スポンサードリサーチレポート発行のお知らせ(「マテハン事業説明会および埼玉工場見学会」に関するレポート)

2023 年 12 月 27 日
各 位
会社名 株式会社椿本チエイン
代表者名 代表取締役社長 木村 隆利
(コード番号 6371 東証プライム)
問合せ先 経営企画室長 境 直茂
TEL (06)6441-0054



スポンサードリサーチレポート発行のお知らせ
(「マテハン事業説明会および埼玉工場見学会」に関するレポート)

当社は、スポンサードリサーチレポート(
「マテハン事業説明会および埼玉工場見学会」に関するレポー
ト)を発行いたしました。
本レポートは、当社株への推奨はなく、当社の主要事業であるマテハン事業のビジネスモデル、強み、成
長戦略などについてご理解を深めていただくために作成したものです。
当社は、株式会社キャピタルグッズ・リサーチ&アドバイザリーにレポートの作成を依頼しております。
詳細につきましては、別添資料をご参照ください。


以 上
企業レポート

東証プライム・機械 担当アナリスト
2023 年 12 月 27 日

黒田真路

椿本チエイン(6371) 星野英彦 CMA

キャピタルグッズ・リサーチ&アド
バイザリー(CGRA)


マテハン事業説明会と工場見学:各種施策の早期実現に期待したい
 2023 年 12 月 11 日、椿本チエイン(以下、同社)は、埼玉県飯能市にある埼玉工場において、マテハン事業説明会および工
場見学会を開催したので内容を報告したい。
 事業概要:同社は 4 つの事業セグメントで構成され、マテハン事業は、設備やシステムを扱う事業であり、お客様との接触機会が
多い。マテハン事業は、23/3 期連結売上高の 24%を占め、マテハン事業を分解すると、製品搬送(流通・FA・ライフサイエンス・
新聞・機器・その他業界向け)システムを扱うマテハン事業が 57%、チップ(金属切屑)やスクラップ、食品搬送コンベヤを手掛け
るメイフラン事業が 29%、粉粒体搬送コンベヤ(循環・生産・植物系業界向け)を扱うバルク事業が 14%を占める。バルク事業
は、多彩なバリエーションを武器に、国内サイロ市場で 54%、セメントでは 57%、バイオマスで 40%もの高い市場シェアを有する。
メイフラン事業は、チップコンベヤが 21%、スクラップコンベヤは 30%の 2 番手シェアを維持している。マテハン事業は、チルトトレイ式
ソータが国内シェア約 70%、自動車塗装ライン搬送設備は 53%、新聞印刷工場向け AGV は 89%もの高いシェアを誇る。
 3 つの注目ポイント:説明会における注目ポイントは、①収益性の改善を目指した差別化戦略を展開、②復活の鍵となる新製
品の投入が始まっている、③懸念される北米マテハン事業の現状と対策、である。差別化戦略としては、IT・AI 技術を活用した完
全無人化された画像認識や同社独自のシステムインテグレーションビジネスの構築を図りつつ、メンテナンスビジネスの強化および再
生医療ビジネスの商品化を目指す。新製品としては、保管機能付きピッキング装置である 3 次元マテハンシステム「T-AstroX」を
始め、ユニークな製品投入を強化している。北米マテハン事業に関しては、ガバナンスおよび収益性の強化を目的に USTM を設立
するとともに、日本のマテハン事業部との連携強化などを通じて、収益性の早期回復を目指す方針である。

