スポンサードリサーチレポート発行のお知らせ

2023 年 12 月 20 日
各 位
会社名 株式会社椿本チエイン
代表者名 代表取締役社長 木村 隆利
(コード番号 6371 東証プライム)
問合せ先 経営企画室長 境 直茂
TEL (06)6441-0054



スポンサードリサーチレポート発行のお知らせ

当社は、株主・投資家の皆様とのコミュニケーションを円滑にし、当社に対するご理解を深めていただく
ため、スポンサードリサーチレポート(2023年度第2四半期更新版)を発行いたしました。当企業レポートは
株式会社キャピタルグッズ・リサーチ&アドバイザリーに作成を依頼しております。当社株への推奨はなく、
当社のビジネスモデル、業界動向、業績推移、長期的な事業戦略など、すでに公表されている内容を分かりや
すく説明するために作成したものです。詳細につきましては、別添資料をご参照ください。


以 上
企業レポート
東証プライム・機械 担当アナリスト
2023 年 12 ⽉ 20 ⽇

⿊⽥真路

椿本チエイン(6371) 星野英彦 CMA

キャピタルグッズ・リサーチ&アド
バイザリー(CGRA)


キャッシュ創出能⼒が向上、戦略投資と新事業への積極展開に期待
 総括︓椿本チエイン(以下、同社)発表の通期業績予想は、22/3 期以降 3 期連続で下⽅修正され、現中期経営計画
(22/3~26/3 期)で掲げた数値⽬標(売上⾼ 3,000〜3,200 億円、営業利益 270〜352 億円)に対しても達成が難し
い印象である。しかし、営業キャッシュ・フローは、22/3〜23/3 期の 2 期間で累計 423 億円、累計投資 CF は 183 億円の⽀出
となり、239 億円ものフリー・キャッシュ・フロー(FCF)を創出している。各種業務効率の改善や運転資本の圧縮策が奏功し、中
計で掲げた⽬標 FCF500〜600 億円に対して順調に進捗していると⾔える。23/3 期末のネット・キャッシュは 257 億円に達し、
潤沢なキャッシュを背景に、2023 年 5 ⽉には⾃⼰株式取得(上限 50 億円、120 万株)を発表した(10 ⽉ 27 ⽇取得完
了)。キャッシュ創出能⼒が向上しており、中⻑期の成⻑と収益性強化に向けた実効性を伴う戦略投資と新規事業への積極展
開に期待が⾼まる。

 業績動向︓23/3 期営業利益は、モビリティ事業が踊り場となる中、チェーンおよびモーションコントロール事業が好調を維持し、3Q
時に下⽅修正された内容を上回る前期⽐ 6.4%増の 189 億円となった。24/3 期は 23/3 期と異なり、モビリティ事業が回復局
⾯を迎える中、チェーンおよびモーションコントロール、マテハン事業が業績の調整局⾯を迎えている。このため、通期予想営業利益
は、上期決算発表時に 190 億円から前期⽐ 15%減の 161 億円へ下⽅修正された。ただし、24/3 上期の FCF は、棚卸資産
を含む運転資本の圧縮などから 135 億円を創出しており、キャッシュ創出⼒の更なる向上が⾒られている。

 ESG 経営︓2023 年 9 ⽉に発⾏された同社つばきグループ統合報告書「TSUBAKI REPORT 2023」では、「2023 年度中に
事業部⾨別の ROIC を経営指標に加え、資本コスト(WACC、株主資本コスト)を算出し、資本効率重視の事業運営を強化
してゆく計画である」と明記された。収益性の改善を伴うサステナビリティ経営の強化に期待したい。

 株価バリュエーションと株主還元︓同社 TSR は、業績回復期待と増配などを背景に、機械業界および TOPIX をアウトパフォーム
し、改善傾向を⽰し始めている。ただし、18/3 期以降の同社 PBR は、ROIC と WACC のスプレッドがネガティブに転じ、1 倍を割
り込んで推移している。PBR の改善には、資産効率(=バランスシートの圧縮)および収益⼒の改善などを通じた ROE および
ROIC の上昇、更にはモビリティおよびマテハン事業におけるサステナビリティの向上を通じた PER の上昇が求められる。
椿本チエインの連結業績および各種株価データ︓億円、円、%
トレーディング・データ 業績推移 19/3 20/3 21/3 22/3 23/3 24/3会予
株価(23年12⽉13⽇) 3,940 円 売上⾼ 2,385 2,264 1,933 2,158 2,515 2,630
52週レンジ 4,090〜2,927 円 営業利益 217 161 88 178 189 161
時価総額 1,508 億円 経常利益 216 166 110 200 209 192
発⾏済株式総数 38,281 千株 親会社株主当期純利益 137 115 87 145 137 138
平均売買代⾦(20⽇) 4.5 億円 EPS 364.0 308.7 235.2 392.8 371.1 380.6
会社予想PER 10.4 倍 ROE 8.1 6.7 4.8 7.4 6.4  -
PBR(23/3末) 0.65 倍 1株配当⾦ 120.0 120.0 75.0 120.0 130.0 130.0
予想1株配当⾦ 130.0 円 配当性向 33.0 38.9 31.9 30.5 35.0 34.2
予想配当利回り 3.3 % FCF -78 60 183 119 120  -
ROIC(23/3) 6.1 % NetCash -60 -85 68 175 257  -
注︓19/3 期 EPS および 1 株配当⾦は株式併合後ベースへ調整済
本レポートは投資の勧誘・推奨・助⾔を意図したものではなく、当該企業に関する情報提供を⽬的として、当社独⾃の視点から作成されております。また、本レポートに記載されている内容は公表された情
報に基づき作成されておりますが、その正確性、完全性を保証するものではありません。本レポートの著作権は株式会社キャピタルグッズ・リサーチ&アドバイザリーに帰属しており、無断転写を禁じます。本
レポートの内容は、今後予告なく変更される場合があります。当社及び本レポートは投資家の投資判断に関知することなく、投資に関する決定はご⾃⾝の判断で⾏って頂くようお願い申し上げます。
⽬ 次

会社概要︓p3

椿本チエインにおける 3 つの注⽬ポイント︓p4〜5

2023 年の主なイベントと前回レポートからの変化点︓p6

中期経営計画 2025 と進捗状況︓p7

キャッシュ創出能⼒の向上が⽬⽴つ︓p8

チェーン事業の創出価値と業績動向︓p9

MC 事業の創出価値と業績動向︓p10

モビリティ事業の創出価値と業績動向︓p11

マテハン事業の創出価値と業績動向︓p12

株価バリュエーションの考察︓p13

株主還元︓p14

サステナビリティ経営の深化︓p15

連結損益計算書と貸借対照表、キャッシュ・フロー︓p16〜17


図表 1︓椿本チエインの株価パフォーマンスは TOPIX および機械指数並みで推移

2022年年初基準の椿本チエインおよびTOPIX、機械株指数パフォーマンス
140.0

椿本チエイン株価指数 TOPIX指数 機械株指数
130.0


120.0


110.0


100.0


90.0


80.0


70.0


22 JanFeb Mar Apr May June July Aug Sep Oct Nov Dec23JanFeb Mar April May June July Aug Sep Ocr NovDec
2022年 2023年


出所︓CGRA 作成


椿本チエイン(6371) 2
会社概要
・事業内容︓動かす領域の部品からシステムまで⼿掛ける
同社は、1917 年に⾃転⾞⽤チェーンを製造する町⼯場として創業し、産業⽤チェーンからモーションコ 産業⽤チェーンや⾃動
ントロール、モビリティ、マテハンの 4 つの事業領域へ拡⼤を遂げてきた。社会的使命は「“動かす”ことに ⾞向けタイミングチェー
ンシステムは世界シェ
進化をもたらし、社会の期待を超えていきます。」であり、⽬指すべき姿は、「モノづくりにこだわり、モノづく
ア No.1
りの先を⾏く。」を掲げ、フロンティア精神、チャレンジ精神、共創精神を発揮しつつ、3 つのコア技術
(動⼒伝動・搬送技術、すり合わせ技術、量産化技術)を基盤に付加価値の創出を⽬指している。

チェーンは各種産業機械や⾃動⾞、⼆輪⾞などにおいて、動⼒の伝達および回転運動を直線運動へ
変換させる部品である。同社は産業⽤および⾃動⾞エンジン⽤タイミングチェーンの⼤⼿メーカーであり、
産業⽤スチールチェーンの世界シェアは同社推定 16%、⾃動⾞エンジン⽤タイミングチェーンシステムに
おいても 39%を確保、ともに世界シェア 1 位を誇る。

現在、同社は①約 2 万種類の動⼒伝動⽤・搬送⽤チェーンを扱うチェーン事業、②減速機、直線作 新規事業開発を加速
動機、軸継⼿、締結具、クラッチ、モジュールなどの動⼒の変・減速や伝達などを担う各種機器を扱うモ させることを⽬指し、新
事業開発センターを新
ーションコントロール事業(MC 事業)、③⾃動⾞エンジンで使⽤され、燃費改善、エンジンの⼩型化

