三谷産業とSE4、ロボットと人の協働による穿孔作業効率化のための要素技術を開発

Press Release
【報道関係各位】
三谷産業株式会社
株式会社エスイーフォー
2020 年 2 月 14 日

三谷産業と SE4、
ロボットと人の協働による穿孔作業効率化のための要素技術を開発
~人手不足・高い業務負荷に悩む建設業界にイノベーションを~

この度、三谷産業株式会社(本社:石川県金沢市、代表取締役社⾧:三谷 忠照、以下 三谷産業)と株式会
社エスイーフォー(本社:東京都台東区、代表取締役:Lochlainn Wilson 、設立:2018 年 9 月、以下 SE4)
は、建設現場における穿孔(せんこう)作業の効率化を図るロボット技術の開発に向けた実証実験を行い、ロ
ボットの自動制御と人間の遠隔指示による正確な穿孔作業のための要素技術を開発しました。

今回の技術開発にあたっては、空調設備工事において豊富な経験を持つ三谷産業が実証実験のフィールド
ならびに現場での事例・施工ノウハウや BIM※データを提供し、ロボット遠隔指示の技術開発を行う SE4 の
ロボティクス・コンピュータービジョン・VR の知見を組み合わせることで開発が実現しました。

BIM とは Building Information Modeling の略称で、コンピュータ上で実際の建築物と同じような仮想3D モデルを作
り、さまざまな属性情報を付加する設計手法です。




VR 空間を通じてロボットに遠隔で穿孔作業の指示を行う様子

【開発実施の背景】

建設業界では人手不足や職人の高齢化が問題となっており、業務効率化と作業者の負荷低減が大きな課題
となっています。特に効率化・負荷低減が期待される作業の一つに、穿孔作業およびそこに必要な「墨出し」
という工程があります。


空調設備機器や付帯する設備を取り付ける際には、事前
の位置決めや配置確認を行い、吊り下げるパーツの取り付
けや付帯設備を通す空間を確保するための工程が必要にな
ります。これらの作業は熟練工が図面と実際の現場の配置
を照らし合わせながら現地を計測し、基準位置のマーキン
グ(通称「墨出し」)を行っています。

近年では測量機を利用した作業効率手法なども進められ
ていますが、作業者自体の負荷低減や作業の省人化による、
さらなる施工の合理化や自動化が望まれています。 墨出しの様子。通常は 2 人で作業を行っており、
多くの時間を要する。


【墨出しから穿孔作業までをロボットへの遠隔指示で自動化】

今回新たに開発された技術では、BIM というコンピュー
タ上に作られた建物・設備の 3 次元モデルの上で人間が穿
孔位置を指定することで、ロボットが自らその位置に移動
し、目標位置に自動で正確に穿孔作業をすることが可能に
なります。これにより、墨出しおよび穿孔作業を人間が行
う必要が無くなり、作業者の負荷低減ならびに業務の効率
化を図ることが期待できます。

ロボットが自ら指定位置に移動し、穿孔作業を行
う。
ロボットの指定位置への移動と穿孔作業の仕組み

まず、通常は導入に数百万円程かかっていた測量機の代わりに、数万円程度のデプスカメラを使用して建
物内をスキャンし、そのデータを基に 3 次元空間にマップを生成します。このデータを BIM データと組み合
わせることで、現場の様子を VR 上に再現します。




デプスカメラで建物内をスキャンし(左下)、そのデータを基に 3D マップを生成する
様子(写真中央上)。柱等の構造が再現されている。赤線はロボットに装着したデプス
カメラが現場をスキャンする際に通った軌道を示している。



続いて、穿孔箇所の位置決めを VR 空間を通じて行い、穿孔作業をロボットに実行させます。




スキャンデータに BIM の 3 次元データを重ねたものを VR に再現した様子。この空
間内でユーザーによる穿孔位置の調整や穿孔作業の指示が行われる。

【技術的特徴と利点】

SE4 の技術における最大の特徴は、全ての工程をロボットによって自動化させるのではなく、あえて人が
介在する点にあります。ロボットは、位置や距離等特定の物事の分析や重労働を実行する点においては人間
よりも優れているのに対し、臨機応変な対応等、物事を総合的且つ柔軟に判断する点においては人間に及び
ません。

そこで SE4 の技術では、ロボットと人間それぞれの強みを活かし、ロボットに優位な現場空間のスキャニ
ング・マップの生成・穿孔作業は自動化し、より柔軟な判断が求められる位置決め作業の最終確認やそれに
伴う微調整は、ロボットの収集したデータを基に人間が行うようにすることで、作業効率を最大化します。

また、作業者は一対一の操作ではなく、ロボットへ「指示」をまとめて送信するため、複数のロボット・
現場を同時に管理することが可能です。



【今後の展望】

今回開発した要素技術の改良を重ね、将来的には建設現場においてロボットと人の協働により施工管理者
が一人で複数の現場を担当できる状況の実現に向けて、取り組みを進めてまいります。





(補足情報)

【SE4 について】 https://www.se4.space/
株式会社エスイーフォーは、時間や距離を超えて人とロボットが協働するシステム構築をすることをビジ
ョンに 、ロボット遠隔指示の技術開発を行うスタートアップです。
特許を出願した独自技術を用いて、地球上だけでなく宇宙空間をも見据えたあらゆる環境でロボットが人
類の繁栄を⾧期的にサポートするシステムを構築し、ロボットと人間の相互作用と相互依存が可能な未来
を目指して日々研究を重ねています。


【三谷産業グループについて】 https://www.mitani.co.jp/
三谷産業グループは、化学品、樹脂・エレクトロニクス、情報システム、空調設備工事、住宅設備機器、
エネルギーの 6 つの事業を持つ複合商社です。1928 年に金沢で創業して以来、現在は金沢と東京の二本社
体制を持つ三谷産業株式会社を中心に、子会社 28 社(日本 18 社、海外 10 社)で事業展開しています。
商社でありながらも、製造・物流などの機能をあわせ持ち、さらに技術部門とも連携した提案型営業を推
進しています。また、時代に先駆けて自らを変化させるべく、スタートアップ企業との協業などを通じて
最新技術の活用や新規ビジネスの創出を推進し、お客様にとっての最適を追求しています。




<本件に関するお問い合わせ先>
三谷産業株式会社 コーポレート本部 経営企画部 TEL: 03-3514-6003

<技術に関するお問い合わせ先>
株式会社エスイーフォー 広報 Email: contact@se4.space





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