SB623外傷性脳損傷を対象にしたフェーズ2試験(STEMTRA試験)の中間解析結果をNeurology誌で発表

2021 年1月5日
各 位
会 社 名 サ ン バ イ オ 株 式 会 社
代 表 者 名 代表取締役社長 森 敬太
(コード番号:4592 東証マザーズ)
問い合わせ先 執行役員経営管理部長 角谷 芳広
(TEL.03-6264-3481)




SB623 外傷性脳損傷を対象にしたフェーズ2試験(STEMTRA 試験)の
中間解析結果を Neurology 誌で発表


サンバイオ株式会社(本社:東京都中央区、代表取締役社長:森 敬太)は本日、当社グループ
(サンバイオ株式会社及びその子会社である SanBio, Inc.)が実施した再生細胞医薬品「SB623」の
外傷性脳損傷を対象としたフェーズ2試験(STEMTRA 試験)の中間解析結果が、米国神経学会
(American Academy of Neurology)の学会誌 Neurology®に掲載されたことを別添のとおりお知らせ
します。

なお、本発表の今期業績に与える影響は軽微ですが、中長期的な業績向上に資するものと考えま
す。


以上
2021 年1月5日
サンバイオ株式会社



SB623 外傷性脳損傷を対象にしたフェーズ2試験(STEMTRA 試験)の
中間解析結果を Neurology 誌で発表


サンバイオ株式会社(本社:東京都中央区、代表取締役社長:森 敬太)及びその子会社である
SanBio, Inc.(以下「当社グループ」)は、当社グループの再生細胞医薬品「SB623」のフェー
ズ2試験(STEMTRA 試験)の中間解析結果が米国神経学会(American Academy of Neurology)
の学会誌 Neurology®オンライン版に掲載されたことをお知らせします。「Cell Therapy for
Chronic TBI: Interim Analysis of the Randomized Controlled STEMTRA Trial」と題された本
論文の全文は、以下リンク先よりご覧いただけます。
https://n.neurology.org/content/early/2021/01/04/WNL.0000000000011450

STEMTRA 試験は、外傷性脳損傷による慢性期の安定した運動機能障害を有する患者に対し、
SB623 の有効性と安全性を評価するランダム化、二重盲検、偽手術対照、国際共同フェーズ2試
験でした。本試験では、主要評価項目である SB623 移植群で投与後6か月の Fugl-Meyer Motor
Scale(FMMS)のベースラインからの改善を達成しました。副次評価項目では、コントロール群
との統計学的な有意差は認められませんでしたが、ベースラインからの改善傾向が確認されまし
た。事前に設定された SB623 投与後6か月時点に行われた中間解析において、SB623 による治療
は安全で忍容性が高いことが示唆されました。本試験では、その後 12 か月時点まで患者を追跡
し、有効性と安全性を継続して検討しました。

東京大学脳神経外科教授の齊藤延人先生は、次のように述べています。「これまで、慢性期の脳
機能障害は医薬品開発が難しい分野と考えられていましたが、再生医療、細胞治療という新しい
モダリティの登場により治療法の開発が進められるようになったことは、この領域にとって明る
いニュースです。STEMTRA 試験の中間解析結果が Neurology 誌に掲載されたことは大きな前進だ
と言えます。ここで示された治験データは、慢性期外傷性脳損傷に伴う運動機能障害の改善に対
する再生医療、細胞治療の可能性を期待させます。」

本試験の治験責任医師および筆頭著者である北海道大学病院脳神経外科特任准教授の川堀真人先
生は次のように述べています。「外傷性脳損傷は、世界全体で死亡や障害を引き起こす大きな原
因の一つであり、外傷性脳損傷による長期的な運動機能障害の治療には大きなアンメット・メデ
ィカル・ニーズが存在しています。今回のデータにおいて、SB623 の投与法や治療の良好な忍容
性が示され、治療を受けた患者さんの運動機能障害が有意に改善したことに、我々は心強く感じ
ています。また、今回の STEMTRA 試験中間解析結果の論文掲載により、慢性期外傷性脳損傷患者
様の運動機能改善に対する細胞治療の可能性が支持されると考えます。」