などに寄与するタイミングチェーンシステムを中⼼とするモビリティ事業、④搬送・仕分けシステムや超低
温での⾃動保管も可能な保管システムなどを⼿掛けるマテハン事業の、計 4 セグメントを有する。

近年、新規ビジネスの開拓を強化、2023 年 4 ⽉には「新事業開発センター」を新設し、⾰新的技術
の開発と新市場の開拓による成⻑の実現に取り組んでいる。

⾼い収益性を誇るチェーン事業が営業利益のけん引役
24/3 上期の連結売上⾼は、前年同期⽐ 8.3%増の 1,287 億円、営業利益は同 2.9%増の 86
億円(営業利益率 6.7%)であった。外部顧客への売上⾼をセグメント別に⾒ると、チェーン事業が
連結売上⾼の 36%、MC 事業が同 8%、モビリティ事業が同 32%、マテハン事業が同 23%、その他
事業が同 1%を占める。営業利益に関しては、チェーン事業が 79 億円(営業利益率 16.9%)、
MC 事業が 2 億円(同 2.1%)、モビリティ事業が 32 億円(同 7.9%)、マテハン事業は 16 億
円の営業⾚字、その他事業も 4 億円の営業⾚字、消去 6 億円を計上した。

図表 2︓主要セグメントにおける製品および顧客業種
事業名 売上構成比(%) 主要製品 主要顧客業界や⽤途
ドライブチェーン 各種製造工場
小形コンベヤチェーン (自動車、製鉄、工作機械、
チェーン事業 35% 大形コンベヤチェーン 液晶、IT、飲料、食品など)
トップチェーン 鉱山、マイニング関連
ケーブル・ホース支持案内装置など 水処理設備など
減速機、直線作動機 各種製造工場
軸継手、締結具 (自動車、製鉄、工作機械、
モーションコントロール事業 9% クラッチ 液晶、IT、飲料、食品など)
モジュール 射出成形機
各種制御機器 医療用機器関連など
タイミングチェーンシステム 自動車エンジン
(ローラ&サイレントチェーン、 (ICE、HV)
モビリティ事業 31% テンショナなど) 四輪駆動用トランスファー
電動化対応製品 電気自動車(EV)
車載用クラッチなど 自動二輪車用スターターなど
物流業界向けシステム 物流倉庫・配送センター
ライフサイエンス分野向けシステム 製薬会社、細胞等研究機関
新聞印刷工場向けシステム 製紙・新聞印刷工場
マテハン事業 24% 自動車業界向けシステム 自動車製造工場
粉粒体搬送コンベヤ バイオマス発電所
金属切り屑搬送・クーラント処理装置 工作機械を使用する加工工場
メンテナンスなど その他製造工場など
アグリビジネス 植物工場
その他事業 1% モニタリングビジネスなど 各種工場など

出所︓会社資料などから CGRA 作成。売上構成⽐は 23/3 期実績
椿本チエイン(6371) 3
椿本チエインにおける 3 つの注⽬ポイント
ポイント①︓3セグメントを合算した産業機械事業の業績は堅調を維持
図表3のグラフは、モビリティ事業の売上⾼と営業利益、残り 3 セグメントの合計売上⾼(=産業機 主要 3 セグメントを産
械事業︓CGRA 独⾃の事業分類)と合計営業利益の推移を⾒たものである。モビリティ事業は⾃ 業機械事業として合
算した場合、典型的
動⾞⽣産台数の回復を背景に緩やかな業績回復を⽰す⼀⽅、3 セグメント合計の業績は⺠間設
なシクリカル事業として
備動向に左右されつつ、シクリカルな業績動向を⽰している。両者の営業利益率をみると、モビリティ
堅調な業績を確保し
事業は⾃動⾞部品事業としては相対的に⾼い 8%程度を確保しつつ、3 セグメントを合計した産業 ている
機械事業の営業利益率は 7%前後で推移している。同社の場合、チェーン事業の⾼収益性が際⽴
つ半⾯、モーションコントロール事業とマテハン事業の低収益性が⽬⽴っている。中計数値⽬標の達
成や ROE および株価バリュエーションの改善にはモーションコントロールおよびマテハン事業における早
期の収益改善策の実施が求められるものの、3 セグメントを合算した産業機械事業としてみた場合、
安定収益を確保可能な典型的なシクリカル事業としての評価も可能であろう。

ポイント②︓潤沢なキャッシュの戦略的な使途に注⽬が集まる
同社 23/3 期および 24/3 期を新型コロナウイルス感染症発⽣前の 19/3 期と⽐較すると、19/3 業績の下振れ懸念と
期売上⾼ 2,385 億円に対して、23/3 期売上⾼は 2,515 億円、24/3 期予想売上⾼は 2,630 は裏腹に、キャッシュ創
出能⼒が向上しており、
億円であり、円安効果も加わり、コロナ前の売上⾼⽔準を 5〜10%上回って推移している。しかし、
FCF は中計⽬標値を
営業利益に関しては、19/3 期実績 217 億円に対して、23/3 期は 189 億円、24/3 期予想は
クリアする公算⼤
161 億円であり、コロナ前の営業利益⽔準を 13〜26%下回って推移している。⼀⽅、キャッシュ・フ
ローを⾒ると、過去 5 年平均営業キャッシュ・フローは、運転資本の抑制などで⾼⽔準の 229 億円を
確保しつつ、設備投資が 18/3 期の 181 億円をピークに減少しており、投資キャッシュ・フローの抑制
が続いている。このため、FCF は、中期経営計画がスタートした 22/3 期以降の 2 期間で累計 239
億円、19/3 期以降の 5 年間で累計 404 億円を創出しており、中計で掲げた⽬標 FCF を上回る
可能性が⾼い。23/3 期末の現⾦及び現⾦同等物の残⾼は 569 億円(21/3~23/3 期はネッ
ト・キャッシュ)に達しており、潤沢なキャッシュを活⽤した戦略投資や新規事業の育成、更には最適
ポートフォリオの構築や株主還元の強化など実効性を伴う施策の実⾏に期待したい。

ポイント③︓⾃社株取得と消却を発表
同社は 2023 年 5 ⽉ 23 ⽇、取得価額の総額 50 億円を上限に、発⾏済株式総数の 3.24%に ⾃社株取得を含む
あたる 120 万株の⾃⼰株式を東京証券取引所における⽴会内の市場買付を⾏うとともに、取得し 24/3 期予想総還元
性向は 67%(配当
た全株の消却を⾏うと発表した(取得期間︓2023 年 6 ⽉ 1 ⽇〜2024 年 3 ⽉ 29 ⽇。2023
性向 34%)に上昇す
年 10 ⽉ 27 ⽇取得完了)。中計では配当性向 30%を基準に、22/3~22/6 期の 5 年間で
る⾒通し
200〜240 億円を実施するとともに、⾃⼰株式の取得の可能性も明記されていたが、消却は新しい
内容である。発表後の同社株価は、概ね TOPIX 並みに上昇を⾒せてきたが、8 ⽉以降は TOPIX
および機械株指数をアウトパフォームする傾向を強めている。

18/3 期以降の同社 PBR は、ROE が 10%を下回り始めたことを契機に、1 倍を割り込み始め、
23/3 期末 PBR は 0.53 倍にまで低下した。また、⻑期的な EV リスクやマテハン事業の構造的な
低収益性懸念などを背景に、PER も 10 倍を割り込み、23/3 期 PER は 8.7 倍へ低下した。PBR
の改善には、資本コストを意識した事業ポートフォリオ管理と最適資本構成の確⽴、更には PER の
上昇に向けた⻑期ビジョンの実現とサステナビリティの確保に向けた施策の実⾏が求められよう。




椿本チエイン(6371) 4
図表 3︓3 セグメントを合算した産業機械事業の業績は堅調に推移
(百万円)
(百万円) モビリティ事業と3セグメント合計事業の業績推移
400,000 40,000 業績予想は 3 期連続
モビリティ事業売上高 3セグメント合計売上高 で下⽅修正されたもの
350,000 35,000
モビリティ事業営業利益(右軸) 3セグメント合計営業利益(右軸) の、利益⽔準⾃体は
300,000 30,000 堅調を維持
179,000
174,299
250,000 159,523 25,000
155,474
136,171 149,852
123,615 133,949
200,000 20,000


150,000 15,000
13,055 11,274 12,609
12,385
10,436 10,355 9,500
100,000 5,114 10,000
9,262 8,734 6,568
10,258 6,376
6,600
5,791
50,000 5,000
75,147 79,545 78,992 70,949 3,782 77,275 84,000
59,450 66,027

