「Annual Report 2016」発行に関するお知らせ

2016年8月9日




各 位

会 社 名 J C R フ ァ ー マ 株 式 会 社
代表者名 代表取締役会長兼社長 芦 田 信
(東証1部 コード番号4552)
問合せ先 執行役員経営企画本部長 本 多 裕
(TEL 0797-32-8591)


「Annual Report 2016」発行に関するお知らせ



当社は、このたび、「Annual Report 2016」を発行いたしましたので、お知らせいたします。




以上
“HIYAKU”
Leap into the Future

Annual Report 2016




2016年 3 月期
常に「一歩前に出る」
企業であること。
高度なバイオ技術による先天代謝異常症をはじめとした

希少疾病 難病への取り組みや、
・ さらなる再生医療等製品の開発 創出は、


JCRファーマ株式会社(JCR)
の重要なミッションです。

創業当初からの自由な社風のもと、

チャレンジ精神を持ち続けてきたことで、今日の当社があります。

社員一人ひとりがスピード感を持って取り組んでいく
「早よせい 」
! スピリッツを発揮し、

「チームJCR」
として一丸となって、他社より
「一歩前に出る」
ことに挑戦し続けます。
希少疾病




バイオ技術




細胞治療 再生医療技術





JCR Pharmaceutical Co., Ltd. Annual Report 2016 1
成 長の歴 史



創業以来のベンチャー精神を受け継ぎ、
常に「一歩前に出る」企業として、持続的成長を実現してき した。

当社は、1975年の創業以来、常に他社より
「一歩前に出る」独自
の技術開発と製品創製に取り組み、 バイオ医薬品のJCR」
「 として
着実に成長を続け、2013年に東証1部上場を実現しました。創立


40周年を迎えた2015年には日本初となる他家由来再生医療等
遺伝子組換えヒト成長ホルモン製剤
製品「テムセル ® HS注」の製造販売承認を取得するなど、細胞治 「グロウジェク ®注4 U」
ト I 販売開始
療 再生医療領域の開発にも積極的に取り組んでいます。





創業以来の売上高推移 ※2004年度以降は連結数値 100億円



グロウルム輸入販売開始
1975 ウロキナーゼ製剤販売開始
日本ケミカルリサーチ株式会社設立



ウロキナーゼ販売







JCRの原点 飛躍のステージへと導く
「技術力の蓄積」
JCRの歴史は、尿由来のタンパク質分解酵素である
「ウロキナ これまで蓄積してきた様々な技術やノウハウが今、大き

ーゼ」
の製造からスタートしました。1983年には、ウロキナーゼ な実を結ぼうとしています。JCRは、創業以来ターゲット

製剤および原液の製造承認を取得し、一躍脚光を浴びました。 にしている希少疾病用医薬品分野に独自のバイオ技術、
細胞治療 再生医療技術で挑戦していくスペシャリティ

ファーマとして、
さらなる
「飛躍」
を目指します。


関連ページ

P. 16 研究開発


創業時の生産風景 現在の生産風景




遺伝子組換え医薬品開発技術 • タンパク質高度精製技術「ウロキナーゼ」 グロウジェクト®注4 U」
( 、「 I )



2 JCR Pharmaceutical Co., Ltd. Annual Report 2016
2015
2010 創立40周年
国産初のバイオ後続品 腎性貧血治療薬

「エポエチンアルファBS注JCR」
販売開始
日本初の他家由来再生医療等製品
「テムセル®HS注」
販売開始



に社名変更
2013 174億円
東証1部上場


グラクソ スミスクライン
・ (GSK)
グループと
バイオ医薬品に関する包括的な契約を締結


米国オサイリス社※とヒト間葉系幹細胞
(MSC)
について技術提携契約を締結




2000 2005 2010 2015(年度)


※2013年オサイリス社がMSCに関する権利を豪州メゾブラスト社に譲渡したことに伴い、当社が保有する権利のライセンサーも同社に変更されています。




新たな技術への挑戦 • 遺伝子治療 • iPS細胞



組織ターゲティング技術 「J-Brain Cargo®」
• 血液脳関門通過技術



細胞治療 再生医療技術
・ • 細胞治療 再生医療に関する技術「テムセル®HS注」
・ ( )