 中計と業績:同社は 26/3 期を最終年度とする「中期経営計画 2025」において、連結売上高 3,000~3,200 億円、営業利
益率 9~11%、うちマテハン事業は売上高 900~950 億円、営業利益率 6%を数値目標に掲げている。しかし、24/3 期にお
けるマテハン事業の売上高は 650 億円、18 億円の営業損失が予想されている。四半期受注高は、改善傾向にあるうえ、24/3
上期実績営業損失 16 億円に対して、下期は 2 億円の営業赤字へ赤字幅が縮小する見通しである。危機感を伴う各種施策の
実行を通じた収益性の早期回復に期待したい。
椿本チエインの連結業績および各種株価データ:億円、円、%
トレーディング・データ 業績推移 19/3 20/3 21/3 22/3 23/3 24/3会予
株価(23年12月26日) 3,975 円 売上高 2,385 2,264 1,933 2,158 2,515 2,630
52週レンジ 4,090~2,927 円 営業利益 217 161 88 178 189 161
時価総額 1,522 億円 経常利益 216 166 110 200 209 192
発行済株式総数 38,281 千株 親会社株主当期純利益 137 115 87 145 137 138
平均売買代金(20日) 4.6 億円 EPS 364.0 308.7 235.2 392.8 371.1 380.6
会社予想PER 10.4 倍 ROE 8.1 6.7 4.8 7.4 6.4  -
PBR(23/3末) 0.66 倍 1株配当金 120.0 120.0 75.0 120.0 130.0 130.0
予想1株配当金 130.0 円 配当性向 33.0 38.9 31.9 30.5 35.0 34.2
予想配当利回り 3.3 % FCF -78 60 183 119 120  -
ROIC(23/3) 6.1 % NetCash -60 -85 68 175 257  -
注:19/3 期 EPS および 1 株配当金は株式併合後ベースへ調整済
本レポートは投資の勧誘・推奨・助言を意図したものではなく、当該企業に関する情報提供を目的として、当社独自の視点から作成されております。また、本レポートに記載されている内容は公表された情
報に基づき作成されておりますが、その正確性、完全性を保証するものではありません。本レポートの著作権は株式会社キャピタルグッズ・リサーチ&アドバイザリーに帰属しており、無断転写を禁じます。本
レポートの内容は、今後予告なく変更される場合があります。当社及び本レポートは投資家の投資判断に関知することなく、投資に関する決定はご自身の判断で行って頂くようお願い申し上げます。
マテハン事業の事業概要
同社 4 つの事業セグメントの中で唯一、設備やシステムを手掛ける
23/3 期同社連結売上高 2,516 億円を 4 セグメントに分解すると、チェーン事業が 35%、モビリテ 同社事業で唯一、同
ィ事業が 31%、次いでマテハン事業が 24%、モーションコントロール事業が 9%、その他事業が 1% 社製チェーンなどを組
み込んだ設備やシステ
を占める。同社製品は、各種機械の駆動部分において「動かす」を支える部品が中心であるが、マテ
ム製品を手掛ける
ハン事業は、設備やシステムを扱う事業であり、お客様との接触機会が多い。

マテハンは、「マテリアルハンドリング」の略であり、倉庫や製造現場における物流の入出庫・保管・出
荷などの工程を効率的に行うシステムである。ただし、同社のマテハン事業は、マテハン事業、メイフラ
ン事業、バルク事業の 3 つに分かれており、23/3 期における売上構成比は、それぞれ 57%、29%、
14%である。

マテハン事業は、各種製品搬送や仕分けなどに用いられるシステム製品を手掛ける。メイフラン事業 マテハン事業は 3 事業
は、工作機械から排出される金属切屑・クーラント、スクラップ、食品搬送などで使用される搬送機器 に区分され、海外売
上高比率は 58%
(コンベヤやホッパーなど)を扱う。バルク事業は、粉粒体を搬送するコンベヤや搬送のための各種設
備およびサービスを提供する。

マテハン事業の地域別売上高は、日本国内が 42%、米州が 35%、欧州が 18%、その他が 6%を
占める。日本とその他地域(中国、台湾、インド)では、上記 3 事業を手掛けるが、欧州はメイフラ
ン事業のみであり、米州はマテハンを中心にメイフラン事業も手掛ける。

