ブリンシドフォビルの抗リンパ腫活性に関する研究成果を第64回米国血液学会年次総会において発表

2022年12月13日
各位

会 社 名 シ ン バ イ オ 製 薬 株 式 会 社
代 表 者 名 代表取締役社長兼 CEO 吉 田 文 紀
(コード番号:4582)
問合せ先 IR 室(TEL.03-5472-1125)


ブリンシドフォビルの抗リンパ腫活性に関する研究成果を
第64回米国血液学会年次総会において発表

シン バイオ製 薬株式会社( 本社:東 京都)は、抗 ウイルス 薬ブリンシド フォビ ル
(brincidofovir、 「BCV」 のシンガポール国立がんセンター
以下 ) (NCCS: National Cancer
Centre Singapore*1、以下「NCCS」 )との共同研究成果について、現在、米国ニューオリン
ズ で 開 催 さ れ て い る 第 64 回 米 国 血 液 学 会 年 次 総 会 ( The 64th American Society of
Hematology (ASH) Annual Meeting)において口頭発表に採択され、Dr. Jason Y Chanに
より発表されたことをお知らせします。

この度の発表は、現在有効な治療方法が確立していない進行の早いNK/T細胞リンパ腫*2
に対するBCVの治療効果を非臨床試験系から見出したことを初めて公表するものです。
NK/T細胞リンパ腫の多くはEBウイルス*3陽性であることが知られていますが、BCVは他の
既存抗ウイルス薬と比較して著しく高い抗腫瘍活性を示しました。特に本研究によりBCV
が腫瘍悪性化を促進するがん遺伝子であるMYC*4の発現と支配遺伝子群の発現を抑制し、
さらには、がん免疫を活性化することで知られる免疫原性細胞死を誘導することが新たに
確認されました。 また、同腫瘍を移植したマウスモデルにおいては明確な増殖抑制効果を示
しました。

NCCSメディカルオンコロジー部門指導医兼主任研究者及びDuke-NUS Medical School
臨床助教授であるDr. Jason Y Chanは、「本共同研究においてBCVのNK/T細胞リンパ腫に
対する抗腫瘍活性が新たに確認され、その作用機序は大変興味深く、BCVがリンパ腫を含
めたがん領域の新たな治療薬となりうる可能性をもっています。 」とコメントしています。

吉田文紀社長兼CEOは「この度の研究成果により確認されたBCVの抗腫瘍効果は、リン
パ腫を含めて腫瘍疾患の予後を悪化させる因子の抑制にもつながり、EBV陽性の悪性リン
パ腫のみならず幅広い疾患の選択肢となる可能性を示唆するものです。 」と語っています。



なお、本件が2022年12月期業績に与える影響はありません。
以 上





【注記】
(注1)シンガポール国立がんセンター(NCCS)
NCCSは、広く集学的ながん治療と患者ケアを提供し、 また最良の医療サービスを提供す
るために、同センターの臨床医と科学者が協力して良質で最新の国際的な臨床治験と橋渡
し研究を実施しています。さらに、世界をリードするがんセンターとして、国内外の医療従
事者に研修を提供することで、その専門性と知識を共有することを目指しています。
詳細についてはウェブサイト(https://www.nccs.com.sg/)をご覧ください。

(注2)NK/T細胞リンパ腫
悪性リンパ腫の種類の1つで、NK細胞あるいはT細胞由来のリンパ腫。進行の速さによっ
て、
「低悪性度 (進行が年単位)、」「中悪性度(進行が月単位)、」「高悪性度(進行が週単位)

に分類されます。 NK/T細胞リンパ腫は、主に節外性NK/T細胞リンパ腫として,鼻腔周囲や
皮膚に発生します。また中国を含めた東南アジアで比較的多くみられるのが特徴です。

(注3)エプスタイン・バール・ウイルス:Epstein-Barr virus (EBウイルス)
EBウイルスはヘルペスウイルス科に属し、1964年にバーキットリンパ腫という主にアフ
リカでみられる小児腫瘍から発見された腫瘍の原因となるウイルスです。乳幼児期に感染
した場合、多くは症状が出ませんが、思春期以降に初めて感染すると、伝染性単核球症と呼
ばれる発熱やのどの痛み、リンパ節の腫れなどの症状が一時的にみられます。また、一部の
悪性リンパ腫や、上咽頭がんなどの発生と関連があることが明らかになっています。


(注4)MYC
MYCは、c-Mycとして古くから知られるがん遺伝子の一つで、造血器腫瘍における転座、
変異、増幅をはじめ、広範ながん種において同ファミリー遺伝子の異常が見いだされていま
す。核内転写調節因子として機能し、支配遺伝子の発現を調節することで造血器細胞の増
殖・分化バランスを制御する非常に重要な因子として知られています。


【抗ウイルス薬ブリンシドフォビル(brincidofovir:BCV)概要】
BCVは欧米では既承認のシドフォビル(cidofovir:CDV、本邦は未承認)の脂質結合体
として新しい作用機序を持ち、CDV及び他の抗ウイルス薬と比べて高活性の抗ウイルス効
果など優れた特徴を併せ持ち、広範囲の2本鎖DNAウイルス感染症(サイトメガロウイル
ス、アデノウイルス、エプスタイン・バール・ウイルス、ヘルペスウイルス、BKウイルス、
パピローマウイルス及び天然痘ウイルス等)に対して有効な治療方法となり得るものと期
待されています。BCV分子の画期性は、CDVに特定の長さの脂肪鎖を結合することにより
細胞内への取り込み効率を飛躍的に向上させ、細胞内で直接作用する分子に変換され高い
抗ウイルス効果を発揮します。更には、CDVを初めとする他の抗ウイルス薬に比べ深刻な
副作用である腎毒性または骨髄抑制を回避できる新規の高活性の抗マルチウイルス薬とし
て期待されています。
現在、シンバイオは、2030年にグローバル・スペシャリティファーマを目指す事業展開
を推進しており、 事業価値の最大化を図るべく、 造血幹細胞移植後のアデノウイルス感染症
患者を対象として、米国を中心に国際共同第Ⅱ相臨床試験を実施中です。加えて2022年5
月には、腎移植後BKウイルス感染症患者を対象としたオーストラリア、日本、韓国を中心
とした国際共同第Ⅱ相臨床試験を開始しました。
また、BCVは、高い抗ウイルス作用に加え、抗腫瘍効果も期待されており、現在、シンガ
ポール国立がんセンター、 カリフォルニア大学サンフランシスコ校、 米国ブラウン大学との



共同研究を進めており、抗がん活性の確認及び抗ウイルス活性と合わせることによる相乗
効果を確認するための試験を進めています。一方、米国の国立衛生研究所(NIH: National
Institute of Health)/国立神経疾患・脳卒中研究所(NINDS: National Institute of
Neurological Disorders and Stroke)との共同研究を通じて多発性硬化症の試験を開始しま
した。


【当社会社概要】
シンバイオ製薬株式会社は、 米国アムジェン社元副社長で、 旧アムジェン株式会社の実質
的な創業者である吉田文紀が2005年3月に設立した医薬品企業です。経営理念は「共創・共
生」(共に創り、共に生きる)で表され、患者さんを中心として医師、科学者、行政、資本
提供者を「共創・共生」の経営理念で結び、満たされない医療ニーズに応えてゆくことによ
り、社会的責任及び経営責任を果たすことを事業目的としています。なお、2016年5月に米
国完全子会社 SymBio Pharma USA, Inc.(本社:米国ノースカロライナ州 ダーラム、社
長:キャロリン・ヤナビッチ)を設立しました。





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