17/3 18/3 19/3 20/3 21/3 22/3 23/3 24/3会予

図表 4︓キャッシュ創出能⼒は着実に強まっている
(百万円) 営業利益とFCFおよび現金及び現金同等物 (百万円)
35,000 70,000 各種改善施策などが
奏功、FCF は改善傾
30,000
FCF 営業利益 現金及び現金同等物 60,000 向を強めている
56,978
25,000
21,570 21,647 21,789 52,888
20,694 50,000
20,000 18,329 18,985
46,084 17,842
16,146
15,000 40,000
12,013 34,142 36,087 11,925 12,073
10,268
10,000 31,378 8,896
31,712 30,000
5,496
26,422 6,034
5,000
20,000


10,000
‐5,000

‐10,000 ‐7,890 0



図表 5︓⾃社株取得および消却を発表
(円) 1株当たり配当金と配当性向および総還元性向 (%)
300 80.0 継続的な株主還元の
実施に期待したい
1株当たり配当金 配当換算自社株取得 67.1
70.0
250 66.4
配当性向(右軸) 総還元性向(右軸)
60.0


126 50.0

150 38.9 40.0
35.0
31.9 30.5 34.2
30.8 31.0 0
33.0
30.0


20.0


75 10.0


0 0.0
17/3 18/3 19/3 20/3 21/3 22/3 23/3 24/3会予


出所︓会社資料などから CGRA 作成

椿本チエイン(6371) 5
2023 年の主なイベントと前回レポートからの変化
2023 年の主なイベント
2023 年の主なイベントとしては、⾃社株取得および消却の発表に加え、温室効果ガスの排出量 今後は更なる戦略的
削減⽬標が SBT 認定を受けるなど、サステナビリティの改善に向けた活動がうかがえる。また、新規 かつスピード感を伴う
施策の実⾏が求めら
事業の開拓に向けた「新事業開発センター」の新設などの組織再編が着実に実施されている。新製
れよう
品としては、主なプレスリリース案件のみを掲載したが、2023 年は7つの新製品が発表されている
(2022 年は 6 件。2021 年は 5 件)。

図表 6︓2023 年の主要イベント
項目 日付 内容
10月31日  業績予想を下方修正
IR情報
5月23日  自己株式の取得と消却を発表(10月27日取得完了)
11月17日  電池サプライチェーン協議会に加入(環境)
10月11日  本社機能を集約し、オフィス環境をリニューアル(社会)
サステナビリティ 9月28日  統合報告書を発行(ESG)
6月16日  温室効果ガス排出量削減目標がSBT認定を取得(環境)
4月6日  環境省から「エコ・ファースト企業」に認定(環境)
9月28日  3次元マテハンシステム「T-AstroX」新発売(マテハン)
主な新製品 6月29日  「クイックソート」に環境負荷低減モデルを追加(マテハン)
(プレスリリース) 5月19日  EV用充放電装置「eLINK」がユアスタンド製システムと連携(その他)
4月24日  多目的電動アシスト3輪自転車を開発(モビリティ)
9月21日  研究開発センターの組織改革
組織改革 5月8日  AI画像認識技術においてEAGLYSと資本業務提携
4月1日  新事業開発センターを新設


24/3 期業績予想はマテハン事業の不振などから下⽅修正された
前回 2023 年 2 ⽉ 6 ⽇発⾏のフォローアップ・レポート以降、同社株価および株価バリュエーション 今後も継続的な株主
は、⾃⼰株式の取得効果などもあり、上昇傾向にある。外部環境に関しては、⾃動⾞⽣産台数の 還元に 加え、 収益⼒
の強化に向けた実⾏
回復傾向が強まっている反⾯、⺠間設備投資のバロメータである⼯作機械受注は想定以上の減少
が求められよう
が顕在化している。為替の円安が進む中、各種材料価格の⾼⽌まりや、⼈財への投資、マテハン事
業の下振れもあり、24/3 期業績予想は下⽅修正された。

図表 7︓前回発⾏フォローアップ・レポート以降の変化
前回(2023年2月6日) 今回(2023年12月13日)
株価:円 3,030 3,940
1株当たり配当金:円 130(23/3会予) 130(24/3会予)
配当利回り:% 4.3(23/3会予) 3.3(24/3会予)
PER:倍 8.2(23/3会予) 10.4(24/3会予)
PBR:倍 0.54(22/3期末) 0.65(23/3期末)
売上高:億円 2,450(23/3会予) 2,630(24/3会予)
営業利益:億円 175(23/3会予) 161(24/3会予)
自動車生産台数:万台 CY2022 8,100(予想) 8,501(実績)
CY2023 9,000(予想) 9,000(予想)
工作機械受注高:億円 CY2022 17,596(実績) 17,596(実績)
CY2023 16,000(予想) 14,600(予想)
米国政策金利:% 4.75 5.50
USドル:円 128.6 145.6
TOPIX 1,970 2,355

出所︓CGRA 作成、⼯作機械受注は(⼀社)⽇本⼯作機械⼯業会ベース。⾃動⾞⽣産台数
および⼯作機械受注予想は CGRA 作成

椿本チエイン(6371) 6
中期経営計画 2025 と進捗状況
「中期経営計画 2025」の概要
22/3 期から始まった「中期経営計画 2025」は、最終年度の 26/3 期に売上⾼ 3,000〜3,200
億円、営業利益率 9〜11%(営業利益 270〜352 億円)、ROE 8%以上を⽬指している。株
主還元としては、配当性向 30%を基準に、ROE の改善に向けて機動的な⾃社株取得も検討され
ている。なお、ESG 関連の KPI としては、国内グループ会社の CO2 排出量を 14/3 期対⽐で 30%
削減、海外グループ会社は 19/3 期対⽐で 20%以上削減する計画である。
図表 8︓中期経営計画 2025 の数値⽬標




中期経営計画で掲げた数値⽬標の達成は難しそう
中計 1 年⽬の 22/3 期業績は、売上⾼が前期⽐ 11.6%増の 2,158 億円、営業利益は同 数値⽬標の達成には
100.6%増の 178 億円(営業利益率 8.3%)を確保、順調な進捗が⾒られた。23/3 期は売上 各事業の業績の⾜並
みが揃ったうえで、抜
⾼が前期⽐ 16.5%増の 2,515 億円、営業利益は同 6.4%増の 189 億円(営業利益率 7.5%)
本的な収益性の改善
となった。中計 3 年⽬となる 24/3 期は、上期決算発表時に業績予想が下⽅修正され、予想売上 策が求められよう
⾼が前期⽐ 4.5%増の 2,630 億円、予想営業利益は同 15.2%減の 161 億円(同 6.1%)
が提⽰された。セグメント別に業績動向に⾒ると、チェーン事業は既に 26/3 期数値⽬標をクリアして
いるが、残る 3 事業が下振れている。特にマテハン事業は、収益性の低迷が恒常化している印象で
あり、数値⽬標の達成には抜本的な対策が求められよう。モビリティ事業においても、景気低迷と EV
シフトが進む中国市場における需要の弱さが⽬⽴っており、⽬標値の達成は難しそうだ。
図表 9︓中期経営計画 2025 は想定線での進捗を⾒せている
(百万円) 26/3期を最終年度とする中期経営計画2025の数値目標 (%)
350,000 16.0
連結売上高(左目盛) 連結営業利益(左目盛) 営業利益率(右目盛)
300,000 14.0
26/3期に売上高3,000∼3,200億円、営業利益率9∼11%、
ROE 8%以上を目指す計画 12.0
250,000 10.9  10.9  9~11%
10.6 
9.7  9.6  10.0
200,000 9.1 
8.3  7.5 
8.0
6.1 
150,000 7.1 
6.0

100,000 4.6 
4.0

50,000 2.0

0 0.0
14/3 15/3 16/3 17/3 18/3 19/3 20/3 21/3 22/3 23/3 24/3会 26/3
予 会社目標
出所︓会社資料などから CGRA 作成

椿本チエイン(6371) 7
キャッシュ創出⼒の向上が⽬⽴つ
中計では FCF500〜600 億円を⽬標に掲げている
同社は現中計において、5 ヵ年累計 FCF500〜600 億円を獲得し、うち 300〜360 億円を次世 ⽬標 FCF の確保は実
代ビジネスの創出に向けた先⾏投資や出資などへ投資しつつ、配当性向 30%を基準に 200〜 現性が⾼まっているが、
新規事業への投資に
240 億円を配当⾦に充当する計画である。加えて、M&A を含む戦略的な成⻑投資に対しては、規
は⽬⽴った動きが⾒ら
模にもよるが、外部からの資⾦調達などで対応する⽅針である。
れない
図表 10︓中計で掲げたキャッシュ・アロケーション⽬標




