スポンサードリサーチレポート発行のお知らせ

2023 年2月6日
各 位
会社名 株式会社椿本チエイン
代表者名 代表取締役社長 木村 隆利
(コード番号 6371 東証プライム)
問合せ先 経営企画室長 西田 努
TEL (06)6441-0054



スポンサードリサーチレポート発行のお知らせ

当社は、株主・投資家の皆様とのコミュニケーションを円滑にし、当社に対するご理解を深めていただくた
め、スポンサードリサーチレポート(2022年度第3四半期更新版)を発行いたしました。当企業レポートは株
式会社キャピタルグッズ・リサーチ&アドバイザリーに作成を依頼しております。当社株への推奨はなく、当
社のビジネスモデル、業界動向、業績推移、長期的な事業戦略など、すでに公表されている内容を分かりやす
く説明するために作成したものです。詳細につきましては、別添資料をご参照ください。


以 上
企業レポート

東証プライム・機械 担当アナリスト
2023 年2月 6 日

黒田真路

椿本チエイン(6371) 星野英彦 CMA

キャピタルグッズ・リサーチ&アド
バイザリー(CGRA)


木村代表取締役社長兼 COO へのインタビュー
 CGRA は 2021 年 9 月 1 日付で椿本チエイン(以下、同社)にとって初めてのスポンサード・リサーチレポートを発行した。本レポ
ートはフォローアップレポートの位置付けで、前回レポートからの変化点、木村隆利代表取締役社長兼 COO へのインタビュー、中計
達成に向けた業績進捗、長期ビジョン 2030 の実現に向けた非財務・実行戦略、モビリティ事業説明会のポイントなどを説明する。
木村社長へのインタビューでは、社長就任以降の見えてきた課題や企業風土を変える施策、つばきグループの魅力、更には組織再
編の可能性などが聞かれ、創業 100 年を超える伝統的な企業における「変革の胎動」を感じることができた。

 同社業績は、半導体不足による自動車各社の生産停滞影響を受けるモビリティ事業、国内大口案件の減少と米国子会社の低
迷が続くマテハン事業に対して、好調な収益環境が継続しているチェーン事業でカバー、23/3 期3Q 営業利益は前年同期比
6%増の 137 億円(営業利益率 7.5%)を確保、3Q(10~12 月)に関しては、同 12%増の 54 億円(同 8.5%)とモ
メンタムが加速した。24/3 期はグローバル自動車生産の回復に伴い、モビリティ事業が業績をけん引しそうだ。中計に関しては、先
行投資負担が少し重いものの、業績けん引役が交代しつつ、比較的順調に進捗していると言えよう。

 長期ビジョン 2030 の実現に向けては、3 つの社会課題に対して、13 項目の重要課題と KPI を設定、2022 年 1 月には COO
を委員長とする「サステナビリティ委員会」を新設、モニタリングと実効性を強化するとともに、ESG 経営の深化に取り組んでいる。同
社は、「世界を、未来を、動かせ」をテーマに、イノベーションの創出を通じて、組織変革とチャレンジを推し進める方針である。チェー
ンと MC 事業ではモノづくり改革とともに横串の組織改革が始まり、マテハン事業では再生医療プロジェクトが本格稼働を始めている。
モビリティ事業では既存製品の市場シェア拡大を進めつつ、EV 時代を見据えた長期スタンスでの事業展開が動き始めている。

 同社 PBR は EV などの各種リスクを織り込み、0.5 倍程度で推移する一方、配当利回りは 4%を超え始めている。23/3 期 3Q
は高収益体質を有するチェーン事業が全社セグメント利益の 72%を占める収益頭に転じているが、チェーン事業の価値が同社株
価に反映されていない印象である。今後は同収益・高成長の同社チェーン事業における戦略的な情報開示に期待したい。

椿本チエインの連結業績および各種株価データ:億円、円、%
トレーディング・データ 業績推移 18/3 19/3 20/3 21/3 22/3 23/3会予
株価(23年2月3日) 3,030 円 売上高 2,157 2,385 2,264 1,933 2,158 2,450
52週レンジ 2,846~3,415 円 営業利益 206 217 161 88 178 175
時価総額 1,160 億円 経常利益 217 216 166 110 200 190
発行済株式総数 38,281 千株 親会社当期利益 146 137 115 87 145 136
平均売買代金(20日) 1.7 億円 EPS 387.4 364.0 308.7 235.2 392.8 367.3
会社予想PER 8.2 倍 ROE 9.2 8.1 6.7 4.8 7.4  -
PBR(22/3末) 0.54 倍 1株配当金 120.0 120.0 120.0 75.0 120.0 130.0
予想1株配当金 130.0 円 配当性向 31.0 33.0 38.9 31.9 30.5 35.4
予想配当利回り 4.3 % FCF 102 -78 60 183 119  -
ROIC(22/3) 5.4 % NetCash 76 -60 -85 68 175  -

注:18/3~19/3 期 EPS および 1 株配当金は株式併合後ベースへ調整済
本レポートは投資の勧誘・推奨・助言を意図したものではなく、当該企業に関する情報提供を目的として、当社独自の視点から作成されております。また、本レポートに記載されている内容は公表された情
報に基づき作成されておりますが、その正確性、完全性を保証するものではありません。本レポートの著作権は株式会社キャピタルグッズ・リサーチ&アドバイザリーに帰属しており、無断転写を禁じます。本
レポートの内容は、今後予告なく変更される場合があります。当社及び本レポートは投資家の投資判断に関知することなく、投資に関する決定はご自身の判断で行って頂くようお願い申し上げます。
目 次
椿本チエインにおける 3 つの注目ポイント:p3~4

前回レポートからの変化点:p5

木村代表取締役社長兼 COO インタビュー:p6~7

中期経営計画 2025 と進捗状況:p8

長期ビジョン 2030 の実現に向けた実行戦略:p9

チェーン事業の創出価値と業績動向:p10

MC 事業の創出価値と業績動向:p11

モビリティ事業の創出価値と業績動向および事業説明会:p12~13

マテハン事業の創出価値と業績動向:p14

連結損益計算書と貸借対照表とキャッシュフロー:p15~16




図表 1:2022 年の同社株価は機械指数を若干アウトパフォーム

2022年年初基準の椿本チエインおよびTOPIX、機械株指数パフォーマンス
120.0
椿本チエイン株価指数 TOPIX指数 機械株指数
115.0

110.0

105.0

100.0

95.0

90.0

85.0

80.0

75.0

70.0


22 Jan Feb Mar Apr May June July Aug Sep Oct Nov Dec Jan Feb



出所:CGRA 作成


椿本チエイン(6371) 2
椿本チエインにおける 3 つの注目ポイント
ポイント①:日系 8 社のグローバル自動車生産台数の回復に期待したい
前回レポート発行後の 2021 年 10 月 29 日、同社は半導体不足による自動車生産台数の減少 23/3 下期以降は自
を主因に、22/3 期業績予想の下方修正(予想営業利益 160 億円→150 億円)を発表した。 動車生産の回復が期
待され、モビリティ事業
しかし、実際の営業利益は、チェーン事業の上振れなどを背景に、同社予想の 150 億円を上回り、
が業績のけん引役に
178 億円で着地した。一方、23/3 期業績予想は、23 年 2 月 3 日付で、売上高が前期比 13% 転じよう
増の 2,450 億円(期初予想 2,400 億円)へ増額修正されたものの、営業利益は部品不足や
意図的な先行投資負担増などから同 1%減の 175 億円(期初予想 200 億円)へ下方修正さ
れた。ただし、図表 2 が示す通り、日系自動車メーカー8 社のグローバル生産台数は、緩慢ながらも
回復基調にある。23/3 下期以降は、自動車生産台数の回復に伴い、同社モビリティ事業が業績の
けん引役となり、マクロ経済のセンチメントが弱含む中、相対的に堅調な業績推移が期待されよう。