市場シェアが高い製品が多く、差別化戦略を強化している
マテハン事業は、ナノ(再生医療)からメガサイズ(自動車、EC 倉庫)まで扱い、差別化展開を 高い国内市場シェアを
強化している。チルトトレイ式ソータは、国内シェア約 70%、自動車塗装ライン搬送設備は 53%、 有する製品が多く、マ
テハン事業は差別化
新聞印刷工場向け AGV は同 89%の国内トップシェアを誇る。メイフラン事業は、工作機械向けチッ
戦略を展開している
プコンベヤが、国内市場シェア 21%、スクラップコンベヤは同 30%を確保、ともに 2 番手に位置してい
る。豊富な実績が強みの源泉である。バルク事業は、国内市場においてサイロや飼料、製粉などの植
物系業界(売上構成比 20%)、セメントや鉄・非鉄、化学などの生産型産業界(同 40%)、
環境やバイオマス、リサイクルなどの循環型産業界(同 40%)へ依存しているが、サイロ市場ではシ
ェア 54%、セメント向けでは 57%、バイオマス向けでは 40%もの高い市場シェア(金額ベース)を
有する。高い技術力と多彩な製品バリエーションが強みである。

図表 1:マテハン事業の売上高構成比と主要 3 事業の売上高構成比




出所:会社資料、市場シェアは椿本チエイン調べ

椿本チエイン(6371) 2
マテハン事業の取り扱い製品
マテハン事業
流通業、自動車や鉄鋼、製薬会社・大学、新聞社、半導体、食品、金融など顧客層が広い

図表 2:お客様の想像を形にする技術力に強みを持つ




メイフラン事業
大手自動車メーカー、主要工作機械メーカー、大手鉄鋼メーカー、食品メーカーが主要顧客

図表 3:新技術を用いた搬送や処理に独自の強みを有する




バルク事業
国内大手食品・飲料メーカー、国内外の電力会社、化学、セメントメーカーなどが主要顧客
図表 4:バルク事業:粉粒体搬送における高い技術力とサービスが強み




椿本チエイン(6371) 3
事業説明会における 3 つの注目ポイント
ポイント①:収益性の改善を目指した差別化戦略を展開
IT・AI などの先進技術の導入においては、EAGLYS 株式会社と資本提携、人を介するバーコードや 収益性を確保した差
RFID などの商品認識から AI を活用した完全無人化された画像認識の実用化を目指している。ま 別化戦略の展開に期
待したい
た、KDDI 株式会社と提携することで、装置としてのマテハンと物流のデータ管理・分析を特定の装置
メーカーに縛られることなく、自由に組み合わせることができるシステムインテグレーションビジネスの拡大
を図る。顧客企業の規模を問わず、物流倉庫の早期 DX 化や柔軟性のある最適な設備導入の提
案が可能となる。実際、同社は化粧品メーカーのオルビス株式会社へベンダーフリーのマテハンシステ
ムを導入している。オルビスの事例では、AGV の機器選定からスタートし、広範囲の自動化提案を織
り込んだシステムとなっている。今後は成功事例に基づいた顧客層の拡大につなげる方針である。

メンテナンス事業では、サービス対応エリアの拡大やコールセンターの改革を進め、他社にない面倒見
の良いサービスを提供、顧客カバー率を 70%から 90%へ引き上げる計画である。再生医療ビジネス
に関しては、細胞培養の研究開発拠点として飯能場内に「埼玉ラボ」を設置、生きた細胞を用いた
再生医療分野において、東京大学医科学研究所などの各アカデミアとの連携が着実に進んでいる。
今後はコールドチェーン技術(高品質冷凍・解凍技術)の商品化を目指す。