• 遺伝子組換え技術「エポエチンアルファBS注JCR」 • 細胞培養技術
( ) • スケールアップ培養実用化技術


JCR Pharmaceutical Co., Ltd. Annual Report 2016 3
20 1 5 - 1 9 年 度 中期経営計画



40年にわたって培ってきた強みを原動力として、
JCRは新たなステージへ飛躍します。
JCRは、2015年6月に、新たなステージへ向けた
「飛躍」
をキーコ
ンセプトとして、 2015-19年度中期経営計画」
「 を策定しました。
創業以来培ってきた強みを飛躍の原動力として、グローバルで存

在感のある研究開発型企業」
を目指して様々な取り組みを進めて
います。

関連ページ

P.10 トップメッセージ




JCRの強み
(飛躍の原動力)


1. 一歩先をゆく、独自のバイオ技術

2. 挑戦の成果、細胞治療 再生医療技術


3. 研究から製品まで一貫した、開発体制

4. グローバル対応可能な、生産体制

5. 重点領域に特化した、営業体制

6. 迅速な意思決定を可能とする、経営体制

7. 自ら考え、自ら行動する、多才な人財




[JCRの現在の姿]



優れた技術を有する

研究開発型企業
独自のバイオ技術、
細胞治療 再生医療技術





4 JCR Pharmaceutical Co., Ltd. Annual Report 2016
[JCRが目指す姿]



グローバルで
2015-19年度中期経営計画 キーコンセプト 存在感のある
研究開発型企業

飛躍
新たなステージへ向けて飛躍
新たなステージへ向けて飛躍の時

目標達成のための重点項目


1. 一歩先をゆく研究開発の推進

2. 新しい事業展開による企業総合力の強化

3.「営業体制」「製品戦略」
と のさらなる強化

4.「経営基盤」の強化






今後の事業展開
• 独 自の 遺 伝 子 組 換え医 薬 品 開 発 技 術である J - m A b S y s t e m ® 」

2016 「J-MIG System ® 」 J-GlycoM ® 」 J-GlycoS ® 」

「 、
「 を活用し、 ト成長

ホルモン事業、ESA事業、希少疾病領域に新たな製品を投入します。

「テムセル®
• 2016年2月に発売した日本初の他家由来 再生医療等製品
数値目標  HS注」
の価値最大化により、業績の継続的な拡大を図っていきます。
2015年度実績 2019年度目標 • 新しい事業展開として、 「J-Brain Cargo ® 」
血液脳関門通過技術 など、
売上高 174億円 250億円 当社独自技術の国内外へのライセンスビジネスを進めていきます。

営業利益 22億円 50億円 • 世界基準に対応した生産 品質保証体制により創製される自社開発品目

のグローバル展開をパートナー企業とのアライアンスにより推進します。
売上高研究開発費率 19.2% 20%
「テムセル®
• 細胞治療 再生医療技術を新たな研究開発の軸に位置付け、

配当性向 39.2% 40%
 HS注」
に続く再生医療等製品の開発 創出にも取り組んでいきます。



JCR Pharmaceutical Co., Ltd. Annual Report 2016 5
企業理念



様々な疾患で苦しむ患者さんのために、
スペシャ テ フ
リ ィ ァーマとしてチャ ンジを続けます。





基 本理念


JCRファーマ株式会社の企業理念は
「医薬品を通して人々の健康に貢献する」
ことです。
この理念のもとで、時代を先取りした再生医療、遺伝子組換え技術による医薬品の研究開発・
製造 販売を行う企業として、
・ 人々の健康と医療の未来に貢献することを目指します。




信頼 自信 信念
私たちは、法令遵守はもとより、高 私たちは、 界へ通 用する医 薬 品
世 私たちは、 本 理 念のもと、
基 “自ら
い 倫 理 観をもって行 動することに 提供を目標に、独自の視点で研究・ 考え、自ら行動する”を信念として、
より、全てのステークホルダーから 開発を進め、自信をもって品質の高 更なる企業成長を目指します。
信頼される会社を築きます。 い製品と情報を提供します。