ただし、リスクとしては、中国を中心とした設備投資需要の減速、自動車ローンの金利上昇を通じた
自動車販売の需要鈍化などが懸念される。

ポイント②:長期ビジョンの実現に向けた構造改革へ着手
2021 年 6 月 14 日、同社は「長期ビジョン 2030」および「中計経営計画 2025」を発表した。中 中計および長期ビジョ
期経営計画 2025 は 2030 年度(31/3 期)に売上規模 5,000 億円を目指した長期ビジョンの ンの達成に向けた構造
改革が着実に着手さ
実現に向けたアクションプランの第 1 ステージとして位置付けられており、①次世代ビジネスの創出、②
れている印象
収益性の強化、③事業基盤の強化、④ESG への取り組み強化、が掲げられている。中計数値目標
としては、26/3 期に売上高 3,000~3,200 億円、営業利益率 9~11%(270~352 億円)、
ROE 8%以上、を目指す方針である。

このような目標の達成に向けて、「New Tsubaki」への変革が進められている、具体的には、①イノベ
ーションの創出を阻害していた側面がある事業部制による縦割り組織の壁を壊すための横串機能の
導入、②イノベーションを起こす技術基盤の強化や変革成長を促す推進体制の強化、③本社部門
に専任 5 名を配置した「新事業開発室」を新設、④先端技術者の中途採用を加速させることで、研
究開発センターの陣容拡大と研究開発機能への先行投資の実施、などの取り組みが既に実行され
ている。効果の顕在化には時間を要すると思われるが、今後も継続的な構造改革に期待したい。

ポイント③:株価は各種リスクを過度に織り込んでいる印象
近年の同社 PBR は、ROE および PER の低下を通じて下落、0.5~0.6 倍程度で推移している。 チェーン事業の価値が
強固な財務基盤を有する中での業績悪化が ROE の低下をもたらすと同時に、EV リスクを懸念した 株価に織り込まれてい
ない一方、マテハン事
同社の継続可能性の低下が PER の下落を招いていると CGRA は考えている。一方、23/3 期 1 株
業に対す る安 心感が
予想配当金は前期比 10 円増の 130 円(コロナショック時を除いて過去 6 年間は実質 120 円の
欲しい
安定配当)が予定されており、配当利回りは 4%を上回り始めている。

22/3 期は高収益性を有するチェーン事業のセグメント利益構成比が 61%であった。この 61%部分
に産業機械 4 社の平均予想 PER 14.4 倍をあてはめ、モビリティ事業の同利益構成比 36%に自
動車部品 4 社平均予想 PER 7.8 倍をあてはめ、サムオブザパーツの考え方で理論 PER を試算す
ると、11.6 倍の妥当値が算出される。PBR=ROE×PER に同社予想 PER 8.2 倍、PBR 0.54
倍を当てはめて試算される理論 ROE は 6.6%であり、上記の妥当 PER 11.6 倍と理論 ROE
6.6%から算出される理論 PBR は 0.76 倍(=株価約 4,300 円)と試算される。つまり、同社株
価は各種リスクを過度に織り込む一方、チェーン事業の価値がディスカウントされている印象である。チ
ェーン事業に関する継続的かつ戦略的な情報開示とアピールが求められよう。


椿本チエイン(6371) 3
図表 2:2023 年はグローバル自動車生産台数の回復に期待したい
(万台) 日系完成車8社のグローバル生産台数の推移 (%)
300 150.0 グローバル自動車生産
月次生産台数 前年同月比伸び率(右軸) 135.0 台数は緩慢ながらも回
120.0 復傾向にあると見る

105.0
90.0
200 75.0
60.0
45.0

30.0
15.0
100 0.0
-15.0
-30.0

-45.0
-60.0
0 -75.0



図表 3:構造改革を着実に実行している
「 New Tsubaki 」 に
「パワトラ事業統括」を設置
・チェーン事業とMC事業のシナジー創出 向けた構造改革が着
・両事業のマーケティング改革推進 実に実行されている
① 横串機能の強化
「メンテ改革プロジェクト」を新設
・マテハン事業のメンテナンスビジネス拡大
・マテハン事業とパワトラ事業のシナジー創出

・モビリティ事業部を「タイミングシステム統括(既存事業)」
および「eモビリティ統括(新規事業)」に分割
② 変革成長の推進体制強化 ・「eモビリティ統括」に大規模な人員を投入

・マテハン事業部内に「再生医療プロジェクト」を新設

③ 新規成長の推進体制強化 ・本社部門に「新事業開発室」を新設

・先端技術者の中途採用を加速
④ 研究開発機能の大幅強化 ・研究開発センターの陣容を大幅に増強
・研究開発効率の向上に向けた取り組みを強化



図表 4:関連企業のコンセンサス予想バリュエーション(23/3 期予想)
高収益性を有するチェ
企業名 PBR = ROE × PER
ー ン 事 業の 価 値が 株
 椿本チエイン 0.54 6.6 8.2 価に織り込まれていな
 豊田合成 0.61 6.2 9.8 い印象である
 愛三工業 0.48 7.9 6.1
自動車部品
 エクセディ 0.34 3.2 10.7
 日本ピストンリング 0.27 5.8 4.7
 4社単純平均 0.43 5.8 7.8

 安川電機 4.07 15.3 26.7
産業機械  THK 0.97 9.7 10.0
 オークマ 0.79 10.0 7.9
 NTN 0.72 5.5 13.1
 4社単純平均 1.64 10.1 14.4

出所:CGRA 作成。安川電機は 23/2 期、THK は 22/12 期

椿本チエイン(6371) 4
前回レポートからの変化点
市場リスクの高まりを背景に株価バリュエーションの低下が見られている
前回 2021 年 9 月 1 日付け発行レポートからの変化点としては、業績面に関しては、22/3 期業 今後の業績は自動車
績は 2Q 決算発表時(2021 年 10 月 29 日)に予想営業利益が 160 億円から 150 億円へ 生産の回復に伴い、モ
ビ リ テ ィ 事業 が け ん 引
下方修正されたものの、178 億円で着地した。23/3 期営業利益は、期初時点で前期比 12%
役になりそうだ
増の 200 億円が予想されていたが、23 年 2 月 3 日付けで同 1%減の 175 億円へ下方修正さ
れた。半導体不足などを背景としたグローバル自動車生産台数の伸び悩みが同社モビリティ事業に
悪影響を及ぼす中、世界的な民間設備投資の回復が同社チェーン事業の業績を押し上げてきた。
ただし、2022 年 10 月 7 日に安川電機が 23/2 期業績予想を下方修正、10 月 27 日にはファ
ナックも中国需要の減速を主因に 23/3 期業績予想を下方修正するなど設備投資動向に不透明
感が台頭し始めている。今後は民間設備投資が踊り場を迎える中、自動車生産の回復に伴う同
社モビリティ事業およびマテハン事業の収益改善が業績のポイントになりそうだ。

同社株価は、業績がコロナ前の水準に回帰していないこと、長期的な EV リスク懸念が払しょくされ
ていないこと、財務体質が強固であるがゆえに ROE が低いこと、マテハン事業の低迷長期化などを
背景に、PBR の低下が見られてきた。ただし、配当利回りは 4%強へ上昇、低位な株価バリュエー
ションと相まって、機械株指数対比で堅調な株価パフォーマンスを見せている。

近年はチェーン事業が同社業績のけん引役に転じている
22/3 期 3Q 業績は、連結売上高が前年同期比 17%増の 1,828 億円、営業利益は同 6%増 営業利益率 15%を
の 137 億円(営業利益率 7.5%)となった。チェーン事業が連結売上高の 36%、モーションコント 誇るチェーン事業が同
社業績をけん引
ロール事業が同 9%、モビリティ事業が同 31%、マテハン事業が同 23%、その他事業が同 1%を占
めた。営業利益に関しては、チェーン事業が 100 億円(営業利益率 15.0%)、モーションコントロ
ール事業が 13 億円(同 8.1%)、モビリティ事業が 45 億円(同 8.0%)、マテハン事業は 7.4
億円の赤字、その他事業も 3.7 億円の赤字、消去約 10 億円であった。チェーン事業が営業利益
の 72%(22/3 期 3Q は 63%、22/3 通期は 61%)を占め、同社業績をけん引している。

