スポンサードリサーチレポート発行のお知らせ(「チェーン事業説明会および京田辺工場見学会」に関するレポート)

2023 年4月 12 日
各 位
会社名 株式会社椿本チエイン
代表者名 代表取締役社長 木村 隆利
(コード番号 6371 東証プライム)
問合せ先 経営企画室長 西田 努
TEL (06)6441-0054



スポンサードリサーチレポート発行のお知らせ
(「チェーン事業説明会および京田辺工場見学会」に関するレポート)

当社は、スポンサードリサーチレポート(
「チェーン事業説明会および京田辺工場見学会」に関するレポー
ト)を発行いたしました。
本レポートは、当社株への推奨はなく、当社業績をけん引するチェーン事業の強み、業況、事業戦略に加
え、生産改革活動への取り組みなどについてご理解を深めていただくために作成したものです。
当社は、株式会社キャピタルグッズ・リサーチ&アドバイザリーにレポートの作成を依頼しております。
詳細につきましては、別添資料をご参照ください。


以 上
企業レポート

東証プライム・機械 担当アナリスト
2023 年 4 月 11 日

黒田真路

椿本チエイン(6371) 星野英彦 CMA

キャピタルグッズ・リサーチ&アド
バイザリー(CGRA)


チェーン事業説明会と京田辺工場見学:更なる成長ポテンシャルを感じた
 2023 年 3 月 13 日(月)、椿本チエイン(以下、同社)開催のチェーン事業説明会およびマザー工場である京田辺工場見学
に参加したので内容を報告したい。チェーン事業の 23/3 期予想売上高は、前期比 18%増の 875 億円、同営業利益も同 18%
増の 130 億円(営業利益率 14.9%)が見込まれ、予想連結営業利益の 74%を占める同社業績のけん引役である。また、
同社は 26/3 期を最終年度とした「中期経営計画 2025」において連結売上高 3,000~3,200 億円、営業利益率 9~11%
(営業利益 270~352 億円)を目指しているが、チェーン事業は 3 年前倒しで中計数値目標の達成が見込まれている。

 今回の事業説明会および工場見学の注目ポイントとしては、①チェーンの用途・市場開拓が進んでいる、②市場シェアの上昇と収
益性の改善が見られている、③他社の追随を許さない差別化された高い技術力は健在、④新たな加工設備の導入が進み、生産
性の向上が見込まれる、⑤脱炭素に向けた新たな加工方法を模索、の 5 点である(3 ページ以降参照)。

 チェーンの用途・市場開拓に関しては、チェーン事業売上高の 34%を占めるドライブチェーンでは、立体倉庫などの搬送系のみなら
ず農業用トラクターのアタッチメントなどでも採用が進んでいる。また、同売上高の 29%を占めるコンベヤチェーンでは、小形コンベヤ
チェーンは果物の選別機や食品パック包装機など、大形コンベヤチェーンでは医療用手袋製造機などで採用されている。同 17%を
占めるケーブルベヤは、自動車のパワースライドドアでは、日系や欧米メーカーの最新モデルで市場を独占しているうえ、半導体製造
装置や協働ロボットなどでも採用されている。プラスチックチェーンでは二次電池の搬送用などで新たな需要が顕在化している模様。

 22/3 期のドライブ+コンベヤチェーン市場における世界シェアは No.1 の 15%であった。近年はチェーン売上高の 3 割強を占める
米州において他社転注を含む市場シェアの上昇(現在の米国市場シェアは 41%、過去 6 年で+10pt)が見られている。他社
の追随を許さない独自の差別化技術やブランド力、現地生産などが高評価されている模様。一方、京田辺工場では、「情報とモノ
づくりがリンクする自動化工場」の実現を目指し、ロボット導入や DX を活用した設備の見える化を進めるなど、生産改革が進められ
ており、更なる生産性・収益性の改善が期待できそうだ。