ポイント②:復活の鍵となる新製品の積極投入が始まっている
2023 年 10 月、EC を含む物流業や製造業向けの保管機能付きピッキング装置である新製品 T- 新製品の投入による
AstroX(3 次元マテハンシステム)の発売を開始した。同製品は、①必要な物品が作業者の手元 拡販効果に加え、収
益率の改善に期待が
まで運ばれてくる定点ピッキング方式、②市販のプラスチックケースや段ボールケースなど荷姿を選ばな
高まる
い保管ができる、③自社開発・自社設計であるため、様々な用途や場面で柔軟かつスピーディな仕
様の提案が可能、④ピッキングと保管機能を搭載、などのメリットが特徴である。入荷→入庫→保管
→出庫→ピッキング→出荷までの一連の作業を高効率・無人化を実現させた同社独自の差別化さ
れた新製品であり、今後の拡販に期待が高まる。

効率的な空間利用が可能な垂直自動棚「パワーコラム」は、新たにプロジェクションマッピング機能
(=指示棚をライトで表示)を導入することで、誰でも簡単に効率的な出入庫が可能となった。また、
コンベヤ式の仕分け機「クイックソート」は、方向転換方式をエアシリンダから同社製の電動アクチュエー
タへ変更することで、消費電力が従来品比 34%、瞬間最大音圧レベルも 8.3%削減された。コンプ
レッサやエア配管、定期的なメンテナンスが不要となり、設置工期の短縮化も実現が可能となる。

ポイント③:懸念される北米マテハン事業の現状と対策
同社は 2018 年に搬送機器の製造販売を手掛ける米国セントラル・コンベヤ・カンパニー(CCC、ミ 米国 CCC の業績は底
シガン州)と子会社 5 社を 155 億円で買収した。しかし、買収後は、当時の主要顧客であった米 を打った印象
国 GM の工場閉鎖に伴う受注案件のキャンセルや低採算案件の獲得、コロナ禍影響などによる大型
プロジェクトの費用増などが響き、営業損失の計上が続いている。今回、新たな取り組みとして、①ガ
バナンスと収益力の強化などを目指し、USTM(U.S.Tsubaki Material Handling,LLC)を設
立、日本人を CCC に駐在させることで、日本サイドとの意思疎通の強化を図る。また、23/3 期末の
自動車メーカー向け受注残高は、フォードやステランティスなどからの受注獲得に成功、1 年前に比べ
て約 4 割多い約 35 百万ドルに達し、約半分を EV 向けが占める。今後は、①ガバナンスの強化、
②つばきグループとのシナジー効果の顕在化、③ビック 3 向け案件の獲得強化を進めつつ、日本のマ
テハン事業部が手掛ける流通やライフサイエンス向け新製品の北米市場での拡販、メンテナンスビジ
ネスの拡大などを着実に実施する方針である。



椿本チエイン(6371) 4
差別化された戦略を展開
図表 5:IT・AI 技術を活用した新市場の開拓を目指す IT・AI 技術に加え、
KDDI との提携を通じ
て、顧客に優しい柔軟
なマテハンシステムの拡
販を目指す




図表 6:独自のメンテナンスビジネスの拡大を目指す 顧客サービスの強化と
収益の安定化を目指
し、メンテナンスビジネ
スの拡大を図る




図表 7:他社にない再生医療ビジネスの商品化に挑戦
他社にない差別化さ
れた再生医療分野の
市場創造に挑戦




出所:会社資料などから CGRA 作成

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新製品の積極投入が始まっている
図表 8:新製品 3 次元マテハンシステム T-AstroX
国際ロボット展で は、
展示した T-AstroX の
見学に 10,964 名が
来場




図表 9:プロジェクトマッピングを採用した新たな提案
新たな機能を付加する
ことで、お客様の効率
性を改善に貢献




図表 10:自社製の電動アクチュエータを採用 グループ内のシナジー
効果の最大化と同時
に、環境に優しい独自
製品を提供




出所:会社資料などから CGRA 作成

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北米マテハン事業の現状と対策
図表 11:買収後にマクロ環境が急変、収益性の低迷が続いてきた
コロナ禍も落ち着き、ガ
バナンス体制の強化に
よる収益性の早期改
善に期待したい