図表 5:前回レポート発行時からの変化
前回(21年9月1日) 今回(23年2 月3日)
株価:円 3,340 3,030
1株配当:円 120(22/3実) 130 (23/3会予)
配当利回り:% 3.6 4.3 (23/3会予)
PER:倍 7.8(22/3実) 8.2 (23/3会予)
PBR:倍 0.69(21/3末) 0.54 (22/3期末)

会社予想売上高:億円 2,250(22/3予) 2,450(23/3予)
会社予想営業利益:億円 160(22/3予) 175(23/3予)

自動車生産台数:万台 CY2022E 8,400 8,100
CY2023E - 9,000
工作機械受注高:億円 CY2022E 16,500 17,596
CY2023E - 16,000
米国政策金利:% 0.25 4.75
USドル:円 110.0 128.6
TOPIX 1,929 1,970

出所:CGRA 作成、工作機械受注は(一社)日本工作機械工業会ベース。自動車生産台数
および工作機械受注高の予想は CGRA

椿本チエイン(6371) 5
木村代表取締役社長兼 COO インタビュー
インタビューを通じて、今後の「変革の胎動」を感じた
2022 年 12 月 22 日、同社木村社長にインタビューを行ったので、内容を報告したい。

Q:社長兼 COO に就任されて半年が経ちます。見えてきた課題などありますか。

当社の社員がどのような思いで仕事に従事しているか理解したいとの思いで、22 年 9 月のアメリカ、 今後は組織の有機的
11 月末の欧州など、国内外の各拠点を積極的に訪問し、社員 1 人ひとりと対話しています。当社 結びつきに加え、経営
のスピード向上が期待
は世界中に 81 のグループ会社があり、拠点が多すぎる印象を持っています。ガバナンス体制の強化、
できそうだ
人財の柔軟性などを考慮すると、グループ会社の再編が必要で、体質の強化と経営のスピードアップ
を図りたいと思います。詳細は未定ですが、中計最終年度の 2025 年に向けて実行したいと考えてい
ます。

Q:新中計が始まって以降、構造改革に着手されています。事業間の横串などの仕組みを導入さ
れていますが、どのような狙いがあるのでしょうか。

当社は 3 年前に、業務執行と監督の分離を行い、経営陣の意識改革を進めつつ、執行役が事業 共通テーマを掲げた事
に集中できる体制作りを進めてきました。更なる進化を遂げるには組織の壁を越えた組織運営、モノ 業部横断のプロジェク
トを開始
づくりの変革が求められます。この実現のためには、組織間の「横のつながり」が重要であり、現在は各
工場の無人化、自動化などに向けたモノづくり改革を事業部横断プロジェクトで進めています。事業
部制の良い点を生かしつつ、事業部に横串を通し、2025 年に向けては、DX や IT なども加えて、省
人化やカーボンニュートラルなどの共通テーマに「ONE TSUBAKI」で取り組んでいきます。また、当社
のチェーン、モーションコントロール、モビリティ事業は部品のサプライヤーですが、マテハン事業は自らビ
ジネスを創出できる唯一の事業です。コロナ禍では、PCR 自動検査システムなどの市場創造に動きま
した。マテハンのシステムには、チェーンやモーションコントロール事業の部品が組み込まれるなどのシナジ
ーが発揮されています。当社は部品から最終製品まで開発、生産、供給できる世界的にユニークな
企業です。つばきグループ全体で見て、今後の進むべき方向性を示していきたいと考えています。

Q:次に、事業間の横串で成功するには、目指す姿の明確化によって、経営のサステナビリティを高
める必要があります。つばきグループの企業理念を踏まえた魅力を説明いただけますか。

創業 100 周年を迎えた 2017 年に企業理念「TSUBAKI SPIRIT」、2021 年には中期経営計 社会課題の解決の貢
画を策定し、今後の進むべき道筋を示しています。そして、当社は長期ビジョンの「ありたい姿」として、 献する経営姿勢が同
社のサステナビリティを
社会課題の解決に貢献する企業を掲げています。利益創出も大切ですが、お客様、社会、社員な
高めている
ど、世の中のすべての人のために事業を行うことが会社の根幹です。当社には目先の儲けだけでいいと
の考えは全くありません。これが当社グループの魅力であり、100 年以上事業が継続できている証左
だと思います。

Q:御社は伝統的に真面目なイメージがあります。最近始められた「T-Startup」は、とても新しい
プロジェクトですが、進捗を話していただけますか。

新規事業の創出を目指した社内ベンチャー制度「T-Startup」を始めました。当社には優秀だが、ど
ちらかというと真面目でおとなしい人材が多いため、最初はどうなるかと思っていましたが、国内外から
計 100 件の提案が出てきました。社長と社員との座談会では、様々なアイデアを持ちながら、これま
でチャンスがなかったものの、社内でやらせてもらえるならば一生懸命取り組みたいとの意見が聞かれま
した。一次審査では、8 チームを選び、2023 年 2 月末に世界中の拠点に中継しながら、二次審査
を行う予定です。当社の魅力にプラスの効果が得られれば良いと思いますし、リスクを恐れず、誰もが
新しいモノにチャレンジしていける風土づくりを進めたいと思います。


椿本チエイン(6371) 6
Q:事業別の状況説明をお願いします。まず、マテハン事業は業績不振が続いていますが、再生
医療分野への参入など、変化の動きが見られます。具体的施策を説明していただけますか。

かつてのマテハン事業は、例えば物流センターでは、自動仕分け機を含めたシステム全体に対応して マテハン事業は他社と
いましたが、組織再編に伴い、対象領域を集約しました。自動仕分け機は国内シェア 7 割強を誇り の差別化戦略で成長
ますが、対象領域を絞り込みすぎたと見ています。現状からの打開と中計数値目標の達成に向けた 市場を攻略する方針

施策の1つとして、例えば KDDI との業務提携があげられます。当社の持つ自動化機器、世界中
から調達する立体倉庫や様々な AGV と KDDI の持つ高速大容量通信技術を掛け合わせること
で、新しい物流のあり方を提案したいと考えています。

再生医療分野においては、従来はラボストッカの装置販売にとどまっていましたが、業界に精通した
優秀な人材の採用を進めており、ベンチャー企業とのタイアップや資本参加などを通じて、再生医療
で使用する細胞そのものを作る市場への参入を検討しています。今後は大学や研究機関との共同
研究を促進し、他社と差別化できる成長市場に挑戦したいと考えています。

Q:最後に各事業に関して、コメントをいただけないでしょうか。

チェーン事業に関しては、市場シェアの上昇を伴う高収益体質の構築に成功し、グループ全体の営 事業領域の拡大を図
業利益構成比では 7 割近くを占めています。モビリティ事業は、EV 化が着実に進んできており、この ると同時に、新たな付
加価値の提供を強化
大きな流れは変えられないと思います。かつてはモビリティ事業の利益構成比が8割近い時期もあり
する考え
ましたが、最近は3割程度に低下しています。しかしながら、低騒音や軽量・小型化、省エネニーズ
は継続して存在します。事業名をモビリティ事業へ変更しましたが、自動車だけでなく、すべての乗り
物へターゲット領域を広げつつ、新しいビジネスの創出を目指しています。

当社は創業以来、「よいものを作る」を信条とし、形が見える「モノづくり」にこだわってきました。しかし、
今後は、モーションコントロール事業であれば、その名前の通り、コントロール(制御)や情報などの
目に見えない部分がより大切になってくると思います。単品売りではなく、モジュール化、システム化、
IoT 対応など新たな付加価値を提案することで、社会課題の解決に最適な製品供給を行うと同時
に、事業部のあり方も変えていきたいと考えています。次世代ビジネスとしてスタートしたアグリビジネス
や eLINK(V2X 対応充放電装置)を扱う PCS ビジネスも、そろそろ独り立ちをさせなければなら
ないと考えています。