椿本チエインの連結業績および各種株価データ:億円、円、%
トレーディング・データ 業績推移 18/3 19/3 20/3 21/3 22/3 23/3会予
株価(23年4月11日) 3,185 円 売上高 2,157 2,385 2,264 1,933 2,158 2,450
52週レンジ 2,927~3,380 円 営業利益 206 217 161 88 178 175
時価総額 1,219 億円 経常利益 217 216 166 110 200 190
発行済株式総数 38,281 千株 親会社当期利益 146 137 115 87 145 136
平均売買代金(20日) 2.8 億円 EPS 387.4 364.0 308.7 235.2 392.8 367.3
会社予想PER 8.7 倍 ROE 9.2 8.1 6.7 4.8 7.4  -
PBR(22/3末) 0.57 倍 1株配当金 120.0 120.0 120.0 75.0 120.0 130.0
予想1株配当金 130.0 円 配当性向 31.0 33.0 38.9 31.9 30.5 35.4
予想配当利回り 4.1 % FCF 102 -78 60 183 119  -
ROIC(22/3) 5.4 % NetCash 76 -60 -85 68 175  -
注:18/3~19/3 期 EPS および 1 株配当金は株式併合後ベースへ調整済
本レポートは投資の勧誘・推奨・助言を意図したものではなく、当該企業に関する情報提供を目的として、当社独自の視点から作成されております。また、本レポートに記載されている内容は公表された情
報に基づき作成されておりますが、その正確性、完全性を保証するものではありません。本レポートの著作権は株式会社キャピタルグッズ・リサーチ&アドバイザリーに帰属しており、無断転写を禁じます。本
レポートの内容は、今後予告なく変更される場合があります。当社及び本レポートは投資家の投資判断に関知することなく、投資に関する決定はご自身の判断で行って頂くようお願い申し上げます。
チェーン事業の業績動向と事業戦略
チェーン事業は同社営業利益の約 6 割を占める収益ドライバーに成長
同社チェーン事業の 22/3 期業績は、売上高が前期比 21%増の 741 億円、営業利益は同 40% チェーン事業は同社業
績のドライバーに成長、
増の 110 億円を確保、営業利益率は 14.9%となり、過去最高を更新した。22/3 期連結売上高
今後も安定成長が期
2,158 億円、連結営業利益 178 億円に対して、それぞれ 34%、61%を占め、同社業績のけん 待できそうだ
引役となっている。

23/3 期に関しては、予想売上高が同 18%増の 875 億円、同営業利益も同 18%増の 130 億
円(営業利益率 14.8%)が見込まれており、過去最高益を連続更新する見通し。チェーン事業
は、受注の約 6 割を更新需要が占めており、業績安定感が高く、設備投資動向に左右されながらシ
クリカル・グロースの基調を見せ、営業利益は過去 6 年間で約倍増した。なお、26/3 期を最終年度
とする中期数値目標に対しても 3 年前倒しでの達成が見込まれている。

5 つの変革を通じて、収益性の向上と新たな市場創造を目指す
現在、チェーン事業では、対象とする領域において 5 つの改革を進めている。1 つ目は地域別・商品 顧客の課題解決形新
商品の開発を強化し、
別を軸とした販売戦略であるマトリックス経営の推進、2 つ目はマーケティングの変革、3 つ目はモノづ
新たな市場開拓を積
くりの変革、4 つ目は改良・課題解決形新商品の開発、最後に基盤技術の磨き上げである。 極化させる方針である
例えば、マーケティングの改革においては、同社は販売代理店網が充実している反面、最終顧客の
顔が見えにくい側面があったが、DX を活用した情報分析、情報配信によって顧客との繋がりを強化、
サービス・メンテナンスの拡大を通じて、顧客の設備稼働率の向上などに貢献したい考えである。また、
モノづくりの改革に関しては、ロボットを活用した自動化設備の導入に加え、プレスからファイバーレーザ
ーへの置き換えなどの変革を通じて、更なる生産効率・収益性の向上を目指す戦略である。そして、
改良・課題解決形新商品の開発に関しては、顧客自身が気付いていないような課題を発掘し、解
決できる未来形商品の開発により、対象領域を拡大し、市場開拓を進めて行く方針である。

図表1:チェーン事業の業績推移




出所:同社説明会資料




椿本チエイン(6371) 2
事業説明会における5つの注目ポイント
ポイント①:チェーンの用途・市場開拓が進んでいる
同社チェーンは受注の約 6 割を更新需要が占める安定的なビジネスであるが、引き続き新規の用 様々な分野において
新たな用途開発や市
途・市場開拓が進んでいる印象である。ドライブチェーンは、立体倉庫などに加え、農業機械などで
場創造が進んでいる
も使用されている。小形コンベヤチェーンは、農産物を重量やサイズで選別する選果機やインスタント
ラーメンの製造機、食品フィルムパック包装機などでも採用が進んでいる。大形コンベヤチェーンはマレ
ーシアや中国の手袋製造機、ジェットコースター、鉄鋼コイル搬送ラインなどで使用されている。ケーブ
ルベヤは自動車のパワースライドドアからスタートし、大手カーメーカーを攻略、日系のみならず欧米メ
ーカーの最新モデルでは同社が市場を独占しているうえ、協働ロボットや半導体製造装置でも採用
されている。プラスチックチェーンは飲料ボトルの搬送、自動車搬送ラインに加え、近年は二次電池
搬送用として採用が進んでいる。