6 JCR Pharmaceutical Co., Ltd. Annual Report 2016
Contents

成長の歴史 2

2015-19年度中期経営計画 4

企業理念 6

連結財務ハイライト 8

トップメッセージ 10
取締役、監査役および執行役員 14

研究開発 16

生産体制 22

営業戦略 24

コーポレート ガバナンス
・ 28

CSR活動 30

財務概況/財務諸表 32

会社情報 39



編集方針
「アニュアルレポート2016」
では、 ・
経営 財務情報を中心に、 当社の
事業活動を総合的にご理解いただくため、 CSR活動を含む非財務
情報も加えて年次報告を行っています。
• 対象期間 2015年度
: (2015年4月1日∼2016年3月31日)
※一部、2016年度の内容も含みます。
• 対象組織 JCRファーマグループ
: (JCRファーマ株式会社、連結子会社5社)


見通しに関する注意事項
このアニュアルレポートにおける開発見通し等の将来に関する記述は、当社
が現在得ている情報をもとになされた判断に基づくものであり、既知ある
いは未知のリスクや不確実な要素を含んでいます。実際の結果は、様々な
要因によりこれら将来に関する記述内容とは大きく異なる可能性があるこ
とをご承知ください。そのような要因の例としては、経済情勢の悪化、 ・
法律
行政制度の変化、新製品上市の遅延、競合会社の価格 製品戦略による圧

力、当社製品の販売力の低下、生産中断、当社の知的財産権に対する侵
害、重大な訴訟における不利な判決などがありますが、
これらに限定される
ものではありません。


財務情報に関する詳細
2015年度の財務情報の詳細については、有価証券報告書」
「 をご参照ください。
http://www.jcrpharm.co.jp/ir/




JCR Pharmaceutical Co., Ltd. Annual Report 2016 7
連結財務ハイライト
JCRファーマ株式会社および子会社




単位 百万円



2011年度 2012年度 2013年度 2014年度 2015年度

会計年度

売上高 12,845 14,099 15,705 16,855 17,438

営業利益 1,089 1,150 1,545 2,014 2,152

親会社株主に帰属する当期純利益 633 730 1,296 1,682 1,789

包括利益 664 1,161 1,544 1,936 1,557

研究開発費 1,841 1,991 2,202 3,334 3,348

設備投資額 487 1,494 2,260 1,522 1,237

減価償却費 1,101 979 1 ,111 1,352 1,407

営業活動によるキャッシュ フロー
・ △ 421 1,661 4,565 499 2,201

投資活動によるキャッシュ フロー
・ 1,539 △ 178 △ 2,668 △ 1,419 △ 980

財務活動によるキャッシュ フロー
・ △ 1,065 △ 238 △ 369 △ 1,261 △ 1,314

会計年度末

総資産 28,967 31,286 33,464 34,086 35,346

純資産 22,633 23,496 24,580 26,264 27,062

自己資本 22,535 23,368 24,417 26,101 26,819


単位 円



1株当たり情報

当期純利益
(EPS) 19.75 23.03 40.79 52.85 56.12

純資産 710.82 735.86 768.13 818.64 843.34

配当金 12.00 12.00 17.00 18.50 22.00


財務指標等

自己資本比率
(%) 77.8 74.7 73.0 76.6 75.9

自己資本当期純利益率
(ROE)%)
( 2.8 3.2 5.4 6.6 6.8

配当性向
(%) 60.8 52.1 41.7 35.0 39.2

従業員数
(名) 424 437 472 501 526




8 JCR Pharmaceutical Co., Ltd. Annual Report 2016
売上高 営業利益

(百万円) (百万円)
20,000 2,500

17,438 2,152



10,000 1,250





2011 2012 2013 2014 2015 (年度) 2011 2012 2013 2014 2015 (年度)




親会社株主に帰属する当期純利益 研究開発費

(百万円) (百万円) 3,348
2,000 3,000
1,789



1,000 1,500






2011 2012 2013 2014 2015 (年度) 2011 2012 2013 2014 2015 (年度)




EPSおよびROE 1株当たり配当金
EPS ROE
(円) (%) (円) 22

56.12


6.8%






2011 2012 2013 2014 2015 (年度) 2011 2012 2013 2014 2015 (年度)

