超伝導加速器用高純度ニオブ材料の販売を開始

報道関係者各位



リリース日:2015年6月25日

超伝導加速器用高純度ニオブ材料の販売を開始


株式会社アルバック


株式会社アルバック(本社 神奈川県茅ヶ崎市、代表取締役執行役員社長 小日向久治、以
下アルバック)は、超伝導加速器用高純度ニオブ材料を開発し、7月より販売開始することを
発表いたします。


【背景】


超伝導加速器は、素粒子物理分野であるILC(国際リニアコライダー: International Linear
Collider)による宇宙の起源の解明、医療分野であるたんぱく質の構造解析、環境・エネルギ
ー分野である核変換を利用した高レベル放射性廃棄物の分離変換(ADS)などへの利用が期待
されています。
荷電粒子(電子、陽子、イオン化した原子など)を加速するために、超伝導加速器が使用さ
れます。加速空洞の材料としては、超伝導になる温度が9.25Kと純金属の中で1番高いニオブ
(Nb)が使用されます。加速空洞用Nb材には、RRR(残留抵抗比:Residual Resistance Ratio)
が250以上の性能が要求されます。
*RRR:室温での電気抵抗値と超伝導遷移温度(Tc)直上での電気抵抗値の比で求められ、純
度の目安となる値で、大きいほど高純度となります。


【技術の概要】


アルバックは、Nbを高純度化するために、グループ会社であるアルバック東北株式会社(青
森県八戸市)に新設した600kW EB溶解炉を使用し、原料の選別、真空度、溶解スピードなど
の条件を最適化することで、RRR >250のインゴットの製造に成功しました。
このRRR>250インゴットから製作した板材を用い、共同研究先である大学共同利用機関法
人 高エネルギー加速器研究機構(KEK)にて1セルの加速空洞製作と電界性能試験を実施し
て頂き、最大加速・電界勾配 41MV/mを達成しました。(ILC要求性能:35MV/m以上)


【特長】


1. 社内設備で高純度Nbインゴット製造可能で、RRR>250を達成。



2. 電界性能 41MV/mを達成。
を達成。
3. インゴット製造から、板・棒・管などを一貫生産。
4. シームレス管や、その他加工品にも対応可能。
その他加工品にも対応可能。


【今後の展望】


現在、加速空洞は、Nb板をプレス成形したおわん状の部品を電子ビームで溶接することに
板をプレス成形したおわん状の部品を電子ビームで溶接することに
より製造しています。しかしながら、溶接不良等による歩留まりの低下、内面の溶接ビード
による加速性能の低下が危惧されています。この問題を解決するためNbシームレス
による加速性能の低下が危惧されています。この問題を解決するため シームレス管からの
加速空洞製造を、高エネルギー加速器研究機構
、高エネルギー加速器研究機構(KEK)と共同で研究開発しています。
と共同で研究開発しています。Nbシー
ムレス管を製造し、その後バルジ成形(液圧成形法:密閉装置内の金型にパイプ形状の素材を
ムレス管を製造し、その後バルジ成形 にパイプ形状の素材を
セット後、パイプ内面に注入した液体に高圧をかけ 金型形状に素材を押し膨らませながら
パイプ内面に注入した液体に高圧をかけ、金型形状に素材を押し膨らませながら
成形する方法)することで、溶接工
することで、溶接工程が大幅に削減でき、歩留まりの向上、加速性能低下の回
歩留まりの向上、加速性能低下の回
避が期待できます。これらの技術を応用し、アルバックは
これらの技術を応用し、アルバックは、超伝導加速器用
用Nb材料でお客様
の要望に応える新たな提案を発信し続けます。
の要望に応える新たな提案を発信


【写真・グラフ】




写真.高エネルギー加速器研究機構で製作した
研究機構で製作した グラフ.アルバック材の
アルバック材の1セル加速空洞の
アルバック材の1セル加速空洞
セル加速空洞 電界性能




本件に関するお問合せ先 株式会社アルバック
マテリアル事業部 PM部
阿部 知行
TEL: 0475-89-0246 / FAX:0475
75-89-1392
関連ウェブサイト http://www.ulvac.co.jp/





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