BBB通過型ハンター症候群治療薬の病態モデル動物における中枢神経での有効性を第58回日本先天代謝異常学会総会で発表

2016年11月2日
各 位




会 社 名 J C R フ ァ ー マ 株 式 会 社
代表者名 代表取締役会長兼社長 芦 田 信
(東証1部 コード番号4552)
問合せ先 執行役員経営企画本部長 本 多 裕
(TEL 0797-32-8591)


BBB通過型ハンター症候群治療薬の病態モデル動物における
中枢神経での有効性を第58回日本先天代謝異常学会総会で発表


当社は、2016年10月27日から29日に開催された第58回日本先天代謝異常学会総会におい
て、独自に開発した血液脳関門(Blood-Brain Barrier:BBB)通過技術(J-Brain CargoⓇ)
を応用した抗体融合型イズロン酸2スルファターゼ(IDS)の、ムコ多糖症II型モデルマウ
スにおける中枢神経に対する有効性を検討した結果について、発表しました。本発表の概
要を下記に示します。


ライソゾーム病の一種であるムコ多糖症II型(ハンター症候群)は、先天的なIDS遺伝子
の欠損・変異などにより、IDSの酵素活性が低下し、基質のグリコサミノグリカン(GAG)
が各種臓器に蓄積して引き起こされる疾患である。現在、ムコ多糖症II型の主な治療法とし
て、遺伝子組換えIDS酵素製剤を体外から投与する酵素補充療法が行われている。しかしな
がら、現在使用されている酵素製剤は末梢臓器に対しては効果を示すが、中枢神経系(CNS)
には効果を示さないことが課題であった。脳には非常に多くの毛細血管が張り巡らされて
いるが、それらのほぼ全てに血液脳関門(BBB)が存在し、不必要な物質が血中から脳内
に侵入するのを防いでいる。このため静脈内投与した酵素製剤は血中から脳内に移行でき
ず、神経細胞等に酵素を届けることができない。
当社は、独自開発の抗トランスフェリン受容体抗体を利用したBBB通過技術である
J-Brain CargoⓇの有用性を検証するため、抗体とIDSの融合タンパク(RP-2702)を作製し、
ムコ多糖症II型モデル動物であるIDS遺伝子ノックアウト(IDS KO)マウスを用いてCNS
に対する薬効を評価した。


・ IDS KOマウスへRP-2702を静脈内投与した後、脳ホモジネート中の薬剤濃度測定及び
脳切片の免疫組織化学染色によりRP-2702の脳移行性を評価した結果、薬剤の脳内への
移行性が確認された。
・ IDS KOマウスにRP-2702を反復静脈内投与した後、脳内GAG蓄積量の測定、病理組織
学的な薬効評価、およびモリスの水迷路による学習能力測定をおこなった結果、脳内
GAGは正常マウスレベルまで低下し、脳神経細胞の変性は抑制され、水迷路試験では正
常マウスと同等の学習能力が認められ、CNS症状に対する有効性が確認された。


以上

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