EPS ROE




JCR Pharmaceutical Co., Ltd. Annual Report 2016 9
トップメッセージ




JCRは、独自のバイオ技術、
細胞治療 再生医療技術によ
・ り
「グローバルで存在感のある研究開発型企業」
への飛躍に向けて、歩み出しました。

JCRは1975年の創業以来、常にベンチャー精神を持ち続け、

独自の技術開発に取り組むことによって、

「バイオ医薬品のJCR」 して力強く成長を遂げてき した。
と ま

そして2015年には、創立40周年を機に

「グローバルで存在感のある研究開発企業」への飛躍を目指す

「2015-19年度中期経営計画」を策定し、

蓄積してきた様々な技術や経験を原動力として

果敢にチャレンジを続けています。

2015年度は、前期に引き続き過去最高の実績を達成する と
と もに、

日本初となる他家由来再生医療等製品「テムセル® HS注」の上市を実現し、

自社技術のライセンシングビジネスも積極的に展開するなど、

新たなステージへの飛躍を大きく加速する年とな ま
り した。

JCRは今後も、希少疾病用医薬品分野を中心に、

独自のバイオ技術、細胞治療 再生医療技術で


アンメ ト メディ
ッ・ カルニーズ
(未だ満たされていない医療ニーズ)
に応える

画期的な新薬の創製に挑戦するスペシャリティ ァーマと
フ して、

持続的成長を実現していきます。

引き続き、
ご支援ご鞭撻のほど、 し お願い申し上げます。
よろ く



2016年8月
代表取締役会長兼社長




10 JCR Pharmaceutical Co., Ltd. Annual Report 2016
JCR Pharmaceutical Co., Ltd. Annual Report 2016 11
トップメッセージ




2015年度の業績概況 株主還元

主力製品が順調に伸長したことにより、 株主の皆様へ感謝の意を表し、
増収増益となり した。
ま 創立40周年記念配当を実施しました。

 「2015−19年度中期経営計画」の初年度である2015  JCRは、株主の皆様に対する利益の還元を経営上の重
年度の売上高は、174億38百万円
(前期比3.5%増)
となり 要な施策の一つとして位置付けています。2015年度は、
ました。営業利益は21億52百万円
(前期比6.9%増)親会
、 1株当たり2円の創立40周年記念配当を実施し、年間配
社株主に帰属する当期純利益は17億89百万円(前期比 当金を22円としました。その結果、配当性向は39.2%と
6.4%増)
でした。売上高、利益面とも前期に引き続き過去 なり、中期経営計画で公表した目標である40%を概ね達
最高の業績を達成し、 グローバルで存在感のある研究
「 成できました。また、株主還元および資本効率の向上を目
開発型企業」への飛躍に向けて、確かな第一歩を踏み出 的として、2016年2月の取締役会において自己株式取得
すことができました。 の実施を決議しました。2016年6月30日時点で累計取
 この成果は、 2015−19年度中期経営計画」
「 の重点項 得株式数265,500株、取得金額は7億円となっています。
目である 営 業 体 制と製 品 戦 略 のさらなる強 化 」
「 に着 実
に取り組むことで、主力製品が順調に伸長したことにより
新たな成長ドライバーの創出
ます。遺伝子組換え天然型ヒト成長ホルモン製剤「グロウ
ジェクト® 」の売上高は102億22百万円(前期比6.7%増) 世界初 間葉系幹細胞を用いた
へ引き続き大きく伸長しました。遺伝子組換えヒトエリス
移植片対宿主病治療製品を発売しました。
ロポエチン製剤「エポエチンアルファBS注JCR」および尿
由来製品も順調に推移し、主業である医薬品事業の売上
 JCRは、2015年9月に、世界で初めてヒト間葉系幹細胞
高は170億40百万円
(前期比3.6%増)
となり、全売上高に
(MSC)
を利用した造血幹細胞移植後の急性移植片対宿
占める構成比は97.7%となりました。
主病(急性GVHD) 「テムセル ® HS注」
の治療製品として の
製造販売承認を取得し、2016年2月に販売を開始しまし
2015年度 連結業績概要 前期比
た。他家由来の再生医療等製品としては日本初となりま
す。本製品は、従来にない画期的な再生医療等製品であ
売上高
174 億 38 百万円 3.5 % 増
り、新たな成長ドライバーとして収益面に寄与するだけで
なく、企業認知度の向上にも大きく貢献するものと考えて
営業利益
21 億 52 百万円 6.9 % 増 います。 「テムセル ® HS注」 生きた細胞を利用して
また は、
親会社株主に いることから、マイナス130℃以下という特殊な環境で
帰属する
当期純利益
17 億 89 百万円 6.4 % 増 使用直前まで凍結状態を保つ必要があるため、株式会社
メディパルホールディングスと共同で液体窒素を用いた
超低温輸送システムを開発し、臨床現場に安定した品質の
製品をお届けしています。




