第87期報告書

第87期 報告書
平成29年4月1日∼平成30年3月31日
(証券コード:7721)




ごあいさつ
 投資家の皆様方には益々ご清栄の が徐々に出てきております。既存事業の高効率化、高シェア化により
こととお慶び申し上げます。 安定的な収益を確保しつつ、中長期的視点に立った成長戦略を実行
 今般、平成30年6月28日付にて当 することで多様なニッチトップ事業を創出・育成し、当社グループの
社第10代取締役社長に就任しました、 事業規模を拡大していくことが脇前社長から襷を引き継いだ私の使
安藤毅でございます。当社グループ 命であることを認識し、社員一同全力をもって取り組んでまいります。
の従業員と共に常に企業価値向上に  さて、第87期(平成30年3月期)の日本経済につきましては、ア
挑戦し続け、ステークホルダーの皆 ジア向けを中心に輸出が持ち直す中、企業の設備投資や生産活動
様との持続的な共有価値創造を目指 が緩やかに増加していることなどから、景気は緩やかな回復基調が
して全力を尽くす所存ですので、何 続きました。このような経済情勢の中で、当社グループの第87期の
取締役社長
卒よろしくお願いいたします。 通期業績(連結)につきましては、前期に比べ、防衛・通信機器事
 当社は明治29年(1896年)、我が 業の官需市場、及び油空圧機器事業のプラスチック加工機械市場が
国初の計器工場となる和田計器製作 好調であったことなどから、売上高は24.1億円(5.8%)増収の
所として東京・小石川で圧力計の製作を開始したことから始まりまし 438.0億円となりました。また、営業利益は2.0億円(17.6%)増
た。今年で創立122年となった当社は創業以来、常に先端技術を追 益の13.2億円、経常利益が2.6億円(20.7%)増益の15.1億円、
求し、製品を具現化することによって日本の産業発展と安全・安心 親会社株主に帰属する当期純利益も4.1億円(58.0%)増益の11.2
な社会づくりに貢献してきました。その結果、市場の規模は決して 億円となりました。自己資本利益率(ROE)につきましては、前期
大きくはありませんが、社会基盤の根底を支える重要な分野の多く の2.7%に比べ1.4ポイント好転の4.1%となりました。第83期からの
の市場でトップシェアを獲得し続け、他に類を見ないほど多様なニッ 5年間では、10.6%、9.1%、4.7%、2.7%、4.1%と推移した結果、
チトップ事業を展開してきました。一方で、この変化の激しい時代の 平均では6.2%となり、大手議決権行使助言会社などが示している
中で当社グループが存続していくには、現有のニッチトップ事業を維 最低ラインの「直近5年間の平均5%以上」は上回りました。
持するばかりでは徐々に変化に取り残されてしまうリスクがあります。  当社グループの第88期の通期予想(連結)につきましては、前
また、既に夫々の事業は高シェアであることから、事業収益の安定 期に比べ、全ての事業セグメントで増収になる見込みであることから、
性はあるものの事業規模の拡大には難しさがあります。加えて、船 売上高は40.0億円(9.1%)増収の478億円を予想しています。ま
舶事業を除いて、海外売上比率が比較的低いことから、伸長する海 た、営業利益は5.7億円(43.3%)増益の18.9億円、経常利益は
外需要のキャッチアップによる事業規模拡大にはなかなか弾みがつ 4.4億円(29.0%)増益の19.5億円、親会社株主に帰属する当期
きません。現有事業の高効率化、高シェア化を図るとともに、成長 純利益も2.8億円(25.0%)増益の14.0億円を予想しています。こ
に資する新たなニッチトップ製品・事業の創出とグローバルな展開が のように、第88期は前期に引き続き増収・増益を見込んでいますが、
当社グループの喫緊の課題であると認識しております。このような リスク管理を強化しながら更なる事業収益の改善に注力するとともに
課題に対してこれまで当社グループでは三つの基本方針を掲げ、中 資本効率の向上にも努めてまいります。なお、今期の配当につきま
期事業計画を策定し、成長に向けた重点戦略として実行してきました。 しては、一株あたり普通配当25円を実施する予定にしています。
その結果、半導体製造装置用マイクロ波デバイス、農業機械自動化  投資家の皆様方に於かれましては、引き続き、温かなご指導とご
用装置といった新たなニッチトップ事業として成長が期待される商品 鞭撻を賜りますよう宜しくお願い申し上げます。
決算ハイライト
売上高(単位:百万円 ) 経常利益(単位:百万円 ) 親会社株主に帰属する当期純利益(単位:百万円 )