椿本チエイン(6371) 7
中期経営計画 2025 と進捗状況
「中期経営計画 2025」の概要
22/3 期から始まった「中期経営計画 2025」は、最終年度の 26/3 期に売上高 3,000~3,200 26/3 期を最終年度と
億円、営業利益率 9~11%(営業利益 270~352 億円)、ROE 8%以上を目指している。5 する「中期経営計画
2025」が進行中
年間の累計フリーキャッシュフローは 500~600 億円と試算、うち 300~360 億円を先行投資・出
資などとし、200~240 億円を配当金に充てる計画である。株主還元としては、配当性向 30%を
基準に、ROE の改善に向けて機動的な自社株取得も検討している。

なお、ESG 関連の KPI としては、国内グループ会社の CO2 排出量を 14/3 期対比で 30%削減、
海外グループ会社は 19/3 期対比で 20%以上削減する計画である。

中期経営計画は比較的順調な進捗を見せている印象
中計 1 年目の 22/3 期業績は、売上高が前期比 11%増の 2,158 億円、営業利益は同 100% 主力事業であるモビリ
増の 178 億円(営業利益率 8.3%)、ROE は 7.4%を確保、2Q 決算発表時に下方修正され ティ事業の業績回復が
た予想営業利益 150 億円に対して 18%上振れて着地した。セグメント別に見ると、下方修正の主 遅れる中、比較的順
調な進捗を見せる
因であったモビリティ事業をはじめ、4 セグメントともに予想営業利益を上回った。

中計 2 年目となる 23/3 期業績は、予想売上高が前期比 13%増の 2,450 億円、予想営業利
益は同 1%減の 175 億円(営業利益率 7.1%)が提示されている。

図表 6 を見る限り、売上高に関しては、26/3 期における中計目標値に対して、概ね想定線で推移
している印象である。セグメント別では、チェーン事業は 3 年前倒しで中計数値をクリアしている一方、
モビリティ事業は、同社の市場シェア獲得や生産改善活動などは計画線で推移しており、顧客である
完成車メーカーにおける半導体不足の早期解消が待たれる。モーションコントロール事業は、新製品
開発や海外市場での拡販策の遅れなどは否めないが、部品調達難が続いており、意図的に受注を
抑制している面もある。25/3 期以降に収益貢献が期待できそうだ。最大の課題はマテハン事業であ
るが、既存事業の早期黒字化と先行投資案件の早期収益化に期待したい。現時点の同社業績は、
中計数値目標の達成に向けて、概ねインラインで推移していると CGRA は考える。

図表 6:中期経営計画 2025 は想定線での進捗を見せている

(百万円) 26/3期を最終年度とする中期経営計画2025の数値目標 (%)
350,000 16.0
連結売上高(左目盛) 連結営業利益(左目盛) 営業利益率(右目盛)
300,000 14.0
26/3期に売上高3,000∼3,200億円、営業利益率9∼11%、
ROE 8%以上を目指す計画 12.0
250,000 10.9 10.9 9~11%
10.6
9.7 9.6 10.0
200,000 9.1
8.3 7.1
8.0
150,000 7.1
6.0

100,000 4.6
4.0

50,000 2.0

0 0.0
14/3 15/3 16/3 17/3 18/3 19/3 20/3 21/3 22/3 23/3会予 26/3
会社目標

出所:会社資料などから CGRA 作成

椿本チエイン(6371) 8
長期ビジョン 2030 の実現に向けた実行戦略
2022 年 1 月にサステナビリティ委員会を新設
前代表取締役会長兼 CEO の大原靖氏の逝去に伴い、2022 年 6 月に代表取締役社長兼 COO 重要課題の解決を通
の古世憲二氏が代表取締役会長兼 CEO へ、取締役であった木村隆利氏が代表取締役社長兼 じた社会および経済価
値の向上を実現するた
COO に就任した。取締役の鈴木恭氏が退任するとともに、モビリティ事業の上席執行役員であった
めの体制作りが進んで
宮地正樹氏が取締役に就任することで、取締役 6 名(昨年は 7 名)に対して、社外取締役 3 名
いる
(同比率 50%)となった。長期ビジョン 2030 および中計達成に向けた実効性強化と経営スピード
の向上に期待したい。社外取締役 3 名に関しては、現ヤンマーアグリ株式会社の代表取締役社長
などを歴任された阿部修司氏、株式会社三井住友銀行代表取締役兼副頭取執行役員などを歴
任された安藤圭一氏、公認会計士であり、有限責任あずさ監査法人専務役員などを歴任された北
山久恵氏の 3 名から変更はない。

同社は 2019 年度に取締役(戦略策定・監督)と執行役員(業務執行)の役割を明確に分離
するとともに、任意の指名・報酬委員会を設置した。2020 年度には取締役の実効性、株主目線で
の経営推進を目指し、当期利益および ROE、時価総額の対前年増減を尺度とした業績連動報酬
(譲渡制限付株式報酬制度)を導入している。2022 年 1 月には COO を委員長とする「サステナ
ビリティ委員会」を新設、ESG 経営の深化に取り組んでいる。また、2022 年 3 月には TCFD への賛
同を表明、「国連グローバル・コンパクト(UNGC)」にも署名を行っている。

ESG 経営の実効性強化と同時に、次世代ビジネスの創出に注力
同社は 2030 年度に向けた「ありたい姿」として、「人にやさしい社会の実現」、「安全・安心な生活基 課題解決を目指した
盤の構築」、「地球にやさしい社会の創造」の 3 課題の解決に貢献する企業グループを目指している。 次世代ビジネスの創出
に注目したい
加えて、それぞれの ESG 項目に紐づいた 13 項目のマテリアリティ(重要課題)の特定と KPI を設
定、モニタリングと対策を強化することで、実現性を高める考えである。

22/3 期におけるエコ商品(SDGs 配慮商品)の対売上高比率は 35%に上昇(18/3 期 30%)
したうえ、3つの社会課題の解決に向けた次世代ビジネスの創出に注力している(図 7)。具体的
には、2021 年 11 月に最新鋭の完全閉鎖型植物工場に同社マテハンシステム「オートランバンガー
ド MarkⅡ」が採用されたうえ、12 月には再生医療・細胞治療分野への事業拡大を目指し、神戸
医療産業都市に開発拠点を新設した。2022 年 3 月には株式会社人機一体による「先端ロボット
工学技術の社会実装」に参画、9 月 15 日にはロボティクスの活用による医療・介護・農林業市場な
どへの事業拡大を目指し、株式会社 SHIN-JIGEN との新事業開発「ヒューマンアシスト事業」がスタ
ートしている。社内公募のアイデアを事業化する新事業提案チャレンジ「T-Startup」では、計 100
件の案件が集まり、最終的には 1-2 件を事業化する計画である。

図表 7:3 つの社会課題に対応した次世代ビジネスの創出事例




出所:つばきグループ統合報告書 2022

椿本チエイン(6371) 9
チェーン事業の創出価値と業績動向
チェーン事業が創出する社会価値と事業戦略
同社の祖業であるチェーンは、他の追随を許さない耐摩耗性能(摩擦寿命)や世界最高水準の 世界最小ピッチの動力
伝動能力、豊富な製品ラインアップなどを背景として高い信頼性を築き、産業用スチールチェーン市 伝動用チェーンを開発
するなど、更なるブラン
場で世界シェア 16%(1 位)の座を確保している。
ド力の強化を図る
創出する社会価値は、各種生産設備において必要不可欠な動力伝達部品として、世界最高水準
の伝動性能によるエネルギーロスの最小化、小型化による省スペース化、自動化・省力化に貢献して
いる。事業戦略としては、モノづくり改革を進めつつ、次世代新商品の開発を強化すると同時に、MC
事業とのシナジー効果の最大化、更にはアフターサービス事業の拡大を進める方針である。

23/3 期業績見通し:上振れのポテンシャル含み
23/3 期 3Q 業績は、各地域ともに好調な需要環境が継続、売上高は同 22%増の 668 億円と
なった。営業利益は、増収効果や製品値上げ、円安効果などで、材料価格や人件費の上昇影響
を吸収、同 22%増の 100 億円、営業利益率は 15.0%を確保した。