図表 12:受注環境は徐々に明るさを取り戻している ビック 3 のみならず米国
トップの EV メーカーへ
の実績も有しており、
今後の受注獲得に期
待したい




図表 13:米国 CCC の今後の方針について メンテナンスビジネスや
各種工事案件の獲得
による収益の安定化に
も期待したい




出所:会社資料

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中計数値目標とマテハン事業の業績動向
26/3 期売上高 900~950 億円、営業利益率 6%が中計数値目標
26/3 期を最終年度とする「中期経営計画 2025」では、26/3 期における連結売上高を 3,000 中計数値目標の達成
~3,200 億円、営業利益率 9~11%を全社数値目標として掲げている。マテハン事業に関して に向けた施策は着実
に実施されている印象
は、拡大・成長事業と位置付け、最終年度の売上高を 900~950 億円(連結売上高構成比
25.8%)、営業利益率 6%を目指している。
「システム化、自動化、情報・AI 技術の強化・確立により、社会課題の解決に貢献する」を長期ビ
ジョンに掲げ、①既存のコア技術、IT・AI などの先進技術、エンジニアリング力の強化による営業利
益率 6%以上の達成、②システムインテグレーションビジネス、メンテナンスビジネスの拡大による事業
成長を達成に向けた施策としている。新規市場としては、社会インフラ(EC 市場、循環型社会
等)、食品分野、再生医療分野への新商品投入を目指している。

近年の業績は苦戦が続くが、新製品の市場投入などの積極策に期待したい
24/3 上期業績は、連結売上高が前年同期比 8.3%増の 1,287 億円、営業利益は同 2.9%増 米国子会社 CCC の
の 86 億円(営業利益率 6.7%)となった。マテハン事業に関しては、売上高が同 7.0%増の 300 予想外の業績悪化が
下方修正の主要因
億円、16 億円の営業損失(前年同期は 74 百万円の営業損失)を計上した。24/3 通期連結
業績予想は、売上高が期初予想の 2,550 億円から前期比 4.5%増の 2,630 億円、営業利益
は同 190 億円から同 15.2%減の 161 億円(営業利益率 6.1%)へ見直された。マテハン事業
に関しては、予想売上高が期初予想の 660 億円から同 6.6%増の 650 億円、営業利益は同 10
億円の黒字から 18 億円の赤字へ下方修正された。

マテハン事業の四半期受注高は、前 4Q(23 年 1-3 月)が 158 億円、今 1Q(4-6 月)が前
年同期比 5.2%増の 172 億円、今 2Q(7-9 月)が前年同期比 8.9%増の 173 億円と緩やか
な回復傾向にあり、9 月末の受注残高は 424 億円(月商 7.8 ヶ月分)に達している。

今下期の営業損失は、受注環境の好転、価格改定効果なども期待され、上期実績の 16 億円の
損失から 2 億円へ赤字幅が縮小する見通し。危機感を伴う各種施策の実行を通じた収益性の早
期回復に期待したい。

図表 14:マテハン事業の業績推移と中期経営計画
(百万円) マテハン事業の売上高、営業利益および営業利益率の推移 (%)
115,000 10.0

売上高 営業利益 営業利益率(右軸)
900~950億円 8.0
95,000
6%以上
6.0 6.0
75,000
4.3 4.0


55,000 1.5 1.7 2.0
0.9 1.0 1.4
0.7
0.0
35,000
-1.5
-2.0
-2.8
15,000
-4.1 -4.0


-5,000 -6.0
15/3 16/3 17/3 18/3 19/3 20/3 21/3 22/3 23/3 24/3会予 26/3
会社目標
出所:会社資料などから CGRA 作成

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事業説明会における Q&A
Q:中計の実現に向けて、各事業の戦略や展開について教えてください。