47,800
(予想)

43,439 43,803 3,000
41,394
40,000 2,000


1,950
1,400
1,979 (予想)
2,000 (予想)
1,252
1,511 1,120
20,000 1,252 1,000

1,000 709





第85期 第86期 第87期 第88期 第85期 第86期 第87期 第88期 第85期 第86期 第87期 第88期



セグメント情報

船舶港湾機器 Marine Systems
Business

セグメント別売上高比率 売上高(単位:百万円 )

20% 9,901 8,940
10,000 (予想)
8,460
8,858

● 売上高
8,858百万円 4.7%増 5,000

(前期比)
● 営業利益
161百万円 0
(前期 141百万円の営業損失) 第85期 第86期 第87期 第88期

航海コンソール
 当事業は、国内外の新造船市場では主力製品のオートパイロッ トPR-9000及びジャイロコンパスのさらなるシェ
アアップを推進します。また、在来船市場では、装備義務が一巡し換装サイクルに入るECDIS向け換装提案、在
来船向けACEやデジタルコースレコーダー等の省エネ分野での付加価値による機器換装ビジネスの拡大に注力し
ます。中国の内航船・漁船市場ではジャイロコンパス、オートパイロッ トの拡販を加速してまいります。また、新
商品として中型オートパイロットを当期中にリリースし、拡販を強化してまいります。




油空圧機器 Hydraulics and Pneumatics
Business

セグメント別売上高比率 売上高(単位:百万円 )

29% 13,710
15,000 (予想)
12,356 12,389 12,853

● 売上高 10,000

電磁切換弁 12,853百万円 3.7%増
(前期比)
5,000
● 営業利益
235百万円 15.6%増 0
(前期比) 第85期 第86期 第87期 第88期

 当事業は、売上高の約3割を占める建設機械市場では、高圧化油圧機器、建設機械向け新型モニター・コント
ローラーなどを中心に、日本国内に留まらず中国市場へも深耕拡販を継続してまいります。プラスチック射出成
形機等の国内外成形機市場には、省エネ性能に優れ競争力の高い回転数制御システムや国際競争力を高めた中
小型電磁切換弁を中心に、各種成形機メーカーへの拡販に注力してまいります。また、造船市況の低迷を受け主
力のハッチカバー開閉装置が低迷している油圧応用装置では、新規事業として立ち上げた高圧ガス機器事業(水
画像処理用グラバーボードDAPDNA-CP300
素ステーション用水素圧縮装置等)に引き続き注力してまいります。
流体機器 Fluid Measurement Equipment
Business

セグメント別売上高比率 売上高(単位:百万円 )

6%
5,000 4,350
(予想)


● 売上高
2,381百万円 9.0%減 2,500 2,282
2,618
2,381
(前期比)
● 営業利益
118百万円 55.3%減 0
(前期比) 第85期 第86期 第87期 第88期
2線式超音波流量計UFR-40
 国内官需市場では、高精度化や省人化等による高付加価値化、並びに大型案件の元請受注の獲得に引き続き
取り組んでまいります。また、簡易河川水位監視システム、溢水対策用レベル計等の防災関連の商品系列を拡充
してまいります。民需市場では電波レベル計のプラント市場での拡販に加え、国内外でのOEM供給を推進してま
いります。海外市場の開拓は、新たに設置したベトナム駐在員事務所を足掛かりに東南アジア諸国での拡販を加
速してまいります。消火設備市場では、危険物施設市場の開拓に注力するとともに、新たに点検期限を迎える「ガ
ス系消火設備の容器弁の安全性に係る点検」に注力してまいります。