23/3 期売上高は、前期に引き続き過去最高となる前期比 18%増の 875 億円、営業利益は同
18%増の 130 億円、営業利益率も 14.9%が見込まれ、ともに過去最高を更新する見通し。日本
および米州を中心に旺盛な需要環境が続いており、特に北米市場では市場シェア上昇が見られてい
る模様である。

安川電機の受注高が先行指標
下の右グラフは同社チェーンおよび MC 事業の受注高を合算したパワトラ事業の受注高と安川電機 チェーンはシクリカルグロ
の受注高(サーボモータとインバータおよびロボットの受注合計)を比較したものである。安川電機は ースな市場であり、年
率 5%程度の成長が
同社よりも 1 ヶ月程度、決算発表が早く、CGRA では受注の先行指標として注目している。チェーン
期待可能
事業は 2 年成長し、1-2 年調整するシクリカルな動きを見せる傾向にある。足元も好調な需要環境
が継続しているものの、株式市場では設備投資需要の減速を懸念する意見が増えている。

中期経営計画と進捗状況
中計最終年度の 26/3 期に売上高 800~850 億円、営業利益率 15%以上を目指している。
23/3 期業績は中計数値目標を 3 年前倒しでクリアする見通しであり、今後は収益安定性の向上
と利益率の更なる改善を目指した施策が求められよう。

図表 8:チェーン事業の業績推移と先行指標

(百万円) チェーン事業の売上高、営業利益および営業利益率の推移 (%) 椿本チエインおよび安川電機の受注高推移
(百万円) (百万円)
90,000 25.0
売上高 営業利益 営業利益率(右軸) 800~850億円 45,000 180,000
80,000 椿本チエインのチェーン+MC受注高
40,000 160,000
20.0 安川電機のモーション+ロボット受注高
70,000 過去最高営業 35,000 140,000
利益率 15%以上
60,000 30,000 120,000
14.9 15.0
50,000 14.3 12.8 14.8 25,000 100,000
12.4
12.6
40,000
11.7 20,000 80,000
9.6 10.0
8.1 15,000 60,000
30,000
6.7
10,000 40,000
20,000
5.0
5,000 20,000
10,000

0 0.0 1Q 2Q 3Q 4Q 1Q 2Q 3Q 4Q 1Q 2Q 3Q
14/3 15/3 16/3 17/3 18/3 19/3 20/3 21/3 22/3 23/3会予 26/3
会社目標 21/3 22/3 23/3
出所:各社の決算資料から CGRA 作成

椿本チエイン(6371) 10
MC 事業の創出価値と業績動向
MC(モーションコントロール)事業が創出する社会価値と事業戦略
MC 事業は、減速機や電動シリンダ、クラッチ、軸継手、締結具など、各種機械の可動・駆動部に組 MC 事業製品はサーボ
み込まれる、あるいは産業用ロボットや各種製造機械に搭載されるサーボモータに付随して使用され モータを中心に産業用
モータに付随して使用
る商品を扱っている。特に、パワーシリンダ(電動シリンダ)は国内シェア 76%を誇っている。
されるケースが多い
近年、油圧・空圧シリンダを省エネ貢献が期待される電動シリンダに置き換える動きが活発化しており、
同社製ボールネジや ZIP チェーンを使用した MC 事業商品が注目されている。事業戦略としては、あ
らゆる自動化に向けた制御系モータ商品や独自の制御技術により、予知保全などによるモノづくりの
スマート化に貢献する新商品開発を進めている。同社製造現場においても同様の技術を活用した自
動化による生産改革やチェーン事業部との横串効果で、収益性の改善を目指す方針である。

23/3 期業績見通し:通期予想営業利益は下方修正された
23/3 期 3Q 業績は、各地域ともに好調を維持、懸念された中国市場も回復傾向が見られ、売上 日本国内向け売上比
高は前年同期比 16%増の 171 億円となった。営業利益は、材料価格や人件費の上昇が見られ 率が約 74%と高く、業
績回復が遅れている
たものの、増収効果や在庫増に伴う未実現利益の計上などを背景に、同 67%増の 13 億円、営業
利益率は 8.1%を確保したうえ、3Q(10~12 月)営業利益率は 10.4%へ改善が進んだ。

23/3 期売上高は、前期比 13%増の 225 億円(前回予想 210 億円)、営業利益は同 32%
増の 15 億円(同 17 億円)、営業利益率は 6.7%の見通しである。材料価格の上昇や先行投
資負担増に加え、当面は仕入部品の調達問題が続く想定である。

工作機械受注のピークアウトが懸念材料
下の右グラフは同社 MC 事業の売上高と日本工作機械工業会発表の年度ベースの工作機械受注
高を見たものである。同社 MC 事業売上高は、工作機械受注に若干遅行する傾向にある。ただし、
工作機械の月次受注高は、22 年 10 月に前年同月比 5.4%減の 1,411 億円と、2 年ぶりにマイ
ナスに転じており、2023 年は調整局面を迎えそうだ。

中期経営計画と進捗状況
中計最終年度である 26/3 期において売上高 320~350 億円、営業利益率 12%以上を目指
す計画である。19/3 期以前は 10%台の営業利益率を安定的に計上していた事業であり、部品不
足の早期解消と複合型新製品の投入などの事業戦略の実効性に期待したい。

図表 9:MC 事業の業績推移と先行指標
(百万円) MC事業の売上高、営業利益および営業利益率の推移 (%)

40,000 16.0 (百万円) MC事業売上高と工作機械受注高の推移 (10億円)
売上高 営業利益 営業利益率(右軸) 320~350億円 2,400
36,000
35,000 14.0 MC事業売上高 工作機械受注高(右軸)
12.7 13.1 過去最高営 12%以上 32,000
30,000 業利益率 12.0 2,000
10.6 11.0 28,000
10.5 10.3
25,000 9.2 10.0
24,000 1,600

20,000 6.7 8.0 20,000
1,200
5.7
15,000 6.0 16,000
4.1
12,000 800
10,000 4.0
8,000
5,000 2.0 400
4,000
0 0.0
14/3 15/3 16/3 17/3 18/3 19/3 20/3 21/3 22/3 23/3会予 26/3

14/3 15/3 16/3 17/3 18/3 19/3 20/3 21/3 22/3 23/3会予 24/3予
会社目標

出所:各種資料、(一社)日本工作機械工業会の受注高などから CGRA 作成。

椿本チエイン(6371) 11
モビリティ事業の創出価値と業績動向
モビリティ事業が創出する社会価値と事業戦略
モビリティ事業は、自動車の低燃費を狙ったエンジンのダウンサイジング化を背景に急成長、ゴム製タイ 少なくとも 2025 年辺
ミングベルトからスチール製タイミングチェーンへのシフト、市場シェアの獲得などもあり、グローバル自動 りまで順調な業績推
移が見込めそう
車生産台数を大きく上回る成長を見せてきた。現在の世界シェアは No.1 の 38%を誇っている。

創出する社会価値は、自動車エンジンの小型・軽量、高性能化に伴う低燃費化と長寿命化が挙げ
られる。BEV ではエンジンが不要となるため、チェーン自体も使用されないものの、HV 用エンジンや水
素エンジンでは小型化対応のためにも必要な部品である。一方、長年培ってきた動力伝動技術を生
かし、BEV 向け EnedriveChain や車載用および e-Bike 用クラッチなどの新たな用途開発が進め
られている。

23/3 期業績見通し:収益性が改善傾向を示し始めている
23/3 期 3Q 業績は、日本を中心とした自動車各社の減産、中国上海のロックダウンなどが響いたが、
円安効果 62 億円などが寄与、売上高は同 18%増の 568 億円となった。一方、営業利益は、材
料価格の上昇や前期に在庫を積み増した反動に伴う減益影響などが響き、同 10%減の 45 億円、
営業利益率は 8.0%となった。