A:バルク事業は、バイオマスや植物系業界からの引き合いが増加しています。海外では、中国やイ
ンドに注力しています。特にインドは、バルク事業を手掛ける会社を完全子会社化し、外国人の登
用などを含め、次なる期待市場として注力する方針です。メイフラン事業は、今年度も堅調を維持
しています。米州は、食品、スクラップ、自動車向けが中心でしたが、日本との連携と食品業界にお
ける専門家の採用を通じて、食品市場に注力しています。欧州は赤字が続いてきましたが、黒字に
転じました。日本は、主要顧客の工作機械市場の低迷が続いていますが、自動車向けスクラップコ
ンベヤの大口案件の受注獲得に成功しており堅調です。今後は日米欧における事業のコラボレーシ
ョンを強化する方針です。

ここ数年は主力のリ二ソートがアパレルやドラッグストア向けにシステムの売上高を支えていました。し
かし、コロナ問題が終息することで受注の低迷が見られています。背景には、コロナ問題を契機に、ア
パレル市場が調整するとともに、アパレルの品物の買い方も E コマースへシフトしています。アパレルに
おける大量高速仕分けのニーズは店舗販売向け商品であるため、ここ数年設備投資ニーズが低下
しています。ドラックストアにおける物流関連の投資も手控えられています。このため、当社では、打開
策として 3 年前から T-AstroX を開発してきました。 購入形態が店舗から EC へシフトする中、EC
市場の開拓を目指し、2023 年 10 月から販売を開始しています。各種データを分析し、各種機器
の配置、入出庫の頻度などの有効性をシュミレーションすることで、導入前に投資効果の見える化を
行い、導入サポートを強化しています。また、前後のプロセスを含むシステム提案を行うことで収益性
の向上を目指します。

Q:米国 CCC の収益性改善策に関して、UTSM を設置した意図を教えてください

A:マテハンビジネスは注文がなくなると収益性が一気に悪化します。担当会社だけでなくグループと
していち早く対処する必要があるため、ガバナンス強化に向けて USTM を設立しました。ここにきて
CCC は引き合いが増加しています。また、収益性の向上には安定したメンテナンスビジネスや改造
案件の獲得も必要です。USTI(U.S.Tsubaki Industrial,LLC)は自動車向け案件の改造
案件をメインに収益をあげているので、CCC、KCI(KCI,Incorporated)ともにエンジ二アリング力を
強 化 し 、 収 益 性 の 改 善 を 図 り た い で す 。 工 事 会 社 の CI(Central Industrial,LLC) 、
EI(Electrical Insight,LLC)とのコラボレーションを図ることで、シナジー効果が生み出せる環境に
なってきています。今後に期待したいです。

Q:国内システムインテグレータビジネスの競合や強みを教えてください。

A:オルビス株式会社様の場合、AGV を採用して頂く以前から当社の搬送・仕分けシステムを採
用して頂いていました。また、物流センターの設備導入にあたっては、物流改善の青写真がない段階
で声掛けして頂いて、機種選定を始め、導入に向けた優先順位なども一緒に提案させて頂きました。
このような事例以外だと、大手マテハンメーカーと競合になる可能性は高いです。ただし、オルビス様
のように早く声をかけて頂き、より広い範囲の提案をさせて頂くことができるならば、お客様のニーズを
超える差別化提案が可能です。今後はオルビス様向け案件のような事例を増やしたいです。

Q:マテハン事業の研究開発費はいくらですか。

本社部門の費用などを除くマテハン事業部のみの研究開発費は 4 億円程度です。有価証券報告
書に掲載している 23/3 期の全社ベースの研究開発費は 56 億円、うちマテハン事業は 11 億円
です。