防衛・通信機器 Defense and Communications
Equipment Business

セグメント別売上高比率 売上高(単位:百万円 )

37%
17,460
20,000
(予想)
16,051
14,969
13,852
● 売上高
16,051百万円 15.9%増 10,000

(前期比)
● 営業利益
AIS陸上局装置 460百万円 265.6%増 0
(前期比) 第85期 第86期 第87期 第88期

 当事業は、官需市場では、F-15主力戦闘機用レーダー警戒装置等の大型案件を確実に履行するとともに、新
型装備品向けに、当社が得意とする技術分野での商品提案の強化を行ってまいります。また、海外VTS向けの新
型半導体レーダーの拡販促進も行ってまいります。民需のセンサー機器市場では、農機用自動化関連機器に注力
し、田植え機だけではなく、トラクタへの実装を見据えた商品開発を進めてまいります。通信機器市場では、次
世代半導体向けエッチング装置に採用されたプラズマ発生用マイクロ波増幅器の拡販に注力し、更なる能力向上
新型平坦性計測解析装置レーザ・プロファイラLP-3000
機の市場リリースも推進してまいります。




その他 Ot her s


セグメント別売上高比率 売上高(単位:百万円 )

8%
5,000
4,073 3,490
3,930
3,659 (予想)
● 売上高
3,659百万円 10.2%減 2,500

(前期比)
● 営業利益
396百万円 44.6%減 0
(前期比) 第85期 第86期 第87期 第88期
鉄道機器:分岐器検査装置SPG-5
 検査機器事業では、前期に新商品として市場投入した印刷品質検査装置P-CAP V6による拡販に注力し、市場
シェア拡大に注力してまいります。鉄道機器事業では、国内市場の更新需要の掘り起こしや新規開拓を強化する
ために、継続して新商品の開発を推進してまいります。また、海外向けレール探傷車については、納入後の円滑
な運用が実現されるよう現地運用者を支援するとともに、これを実績として今後の追加受注の獲得に注力してまい
ります。
※これまでその他の事業に組み入れられていた防災機器事業は第88期から流体機器事業に組み入れられます。
TOPICS
おかげさまでジャイロ生産100周年。
 東京計器は、大正7年(1918)に日本で初めてジャイロコンパスの生産を開始してから今年で100周年を
迎えました。これまでのご支援に対して心からお礼申し上げます。
 高速回転するコマの運動を利用するジャイロコンパスは、磁石を利用する磁気コンパスに比べ地磁気との
偏差が無く高精度という優れた性能があり、当社は米国スペリー社とライセンス契約を締結し、いち早く国
産化しました。その後、当社が独自開発したTGシリーズは、1980年にリリースし「ジャイロコンパスの東京
計器」という世界的な地
位を不動としたTG-5000
を始め、最新モデルTG-
8500/8000が世界中の船舶で採用され続けております。
また近年では、ロータ駆動部を持たない光ファイバージャ
イロコンパスもラインアップし、舶用市場の新たなニーズ
にお応えしています。これからも「ジャイロコンパスの東京
計器」というお客様の信頼にお応えする製品を創出し、航
海の安全と効率的な運航の実現に努めてまいります。 スペリー式ジャイロコンパス(1920年頃) 最新の光ファイバージャイロコンパス




