンは患者一人ひとり異なります。そのためネオアンチゲンを標的とす
るがん治療では、患者それぞれの腫瘍の遺伝子配列を解析し患者個別にワクチンを製造する必要がありま
す。当社は次世代シーケンサーによる患者個別の遺伝子変異解析技術と、その遺伝子変異からネオアンチゲ
ンを同定するアルゴリズムをすでに開発しています。ネオアンチゲンに対するワクチンは患者個別に製造す
る必要があり、これまでの海外で臨床試験が行われてきたネオアンチゲンワクチンの多くは、単純な分子構
造と成分で製造が容易なワクチンフォーマットに限定されていました。BP1209 では、ワクチン抗原に抗体
の Fc 領域に結合する分子構造を付加することで、抗原と医薬品抗体を混合するだけで抗体-ワクチン複合
体を形成することができます。これにより、ネオアンチゲンワクチンと免疫チェックポイント抗体を混合す
るだけで、ネオアンチゲンを樹状細胞へ送達し、より有効性の高い抗腫瘍免疫を惹起する抗体連結ワクチン
を、患者個別に製造することが可能になりました。この抗体-ワクチン複合体の形成法は当社独自の特許出
願済の技術です。


当社は、本結果を受けて BP1209 のがん免疫治療の新しいプラットフォームとしてのポテンシャルの高
さを評価し、臨床開発を前提とした創薬を進めております。


なお、本件による当期業績への影響はありません
以上
【発表演題】
A novel computational pipeline supported with in vivo T cell induction data for identification
and validation of neoantigens(発表番号:6839)
in vivo での T 細胞誘導データに基づく当社独自のネオアンチゲン解析パイプラインの構築
発表時間:日本時間 4 月 9 日(土)午前 3 時(米国中部標準時間4月 8 日(月)午後 0 時)




【問い合わせ先】
ブライトパス・バイオ株式会社 管理部
E-mail: irpr@brightpathbio.com
https://www.brightpathbio.com





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