椿本チエイン(6371) 9
Q:米国 CCC は会社が多すぎると思いますが、どのようにお考えですか

A:米国 CCC は確かに会社の規模からして会社数が多いです。ただし、それぞれの会社には特徴
があります。機械本体と据付工事では、ビジネスの性質が違うことから労働条件が異なるため、米国
では工事会社は別組織が良いと思います。また、ユニオンとノンユニオンは別会社がのぞましいと考え
ますが、規模的に分ける必要があるのかどうか検討いたします。USTM の設立を契機に、ガバナンス
の面からも再編を含め、今後のあるべき体制を模索したいと考えています。売上高の不足に伴う
CCC の赤字は課題ですが、カンザス州の KCI など黒字を確保している子会社もありますので、今後
の展開に期待して頂きたいです。

Q:マテハンとパワトラのシナジーの創出は可能でしょうか

A:パワトラ事業は代理店販売が中心であり、お客様との接点がないことが弱点です。メンテナンス
ビジネスを切り口に、お客様の情報把握に関するノウハウをパワトラ事業と共有することで、営業面の
シナジー効果の創出を進めています。

Q:なぜ USTM をデトロイトではなく、イリノイに設立したのでしょうか

A:イリノイには UST Holdings があります。USTM はイリノイに設立しましたが、実際に人が在籍し
ている場所は、CCC があるデトロイトです。CCC とは密なコミュニケーションができています。




椿本チエイン(6371) 10
<担当アナリスト>
黒田真路 執行役員・パートナー、シニアアナリスト

1992 年 4 月に勧角総合研究所(現みずほ証券)に入社、産業調査部に配属。1999 年 9 月
にジャーディン・フレミング証券(現 JP モルガン証券)、ゴールドマン・サックス証券を経て、2020 年 1
月迄、クレディ・スイス証券に在籍。ゴールドマン・サックス証券ではバイスプレジデント、クレディ・スイス
証券ではディレクター。一貫して機械・造船重機セクターを担当。2020 年 6 月にパートナーとして、
CGRA に参画。(一社)日本証券アナリスト協会の機械業界ディスクロージャー委員を歴任。

星野英彦 CMA 代表取締役・チーフアドバイザー

1987 年 4 月に新日本証券(現みずほ証券)入社、企業調査部に配属。1997 年にジャーディ
ン・フレミング証券(現 JP モルガン証券)、2000 年にドイツ証券、2006 年に UBS 証券で 2016
年 4 月まで在籍。セルサイドアナリストとして機械、造船、重機、プラントセクターを 28 年間にわたって
担当。(一社)日本証券アナリスト協会で機械ディスクロージャー部会の副部会長を 10 年以上に渡
って歴任。2003 年より 2016 年迄、マネージングディレクター。2017 年 6 月に株式会社キャピタル
グッズ・リサーチ&アドバイザリー(CGRA)を設立、代表取締役に就任。(一社)日本証券アナリ
スト協会認定アナリスト。



株式会社 キャピタルグッズ・リサーチ&アドバイザリー(CGRA)

機械セクターに特化したアドバイザリー企業。主な業務内容は(1)資本市場のニーズを満たしつつ、
経営にフィードバック可能な統合報告書の作成サポート(実績 12 社)、(2)中計作成や事業
戦略、各種 IR&SR に関する助言業務(アクティビスト対応含む)、(3)各種資料作成と英訳
業務、(4)長期投資家と経営層に役立つ企業分析スポンサード・レポートの作成など。




本レポートは投資の勧誘・推奨・助言を意図したものではなく、当該企業に関する情報提供を目的と
して、当社独自の視点から作成されております。また、本レポートに記載されている内容は公表された情
報に基づき作成されておりますが、その正確性、完全性を保証するものではありません。本レポートの著
作権は株式会社キャピタルグッズ・リサーチ&アドバイザリーに帰属しており、無断転写を禁じます。本レ
ポートの内容は、今後予告なく変更される場合があります。当社及び本レポートは投資家の投資判断
に関知することなく、投資に関する決定はご自身の判断で行って頂くようお願い申し上げます。




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