12 JCR Pharmaceutical Co., Ltd. Annual Report 2016
研究開発の推進

他社よ 「一歩先をゆく」
り 研究開発の 薬効を発揮するため、
これまで治療が困難だった中枢神経
症状を伴う疾病に対して、大きな治療効果が期待できます。
推進を加速しています。
 2016年2月には、ペプチドリーム株式会社と、血液脳関門
通過を可能とするキャリアーとなる特殊環状ペプチドの取得

「2015−19年度中期経営計画」 「一歩先をゆく研究
では、
を目指す共同研究契約を締結しました。 J-Brain Cargo®」

開発の推進」
を最優先すべき重点項目と位置付け、
アンメッ
と、同社の技術を結びつけることによって、中枢神経症状の
ト メディカルニーズに応えるバイオ医薬品、
・ 再生医療等製
ある疾病の治療薬開発にアプローチの幅を広げた取り組み
品の開発を目指して、様々な取り組みを推進しています。
を推進し、新たな医薬品を心待ちにされている患者さんの期
 2015年7月には、 グロウジェクト® 」
「 の液状製剤の製造
待に一日でも早く応えるために、
日々努力を続けています。
販売承認申請を行いました。また、希少疾病であるファブリ
ー病の治療酵素製剤のバイオ後続品「JR-051」の臨床試
験も順調に推移しています。さらに、持続型赤血球造血刺 企業総合力の強化
激因子製剤のバイオ後続品「JR-131」
についても臨床試
験を開始しました。この他、血液脳関門通過技術「J-Brain
事業開発 ライセンシング機能を強化し、

Cargo ® 」
を利用した画期的な新薬であるハンター症候群 グローバル化の拠点づく も進めています。

治療酵素製剤
「JR-141」 バイオ医薬品の血中半減期を
や、
大幅に延長させる新技術を用いた持続型成長ホルモン製  JCRは、 2015−19年度中期経営計画」
「 の重点項目の

「JR-142」
など、様々なテーマの研究開発が順調に進捗 一つに掲げる
「新しい事業展開による企業総合力の強化」
しています。 に向けて、自社技術のライセンシングなどの取り組みを積
  ®
「J-Brain Cargo 」
は高分子から低分子までの薬剤が、脳 極的に進めています。 J-Brain Cargo ® 」
「 のライセンス供
の有するバリア機能
「血液脳関門」
を通過できるようにする、 与を目的としたフィージビリティスタディ※ 契約を、2015
JCR独自の画期的な技術です。当社が実施した実験では、通 年6月に大日本住友製薬株式会社と、同年7月にエーザイ
常の20∼100倍の効率で血液脳関門を通過させることが 株式会社との間で、それぞれ締結しました。今後も本技術
できました。静脈内投与で十分量の薬剤が脳内に到達して をはじめとする自社技術を国内外に提供する事業を強化し
ていきます。さらに、2016年2月に発売し
「テムセル ® HS注」
た に続く新たな再生医
療等製品の開発に向けて、様々な会社と
の強固な協力関係を築いていきます。
 また、2015年11月には、将来的なグ
ローバル化の拠点として、スイスに新たな
現地法人「JCR INTERNATIONAL SA」
を設立しました。同社を通じて、海外での
市場開発に向けた調査や医薬品関連の投
資などの事業活動を進めていきます。

※事業やプロジェクトの実施前に行われる、実現可能性を
検討するための予備的な調査 研究





JCR Pharmaceutical Co., Ltd. Annual Report 2016 13
取締役、監査役および執行役員
2016年6月22日現在




取締役

芦田 信
代表取締役会長兼社長
最高経営責任者 E O)
(C
最高執行責任者
(COO)

1975年 当社設立 代表取締役に就任 (現任)
取締役社長に就任
2005年 取締役会長に就任(現任)
最高経営責任者(CEO)
に就任(現任)
2007年 取締役社長に就任(現任)
最高執行責任者(COO)に就任
(現任)




西野 勝哉
代表取締役 取締役副社長 
社長補佐

1988年 ノボ薬品株式会社
(現ノボノルディスクファーマ株式会社)
入社
1999年 当社入社
2004年 執行役員に就任
2007年 取締役に就任
2008年 経営企画担当
2010年 研究本部長
2012年 常務取締役に就任
2013年 企画本部(現事業開発本部)担当
2014年 代表取締役に就任(現任)
取締役副社長に就任(現任)
社長補佐(現任)




