2016年4月16日の熊本地震に対する地盤ネット緊急調査隊による地盤と戸建て被害状況調査報告

2016 年 4 月 18 日
地盤ネットホールディングス株式会社



2016 年 4 月 16 日の熊本地震に対する
地盤ネット緊急調査隊による
地盤と戸建て被害状況調査報告


戸建て住宅の地盤調査・解析・補償サービスを提供する地盤ネットホールディングス株式会社(本社:
東京都中央区、代表:山本 強、以下地盤ネット HD)の子会社、地盤ネット株式会社(以下地盤ネット)
は、2016 年 4 月 16 日未明に発生した 2016 年熊本地震(M7.3)の被災地に、地盤と戸建住宅の被害状況
に着目して緊急調査隊を派遣いたしました。


【現地緊急調査状況】
16 日未明に発生した M7.3 の「本震」から一夜明け、地盤と戸建住宅被害調査の為、熊本県内の被災
地調査に急行しました。震源から至近の熊本空港は閉鎖されているため福岡市から南下、途上ではたび
たび緊急地震速報を受信しつつ、益城町役場に向かいました。


1.益城町役場付近
益城町は熊本市の東隣に位置し、秋津川の北側の台地斜面にある町役場付近での被害が多く見られま
した。現地調査により、被害を受けている家屋は1階の壁量が少なく、耐震性の乏しいと考えられる古
い瓦屋根の在来建築、古民家に目立ち、1階の柱等、構造耐力上主要な部分が損傷を受けて倒壊に至る
ケースが多くありました。
とくに町役場から南東側の低地部および台地との地形境界の斜面付近では家屋被害が多く、盛土や擁
壁の崩れによって躯体が変形、転倒に至るケースも見受けられました。




益城町役場




写真の地点




益城町付近の「地盤安心マップ PRO」画面 谷底低地部における家屋被害状況
<報道関係各位からのお問い合わせ先>
地盤ネットホールディングス株式会社 災害担当:横山芳春(携帯: 070-6644-6061)
Tel: 03-6265-1834 / Fax: 03-6265-1804 / E-mail: yokoyama@jibannet.co.jp
※お客様からのお問い合わせ先: 地盤ネット株式会社 Tel: 03-6265-1803
参考資料




地形境界の益城町文化会館より低地側の被害 文化会館裏手の擁壁の転倒(左写真の低地側地点)




谷底低地の被害が大きい傾向があった 斜面では低地側への家屋・擁壁被害が見られた




基礎下の盛土地盤流出による住宅被害の例 緊急被害調査状況



益城町では、
「前震」とされる 14 日のマグニチュード 6.5 の地震で震度7、16 日の「本震」で震度 6
強を記録しました。戸建て住宅としては想定される以上の揺れの規模ですが、古い建物におけるケース
を除くと、切り盛りのある地形境界や低地など、地震時に揺れやすい地盤条件のエリアでの家屋被害が
目立つ傾向がみられました。建物を建てた地盤条件により、被害に差異が生じた可能性が考えられます。
参考資料

2.熊本市中央区・熊本城付近
熊本市中央区の市内中心部に位置する熊本城は、北側から延びる台地の先端部に位置した平山城です。
加藤清正による 1606 年の完成後、明治期には 1877 年の西南戦争や、太平洋戦争での空襲にも耐え、建
築後 400 年の時を超えて雄姿を今に残してきました。
しかし、熊本地震では、天守閣の被害をはじめ、各地の石垣の崩壊、櫓などの建物の損壊が見られま
した。石垣は曲線状の構造に重量物であるやぐらを乗せるなどによって堅固な構造をなす一種の「盛り
土」であるといえますが、想定を超える直下型地震の激しい揺れによって、崩壊を余儀なくされたと考
えられます。