当社グループの研究開発ヘッド、チーフ・メディカル・オフィサーであるビジャン・ネジャドニ
クは、次のように述べています。「Neurology 誌による STEMTRA 試験結果の掲載は、外傷性脳損
傷により引き起こされた長期に渡る症状に対する当社の啓発活動および患者さんの生活を改善す
ることに対する貢献を後押しするものです。本試験に参加していただいた患者さん、治験責任医
師の皆様、そして本論文の筆者の皆様に対し、この重要なプログラムへご尽力に心より感謝いた
します。」
STEMTRA 試験について
STEMTRA 試験は、外傷性脳損傷による慢性期の安定した運動機能障害を有する患者様に対し、
SB623 の有効性と安全性を評価する 12 か月間、ランダム化、二重盲検、偽手術対照、国際共同
フェーズ 2 試験でした。本試験では、SB623 は脳損傷の周辺部位に直接移植されました。主要評
価項目は6か月時点の Fugl-Meyer Motor Scale (FMMS)スコアのベースラインからの平均改善量
とし、運動機能障害の変化を測定するものでした。
本試験においては、TBI 受傷後 12 か月を経過し、Glasgow Outcome Scale extended (GOS-E)が3~6
の中程度または重度の 18 歳~75 歳の患者を対象とし、治験期間中に実施されるすべての検査・診断
受けることと、治験参加前 3 か月間にてんかん発作を起こしていないことを条件としました。主要評価項
目は、6 か月時点の FMMS のベースラインからの改善量であり、米国、日本及びウクライナの 27 の施設
で 61 名の被験者が対象とされました。
本試験で、6か月時点の FMMS のベースラインからの改善量は、SB623 投与群で 8.3 点、コント
ロール群で 2.3 点(p 値=0.040)となり、主要評価項目を達成しました。また、SB623 投与群で
18 名(39.1%)、コントロール群で1名(6.7%)が FMMS10 点以上の改善を達成し、統計学的な
有意差が認められました(p 値=0.039)。新たな安全性上の懸念は認められず、最も多かった有
害事象は頭痛でした。

外傷性脳損傷について
外傷性脳損傷は、世界中の主な死因および障害の原因の一つです。2016 年の世界の急性外傷性
脳損傷の新規患者数は 2700 万人(推定)、外傷性脳損傷に続発する慢性障害の推定新規患者数
は 5550 万人(推定)でした。外傷性脳損傷および外傷性脳損傷に続発する長期に渡る運動障害
は、患者の自立、雇用、および QOL を著しく損ない、総じて各国の医療システムの大きな負担に
なっています。米国では、外傷性脳損傷で入院し生存した患者の約 43%が長期の運動障害を経
験しており、530 万人が外傷性脳損傷に続発する運動障害を長期に抱えて生活していると推定さ
れています。

SB623 について
SB623 は、一過性に遺伝子改変し、加工・培養して作製された成人骨髄由来の他家間葉系間質細
胞を基にした治験製品です。脳内の損傷した神経組織に SB623 を移植すると、損傷した神経細胞
が本来持つ再生能力を促し失われた運動機能を回復させる効果が期待されています。
当社グループは、外傷性脳損傷に起因する慢性期運動機能障害に対する SB623 の国内製造販売承
認申請に向けて準備を行うと共に、国際的に臨床開発を進めています。また、日本において脳梗
塞・脳出血を対象とした臨床試験の開始に向けて準備を進めています。SB623 は、厚生労働省よ
り再生医療等製品として「先駆け審査指定制度」の対象品目として指定されており、米国では米
国食品医薬品局(U.S. Food and Drug Administration:FDA)より RMAT(Regenerative
Medicine Advanced Therapy)指定を、欧州では欧州医薬品庁(European Medicines Agency:
EMA)より先端医療医薬品(Advanced Therapy Medicinal Product:ATMP)の指定を受けていま
す。

サンバイオ株式会社及び SanBio, Inc.について
当社グループは、再生細胞薬の研究、開発、製造及び販売を手掛ける再生細胞事業を展開していま
す。当社独自の再生細胞薬である SB623 は、慢性期外傷性脳損傷及び慢性期脳梗塞を含む複数疾患
を対象に開発を進めています。東京に本社、カリフォルニア州マウンテンビューに支社を置く当社グルー
プの詳細は、https://www.sanbio.com にてご覧いただけます。

本件に関するお問い合わせ先
■サンバイオ株式会社 ■報道機関の皆さまからのお問い合わせ先
経営管理部 サンバイオ株式会社 広報事務局
E-MAIL:info@sanbio.jp 担当:簑田・永田(株式会社コスモ・ピーアール内)
TEL: 03-5561-2915/E-MAIL: sanbio@cosmopr.co.jp

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