(前列左から)
芦田 信/西野 勝哉(後列左から)
鈴木 龍夫/森田 護/吉元 弘志



吉元 弘志 鈴木 龍夫 森田 護
専務取締役 常務取締役 取締役
生産本部長 信頼性保証本部長兼薬事部長 営業統括

1972年 台糖ファイザー株式会社 1978年 田辺製薬株式会社 1990年 当社入社
(現ファイザー株式会社)入社 (現田辺三菱製薬株式会社) 入社 2006年 営業本部 西日本営業部長 兼
1999年 同社名古屋工場基礎生産工場工場長 2005年 同社薬制薬事室部長 九州エリアマネージャー
2003年 同社名古屋工場原薬製造統括部長 2007年 株式会社UMNファーマ 薬事部長 2014年 営業本部長
2011年 当社入社 2008年 当社入社 執行役員に就任
生産本部長(現任) 薬事部長(現任) 2016年 営業統括(現任)
執行役員に就任 2009年 執行役員に就任 取締役に就任(現任)
2012年 取締役に就任 信頼性保証本部長(現任)
2014年 常務取締役に就任 2011年 取締役に就任
2016年 専務取締役に就任(現任) 2016年 常務取締役に就任(現任)




執行役員

冨尾 貞治 江川 貴代 芦田 透 平戸 徹
執行役員 執行役員 執行役員 執行役員
開発本部長 事業開発本部長兼国際事業部長 社長室長 研究本部長



大西 嘉彦 本多 裕 葉口 明宏
執行役員 執行役員 執行役員
営業本部長 経営企画本部長 経理部長




14 JCR Pharmaceutical Co., Ltd. Annual Report 2016
フィリ ・
ップ フォシェ 小林 俊
社外取締役 社外取締役

1996年 サノフィS. A.
(仏)入社 1967年 日本生命保険相互会社入社
2001年 サノフィ サンテラボ株式会社
・ 1993年 同社取締役関連事業部長
(現サノフィ株式会社) 1994年 新星和不動産株式会社(現大林新星和
代表取締役社長 不動産株式会社)専務取締役
2005年 サノフィ アベンティス株式会社
・ 1996年 日本生命保険相互会社常務取締役
(現サノフィ株式会社) 代表取締役社長 1999年 ニッセイ情報テクノロジー株式会社
2010年 グラクソ スミスクライン株式会社
・ 代表取締役社長
代表取締役社長 (現任) 2006年 株式会社ニッセイ基礎研究所
2013年 当社取締役に就任 (現任) 代表取締役会長
2009年 ニッセイ情報テクノロジー株式会社
代表取締役会長
2009年 川崎汽船株式会社社外取締役
2014年 当社取締役に就任(現任)


石切山 俊博 菊池 加奈子
社外取締役 社外取締役

1996年 ヘキス ・
ト マリオン ルセル株式会社
・ 2002年 ボシュ&ロム インコーポレーテッ (米ニューヨーク
・ ド
経営企画部長 およびフロリダ)グローバルストラテジー ディレクター
2002年 グラクソ スミスクライン
・ 2004年 ノバルティスファーマ株式会社入社
株式会社入社 眼科事業部事業部長
2002年 同社取締役経営企画本部長 2006年 同社OTC事業部事業部長
2005年 同社取締役財務本部長兼 2010年 同社オンコロジー事業部サイエンティフィ ック
事業開発担当役員 アフェアーズ統括部統括部長
2008年 同社常務取締役 2012年 同社オンコロジー事業本部 
2012年 同社常務取締役兼 固形腫瘍領域事業部事業部長
ワクチン事業推進本部本部長 2013年 グラクソ スミスクライン株式会社入社

ジャパンワクチン株式会社 執行役員経営戦略部門部門長
代表取締役会長 2014年 同社取締役経営戦略部門部門長
2014年 同社代表取締役社長 2015年 同社取締役経営戦略 マルチチャネル担当

2015年 当社取締役に就任 (現任) 当社取締役に就任 (現任)
2016年 グラクソ スミスクライン株式会社

(左から)
菊池 加奈子/石切山 俊博/フィ ップ フォシェ/小林 俊
リ ・ 常務取締役経営戦略 マーケティング
・ ・
マルチチャネル担当 (現任)