23/3 期売上高は、前期比 15%増の 760 億円、営業利益は同 4%減の 63 億円、営業利益率
は 8.3%の見通しである。ここにきて日本市場も回復傾向を示し始めているうえ、生産改善や値上げ
効果も収益性の改善に寄与し始めている。今後は自動車生産の回復に期待したい。

自動車生産の改善が同社業績をけん引しそう
下の右グラフは日系自動車メーカー8社のグローバル生産台数とモビリティ事業営業利益(決算期 当面は同事業の業績
のずれを考慮して 3 ヶ月遅行)の推移を見たものである。自動車生産台数は緩やかながらも回復傾 先行指標であるグロー
バル自動車生産台数
向にあり、24/3 期に向けてはモビリティ事業が同社業績のけん引役に転じそうだ。
に注目したい
中期経営計画と進捗状況
中計最終年度の 26/3 期に売上高 950~1,000 億円、営業利益率 11%以上を目指している。
市場シェアの上昇と生産改革などによる収益性向上に加え、BEV 向け新規案件の獲得などに期待
したい。自動車メーカーの生産抑制などを加味すると、順調に進捗していると CGRA は見ている。



図表 10:モビリティ事業の業績推移と先行指標
(百万円) モビリティ事業の売上高、営業利益および営業利益率の推移 (%)
120,000 22.0 (万台) グローバル自動車生産台数とモビリティ事業営業利益の推移 (百万円)
350 3,000
売上高(左軸) 営業利益(左軸) 営業利益率(右軸) 20.0
950~1,000億円 自動車生産台数 3ヶ月移動モビリティ事業営業利益(右軸)
100,000 18.0 300 2,500
17.8
16.7 16.7
16.5 16.0
250 2,000
80,000
14.0
12.9 11%以上
12.0
200 1,500
60,000 11.1
9.9 10.0
8.3 150 1,000
8.2
8.0
40,000
6.4 100 500
6.0

20,000 4.0 50 0
2.0
0 -500
0 0.0 1 3 5 7 9 11 1 3 5 7 9 11 1 3 5 7 9 11 1 3 5 7 9 11
14/3 15/3 16/3 17/3 18/3 19/3 20/3 21/3 22/3 23/3会予 26/3
会社目標 2019 2020 2021 2022
出所:各種資料から CGRA 作成

椿本チエイン(6371) 12
モビリティ事業説明会のポイント
グローバルマーケットシェアを 2025 年に 42%へ引き上げる戦略
2022 年 9 月 2 日にモビリティ事業説明会が開催されたのでポイントを報告したい。同社モビリティ事 市場シェアの拡大を背
業の手掛けるタイミングチェーン(ICE:Internal Combustion Engine およびハイブリッドエンジン 景に 2025 年辺りまで
安定成長が見込まれ
向け)の 22/3 期における世界シェアは 38%であったが、23/3 期は北米および欧州市場向け案件
そう
の納入が拡大することで、39%に上昇する見通しである。

中長期的には、欧州 EURO7 や騒音規制などの環境規制対応商品の開発や環境対応車であるハ
イブリッド車(HV・HEV、PHEV 含む)向けへの納入拡大、更にはアジア市場を狙った低コスト商品
の市場投入などによる拡販活動を実施することで、2025 年の世界シェアを業界ダントツの 42%へ引
き上げる計画である。

2021 年(22/3 期)における同社タイミングチェーンの納入実績は、約 2,030 万台(ICE 向けが ハイブリッド車向け新規
約 80%、ハイブリッド車向けが約 20%)であったが、2025 年には 2,400 万台(ICE 向けが 56% 案件が業績を牽引へ

へ減少する一方、ハイブリッド車向けが 44%へ拡大)となり、納入台数、マーケットシェアともに伸長
する見通しである。

同社製品の優位性である低燃費・軽量化・低騒音・最適設計などを活かし、環境車であるハイブリッ
ド車向けへの納入拡大を目指す。生産能力に関しては、新たな設備投資は行わず、既存設備の効
率向上などで対応する方針である。

中期経営計画は比較的順調な進捗を見せている印象
タイミングチェーンの市場である ICE とハイブリッド車を合わせた自動車生産台数は、2024 年辺りに あらゆるモビリティ市場
約 7,700 万台(構成比 85%)でピークアウトし、その後は緩やかな減少局面を迎え、2029 年に を開拓、社会と地球に
貢献できる企業を目
は約 6,400 万台(構成比 65%)程度へ縮小すると同社は想定している。
指す
今後は市場シェアの向上で安定成長を目指すと同時に、内燃機関系部品のみならず、自動車以外
の人と地球に優しい e-Bike などの Personal Mobility をはじめ、あらゆるモビリティ市場の開拓と環
境性能を向上させる新商品の創出、電動車(BEV)向け商品の強化・開発を進める計画である。



図表 11:タイミングチェーンの売上高および納入台数の見通し
モビリティ事業売上高、納入台数とシェアの推移 (%)

3,000 50.0
納入台数(万台) 売上高(億円) グローバルシェア(%)
42.0
37.0 38.0 40.0
35.0
37.0 37.0 37.0 37.0
33.0 33.0
2,000
30.0



20.0
1,000


10.0



0 0.0
13年度 14年度 15年度 16年度 17年度 18年度 19年度 20年度 21年度 25年度

出所:会社資料。シェアはチェーン駆動エンジン搭載車におけるタイミングチェーンのグローバルシェア。

椿本チエイン(6371) 13
マテハン事業の創出価値と業績動向
マテハン事業が創出する社会価値と事業戦略
マテハン事業は、同社が得意とする自動仕分け機や超低温保管が可能なライフサイエンス分野向け 世界初の 3 次元走行
自動保管庫(国内トップの実績)をはじめ、自動車や食品向け製造システム、バイオマス発電や工 台車による自動ピッキ
ン グ シ ス テム を開 発、
作機械向けコンベヤなどを手掛けている。チルトトレイ式ソータは国内シェア 7 割強を誇る。
複数の問い合わせが
創出する社会価値は、正確かつ高速な仕分け作業による高効率な物流や低-高分子医薬品の研 来ている模様
究開発や DNA などの生体試料分野の発展に加え、今後は次世代医療として世界的に注目される
再生医療分野への貢献が期待される。既に専門の人材を多数採用するとともに、2022 年 12 月に
は埼玉工場クリーンルーム内にラボを設置、装置システムのバイオ評価が可能な体制を構築している。

23/3 期業績見通し:通期予想は下方修正された
23/3 期 3Q 業績は、国内物流業界および米国自動車業界向けシステムが減少したが、為替の円 早期の黒字化と収益
安影響 28 億円に加え、好調な工作機械関連向けに日本、米州、欧州において金属切り屑搬送・ 体質の安定化に期待
クーラント処理装置が伸長、売上高は同 9%増の 420 億円となった。一方、営業利益は、前 3Q したい

の 2 億円の黒字から 7 億円の営業赤字に転じた。米国における大型不採算案件が終了したものの、
国内の物流向け大口案件が減収となったうえ、材料価格の上昇、先行費用増などが響いた。

23/3 期売上高は、前期比 5%増の 590 億円(前回予想 578 億円)、営業損益は 10 億円
の営業赤字(同 5 億円の黒字)の見通しである。10~12 月期の受注高は同 10%増の 162 億
円(BB レシオ 1.2 倍)と堅調だが、米国子会社の収益低迷や先行投資負担増が響く。

懸念された米 CCC 社の不採算案件は完工へ
米国子会社が抱えていた大型不採算案件が完工した模様である。新規案件の引き合いも増加傾
向にあり、日本からのサポートを強化することで、今後の早期業績回復に期待したい。

中期経営計画と進捗状況
中計最終年度の 26/3 期において売上高 900~950 億円、営業利益率 6%以上を目指す計画
である。既存コア技術の進化、エンジニアリング力の強化などによる収益性向上に期待したい。ただし、
再生医療分野などへの先行投資次第では、達成の確度が低下しそうだ。

