ヘリオスUDC由来聴神経前駆細胞の蝸牛への移植後生着率向上に関する論文をノースウェスタン大学が発表

2023 年4月 20 日
各 位

会 社 名 株 式 会 社 ヘ リ オ ス
代表者名 代表執行役社長 CEO 鍵 本 忠 尚
( コ ー ド 番 号: 4 5 9 3 東 証 グ ロース)



ヘリオス UDC 由来聴神経前駆細胞の蝸牛への移植後生着率向上に関する
論文をノースウェスタン大学が発表


当社は、 遺伝子編集技術を用いて、 HLA 型に関わりなく免疫拒絶のリスクを低減する次
世代 iPS 細胞、ユニバーサルドナーセル(Universal Donor Cell: 以下、 「UDC*」と言い
ます。 )を用いた新たな治療法の研究を進めております。このたび、米国ノースウェスタン
大学(Northwestern University: Chicago, IL, USA)の Dr. A. J. Matsuoka を中心とし
た研究チームが、当社が作製した UDC から分化させた聴神経前駆細胞が、遺伝子編集前
の親株細胞から分化させた聴神経前駆細胞に比べて、蝸牛への移植後生着率向上を示すこ
とを確認しました。 同研究に関する論文が、 科学・ 学術研究雑誌である Stem Cell Research
& Therapy より発表されましたので、お知らせ致します。

論文タイトル:
Enhanced survival of hypoimmunogenic otic progenitors following intracochlear
xenotransplantation: repercussions for stem cell therapy in hearing loss models

アブストラクト(要旨):
細胞置換は感音性難聴(SNHL)治療の可能性を秘めています。しかし、臨床に応用するためには、内
耳移植後の細胞生着率を向上させる必要があります。著者らは、内耳には免疫細胞が常駐していることを
示す最近のデータより、免疫反応からの回避が蝸牛に移植した細胞の生存と滞留時間を向上させるとい
う仮説を立てました。この仮説検証のため、HLA の発現を減弱させた低免疫原性ヒト人工多能性幹細胞
を用いて、聴神経前駆細胞(ONP)を作製しました。hi-iPSCs は ONP への分化能などを含む性質に変
化はありませんでした。蝸牛への移植から 10 日後のマウスの内耳において、野生型ヒト iPS 細胞由来
ONP と比較してより多くの hi-iPSCs 由来低免疫原性 ONP が仮説通りに生着しており、免疫反応を軽減
できることを明らかにしました。この UDC を用いた細胞置換アプローチは、SNHL 治療のための新しい
道を開く可能性があります。



本論文において、ヘリオス UDC(下図 hi-iPSC)が、遺伝子編集前の親株細胞(下図
wt-iPSC)を用いた場合と同様の聴神経前駆細胞に分化したことが複数の分化マーカーか
ら確認されました。また、ヘリオス UDC 由来の聴神経前駆細胞(下図 hi-ONP)が蝸牛
に移植後に親株細胞由来の聴神経前駆細胞(下図 wt-ONP)より多く生着したことから、
免疫拒絶反応を期待通り軽減できたことが示されました。





(画像・グラフ出典: Northwestern University)


当社は、視細胞及び膵臓β細胞等、UDC から様々な細胞に分化誘導することを確認して
きました。この度、聴神経前駆細胞への分化誘導及びマウスへの生着が確認され、 UDC の
再生医療等製品創出のための次世代技術プラットフォームとしての可能性がさらに前進し
ました。



*UDC
免疫拒絶反応を抑えた他家 iPS 細胞です。通常、移植細胞は患者との HLA 型を一致さ
せない場合には、免疫拒絶反応を起こします。そのため、移植時には免疫抑制剤の投与が
必要となりますが、 患者の負担も大きくなります。 免疫抑制剤の投与を回避するためには、
自らの細胞から作製する自家 iPS 細胞の使用が望ましいのですが、 この作製には多くの時
間と多額の費用が必要となります。 UDC は、遺伝子編集技術を用い、 免疫拒絶反応の抑制
を可能にする iPS 細胞です。当社の UDC は、他家 iPS 細胞から拒絶反応を引き起こす
HLA 遺伝子を除去し、その細胞に免疫抑制関連遺伝子、および安全装置としての自殺遺
伝子を導入した、安全な細胞医薬品の原材料となる細胞です。iPS 細胞本来の特長である
無限の自己複製能力や、様々な細胞に分化する多能性を維持しながら、免疫拒絶を抑え安
全性を高めた再生医療等製品創出のための次世代技術プラットフォームです。

本件に関するお問合せ先
IR・財務経理部 IR 広報グループ:
ir@healios.jp





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