チェーン事業の資産効率が改善する⼀⽅、モビリティ事業は悪化傾向
中計で掲げた業績数値⽬標の達成は難しそうであるが、同社キャッシュ創出能⼒の向上が図られて 2023 年 4 ⽉ 11 ⽇
いる。22/3~23/3 期累計 FCF は既に 239 億円を確保しているうえ、24/3 上期の FCF は 135 同社発⾏の「チェーン
事業説明会と京⽥辺
億円に達している。運転資本の圧縮や⽣産効率の改善、⽣産リードタイムの短縮などが奏功してい
⼯場⾒学」レポートを
ると考えられる。特に、チェーン事業の資産効率が向上している効果が⼤きそうだ。ただし、モビリティ事 参照
業において、若⼲ながら資産効率の悪化が⾒られている点には注意が必要と CGRA は考える。

図表 11︓チェーン事業における資産効率の向上が⽬⽴つ
セグメント別売上高営業利益率とセグメント資産利益率の推移
15.00

セ チェーン事業
グ 13.00
メ MC事業

ト 11.00
資 モビリティ事業

利 9.00 マテハン事業

率 7.00
(% 23/3
) 5.00
23/3 
3.00

1.00

‐5.0 ‐3.0 ‐1.00
‐1.0 1.0 3.0 5.0 7.0 9.0 11.0 13.0 15.0 17.0
23/3  売上高営業利益率(%)
‐3.00

‐5.00
出所︓有価証券報告書などから CGRA 作成
椿本チエイン(6371) 8
チェーン事業の創出価値と業績動向
チェーン事業が創出する社会価値と事業戦略
チェーン事業は、各種⽣産設備において必要不可⽋な動⼒伝達部品として、世界最⾼⽔準の伝動 事業戦略が着実に実
性能によるエネルギーロスの最⼩化、⼩型化による省スペース化、⾃動化・省⼒化などの社会価値 ⾏され、資産効率およ
び収益性の更なる向
創造に貢献している。⼀⽅、事業戦略としては、主⼒⼯場の京⽥辺⼯場においてモノづくり改⾰を進
上が期待される
めつつ、次世代新商品の開発を強化すると同時に、MC 事業とのシナジー効果の最⼤化、更にはア
フターサービス事業の拡⼤などを掲げている。

24/3 通期業績予想︓上⽅修正された
24/3 期上期(4〜9 ⽉)売上⾼は、同社計画(430 億円)を上回り、前年同期⽐ 7.6%増
の 469 億円となった。営業利益も同社計画(58 億円)を⼤幅に上回り、同 26.0%増の 79 億
円(営業利益率 16.9%)を確保した。鈍化が懸念された⽶州地域が好調を維持したうえ、⽇本、
欧州、環インド洋も想定を上回って推移した。⼈件費や研究開発費などの費⽤増を⽣産性向上に
伴うコスト低減や製品値上げ、円安効果などで吸収し、営業増益を確保した。

24/3 通期業績予想は、期初予想から上⽅修正され、売上⾼は 860 億円から前期⽐ 2.1%増の
920 億円、営業利益は 118 億円から同 0.8%増の 138 億円(同 15.0%)へ引き上げられた。
7〜9 ⽉期受注⾼は同 4.9%減の 221 億円(4〜6 ⽉期⽐ 2.4%増)と調整局⾯を迎えている
が、好調な上期決算、製品値上げ効果や円安効果が奏功、過去最⾼益の更新が⾒込まれる。

同社受注⾼は相対的に堅調を維持している
下の図表 8 の右グラフは、同社チェーン事業と安川電機のモーション事業の受注⾼(サーボモータと ⽶国市場を中⼼とした
インバータ)を⽐較したものである。安川電機は同社よりも決算発表が 1 ヶ⽉程度早いうえ、CGRA 市場シェアの上昇が受
注を下⽀えしている
では⺠間設備投資の先⾏指標として注⽬している。現在、⺠間設備投資は、調整局⾯を迎えてい
る。しかし、同社チェーン事業は市場シェアの上昇に加え、消耗品的な側⾯も強く、相対的に堅調な
受注環境が継続している。

中期経営計画と進捗状況︓3 年前倒しで達成
チェーン事業は、中計最終年度の 26/3 期に売上⾼ 800〜850 億円、営業利益率 15%以上を
⽬指しているが、既に数値⽬標を 3 年前倒しでクリアしている。今後は⽤途開拓や製品ラインアップ
の拡充などによる売上⾼の安定成⻑と利益率の更なる向上が期待されよう。

図表 12︓チェーン事業の業績推移と先⾏指標
(百万円) チェーン事業の売上高、営業利益および営業利益率の推移 (%)
100,000 25.0 (百万円) 椿本チエインおよび安川電機の受注高推移 (百万円)

売上高 営業利益 営業利益率(右軸) 40,000 140,000
90,000
800~850億円 椿本チエインのチェーン受注高
35,000 120,000
80,000 過去最高営業 20.0 安川電機のモーション受注高
利益率
30,000
70,000 100,000
15%以上
14.8 15.2 15.0
60,000 12.6
14.3 12.8 15.0 25,000
12.4 80,000
11.7
50,000 20,000
9.6 60,000
40,000 10.0 15,000
8.1
30,000 40,000
10,000
20,000 5.0 20,000
5,000
10,000

0 0.0 1Q 2Q 3Q 4Q 1Q 2Q 3Q 4Q 1Q 2Q 3Q 4Q 1Q 2Q
15/3 16/3 17/3 18/3 19/3 20/3 21/3 22/3 23/3 24/3会予 26/3
会社目標 21/3 22/3 23/3 24/3
出所︓各社の決算資料から CGRA 作成
椿本チエイン(6371) 9
MC 事業の創出価値と業績動向
MC(モーションコントロール)事業が創出する社会価値と事業戦略
MC 事業が⼿掛ける減速機や電動シリンダ、クラッチ、軸継⼿、締結機などは、各種機械の可動・駆 買収企業とのシナジー
動部に組み込まれて使⽤され、動作性能や加⼯精度を左右する重要な部品である。⼀⽅、事業戦 効果や今後予定され
ている新製品の投⼊
略としては、チェーン事業と MC 事業の⼀体化による新商品開発や調達、設備導⼊の協業などのシ
効果に期待したい
ナジー効果に加え、2022 年 7 ⽉に買収した⽶カップリング製造・販売会社 ATR 社とのセット販売や
製品ラインアップ強化、アジア地域などへ販売エリアの拡⼤を図る⽅針である。

24/3 通期業績予想︓下⽅修正された
24/3 期上期(4~9 ⽉)売上⾼は、同社計画(110 億円)をクリアし、前年同期⽐ 2.6%増の
111 億円となったものの、営業利益は同社計画(5 億円)を下回り、同 68.6%減の 233 百万
円(営業利益率 2.1%)にとどまった。⽶州や中国、環インド洋の売上⾼は、増収を確保し、堅調
を維持したものの、先⾏発注で過剰在庫を抱えた販売代理店における在庫調整などにより⽇本の売
上⾼が減少したこと、材料価格の⾼⽌まり、⼈件費などの固定費負担が重く、営業減益に転じた。

24/3 通期業績予想は、期初予想から下⽅修正され、売上⾼は 240 億円から前期⽐ 5.6%減の
220 億円、営業利益は 15 億円から収⽀トントンの⾒通し。上期業績の下振れに加え、7〜9 ⽉
期の受注⾼は、前年同期⽐ 9.8%減(4〜6 ⽉期⽐ 1.2%増)の 51 億円と低迷が続いている
うえ、⼈件費や研究開発費などの固定費負担の増加、材料価格の⾼⽌まりなどが主因である。

⼯作機械受注⾼は底打ちを探る局⾯が到来
下の図表 13 の右グラフは、同社 MC 事業の受注⾼と⽇本⼯作機械⼯業会発表の四半期ベース 国内向け売上⽐率が
の⼯作機械受注⾼を⾒たものである。⺠間設備投資のバロメータでもある⼯作機械受注⾼は、既に 約 7 割と⾼く、好採算
で あ る国 内 事業 の 環
前年同⽉⽐伸び率がマイナスに転じて、実質 15 ヶ⽉が経過している。CGRA は、2024 年半ば以
境改善が待たれる
降に同伸び率はプラスに転じると⾒ており、2025 年に向けて受注回復期の到来が⾒込まれよう。

中期経営計画と進捗状況︓苦戦が続く
MC 事業は、26/3 期において売上⾼ 320〜350 億円、営業利益率 12%以上を⽬指しているが、
⺠間設備投資の低迷、販売代理店の在庫調整なども加わり、業績の低迷が続いている。製品値上
げ効果も⾒られているが、新製品の早期市場投⼊や買収した ATR 社とのシナジー効果、アフターサ
ービスの強化などの戦略に期待したい。

図表 13︓MC 事業の業績推移と先⾏指標
(百万円) MC事業の売上高、営業利益および営業利益率の推移 (%)