台地




下段写真の地点


低地




熊本城付近の「地盤安心マップ PRO」画面 熊本城本丸の遠景




熊本城東側・稲荷神社付近の石垣被害状況 熊本城東側・熊本大神宮付近の被害状況
参考資料

3.熊本市西区の液状化発生状況
島原湾に近い熊本県西区において、地震による液状化現象の発生状況を調査しました。その結果、熊
本市立飽田東小学校および、飽田中学校北側一帯等での、液状化による噴砂の発生を確認しました。
両地点とも、
「地盤安心マップ PRO」掲載の土地条件図によると、液状化の危険性が高いとされる旧河
道(以前に川が流れていた場所)付近に位置していることがわかりました。畑やグラウンドでは幾筋か
の帯状の割れ目からの噴砂帯が見られ、地表に噴出した噴砂の土質は、水分を多く含んだ黒褐色のシル
ト混じり微細砂~細砂でした。




液状化確認地点

旧河道




熊本市西区飽田の「地盤安心マップ PRO」画面 飽田中学校北側 の液状化噴砂



地盤ネットが無料で公開している「地盤安心マップ(http://jam.jibanmap.jp/)
」では、避難所
マップおよび、標高マップ、地形区分図、土砂災害危険箇所、地震動予測地図※1、活断層マップ※
1 、液状化ハザードマップ※1・2 など、16 種類の地盤・災害に関するリスク情報を、お手持ちの端末
から閲覧できます。災害の影響の少ない住まい探しや、緊急時の避難所を選択できますので、有事
の際など必要に応じてご利用ください。




「地盤安心マップ」による土砂災害危険箇所マップと
避難所マップの重ね合わせの例
参考資料

地盤ネットでは、さらに液状化の発生状況と地形区分との対応と、活断層近傍で被害が見られる
との現地状況を踏まえて、20 日(水)より、再度現地調査を実施する予定です。


このたびの地震によってお亡くなりになった方のご冥福をお祈りするとともに、一刻も早い沈静化と、
被災された方が一刻も早く日常の生活に戻れますことを、代表以下、役員・社員一同、深くお祈り申し
あげます。




※地盤ネット緊急調査隊メンバー
執行役員 技術副本部長・横山芳春 博士(理学) 九州支社長・井澤俊博





【地盤ネットホールディングス株式会社概要】
地盤業界が抱える情報格差と生活者の不利益の解消を目指し、「工事を受注しない」という公正
中立な立場で地盤調査データを再解析する「地盤セカンドオピニオン®」を提供。オリジナルの地
盤測定機「グラウンド・プロ」を開発し、地盤調査や地盤補償サービスも提供する。2015 年 1 月よ
り、土地の災害リスクを診断して採点するレポート「地盤カルテ®」を WEB 上で無償公開し、利用
は 10 万件を超えた。また、さまざまな地盤情報を地図上で閲覧できる WEB サービス「地盤安心マ
ップ®」を公開。これらが評価され、ジャパン・レジリエンス・アワード 2015(強靭化大賞)にて
「最優秀レジリエンス賞」を、国土交通省国土地理院の主催する「電子国土賞 2015(PC 部門)」
を受賞し、地盤業界初のテレビ CM 制作をおこなうなど、業界の見える化を推進。


会 社 名 :地盤ネットホールディングス株式会社
代 表 者 :代表取締役 山本 強
本社所在地 :東京都中央区日本橋一丁目 7-9 ダヴィンチ日本橋 179 ビル 2 階
設 立 日 :2008 年 6 月 25 日(2014 年 10 月 1 日 持株会社体制に移行)
資 本 金 :4 億 9,040 万円(2015 年 3 月 31 日現在)
業 務 内 容:地盤解析サービス、地盤調査サービス、部分転圧工事サービス など
グループ会社:地盤ネット株式会社/JIBANNET ASIA CO.,LTD./Jibannet ReinsuranceInc.
U R L :http://jiban-holdings.jp


※1 PC 版のみ。iPad 版からは、画面右上の「PC サイトへ」ボタンから PC 版に移動できます。
※2 許可を得た自治体のみ掲載しています。熊本県、大分県は許可を頂いて掲載済みです。

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