会 社 概 要(平成30年3月31日現在) 株式の状況(平成30年3月31日現在)
● 商 号 東京計器株式会社 ● 発行可能株式総数 50,000,000 株
● 英 文 社 名 TOKYO KEIKI INC. ● 発行済株式総数 17,076,439 株
● 創 業 明治29 (1896) 年5月1日 ● 株主数 8,997 名
● 設 立 昭和23 (1948) 年12月21日 大株主(上位10名)
● 資 本 金 7,217,597,300円 当社への出資状況
● 従 業 員 1,175名(連結1,522名) 株 主 名 持株数(千株) 持株比率(%)
日本トラスティ・サービス信託銀行株式会社 1,053 6.37
役員一覧 (平成30年6月28日現在)
東京計器協力会 1,028 6.22
代 表 取 締 役 株式会社三井住友銀行 824 4.98
安 藤 毅 山内正義 790 4.78
取 締 役 社 長
東京計器取引先持株会 589 3.57
代 表 取 締 役 東京計器従業員持株会 532 3.22
ものづくり革新担当
専 務 取 締 役 山 田 秀 光 日本生命保険相互会社 470 2.84
(品質・技術・生産)
執 行 役 員 株式会社横浜銀行 466 2.82
三菱U J
F 信託銀行株式会社 423 2.56
代 表 取 締 役 あいおいニッセイ同和損害保険株式会社 379 2.29
資材担当
常 務 取 締 役 厚 見 幸 利 兼財務経理部長 注)1. 信託銀行の所有株式には、信託業務に係る株式が含まれております。
執 行 役 員   2. ‌
当社は平成30年3月31日現在、自己株式を544,725株保有しておりますが、上位10名の
株主からは除外しております。また、持株比率は自己株式を控除して計算しております。
取 締 役 所有者別株式分布状況
横 山 宏
常勤監査等委員
■ 自己株式 2.8%
取 締 役 ■ 金融商品取引業者 2.3%
柳 川 南 平
監 査 等 委 員 ■ 外国人 4.3%
■ 事業会社 その他法人 12.9%

取 締 役 ■ 金融機関 31.1%
中 村 敬
監 査 等 委 員
■ 個人 その他 46.6%


● 株主MEMO 注)本報告中の記載数値は、表示してある数値未満の端数を四捨五入しております。


● 事業年度 毎年4月1日から翌年3月31日まで ● 公告方法
公告は電子公告により、当社ホームページに掲載いたします。(https://www.tokyokeiki.jp/)
● 定時株主総会 毎決算期の翌日から3ヶ月以内 但しやむを得ない事由により電子公告によることができない場合は、 日本経済新聞に掲載いたします。

● ‌
期末配当金 ● 株主名簿管理人及び特別口座の口座管理機関
受領株主確定日 3月31日 東京都千代田区丸の内一丁目4番5号
三菱UFJ信託銀行株式会社
● 単元株式数 100株 同連絡先
東京都府中市日鋼町1 1 電話 0120-232-711
- (通話料無料)
● 上場証券取引所 東京証券取引所 市場第1部 郵送先 〒137-8081 新東京郵便局私書箱第29号
(証券コード:7721)     三菱U J
F 信託銀行株式会社 証券代行部

(ご注意)
株券電子化後、株主様の住所変更、買取請求その他各種お手続きにつきましては、原則として口座を開設されている口座管理機関(証券会社等)経由で行っ
ていただくこととなっております。口座を開設されている証券会社等にお問い合わせください。株主名簿管理人(三菱UFJ信託銀行)ではお取り扱いできま
せんのでご注意ください。
特別口座に記録された株式に関する各種お手続きにつきましては、三菱UFJ信託銀行が口座管理機関となっておりますので、三菱UFJ信託銀行にお問い合わ
せください。なお、三菱UFJ信託銀行全国各支店にてもお取次ぎいたします。
未受領の配当金につきましては、引き続き株主名簿管理人である三菱UFJ信託銀行の本支店でお支払いいたします。


<お問い合わせ先>
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TEL 03-3732-2111(代表) FAX 03-3736-0261 https://www.tokyokeiki.jp/ フォントを採用しています。

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