40,000 16.0 (百万円) 椿本チエインのMC事業受注高と工作機械受注高の推移 (百万円)
売上高 営業利益 営業利益率(右軸) 10,000 700,000
320~350億円
35,000 14.0 9,000
12.7 13.1 MC事業受注高 600,000
過去最高営 12%以上
業利益率 8,000
30,000 11.0 10.3 12.0 工作機械受注高(右軸)
10.6 500,000
7,000
25,000 10.0
9.2 6,000
400,000
20,000 7.3 8.0 5,000
5.7 300,000
4,000
15,000 6.0
4.1 3,000 200,000
10,000 4.0 2,000
100,000
5,000 2.0 1,000
0.0

0 0.0 1QA 2QA 3QA 4QA 1QA 2QA 3QA 4QA 1QA 2QA 3QA 4QA 1QA 2QA
15/3 16/3 17/3 18/3 19/3 20/3 21/3 22/3 23/3 24/3会予 26/3
会社目標 21/3 22/3 23/3 24/3

出所︓同社決算資料、(⼀社)⽇本⼯作機械⼯業会の受注⾼などから CGRA 作成。

椿本チエイン(6371) 10
モビリティ事業の創出価値と業績動向
モビリティ事業が創出する社会価値と事業戦略
モビリティ事業が創出する社会価値は、⾃動⾞エンジンの⼩型・軽量・⾼性能化に伴う低燃費化と 中国市場が懸念され
⻑寿命化である。BEV ではエンジンが不要となるため、チェーン⾃体も使⽤されないものの、HV ⽤エ るが、来 25/3 期も順
調な業績拡⼤が⾒込
ンジンや⽔素エンジンでは⼩型化対応のために必要である。⼀⽅、事業戦略としては、タイミングチェ
めそう
ーンシステムへの設備投資を抑制しつつ、市場シェアの獲得を進めるとともに、⻑年培ってきた動⼒伝
動技術を⽣かした BEV 向け EnedriveChain や⾞載⽤および e-Bike ⽤クラッチなどの新たな⽤途
開発が進められている。

24/3 通期業績予想︓⼩幅に下⽅修正された
24/3 期上期(4〜9 ⽉)売上⾼は、同社計画(390 億円)を上回り、前年同期⽐ 11.4%増
の 405 億円、営業利益は同社計画(22 億円)を 46%上回り、同 34.9%増の 32 億円(営
業利益率 7.9%)となった。半導体不⾜の緩和に伴う完成⾞各社における⽣産台数の回復に伴
い、⽇本、⽶州、環インド洋、韓国などで増収を確保した。増収効果に加え、価格転嫁効果や材料
価格の低下で⼈件費などの固定費負担の増加を吸収し、増益を確保した。

24/3 通期業績予想は、売上⾼が 800 億円から前期⽐ 8.7%増の 840 億円へ増額されたが、
営業利益は 69 億円から同 3.5%増の 66 億円(同 7.9%)へ⼩幅下⽅修正された。7〜9 ⽉
期受注⾼は同 14.3%増の 211 億円(4〜6 ⽉期⽐ 5.3%増)と回復基調が継続している。た
だし、中国市場の回復遅れなどを考慮し、下期業績は緩やかな回復にとどまる⾒通し。

業績先⾏指標の⾃動⾞⽣産台数は回復基調を維持
下の図表 14 の右グラフは⽇系⾃動⾞メーカー8社のグローバル⽣産台数とモビリティ事業営業利益 引き続き業績先⾏指
標であるグローバル⾃
(決算期のずれを考慮して 3 ヶ⽉遅⾏)の推移を⾒たものである。⾃動⾞⽣産台数は、着実に回
動⾞⽣産台数に注⽬
復傾向を強めており、来 25/3 期もモビリティ事業は同社業績のけん引役となりそうだ。
したい
中期経営計画と進捗状況
モビリティ事業は、中計最終年度の 26/3 期に売上⾼ 950〜1,000 億円、営業利益率 11%以
上を⽬指している。EV 化が加速する中国市場に加え、タイ市場においても先⾏きが懸念されるもの
の、市場シェアの上昇と⽣産改⾰などを通じた収益性向上に加え、BEV 向け新規案件の獲得などに
期待したい。

図表 14︓モビリティ事業の業績推移と先⾏指標
(百万円) モビリティ事業の売上高、営業利益および営業利益率の推移 (%)
(万台) (百万円)
120,000 22.0 グローバル自動車生産台数とモビリティ事業営業利益の推移
350 3,000
売上高(左軸) 営業利益(左軸) 営業利益率(右軸) 20.0
950~1,000億円
自動車生産台数 3ヶ月移動モビリティ事業営業利益(右軸)
100,000 17.8 18.0 300 2,500
16.7
16.5
16.0
250 2,000
80,000
14.0
12.9 11%以上
12.0
200 1,500
11.1
60,000
9.9 10.0
7.9 150 1,000
8.2 6.4 8.3
8.0
40,000

6.0

20,000 4.0 50 0
2.0
0 ‐500
0 0.0 1 3 5 7 9 11 1 3 5 7 9 11 1 3 5 7 9 11 1 3 5 7 9 11 1 3 5 7 9 11
15/3 16/3 17/3 18/3 19/3 20/3 21/3 22/3 23/3 24/3会予 26/3
会社目標 2019 2020 2021 2022 2023
出所︓各種資料から CGRA 作成

椿本チエイン(6371) 11
マテハン事業の創出価値と業績動向
マテハン事業が創出する社会価値と事業戦略
マテハン事業が創出する社会価値は、正確かつ⾼速な仕分け作業による⾼効率な物流を通じた⾃ 他社にない差別化さ
動化や省エネ、更には低-⾼分⼦医薬品の研究開発や DNA などの⽣体試料分野の発展に加え、 れた事業展 開 を進め
つつ、稼ぐ⼒の向上が
次世代医療として世界的に注⽬される再⽣医療分野への貢献が期待される。⼀⽅、事業戦略とし
求められる
ては、IT・AI などの先進技術を活⽤した差別化、KDDI との提携を通じた物流倉庫の⾃動化ソリュ
ーションの提供などの新規事業に加え、データを活⽤したビジネス基盤作り、メンテナンスビジネスの強
化、再⽣医療ビジネスの拡⼤を展開する⽅針である

24/3 通期業績予想︓営業⾚字幅が拡⼤
24/3 期上期(4〜9 ⽉)売上⾼は、同社計画(320 億円)を下回り、前年同期⽐ 7.0%増
の 300 億円、営業利益は同社計画(1 億円)を⼤きく下回り、⿊字予想から⼀転して 16 億円
の営業⾚字となった。⽶ CCC の業績悪化要因 15 億円に加え、材料価格の⾼騰、好採算である
国内事業の減収が響いた。

24/3 通期業績予想は、期初予想から下⽅修正され、売上⾼は 660 億円から前期⽐ 6.6%増の
650 億円、営業利益は 10 億円の⿊字から 18 億円の営業⾚字へ転落する⾒通しである。7〜9
⽉期受注⾼は同 8.9%増の 173 億円(4〜6 ⽉期⽐ 0.3%増)と緩やかな回復基調にあるが、
上期業績の⾚字転落、今後の売上計上案件を考慮し、下期も営業⾚字が残る想定である。

⽶ CCC 社は収益改善に苦戦
⽶国⼦会社 CCC は、⽶国 GM などで 2 ヶ⽉続いた労働ストの影響で受注した案件の着⼯が遅れ、 株式市場では抜本的
な改善策を望む意⾒
固定費回収が難しく、営業⾚字の拡⼤が続いている。ただし、ステランティスやフォード向け受注残が
が多い
増加しているうえ、EV 向けにも新規の受注獲得が進んでいる様⼦。

中期経営計画と進捗状況
マテハン事業では、中計最終年度の 26/3 期において売上⾼ 900〜950 億円、営業利益率 6%
以上を⽬指す計画である。現状、達成は難しい印象ではあるが、興味深い事業展開や新製品の市
場投⼊が進んでおり、“稼ぐ⼒”の強化に期待したい。

図表 15︓マテハン事業の業績推移
(百万円) マテハン事業の売上高、営業利益および営業利益率の推移 (%)
115,000 10.0

売上高 営業利益 営業利益率(右軸)
900~950億円 8.0
95,000
6%以上
6.0 6.0
75,000
4.3 4.0


55,000 1.5 1.7 2.0
0.9 1.0 1.4
0.7
0.0
35,000
‐1.5
‐2.0
‐2.8
15,000
‐4.1 ‐4.0


‐5,000 ‐6.0
15/3 16/3 17/3 18/3 19/3 20/3 21/3 22/3 23/3 24/3会予 26/3
会社目標
出所︓各種資料から CGRA 作成