図表 12:マテハン事業の業績推移
(百万円) マテハン事業の売上高、営業利益および営業利益率の推移 (%)
115,000 10.0

売上高 営業利益 営業利益率(右軸)
900~950億円 8.0
95,000
6%以上
6.0 6.0
75,000
4.3 4.0
3.0
55,000 1.5 1.7 2.0
0.9 1.4
0.7 1.0
0.0
35,000
-1.7
-2.0

15,000
-4.1 -4.0


-5,000 -6.0
14/3 15/3 16/3 17/3 18/3 19/3 20/3 21/3 22/3 23/3会予 26/3
会社目標

出所:各種資料から CGRA 作成

椿本チエイン(6371) 14
連結損益計算書と貸借対照表および CF
図表 13:連結損益計算書とセグメント業績
(百万円、%) 14/3 15/3 16/3 17/3 18/3 19/3 20/3 21/3 22/3 23/3会予
売上高 178,022 196,738 203,976 198,762 215,716 238,515 226,423 193,399 215,879 245,000
増収率 18.7 10.5 3.7 -2.6 8.5 10.6 -5.1 -14.6 11.6 13.5
売上原価 126,130 137,014 142,241 138,191 152,629 171,959 166,158 145,764 153,134 -
原価率 70.9 69.6 69.7 69.5 70.8 72.1 73.4 75.4 70.9 -
販売管理費 34,536 38,296 40,164 38,924 42,392 44,767 44,118 38,737 44,902 -
販管費率 19.4 19.5 19.7 19.6 19.7 18.8 19.5 20.0 20.8 -
営業利益 17,354 21,427 21,570 21,647 20,694 21,789 16,146 8,896 17,842 17,500
増益率 38.0 23.5 0.7 0.4 -4.4 5.3 -25.9 -44.9 100.6 -1.9
営業利益率 9.7 10.9 10.6 10.9 9.6 9.1 7.1 4.6 8.3 7.1
営業外収支 639 836 539 357 1,049 -167 552 2,129 2,204 1,500
営業外収益 1,529 1,516 1,505 1,505 1,784 1,809 1,918 3,265 3,230 -
持分法投資利益 34 33 49 17 5 27 44 47 81 -
営業外費用 890 680 966 1,148 735 1,976 1,366 1,136 1,026 -
持分法投資損失 0 0 0 0 0 0 0 0 0 -
金融収支 90 259 470 485 632 637 781 584 802 -
受取利息 67 136 134 99 119 150 152 129 154 -
受取配当金 484 488 661 670 780 851 1,010 775 944 -
支払利息 461 365 325 284 267 364 381 320 296 -
経常利益 17,993 22,263 22,109 22,004 21,743 21,621 16,698 11,026 20,045 19,000
増益率 40.4 23.7 -0.7 -0.5 -1.2 -0.6 -22.8 -34.0 81.8 -5.2
経常利益率 10.1 11.3 10.8 11.1 10.1 9.1 7.4 5.7 9.3 7.8
特別損益 -421 321 -1,665 -429 -579 -2,189 111 1,133 35 -
特別利益 6 365 75 10 0 4 533 1,190 130 -
特別損失 427 44 1,740 439 579 2,193 422 57 95 -
税前利益 17,572 22,583 20,444 21,575 21,164 19,432 16,809 12,159 20,081 -
法人税住民税+調整額 6,855 8,163 7,643 6,721 6,422 5,577 5,123 3,377 5,418 -
税率 39.0 36.1 37.4 31.2 30.3 28.7 30.5 27.8 27.0 -
少数株主利益 503 267 33 257 75 75 109 75 119 -
親会社株主に帰属する当期利益 10,214 14,153 12,766 14,596 14,666 13,779 11,576 8,706 14,543 13,600
増益率 37.5 38.6 -9.8 14.3 0.5 -6.0 -16.0 -24.8 67.0 -6.5
当期利益率 5.7 7.2 6.3 7.3 6.8 5.8 5.1 4.5 6.7 5.6
連結EPS 54.58 75.65 68.24 390.15 387.44 364.03 308.71 235.23 392.88 367.29

セグメント売上高
チェーン 55,828 61,721 63,998 60,600 67,338 72,023 67,526 61,312 74,174 87,500
モーションコントロール 21,612 22,557 21,975 21,563 24,156 25,591 23,813 18,024 19,906 22,500
モビリティ 60,674 66,978 73,473 75,147 79,545 78,992 70,949 59,450 66,027 76,000
マテハン 39,565 45,169 44,354 41,043 44,187 61,827 64,212 53,618 55,728 59,000
その他 2,719 2,968 3,186 3,001 3,331 3,548 3,542 3,941 3,074 3,000
消去 -2,378 -2,658 -3,011 -2,594 -2,843 -3,469 -3,622 -2,948 -3,031 -3,000
連結売上高 178,022 196,738 203,976 198,762 215,716 238,515 226,423 193,399 215,879 245,000

セグメント利益
チェーン 3,763 5,002 6,172 7,102 8,502 10,292 8,406 7,862 11,005 13,000
モーションコントロール 2,273 2,400 2,428 2,218 3,060 3,340 2,189 747 1,129 1,500
モビリティ 10,119 11,916 12,258 12,385 10,258 8,734 5,791 3,782 6,568 6,300
マテハン 1,192 1,940 659 706 416 402 647 -2,202 799 -1,000
その他 63 123 84 -1 -41 -43 20 -330 -442 -700
消去 -56 44 -30 -765 -1,502 -936 -909 -963 -1,217 -1,600
連結営業利益 17,354 21,427 21,570 21,647 20,694 21,789 16,146 8,896 17,842 17,500

セグメント利益率
チェーン 6.7 8.1 9.6 11.7 12.6 14.3 12.4 12.8 14.8 14.9
モーションコントロール 10.5 10.6 11.0 10.3 12.7 13.1 9.2 4.1 5.7 6.7
モビリティ 16.7 17.8 16.7 16.5 12.9 11.1 8.2 6.4 9.9 8.3
マテハン 3.0 4.3 1.5 1.7 0.9 0.7 1.0 -4.1 1.4 -1.7
その他 2.3 4.2 2.6 0.0 -1.2 -1.2 0.6 -8.4 -14.4 -23.3
消去 2.4 -1.7 1.0 29.5 52.8 27.0 25.1 32.7 40.2 53.3
連結営業利益率 9.7 10.9 10.6 10.9 9.6 9.1 7.1 4.6 8.3 7.1



注:17/3~19/3 期連結 EPS は株式併合後の数値に修正済み

出所:会社資料より CGRA 作成




椿本チエイン(6371) 15
図表 14:連結貸借対照表とキャッシュフロー
(百万円、%) 13/3 14/3 15/3 16/3 17/3 18/3 19/3 20/3 21/3 22/3
流動資産 96,782 100,626 116,619 116,536 125,400 132,144 143,949 134,083 145,185 166,512
現金・預金 19,678 13,518 17,504 20,195 26,332 29,590 33,647 29,019 41,869 49,104
受取手形・売掛金 41,844 44,337 47,338 48,726 50,760 55,612 59,807 57,046 55,377 59,131
有価証券 560 7,877 12,020 7,533 7,965 4,646 4,114 3,965 6,189 6,339
棚卸資産 29,298 29,625 33,574 33,153 33,875 37,676 41,884 40,278 38,389 49,008
その他流動資産 5,402 5,269 6,183 6,929 6,468 4,618 4,495 3,773 3,360 2,930
固定資産 119,055 128,213 142,122 137,570 141,814 151,429 161,966 160,015 162,147 166,107
有形固定資産 90,481 96,852 101,613 102,777 105,435 113,285 116,946 118,579 115,059 114,918
無形固定資産 5,381 5,807 5,132 4,352 3,841 2,968 12,787 11,361 10,695 10,700
投資その他資産 23,192 25,554 35,376 30,444 32,537 35,175 32,233 30,074 36,391 40,488
資産合計 215,837 228,840 258,742 254,106 267,215 283,574 305,916 294,098 307,332 332,620
流動負債 57,543 62,003 59,435 55,525 66,558 70,796 82,617 67,081 61,690 67,839
支払手形・買掛金 26,488 25,269 25,902 24,986 25,462 34,148 33,701 27,030 25,674 28,373
短期借入金・1年以内償還長期借入金 11,868 18,847 11,761 10,547 20,225 11,292 22,779 17,139 11,953 13,142
その他流動負債 19,187 17,887 21,773 19,992 20,872 25,356 26,137 22,912 24,064 26,324
固定負債 49,696 45,208 55,014 52,766 44,439 43,012 47,844 50,961 58,147 55,023
SB・CB 0 0 10,000 10,000 10,000 10,000 15,000 15,000 15,000 15,000
長期借入金 24,638 17,690 15,146 14,269 4,409 5,288 5,992 9,369 14,214 9,727
その他固定負債 25,058 27,518 29,868 28,497 30,030 27,723 26,851 26,592 28,933 30,295
負債合計 107,239 107,212 114,450 108,291 110,997 113,808 130,461 118,043 119,838 122,863
非支配株主持分 6,577 3,194 3,851 3,774 3,744 1,848 1,720 1,695 1,703 2,000
自己資本 102,019 118,433 140,439 142,041 152,474 167,916 173,734 174,360 185,791 207,756
純資産合計 108,597 121,628 144,291 145,815 156,218 169,764 175,454 176,055 187,494 209,757
負債・資本合計 215,837 228,840 258,742 254,106 267,215 283,574 305,916 294,098 307,332 332,620


