脳梗塞急性期治験(TREASURE試験)の結果を第14回世界脳卒中学会、第40回日本神経治療学会学術集会にて発表

2022 年 11 月2日
各 位

会 社 名 株 式 会 社 ヘ リ オ ス
代表者名 代表執行役社長 CEO 鍵 本 忠 尚
( コ ー ド 番 号 : 4593 東証グロース)



脳梗塞急性期治験(TREASURE 試験)の結果を
第 14 回世界脳卒中学会、第 40 回日本神経治療学会学術集会にて発表


当社は、日本国内において脳梗塞急性期を対象とした体性幹細胞再生医薬品 HLCM051※1 の
有効性及び安全性を検討するプラセボ対照二重盲検第Ⅱ/Ⅲ相試験(治験名称:TREASURE 試
験※2。以下、本試験といいます。治験調整医師:北海道大学 総長 寳金 清博 先生)を実施しま
した。本試験について、10 月 26 日にシンガポールで開催された第 14 回世界脳卒中学会、11 月
2日に福島で開催された第 40 回日本神経治療学会学術集会にて北海道大学脳神経外科・長内
俊也 先生より発表がありましたので、お知らせ致します。

両学会での主な発表内容は次の通りです。

・ Excellent Outcome※3(mRS※4≦1、NIHSS※5≦1、BI※6≧95)
投与後 90 日(主要評価項目)では、HLCM051 群が 12 名(11.5%) 、プラセボ群 10 名
(9.8%) 、投与後 365 日(副次評価項目)では、HLCM051 群 16 名(15.4%)
、プラセボ群 11
名(10.8%)となり、投与後 90 日、365 日ともに統計的な有意差は認められませんでした
(p 値=0.903, 0.431) 。

・ Global Recovery※7(mRS≦2、NIHSS 75%以上改善、BI≧95)
投与後 90 日では、HLCM051 群 20 名(19.2%) 、プラセボ群 16 名(15.7%)となり統計的有
意差は認められませんでした(p 値=0.762)が、投与後 365 日(事後解析)では、
HLCM051 投与群 29 名(27.9%) 、プラセボ群 16 名(15.7%)となり、投与群間に統計的な
有意差(p 値=0.037)が認められました。

・ BI≧95
投与後 90 日では、HLCM051 群 31 名(29.8%)
、プラセボ群 24 名(23.5%)となり統計的有
意差は認められませんでした(p 値=0.437) が、投与後 365 日(事後解析)では、
HLCM051 投与群 37 名(35.6%)
、プラセボ群 23 名(22.5%)となり、投与群間に統計的な
有意差(p 値=0.045)が認められました。

・ HLCM051 投与群とプラセボ投与群との間で、死亡率や重大な有害事象などの安全性の結
果に問題となる差異は認められませんでした。

両学会で発表された治験参加医師である長内先生は、以下のように結論を述べています。
「HLCM051 を用いた脳梗塞急性期を対象にした本治験は、プライマリーエンドポイントであ
る投与 90 日後の Excellent Outcome に優位な差は示せませんでしたが、1 年後の Global Recovery





(自立した生活が可能となることを示す指標)において、プラセボ群の 15%に対して
HLCM051群は 27%と統計的有意差が示されました。また、HLCM051投与後の安全性も確認で
きました。HLCM051 は将来治療薬になりうると期待していますが、今後、本剤を投与した脳
梗塞患者の長期予後を更に評価することも必要と考えています。 」


以 上

※1 HLCM051
HLCM051 は、日本国内における体性幹細胞再生医薬品の開発パイプラインです。当社は
2016 年1月に、米国のバイオベンチャー企業 Athersys, Inc.と、同社の開発する幹細胞製品
MultiStem®を用いた脳梗塞に対する再生医療等製品の国内での開発・販売に関する独占的なラ
イセンス契約を締結し、本パイプラインを導入いたしました。さらに 2018 年6月に同社との
提携を拡大したことにより、日本における急性呼吸窮迫症候群に対する開発・販売ライセンス
を取得し、開発を開始いたしました。

※2 Treasure 試験
本試験は、中程度から重度の脳梗塞患者(登録時の神経症状障害度の指標である NIHSS※2 ス
コアが 8 から 20)を対象とし、発症後 18 時間から 36 時間以内に HLCM051 またはプラセボの
単回静脈内投与を行いました。本試験は、48 の医療機関で実施され、206 名の患者が登録され
ました。また、HLCM051 投与群とプラセボ投与群の患者背景に偏りはありませんでした。

※3 Excellent Outcome(優れた転帰)
脳卒中患者の機能評価に使われる主要な指標として、mRS、NIHSS、BI の3つの指標が用い
られております。これら3つの指標において、 「mRS が1以下、NIHSS が1以下かつ BI が 95
以上」を満たした場合を“Excellent Outcome(優れた転帰)”と定義します。本試験では、投与
後 90 日の当該評価項目を主要評価項目として設定しています。

※4 mRS
概括障害度(modified Rankin Scale)と表現され、障害の程度を0(まったく症候がない)、
1(症候があっても明らかな障害はない) 、2(軽度の障害)
、3(中等度の障害)、4(中等
度から重度の障害)、5(重度の障害) 、6(死亡)のグレードで判定されます。数字が低い方
が障害の度合いが低くなります。本試験では、当該評価項目を副次評価項目として設定してい
ます。

※5 NIHSS
神経症状障害度(NIH Stroke Scale)と表現され、脳梗塞の神経学的重症度を項目別に点数化
して合計点で評価されます。点数は0点から 42 点となるように設定されており、点数が高い
ほど重症となります。本試験では、当該評価項目を副次評価項目として設定しています。

※6 BI
日常生活活動指標(Barthel Index)と表現され、代表的な基本的日常生活動作 10 項目につい
て点数をつけ、合計得点で評価されます。例えば、食事の項目では自立、自助具などの装着可、
標準的時間内に食べ終えることができれば 10 点、部分介助(おかずを切って細かくしてもら
う等)の場合は5点、全介助は0点となっている。点数は0点から 100 点。数字が低いほど介





助の必要が高まります。本試験では、当該評価項目を副次評価項目として設定しています。

※7 Global Recovery(全般的機能回復)
脳卒中患者の機能評価に使われる主要な指標として、mRS、NIHSS、BI の3つの指標が用い
られております。これら3つの指標において、 「mRS が 2 以下、NIHSS が 75%以上改善し、BI
が 95 以上」を満たした場合を“Global Recovery (全般的機能回復)”と定義します。Global Recovery
は、米国と英国で Athersys, Inc.が実施した第Ⅱ相試験(MASTERS-1)の主要評価項目でした。
本試験では、当該評価項目を副次評価項目として設定しています。

(出所:日本脳卒中学会の資料等を参考に当社作成)



本件に関するお問合せ先
IR・財務経理部 IR 広報グループ:
ir@healios.jp





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