椿本チエイン(6371) 12
株価バリュエーションの考察
SOTP アプローチでの妥当株価の試算
本来 SOTP(サム・オブ・ザ・パーツ)で妥当株価を試算する際、セグメント利益構成⽐を⽤いるが、 モビリティ事業とマテハ
マテハン事業は営業⾚字予想であるためチェーンと MC 事業の合算売上構成⽐(43%)とモビリテ ン事業は事業のサステ
ナビリティが問われてい
ィ事業の売上構成⽐(32%)にセクター予想 PER を当てはめて試算した。2023 年 11 ⽉時点の

プライム市場における機械銘柄 112 社の平均 PER17.4 倍および EV リスクを抱えるアイシン、愛三
⼯業、エフ・シー・シー、東海理化電機、東京ラジエターの平均予想 PER9.2 倍を上記売上構成⽐
に当てはめて試算される同社妥当 PER は 10.4 倍であり、予想 EPS380.6 円を当てはめた理論株
価は 3,958 円となる。PER の改善には、マテハン事業の収益⼒強化およびモビリティ事業の先⾏き
不透明感の払拭などによるサステナビリティの向上が求められよう。

図表 16 では、主要企業における PBR と PER の位置付けをプロットした(傾きは ROE)。ロボット
とモーション事業で⻑期的な成⻑期待が⾼い安川電機およびマテハン事業で⾼い成⻑性と収益性を
有するダイフクは、⻑期的なサステナビリティを獲得しているために PER が⾼い。加えて、安川電機の
ROE は 16%、ダイフクは 13%を確保しており、PBR の押し上げに寄与している。

同社 PBR は何を物語っているか
PBR は ROE×PER で算出される。23/3 期末の同社 PBR は 0.53 倍=ROE(6.4%)×PER 同社 PBR は抜本的な
(8.6 倍・年)で算出され、ROE は売上⾼当期利益率(5.5%)×総資産回転率(売上⾼÷ 変⾰を通じたバランス
総資産=0.7 倍)×財務レバレッジ(総資産÷⾃⼰資本=1.6 倍)に分解される。同社は低 シート改⾰を⾏う必要
性を⽰唆しているのか
PBR 銘柄と⾔われるが、かつての PBR は 1 倍を超えていた。例えば、17/3 期末の PBR は 1.1 倍、
もしれない
ROE は 9.9%、PER は 11.9 倍・年であった。当時の ROE は、売上⾼当期利益率 7.3%、総資
産回転率 0.8 倍、財務レバレッジ 1.8 倍であり、⽐較的資産効率も⾼かった。加えて、モビリティ事
業の営業利益率が 16.5%(24/3 期予想 7.9%)、残り 3 セグメントを合算した事業も 7.5%
(24/3 期予想 5.3%)であり、⾼い収益性とサステナビリティを確保していた。PBR の改善には、
資産効率(=バランスシートの圧縮)および収益⼒の改善などを通じた ROE の上昇、更にはモビリ
ティおよびマテハン事業におけるサステナビリティの向上を通じた PER の上昇が求められよう。

図表 16︓主要企業における PBR と PER の位置付け

(倍) 各社のPBRと予想PER(傾きはROE)
4.5
安川電機
4.0

3.5

3.0 ダイフク
PBR 23/3





2.5

末 2.0
) 機械業界
1.5 トヨタ自動車

1.0 東海理化電機 アイシン
愛三工業
0.5 椿本チエイン
エフ・シー・シー
東京ラヂエーター
0.0
0.0 5.0 10.0 15.0 20.0 25.0 30.0
(倍)
24/3期会社予想PER
出所︓各種資料から CGRA 作成

椿本チエイン(6371) 13
株主還元
同社 TSR は改善傾向にある
同社期末株価に累計配当⾦を加味した総合的リターンを⽰す株主総利回り(TSR)を⾒ると、1 過去2年間の同社
年前の 22/3 期末に同社株価を保有した際のリターンは 9.5%、2 年前の 21/3 期末に保有した TSR は改善傾向を⽰
場合は 13.6%となり、ともに機械業界および TOPIX の配当込みリターンをアウトパフォームしている。 し始めている

業績の回復期待と増配が寄与していると考えられる。ただし、17/3 期から 20/3 期において同社株
式を取得した投資家は 10〜16%の含み損を抱えているうえ、対機械業界および TOPIX 対⽐で⼤
幅にアンダーパフォームしている。

TSR の継続的改善には、業績の改善に加え、株主還元の継続が求められよう。近年は、オムロンな
どの先進的 ESG 経営企業では、TSR を役員報酬の算定基準に織り込んでいる。同社は業績連動
報酬制度(固定報酬⽐率 66%)を導⼊しているが、ガバナンスの強化および経営スピードの向上、
株主・投資家⽬線での経営の実効性強化に向けて、TSR の導⼊も有効と CGRA は考える。

図表 17︓椿本チエインおよび機械業界、TOPIX の株主総利回り

1年前(22/3) 2年前(21/3) 3年前(20/3) 5年前(18/3) 7年前(16/3) 10年前(13/3)

椿本チエイン 9.5 13.6 -10.4 -12.7 15.4 76.0

機械業界 8.6 4.5 67.1 29.3 98.2 152.6

TOPIX 5.8 7.9 53.4 31.8 75.2 142.1

対機械業界:pt 0.9 9.1 -77.5 -42.0 -82.8 -76.6

対TOPIX:pt 3.7 5.7 -63.8 -44.5 -59.8 -66.1


出所︓各種資料から CGRA 作成

⾃⼰株式の取得と消却を発表
2023 年 5 ⽉ 23 ⽇、経営環境の変化に対応した機動的な資本政策の遂⾏と、株主還元の充実 キャッシュ・アロケーショ
ンに基づいた戦略的か
および資本効率の向上を図るため、取得価額の総額 50 億円を上限に、発⾏済株式総数の
つ継続的な⾃⼰株式
3.24%にあたる 120 万株の⾃⼰株式の取得と消却を発表した。2023 年 6 ⽉ 1 ⽇から 2024 年
の取得に期待したい
3 ⽉ 29 ⽇の期間において、東京証券取引所における⽴会内の市場買付を⾏うと予定されていたが、
取得上限株式数に達したため、10 ⽉ 27 ⽇時点で⾃⼰株式の取得は終了した。

中期経営計画の中でも、⾃⼰株取得の可能性が明記されていたが、⾃⼰株の消却は新しい話であ
る。10 ⽉ 27 ⽇時点の発⾏済株式総数に対する⾃⼰株式の⽐率が 5.3%に達し、同社上位 10
社の⼤株主の 3 番⽬に位置するため、⾃⼰株の消却を決めたと CGRA は考える。

⾃⼰株取得は、株主還元のツールの 1 つではあるが、株式交換による企業買収や⽇本版 ESOP
(Employee Stock Ownership Plan)による社員への還元やモチベーション向上にも活⽤が可
能である。キャッシュ・アロケーションに基づいた、戦略的かつ継続的な⾃⼰株式の取得に期待したい。




椿本チエイン(6371) 14
サステナビリティ経営の深化
同社 ESG 経営の外部評価
⽇本経済新聞発表の「SDGs 経営調査」では、コマツやダイキン⼯業、DMG 森精機が 5 段階評価 ガバナンス⾯に課題が
の 4.5 グループで評価され、同社はアマダや荏原、安川電機と同様に 3.5 グループにランクされた。項 残る外部評価

⽬別では、SDGs 戦略・経済価値が A++、社会価値が A++、環境価値が A++であったが、ガ
バナンスが A+にとどまった。EV 時代の到来に向けて「⻑期ビジョン 2030」および中期経営計画の実
現に向けた実効性が問われていると⾔えそうだ。

実効性のある ROIC 経営に注⽬が集まる
同社は、⾼いキャッシュ創出⼒と強固なバランスシートを有する反⾯、フローの収益⼒低下と⻑期的 ROIC 経営を通じた実
な成⻑期待の低下が ROE および PER の低下につながり、PBR1 倍割れが続いていると CGRA は 効性を伴う最適ポート
フォリオの構築が望まれ
分 析 して い る。 こ の よう な中 、 2023 年 9 ⽉ に 発 ⾏ さ れ た 同 社 つ ばきグル ー プ 統 合 報 告 書

「TSUBAKI REPORT 2023」では、p14 および p17 において「2023 年度中に事業部⾨別の
ROIC を経営指標に加え、資本コスト(WACC、株主資本コスト)を算出し、資本効率重視の事
業運営を強化してゆく計画である」と明記された。

今後は、資本コスト、資本収益性(ROE、ROIC)、株価(時価総額、PBR)を意識し、株主資
本コストを上回る ROE の達成、WACC を上回る ROIC の達成について、的確な現状把握と評価
を⾏い、改善に向けた⽅針や⽬標、具体的な取り組みを取締役会で議論し、モニタリングする⽅針
である。実効性を伴う事業ポートフォリオの⾒直しに加え、情報の適時開⽰もお願いしたい。