監査役

大泉 和正 山田 一彦
常勤社外監査役 社外監査役

1992年 日本生命保険相互会社 1996年 和田山税務署長
宇都宮支社長 1999年 大阪国税局課税第二部
1997年 同社日本橋総支社長 法人税課長
2001年 同社首都圏代理店第四部長 2001年 東税務署長
2002年 綜合警備保障株式会社 2002年 山田一彦税理士事務所所長
常勤監査役 (現任)
2009年 同社執行役員 2006年 当社仮監査役に選任
2013年 当社監査役に就任
(現任) 当社監査役に就任(現任)


宮武 健次郎 末綱 隆
社外監査役 社外監査役

1981年 大日本製薬株式会社 1974年 警察庁入庁
(現大日本住友製薬株式会社) 1994年 高知県警察本部長
取締役 1997年 警察庁長官官房会計課長
1999年 同社代表取締役社長 2001年 警察庁長官官房首席監察官
2005年 大日本住友製薬株式会社 2002年 神奈川県警察本部長
代表取締役社長 2004年 警視庁副総監
2008年 同社代表取締役会長 2005年 宮内庁東宮侍従長
2011年 日本毛織株式会社 2009年 特命全権大使 ルクセンブルク国駐箚
社外取締役
(現任) 2012年 同上退官
大日本住友製薬株式会社相談役 2013年 丸紅株式会社社外監査役(現任)
2013年 当社監査役に就任(現任) 2015年 東鉄工業株式会社社外取締役 (現任)
2015年 神戸薬科大学理事長に就任 (現任) 2016年 株式会社関電工社外監査役 (現任)
(前列)
大泉 和正(後列左から)
山田 一彦/宮武 健次郎/末綱 隆 当社監査役に就任(現任)




JCR Pharmaceutical Co., Ltd. Annual Report 2016 15
研究開発




RD
esearch
&
evelopment


JCR独自の技術を活かして
希少疾病用医薬品の研究開発を加速します。
創業当初から蓄積してきたバイオ医薬品に対する研究開発の豊富な経験や、
研究者の自由な発想によ 当社はい つもの独自技術を生み出してき した。
り、 く ま
それらを活用し、
日本発 世界初の
・ 「新薬」の創出に挑戦します。




■ J-Brain Cargo ®
(血液脳関門通過技術)

「J-Brain Cargo®」 静脈内に投与したタンパク質など
  は、 「J-Brain Cargo®」 脳毛細血管の内皮細胞表面に発現
  は、
の高分子薬剤を脳内に届けることができる画期的な技術 しているレセプターを介することで、目的とする薬 剤 の
です。脳毛細血管では、密着帯(タイトジャンクション)
と呼 BBB通過を実現する技術です。低分子化合物から酵素や
ばれる細胞間の接着構造が発達しており、血管内腔と脳 抗体などのタンパク質まで、様々な医薬品へ応用できる可
実質組織の間での物質交換を厳密に制限しています。こ 能性を秘めています。
れが血液脳関門(BBB)と呼ばれるものであり、血液中の  当社は、ライソゾ ー ム 病 の 治 療 薬 として J - B r a i n

有害な物質が脳内に入らないように保護する役割を担っ Cargo ®」
を適用したBBB通過型酵素製剤の研究開発を順
ています。このため多くの薬剤が脳内に達することができ 次進めており、最初の開発品目としてBBB通過型ハンター
ず、有用な作用機序を有しているにも関わらず、BBBを通 症候群治療酵素製剤
「JR-141」
を最重要テーマとして進め
過できないために実用化できない候補化合物が数多く存 「J-Brain Cargo®」
ています。
( の技術ライセンシングについ
在しています。 てはP.20
「パートナリング」
参照)




16 JCR Pharmaceutical Co., Ltd. Annual Report 2016
J-Brain Cargo®
血液脳関門(BBB)により多くの薬
血管 剤は単独では脳内に到達すること
薬 剤 ができません。 J-Brain Cargo®」

薬剤のみ +
は、内皮細胞表面に発現している
J-Brain
レセプターを介し、目的とする物
Cargo ® 血管内皮細胞
質のBBB通過を可能にする技術
です。低分子化合物を含め、様々
な医薬品へ応用できる可能性を
脳内 秘めています。