ポイント②:市場シェアの上昇と収益性の改善が見られている
22/3 期におけるドライブチェーン+コンベヤチェーン市場における同社世界シェアは No.1 の 15%で 米国市場を中心に同
あった(同社調べ)。特に近年はチェーン売上高の 3 割強を占める米州において市場シェアの上昇 社市場シェアは上昇、
更なる収益性の向上
が見られており、22/3 期の米国ドライブチェーン+小形コンベヤチェーン市場における同社市場シェア
も期待できそうだ
は 41%(6 年前に比較して+10pt)に達している。米国 Diamond 社が Timken に買収され、
工場の設備移管で手間取り、供給制約問題が生じているうえ、米国 Rexnord はファンドに買収さ
れて以降、競争力の低下が見られている模様。OEM 中心の中国メーカーに関しては、ロックダウンな
どによる供給制限を余儀なくされ、品質面でも劣後しているうえ、Buy American 志向が強い中、
苦戦が続いている模様。一方、同社は米国に 2 工場を有しており、Made in USA の強みを発揮、
旺盛な需要と高い製品品質、他社からの転注などによる市場シェアの上昇が見られている。同社は
日本、米州、欧州、豪州ではプライスリーダーであり、製品値上げで鋼材などのコスト上昇分を十分
吸収できている。収益性の更なる改善も期待できそうだ。

図表2:同社市場シェアは米国市場を中心に上昇傾向を強める




出所:同社説明会資料



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ポイント③:他社の追随を許さない差別化された高い技術力は健在
同社は、およそ 10 年に 1 度、チェーンのモデルチェンジを行っており、現在は次世代となる第 9 世代 他社の追随を許さない
のドライブチェーンを開発中である。1995 年に開発したリングコイン加工は伝動能力が低下しない 高い技術力が市場シ
ェア上昇の源泉
特殊な同社独自の加工を施し、2006 年に投入した LD ソリッドブシュは冷間鍛造で継ぎ目のない
ブシュを作り、その内側に油を貯める溝を加工することで、摩擦寿命が従来商品比約 2 倍に向上し
た。今なおライバルメーカーはともに開発できていない。2016 年に投入した第 8 世代では摩擦寿命
が同 1.2 倍となり、防塵潤滑油の開発にも成功した。他社の追随を許さない高い技術力とブランド
力は引き続き健在であり、今後も市場シェアの上昇が期待できそうだ。

ポイント④:新たな加工設備の導入が進み、生産性の向上が見込まれる
組立工程においては、単純作業を人からロボットへ置き換えが進められている。スマート工場化を目指 組立工程の自動化に
す生産改革「LinK2025」は、「情報とモノづくりがリンクする自動化工場」をコンセプトに、24 時間無 加え、部品加工工程
においても革新的な設
人化組立てライン(最大 3 倍の生産能力)の導入が検討されていた。また、従来、大形コンベヤチ 備導入が進む
ェーンのリンクプレートはプレス機械で打ち抜いて量産されてきたが、レーザー加工へ切り替えていく方針
である。ファイバーレーザーはメンテナンスが容易であるうえ、高い自動化対応に加え、金型設計が不
要、生産工程集約が可能になるなどのメリットが大きく、更なる生産性向上が見込めそうだ。

ポイント⑤:脱炭素に向けた新たな加工方法を模索
同社京田辺工場では、浸炭炉による熱処理工程がある。熱処理工程は、チェーンの強度を確保す 脱炭素時代に向けた
るには必要不可欠な工程である。しかし、脱炭素時代に向けて、CO2 の排出抑制を目指した電気 新たな生産設備の導
入およびカーボンフリー
炉(高周波炉)への切り替えを検討しているなど、脱炭素に向けた革新的な取り組みを模索してい 製品の開発が進めら
る模様。カーボンニュートラル時代の到来に向けてカーボンフリーチェーンの登場は同社の新たな差別 れている
化商材となりそうだ。

図表 3:高い技術優位性とブランド力が市場シェア上昇の源泉




出所:同社説明会資料




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図表 4:チェーン事業売上高は連結売上高の 33.5%を占める(外部顧客ベース)
チェーン事業の外部顧客ベース売上高は、連結売上高の 33.5%を占め、同社最大の売上構成を
有している。営業利益ベースの構成比は 61%(22/3 期)であり、同社業績のけん引役である。




