5-ALAの経口摂取により、新たに表皮への美容効果を確認

News Release
2023 年 9 月 19 日



5-ALA の経口摂取により、新たに表皮への美容効果を確認

~肌のバリア機能改善のメカニズムを、皮脂 RNA モニタリング技術を用いて検証~

美容室向けヘアケア・化粧品メーカーの株式会社ミルボン(本社︓東京都中央区 代表取締役社長・佐藤龍二)は、
ネオファーマジャパン株式会社(本社︓東京都千代田区 代表取締役社長・石川浩之)と共同で、5-アミノレブリン酸リン
酸塩*1(以下 5-ALA、ファイブアラあるいはファイブエーエルエーとも呼ぶ)の経口摂取により、表皮が担う肌のバリア機能が
改善することを確認しました。さらに、花王株式会社(本社︓東京都中央区 代表取締役社長執行役員・長谷部佳宏)
の解析技術を用いて、効果メカニズムの検証を行いました。なお、本研究の成果は以下の学会にて発表しました。


【外部発表】
発表学会︓第 41 回 日本美容皮膚科学会総会・学術大会
発表タイトル︓5-アミノレブリン酸リン酸塩の経口摂取による顔肌バリア機能改善効果
発表日︓2023 年 8 月 20 日


【研究背景】
5-ALA は「生命エネルギーの根源物質」とも呼ばれ、細胞に働きかけ人体にとってプラスの影響を与えるアミノ酸の一種
です(図 1 A)。ミルボンではこれまで約 20 年にわたり、美容への応用研究に取り組んできました。この研究に取り組む
中で、5-ALA の経口摂取による肌の機能改善効果が確認できれば、化粧品等による外側からのケアだけでなく内側から
のケアに繋がると考え、ネオファーマジャパン株式会社が製造する 5-ALA を用いて研究に着手しました。
5-ALA の経口摂取では、 『真皮の細胞』の代謝を促し、肌を保湿する効果が報告されています 1)2)。一方で『表皮』
に着目すると、表皮の最外層にある角質層は、肌を保護し健やかに保つバリア機能を担っており、肌の美しさにおいても重
要な組織です。角質層を正常に保ちバリア機能を維持するためには、ターンオーバー*2 が正しく行われる必要があります
が、加齢や紫外線などによって表皮の細胞活性が低下するとターンオーバーは乱れやすくなります。
そこでミルボンは、5-ALA によって『表皮の細胞』の活性を向上させることができれば、ターンオーバーが改善し、角質層の
正常化に伴いバリア機能の改善が期待できる(図 1B)と考え、新たに『表皮の細胞』への効果について研究を行いまし
た。さらに、花王株式会社の解析技術を用いて、効果メカニズムの検証にも取り組みました。

(A) (B)




図 1 5-ALA の働きのイメージ図
(A) ヒトの細胞内でエネルギーを生み出す働きのイメージ (B) 経口摂取での肌のバリア機能改善のイメージ

- 1 -
【研究の成果】
1.5-ALA の経口摂取による肌のバリア機能改善効果を確認
20~55 歳までの男女 30 名の被験者に対し、5-ALA 50 mg を毎日 1 回 12 週間連続で経口摂取する試験を行
いました。バリア機能の指標として肌の水分保持力*3 を確認したところ、12 週摂取後では水分保持力が改善し、肌がう
るおいを保ちやすい状態になっていました(図 2A)。さらに、水分保持力が改善した被験者について、摂取前後で角質
細胞の剥離試験*4 を実施しターンオーバーの状態を調べました。その結果、摂取前では角質細胞が多重に剥離し、ター
ンオーバーの異常が見られていた人でも、5-ALA 摂取後では改善された実効例も確認できました(図 2B)。これらの結
果より、5-ALA の連続経口摂取によってターンオーバーが改善し、表皮の角質層が担う肌のバリア機能が改善したことが
示されます。
(A) (B)




角質細胞が重なって剥がれるこ 濃い紫色の部分が減っている
とで濃い紫色になっている


図 2 5-ALA の連続経口摂取による肌のバリア機能改善効果
摂取前に対する 12 週間摂取後の (A) 肌の水分保持力 (B) 角質細胞剥離状態の改善



2.5-ALA による肌のバリア機能改善は、表皮細胞の活性化や産生促進によることを確認
5-ALA の経口摂取による肌のバリア機能改善効果のメカニズムを詳細に調べるため、花王株式会社の独自解析技術
である「皮脂 RNA モニタリング技術*5」を用いて、各被験者の顔から採取した皮脂に含まれる RNA の解析を行いました。
その結果、摂取前と比較して 5-ALA の経口摂取によって、『細胞のエネルギー産生に関わる遺伝子』や『表皮細胞のター
ンオーバーに関わる遺伝子』の発現の上昇が確認されました(図 3)。この結果から、5-ALA の経口摂取によって、表皮
細胞の活性化や産生促進が起こり、結果として肌のバリア機能の改善に繋がったと考えられます。




図 3 皮脂 RNA モニタリング技術による遺伝子発現変動解析結果 (N=18)

【今後の展望】
今後も、経口摂取による肌機能改善など、身体の内側からのケアに繋がる研究を進めてまいります。

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《用語解説》
*1 5-アミノレブリン酸リン酸塩
5-アミノレブリン酸にリン酸が付いた成分。食用に認められており、体内に入ることで 5-アミノレブリン酸として吸収される。
5-アミノレブリン酸は天然のアミノ酸の一種で、ヒトを含む生命体の細胞のミトコンドリアに存在してエネルギーを生み出す。


*2 ターンオーバー
表皮において新しい肌が生まれるためのサイクルのことで、肌の新陳代謝とも呼ばれる。表皮細胞は徐々に成熟しながら
表面の角質層に移動し、最後に垢となって剥がれ落ちる。この一連のサイクルをターンオーバーと言う。


*3 水分保持力
正常な肌は、バリア機能によって内部にある水分の蒸散を防ぐことができ、水分保持力が高い状態にある。一方でバリア
機能が低下すると肌の水分保持力も低下し、乾燥や肌荒れなどの要因となる。肌の水分保持力は、経皮水分蒸散量の
測定によって評価できる。


*4 角質細胞の剥離試験
ターンオーバーの状態を確認する試験方法。表皮にテープを貼って剥がすことで付着した角質細胞を紫色の色素で染め、
観察を行う。ターンオーバーが正常な場合は一層の均一な角質細胞が薄い紫色に観察されるが、乱れている場合、層が
重なり厚くなることで濃い紫色の部分が多くなる。


*5 皮脂 RNA モニタリング技術
花王株式会社の持つ独自技術。肌に分泌される皮脂に含まれる RNA(リボ核酸)に着目し、この皮脂 RNA を先端
の解析装置で解析することで、皮脂中の約一万種に及ぶヒトの RNA 情報を取得できる。




※花王のニュースリリース内の図を改変
《引用》
1) 鈴木智美ら, Jpn Pharmacol Ther (薬理と治療), vol. 46, no. 5 (2018)
2) 鈴木智美ら, Jpn Pharmacol Ther (薬理と治療), vol. 47, no. 2 (2019)


■リリースに関するお問い合わせ先
広報室 東京都中央区京橋 2-2-1 京橋エドグラン
TEL 03-3517-3915 FAX 03-3273-3211
株式会社ミルボン/本店︓大阪市都島区、社長︓佐藤龍二、証券コード︓4919(東証プライム)


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