同社 PBR は 17/3 期に 1 倍を確保していたが、その後は 1 倍を割り込んで推移している。実際、
CGRA の試算では、18/3 期以降の同社 ROIC と WACC のスプレッドはネガティブに転じている。資
本効率を意識した実効性を伴う収益体質の変⾰が望まれる。

⽇⽴造船出⾝の⾕所新任社外取締役に期待する点
2023 年6⽉、⽇⽴造船で代表取締役社⻑兼 CEO を歴任された⾕所敬(たにしょたかし)⽒が 新任社外取締役の⾕
社外取締役に就任した。⽇⽴造船は、2002 年に主⼒の造船部⾨を分離し、2021 年にはジャパ 所⽒の⼿腕に期待が
⾼まる
ンマリンユナイテッド(JMU)の全株式を放出し、造船事業から完全撤退を果たした。2024 年 10
⽉には社名を「カナデビア」に変更し、社名から造船の名称が完全になくなる。現在の⽇⽴造船は、
環境、機械・インフラ、脱炭素、その他の4つの事業を抱え、培ってきた造船技術をベースに、時代の
ニーズに柔軟に対応した事業展開を遂げ、PBR は 1.1 倍、前期実績 ROE は 11.5%、24/3 期
予想 PER は 11.7 倍に改善が進んでいる。⾕所⽒は、痛みを伴う事業改⾰に加え、企業買収など
も経験され、新規事業の開拓にも尽⼒された経歴を有する。今後の椿本チエインの変⾰とチャレンジ
へ貢献して頂きたい。




椿本チエイン(6371) 15
連結損益計算書と貸借対照表および CF
図表 18︓連結損益計算書とセグメント業績
(百万円、%) 15/3 16/3 17/3 18/3 19/3 20/3 21/3 22/3 23/3 24/3会予
売上高 196,738 203,976 198,762 215,716 238,515 226,423 193,399 215,879 251,574 263,000
増収率 10.5 3.7 -2.6 8.5 10.6 -5.1 -14.6 11.6 16.5 4.5
売上原価 137,014 142,241 138,191 152,629 171,959 166,158 145,764 153,134 180,321 -
原価率 69.6 69.7 69.5 70.8 72.1 73.4 75.4 70.9 71.7 -
販売管理費 38,296 40,164 38,924 42,392 44,767 44,118 38,737 44,902 52,267 -
販管費率 19.5 19.7 19.6 19.7 18.8 19.5 20.0 20.8 20.8 -
営業利益 21,427 21,570 21,647 20,694 21,789 16,146 8,896 17,842 18,985 16,100
増益率 23.5 0.7 0.4 -4.4 5.3 -25.9 -44.9 100.6 6.4 -15.2
営業利益率 10.9 10.6 10.9 9.6 9.1 7.1 4.6 8.3 7.5 6.1
営業外収支 836 539 357 1,049 -167 552 2,129 2,204 1,973 3,100
営業外収益 1,516 1,505 1,505 1,784 1,809 1,918 3,265 3,230 2,933 -
持分法投資利益 33 49 17 5 27 44 47 81 122 -
営業外費用 680 966 1,148 735 1,976 1,366 1,136 1,026 960 -
持分法投資損失 0 0 0 0 0 0 0 0 0 -
金融収支 259 470 485 632 637 781 584 802 1,168 -
受取利息 136 134 99 119 150 152 129 154 332 -
受取配当金 488 661 670 780 851 1,010 775 944 1,119 -
支払利息 365 325 284 267 364 381 320 296 283 -
経常利益 22,263 22,109 22,004 21,743 21,621 16,698 11,026 20,045 20,958 19,200
増益率 23.7 -0.7 -0.5 -1.2 -0.6 -22.8 -34.0 81.8 4.6 -8.4
経常利益率 11.3 10.8 11.1 10.1 9.1 7.4 5.7 9.3 8.3 7.3
特別損益 321 -1,665 -429 -579 -2,189 111 1,133 35 -2,666 -
特別利益 365 75 10 0 4 533 1,190 130 376 -
特別損失 44 1,740 439 579 2,193 422 57 95 3,042 -
税前利益 22,583 20,444 21,575 21,164 19,432 16,809 12,159 20,081 18,292 -
法人税住民税+調整額 8,163 7,643 6,721 6,422 5,577 5,123 3,377 5,418 4,429 -
税率 36.1 37.4 31.2 30.3 28.7 30.5 27.8 27.0 24.2 -
少数株主利益 267 33 257 75 75 109 75 119 120 -
親会社株主に帰属する当期利益 14,153 12,766 14,596 14,666 13,779 11,576 8,706 14,543 13,742 13,800
増益率 38.6 -9.8 14.3 0.5 -6.0 -16.0 -24.8 67.0 -5.5 0.4
当期利益率 7.2 6.3 7.3 6.8 5.8 5.1 4.5 6.7 5.5 5.2
連結EPS 75.65 68.24 390.15 387.44 364.03 308.71 235.23 392.88 371.12 380.60

セグメント売上高
チェーン 61,721 63,998 60,600 67,338 72,023 67,526 61,312 74,174 90,096 92,000
モーションコントロール 22,557 21,975 21,563 24,156 25,591 23,813 18,024 19,906 23,316 22,000
モビリティ 66,978 73,473 75,147 79,545 78,992 70,949 59,450 66,027 77,275 84,000
マテハン 45,169 44,354 41,043 44,187 61,827 64,212 53,618 55,728 60,973 65,000
その他 2,968 3,186 3,001 3,331 3,548 3,542 3,941 3,074 3,200 3,000
消去 -2,658 -3,011 -2,594 -2,843 -3,469 -3,622 -2,948 -3,031 -3,287 -3,000
連結売上高 196,738 203,976 198,762 215,716 238,515 226,423 193,399 215,879 251,574 263,000

セグメント利益
チェーン 5,002 6,172 7,102 8,502 10,292 8,406 7,862 11,005 13,687 13,800
モーションコントロール 2,400 2,428 2,218 3,060 3,340 2,189 747 1,129 1,710 0
モビリティ 11,916 12,258 12,385 10,258 8,734 5,791 3,782 6,568 6,376 6,600
マテハン 1,940 659 706 416 402 647 -2,202 799 -888 -1,800
その他 123 84 -1 -41 -43 20 -330 -442 -534 -1,100
消去 44 -30 -765 -1,502 -936 -909 -963 -1,217 -1,365 -1,400
連結営業利益 21,427 21,570 21,647 20,694 21,789 16,146 8,896 17,842 18,985 16,100

セグメント利益率
チェーン 8.1 9.6 11.7 12.6 14.3 12.4 12.8 14.8 15.2 15.0
モーションコントロール 10.6 11.0 10.3 12.7 13.1 9.2 4.1 5.7 7.3 0.0
モビリティ 17.8 16.7 16.5 12.9 11.1 8.2 6.4 9.9 8.3 7.9
マテハン 4.3 1.5 1.7 0.9 0.7 1.0 -4.1 1.4 -1.5 -2.8
その他 4.2 2.6 0.0 -1.2 -1.2 0.6 -8.4 -14.4 -16.7 -36.7
消去 -1.7 1.0 29.5 52.8 27.0 25.1 32.7 40.2 41.5 46.7
連結営業利益率 10.9 10.6 10.9 9.6 9.1 7.1 4.6 8.3 7.5 6.1