図表5:チェーン事業は 5 つの商品カテゴリーで構成される
チェーン事業は、モータなどの駆動源の動力を伝動するドライブチェーン、アタッチメントが付いた搬送用
のコンベヤチェーン、ロボットや半導体製造装置などで使用されるケーブルベヤ(ケーブル・ホース支持
案内装置)、プラスチック製を中心としたトップチェーン、その他(スプロケットなど)で構成される。




出所:同社説明会資料

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図表 6:チェーン事業は中計数値目標を 3 年前倒しで達成する見通し
同社は 26/3 期を最終年度とした「中計 2025」において、連結売上高 3,000~3,200 億円を目
指している。チェーン事業に関しては、売上高 800~850 億円、営業利益率 15%を目指している
が、23/3 期において 3 年前倒しで達成する見通しである。




図表 7:米国市場での転注を含む大幅な増収が業績のけん引役
23/3 期(22 年度)におけるチェーン事業の売上高は前期比 134 億円増の 875 億円が予想さ
れている。地域別では米州の売上高が 2021 年度比で 39%増加し、全体をけん引する見通しであ
る。同社の高い技術優位性などに加え、他社からの転注なども寄与している模様である。




出所:同社説明会資料




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図表 8:米国での市場シェアは過去 6 年で+10pt の 41%へ到達
同社の米国市場におけるドライブチェーン+小形コンベヤチェーンの市場シェアは過去 6 年間で
+10pt の 41%に達した。業界再編の動きの中で米国競合 2 社および英国競合を中心に市場シェ
アの低下が見られたうえ、同社の高い製品品質とブランド力および現地生産による高い信頼性が評
価されていると言えよう。




図表 9:生産改革 LinK2025 が進行中
同社は高い製品品質、ブランド力、世界 No.1 シェア、プライスリーダーの位置付けを確保しているが、
マザー工場である京田辺工場では「情報とモノづくりがリンクする自働化工場」をコンセプトに、無駄の
ない製造工場を目指した LinK2025 が進行中である。生産改革による更なる収益性の改善が期待
できそうだ。




出所:同社説明会資料

椿本チエイン(6371) 7
<担当アナリスト>
黒田真路 執行役員・パートナー、シニアアナリスト

1992 年 4 月に勧角総合研究所(現みずほ証券)に入社、産業調査部に配属。1999 年 9 月
にジャーディン・フレミング証券(現 JP モルガン証券)、ゴールドマン・サックス証券を経て、2020 年 1
月迄、クレディ・スイス証券に在籍。ゴールドマン・サックス証券ではバイスプレジデント、クレディ・スイス
証券ではディレクター。一貫して機械・造船重機セクターを担当。2020 年 6 月にパートナーとして、
CGRA に参画。(一社)日本証券アナリスト協会の機械業界ディスクロージャー委員を歴任。

星野英彦 CMA 代表取締役・チーフアドバイザー

1987 年 4 月に新日本証券(現みずほ証券)入社、企業調査部に配属。1997 年にジャーディ
ン・フレミング証券(現 JP モルガン証券)、2000 年にドイツ証券、2006 年に UBS 証券で 2016
年 4 月まで在籍。セルサイドアナリストとして機械、造船、重機、プラントセクターを 28 年間にわたって
担当。(一社)日本証券アナリスト協会で機械ディスクロージャー部会の副部会長を 10 年以上に渡
って歴任。2003 年より 2016 年迄、マネージングディレクター。2017 年 6 月に株式会社キャピタル
グッズ・リサーチ&アドバイザリー(CGRA)を設立、代表取締役に就任。(一社)日本証券アナリ
スト協会認定アナリスト。



株式会社 キャピタルグッズ・リサーチ&アドバイザリー(CGRA)

機械セクターに特化したアドバイザリー企業。主な業務内容は(1)資本市場のニーズを満たしつつ、
経営にフィードバック可能な統合報告書の作成サポート(実績 10 社)、(2)中計作成や事業
戦略、各種 IR&SR に関する助言業務(アクティビスト対応含む)、(3)各種資料作成と英訳
業務、(4)長期投資家と経営層に役立つ企業分析スポンサード・レポートの作成など。




本レポートは投資の勧誘・推奨・助言を意図したものではなく、当該企業に関する情報提供を目的と
して、当社独自の視点から作成されております。また、本レポートに記載されている内容は公表された情
報に基づき作成されておりますが、その正確性、完全性を保証するものではありません。本レポートの著
作権は株式会社キャピタルグッズ・リサーチ&アドバイザリーに帰属しており、無断転写を禁じます。本レ
ポートの内容は、今後予告なく変更される場合があります。当社及び本レポートは投資家の投資判断
に関知することなく、投資に関する決定はご自身の判断で行って頂くようお願い申し上げます。




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