(百万円、%) 13/3 14/3 15/3 16/3 17/3 18/3 19/3 20/3 21/3 22/3
営業活動によるキャッシュフロー 15,350 19,761 22,189 19,090 25,434 27,657 24,197 20,275 27,890 21,000
税金等調整前当期純利益 12,644 17,572 22,583 20,444 21,575 21,164 19,432 16,809 12,159 20,081
減価償却費 7,360 8,745 9,476 10,402 10,342 11,005 12,366 12,739 12,682 12,694
運転資本の増減 832 -220 -4,110 -3,721 -2,804 720 -5,847 -3,318 3,143 -7,998
法人税等の支払額 -4,695 -6,099 -7,193 -9,785 -6,126 -6,664 -7,354 -5,089 -3,810 -3,533
その他 -792 -237 1,433 1,750 2,447 1,432 5,600 -866 3,716 -244


投資活動によるキャッシュフロー -18,401 -17,166 -14,306 -13,593 -13,420 -17,389 -32,088 -14,241 -9,560 -9,075
投資有価証券の取得 -512 -223 -548 -194 -229 -11 -212 -15 -252 -12
投資有価証券の売却 14 665 0 0 19 0 328 215 166 352
有形固定資産の取得 -11,121 -13,232 -9,384 -13,750 -14,151 -15,542 -17,273 -14,661 -9,723 -8,004
有形固定資産の売却 187 104 356 147 135 167 198 171 689 178
子会社出資金の取得 -6,334 0 0 0 0 0 -15,457 0 0 0
その他 -635 -4,479 -4,730 207 807 -2,001 327 48 -440 -1,589


フリー・キャッシュフロー -3,050 2,594 7,882 5,496 12,013 10,268 -7,890 6,034 18,329 11,925


財務活動によるキャッシュフロー 6,325 -3,196 -2,647 -5,476 -4,084 -13,191 12,679 -10,385 -4,354 -7,780
長期債務の調達・返済 9,880 -642 -1,239 -1,540 -688 -9,410 15,780 -2,398 1,213 -658
短期債務の調達・返済 -1,949 -175 1,135 -190 913 1,042 1,813 376 -1,687 -3,005
配当金の支払 -1,310 -1,497 -2,432 -3,554 -3,928 -4,544 -4,731 -4,541 -3,330 -3,516
その他 -296 -882 -111 -192 -381 -279 -183 -3,822 -550 -601


現金及び現金同等物に係る換算差額 793 1,378 741 -957 -649 374 -414 -358 730 2,658
現金及び現金同等物の増減額 4,068 776 5,976 -937 7,279 -2,548 4,374 -4,708 14,706 6,803
現金及び現金同等物期首残高 13,916 20,194 21,291 27,360 26,422 34,142 31,712 36,087 31,378 46,084
現金及び現金同等物期末残高 20,194 21,291 27,360 26,422 34,142 31,712 36,087 31,378 46,084 52,888


総資産回転率(回) 0.74 0.80 0.81 0.80 0.76 0.78 0.81 0.75 0.64 0.67
有形固定資産回転率(回) 1.73 1.90 1.98 2.00 1.91 1.97 2.07 1.92 1.66 1.88
流動資産回転率(回) 1.64 1.80 1.81 1.75 1.64 1.68 1.73 1.63 1.39 1.39
棚卸資産回転日数(日) 93.79 85.26 84.18 85.61 88.52 85.55 84.44 90.24 98.49 104.16
売上債権回転日数(日) 103.09 88.35 85.04 85.95 91.35 89.99 88.31 94.19 106.09 96.80
仕入債務回転日数(日) 66.02 53.06 47.47 45.53 46.32 50.43 51.91 48.95 49.73 45.69
自己資本比率(%) 47.27 51.75 54.28 55.90 57.06 59.21 56.79 59.29 60.45 62.46
CCC(日) 130.85 120.55 121.75 126.03 133.55 125.12 120.84 135.48 154.85 155.27




出所:会社資料より CGRA 作成


椿本チエイン(6371) 16
<担当アナリスト>
黒田真路 執行役員・パートナー、シニアアナリスト

1992 年 4 月に勧角総合研究所(現みずほ証券)に入社、産業調査部に配属。1999 年 9 月
にジャーディン・フレミング証券(現 JP モルガン証券)、ゴールドマン・サックス証券を経て、2020 年 1
月迄、クレディ・スイス証券に在籍。ゴールドマン・サックス証券ではバイスプレジデント、クレディ・スイス
証券ではディレクター。一貫して機械・造船重機セクターを担当。2020 年 6 月にパートナーとして、
CGRA に参画。(一社)日本証券アナリスト協会の機械業界ディスクロージャー委員を歴任。

星野英彦 CMA 代表取締役・チーフアドバイザー

1987 年 4 月に新日本証券(現みずほ証券)入社、企業調査部に配属。1997 年にジャーディ
ン・フレミング証券(現 JP モルガン証券)、2000 年にドイツ証券、2006 年に UBS 証券で 2016
年 4 月まで在籍。セルサイドアナリストとして機械、造船、重機、プラントセクターを 28 年間にわたって
担当。(一社)日本証券アナリスト協会で機械ディスクロージャー部会の副部会長を 10 年以上に渡
って歴任。2003 年より 2016 年迄、マネージングディレクター。2017 年 6 月に株式会社キャピタル
グッズ・リサーチ&アドバイザリー(CGRA)を設立、代表取締役に就任。(一社)日本証券アナリ
スト協会認定アナリスト。



株式会社 キャピタルグッズ・リサーチ&アドバイザリー(CGRA)

機械セクターに特化したアドバイザリー企業。主な業務内容は(1)資本市場のニーズを満たしつつ、
経営にフィードバック可能な統合報告書の作成サポート(実績 10 社)、(2)中計作成や事業
戦略、各種 IR&SR に関する助言業務(アクティビスト対応含む)、(3)各種資料作成と英訳
業務、(4)長期投資家と経営層に役立つ企業分析スポンサード・レポートの作成など。




本レポートは投資の勧誘・推奨・助言を意図したものではなく、当該企業に関する情報提供を目的と
して、当社独自の視点から作成されております。また、本レポートに記載されている内容は公表された情
報に基づき作成されておりますが、その正確性、完全性を保証するものではありません。本レポートの著
作権は株式会社キャピタルグッズ・リサーチ&アドバイザリーに帰属しており、無断転写を禁じます。本レ
ポートの内容は、今後予告なく変更される場合があります。当社及び本レポートは投資家の投資判断
に関知することなく、投資に関する決定はご自身の判断で行って頂くようお願い申し上げます。




椿本チエイン(6371) 17

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