注︓17/3~19/3 期連結 EPS は株式併合後の数値に修正済み
出所︓会社資料より CGRA 作成




椿本チエイン(6371) 16
図表 19︓連結貸借対照表とキャッシュフロー
(百万円、%) 14/3 15/3 16/3 17/3 18/3 19/3 20/3 21/3 22/3 23/3
流動資産 100,626 116,619 116,536 125,400 132,144 143,949 134,083 145,185 166,512 182,054
現金・預金 13,518 17,504 20,195 26,332 29,590 33,647 29,019 41,869 49,104 56,908
受取手形・売掛金 44,337 47,338 48,726 50,760 55,612 59,807 57,046 55,377 59,131 63,208
有価証券 7,877 12,020 7,533 7,965 4,646 4,114 3,965 6,189 6,339 2,674
棚卸資産 29,625 33,574 33,153 33,875 37,676 41,884 40,278 38,389 49,008 55,882
その他流動資産 5,269 6,183 6,929 6,468 4,618 4,495 3,773 3,360 2,930 3,381
固定資産 128,213 142,122 137,570 141,814 151,429 161,966 160,015 162,147 166,107 163,823
有形固定資産 96,852 101,613 102,777 105,435 113,285 116,946 118,579 115,059 114,918 115,097
無形固定資産 5,807 5,132 4,352 3,841 2,968 12,787 11,361 10,695 10,700 9,081
投資その他資産 25,554 35,376 30,444 32,537 35,175 32,233 30,074 36,391 40,488 39,644
資産合計 228,840 258,742 254,106 267,215 283,574 305,916 294,098 307,332 332,620 345,878
流動負債 62,003 59,435 55,525 66,558 70,796 82,617 67,081 61,690 67,839 65,588
支払手形・買掛金 25,269 25,902 24,986 25,462 34,148 33,701 27,030 25,674 28,373 29,643
短期借入金・ 1年以内償還長期借入金 18,847 11,761 10,547 20,225 11,292 22,779 17,139 11,953 13,142 9,328
その他流動負債 17,887 21,773 19,992 20,872 25,356 26,137 22,912 24,064 26,324 26,617
固定負債 45,208 55,014 52,766 44,439 43,012 47,844 50,961 58,147 55,023 53,707
SB・ CB 0 10,000 10,000 10,000 10,000 15,000 15,000 15,000 15,000 15,000
長期借入金 17,690 15,146 14,269 4,409 5,288 5,992 9,369 14,214 9,727 9,457
その他固定負債 27,518 29,868 28,497 30,030 27,723 26,851 26,592 28,933 30,295 29,249
負債合計 107,212 114,450 108,291 110,997 113,808 130,461 118,043 119,838 122,863 119,295
非支配株主持分 3,194 3,851 3,774 3,744 1,848 1,720 1,695 1,703 2,000 2,184
自己資本 118,433 140,439 142,041 152,474 167,916 173,734 174,360 185,791 207,756 224,398
純資産合計 121,628 144,291 145,815 156,218 169,764 175,454 176,055 187,494 209,757 226,582
負債・資本合計 228,840 258,742 254,106 267,215 283,574 305,916 294,098 307,332 332,620 345,878


(百万円、%) 14/3 15/3 16/3 17/3 18/3 19/3 20/3 21/3 22/3 23/3
営業活動によるキャッシュフロー 19,761 22,189 19,090 25,434 27,657 24,197 20,275 27,890 21,000 21,352
税金等調整前当期純利益 17,572 22,583 20,444 21,575 21,164 19,432 16,809 12,159 20,081 18,292
減価償却費 8,745 9,476 10,402 10,342 11,005 12,366 12,739 12,682 12,694 13,299
運転資本の増減 -220 -4,110 -3,721 -2,804 720 -5,847 -3,318 3,143 -7,998 -5,851
法人税等の支払額 -6,099 -7,193 -9,785 -6,126 -6,664 -7,354 -5,089 -3,810 -3,533 -7,403
その他 -237 1,433 1,750 2,447 1,432 5,600 -866 3,716 -244 3,015


投資活動によるキャッシュフロー -17,166 -14,306 -13,593 -13,420 -17,389 -32,088 -14,241 -9,560 -9,075 -9,279
投資有価証券の取得 -223 -548 -194 -229 -11 -212 -15 -252 -12 -24
投資有価証券の売却 665 0 0 19 0 328 215 166 352 793
有形固定資産の取得 -13,232 -9,384 -13,750 -14,151 -15,542 -17,273 -14,661 -9,723 -8,004 -8,922
有形固定資産の売却 104 356 147 135 167 198 171 689 178 354
子会社出資金の取得 0 0 0 0 0 -15,457 0 0 0 0
その他 -4,479 -4,730 207 807 -2,001 327 48 -440 -1,589 -1,480


フリー・キャッシュフロー 2,594 7,882 5,496 12,013 10,268 -7,890 6,034 18,329 11,925 12,073


財務活動によるキャッシュフロー -3,196 -2,647 -5,476 -4,084 -13,191 12,679 -10,385 -4,354 -7,780 -9,963
長期債務の調達・返済 -642 -1,239 -1,540 -688 -9,410 15,780 -2,398 1,213 -658 -4,581
短期債務の調達・返済 -175 1,135 -190 913 1,042 1,813 376 -1,687 -3,005 145
配当金の支払 -1,497 -2,432 -3,554 -3,928 -4,544 -4,731 -4,541 -3,330 -3,516 -4,813
その他 -882 -111 -192 -381 -279 -183 -3,822 -550 -601 -714


現金及び現金同等物に係る換算差額 1,378 741 -957 -649 374 -414 -358 730 2,658 1,980
現金及び現金同等物の増減額 776 5,976 -937 7,279 -2,548 4,374 -4,708 14,706 6,803 4,089
現金及び現金同等物期首残高 20,194 21,291 27,360 26,422 34,142 31,712 36,087 31,378 46,084 52,888
現金及び現金同等物期末残高 21,291 27,360 26,422 34,142 31,712 36,087 31,378 46,084 52,888 56,978


総資産回転率 (回 ) 0.80 0.81 0.80 0.76 0.78 0.81 0.75 0.64 0.67 0.74
有形固定資産回転率 (回 ) 1.90 1.98 2.00 1.91 1.97 2.07 1.92 1.66 1.88 2.19
流動資産回転率 (回 ) 1.80 1.81 1.75 1.64 1.68 1.73 1.63 1.39 1.39 1.44
棚卸資産回転日数 (日 ) 85.26 84.18 85.61 88.52 85.55 84.44 90.24 98.49 104.16 106.16
売上債権回転日数 (日 ) 88.35 85.04 85.95 91.35 89.99 88.31 94.19 106.09 96.80 88.75
仕入債務回転日数 (日 ) 53.06 47.47 45.53 46.32 50.43 51.91 48.95 49.73 45.69 42.09
自己資本比率 (% ) 51.75 54.28 55.90 57.06 59.21 56.79 59.29 60.45 62.46 64.88
CCC(日) 120.55 121.75 126.03 133.55 125.12 120.84 135.48 154.85 155.27 152.82
ROE(% ):当期純利益/自己資本 9.3 10.9 9.0 9.9 9.2 8.1 6.7 4.8 7.4 6.4
ROA(% ):当期純利益/総資産 4.6 5.8 5.0 5.6 5.3 4.7 3.9 2.9 4.5 4.1
ファイナンシャル・レバレッジ (倍) 2.0 1.9 1.8 1.8 1.7 1.7 1.7 1.7 1.6 1.6
事業利益率 (% ):(営業利益+金融収益) /売上高 10.1 11.2 11.0 11.3 10.0 9.6 7.6 5.1 8.8 8.1

出所︓会社資料より CGRA 作成

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<担当アナリスト>
⿊⽥真路 執⾏役員・パートナー、シニアアナリスト

1992 年 4 ⽉に勧⾓総合研究所(現みずほ証券)に⼊社、産業調査部に配属。1999 年 9 ⽉
にジャーディン・フレミング証券(現 JP モルガン証券)、ゴールドマン・サックス証券を経て、2020 年 1
⽉迄、クレディ・スイス証券に在籍。ゴールドマン・サックス証券ではバイスプレジデント、クレディ・スイス
証券ではディレクター。⼀貫して機械・造船重機セクターを担当。2020 年 6 ⽉にパートナーとして、
CGRA に参画。(⼀社)⽇本証券アナリスト協会の機械業界ディスクロージャー委員を歴任。

星野英彦 CMA 代表取締役・チーフアドバイザー

1987 年 4 ⽉に新⽇本証券(現みずほ証券)⼊社、企業調査部に配属。1997 年にジャーディ
ン・フレミング証券(現 JP モルガン証券)、2000 年にドイツ証券、2006 年に UBS 証券で 2016
年 4 ⽉まで在籍。セルサイドアナリストとして機械、造船、重機、プラントセクターを 28 年間にわたって
担当。(⼀社)⽇本証券アナリスト協会で機械ディスクロージャー部会の副部会⻑を 10 年以上に渡
って歴任。2003 年より 2016 年迄、マネージングディレクター。2017 年 6 ⽉に株式会社キャピタル
グッズ・リサーチ&アドバイザリー(CGRA)を設⽴、代表取締役に就任。(⼀社)⽇本証券アナリ
スト協会認定アナリスト。



株式会社 キャピタルグッズ・リサーチ&アドバイザリー(CGRA)

機械セクターに特化したアドバイザリー企業。主な業務内容は(1)資本市場のニーズを満たしつつ、
経営にフィードバック可能な統合報告書の作成サポート(実績 12 社)、(2)中計作成や事業
戦略、各種 IR&SR に関する助⾔業務(アクティビスト対応含む)、(3)各種資料作成と英訳
業務、(4)⻑期投資家と経営層に役⽴つ企業分析スポンサード・レポートの作成など。




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して、当社独⾃の視点から作成されております。また、本レポートに記載されている内容は公表された情
報に基づき作成されておりますが、その正確性、完全性を保証するものではありません。本レポートの著
作権は株式会社キャピタルグッズ・リサーチ&アドバイザリーに帰属しており、無断転写を禁じます。本レ
ポートの内容は、今後予告なく変更される場合があります。当社及び本レポートは投資家の投資判断
に関知することなく、投資に関する決定はご⾃⾝の判断で⾏って頂くようお願い申し上げます。




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