低分子から酵素、抗体といった高分子まで応用可能


中枢神経疾患へ適応できる可能性大

サル試験
(脳断面IVISイメージング解析) Epi-fluorescence


J-Brain Cargo® Control
1.5




1.0
x109




0.5




Radiant Efficiency
P/sec/cm2/sr
Controlと比較して、脳に薬剤が届いていることが明らかに示されています。 (        )
μW/cm2

Color Scale
Min=9.00e7
Max=1.75e9




■ 改変型アルブミンを用いた持続型技術
 バイオ医薬品の血中半減期を延長させることで、効果 で同等の薬効を得ることができました。
の持続時間を延長させる技術です。本技術は、免疫グロブ  本技術についても、当社の自社開発品と技術ライセンシ
リンG
(IgG)
の分解抑制に関わるneonatal Fc receptor ングの両面で最大化をすることを検討しています。
(FcRn)
を介したリサイクリング機構を利用したものであ
持続型成長ホルモン製剤 サル試験
(血中動態)
り、ターゲットとするバイオ医薬品にアルブミンを融合させ
100,000
ることにより、血中半減期を延長させます。 JCR改変アルブミン‒ GH融合タンパク
(4mg/kg)
Plasma concentration (ng/mL)




10,000
 当社では、独自の改変型アルブミンを用いており、通常
のアルブミンと融合させた場合に比べて著しく血中半減期 1,000


が延長されることを確認しています。まずは当社の主力製 100
hGH
品である成長ホルモンに本技術を適用し「JR-142」、
( )野 (0.3mg/kg)

野生型アルブミン- GH融合タンパク
生型アルブミンに比べてさらに長い血中半減期を達成し (4mg/kg)

たことに加え、従来通り毎日投与した場合に比べて、低用量 0 1 2 3 4 5 6 7 8 9
Time after administration (days)




JCR Pharmaceutical Co., Ltd. Annual Report 2016 17
研 究開 発




■ J-mAb System ®
 一般的に、膜タンパク質、
とくに複数回膜貫通型やサブ
ユニット構成型に対する高親和性抗体の作製は難しく、通
常の方法で取得した抗体の多くは、細胞膜上に発現してい
る天然構造の膜タンパク質を十分認識できないなどの課
題があります。
 当社では、 「J-MIG System®」最適化
遺伝子高発現技術 、
された免疫プロトコール、さらに独自開発したハイスルー
プット抗体スクリーニング技術などを組み合わせることで、
免疫原性の弱い膜タンパク抗原に対しても非常に高い親
和性と特異性を有する抗体の創製を可能とする
「J-mAb
System®」
を確立しました。



■ J-MIG System ®
 CHO細胞に導入した目的遺伝子を選択的に強く増幅
させ、遺伝子組換えタンパク質を効率よく発現させる技術
です。当社は、CHO細胞を宿主とする遺伝子組み換え医
薬品を複数開発するなかで、この高発現技術を構築して
きました。薬剤耐性遺伝子とともに、目的遺伝子とGS遺伝
子を改変型内部リボソーム進入部位(modified-IRES)
で 適用することにより、マクロファージなどの網内系組織へ
連結させた新規発現ベクターシステムであるmodified- 標的化が可能となり、ゴーシェ病治療用酵素のグルコセレ
IRES-GS系により、高い薬剤選択圧、ならびに外部導入し ブロシダーゼなどへの適用を考えています。
たGS遺伝子を優位に遺伝子増幅させることが可能となり 「J-GlycoS®」 培地成分として、
  は、 ヘキソサミン生合成系
ました。 ならびにシアル酸付加に関わる複数の生体内物質を添加
 本技術は、2014年9月に米国で開催された IBC’ 10th
s することにより、無血清培養で高度にシアル酸修飾された
Annual Cell Line Development & Engineeringにおい 糖タンパク質を発現させる技術です。
て、1st-prizeを獲得しました。

■ 疾患領域ごとの製品への展開
■ J-GlycoM ® /J-GlycoS ®  事業ポートフォリオの観点から、当社既存製品の疾患領
 分泌タンパク質の多くが、構成するアミノ酸の一部に糖 域、さらには当社の使命と考える難病 希少疾病領域に製

の鎖
「糖鎖」
が結合したもの
(糖タンパク質)
であり、糖鎖は 品を投入していきます。研究開発についても、当該方針に
生体の各種機能において重要な役割を果たします。当社で 沿って進めていきます。
は、 「J-GlycoM®」
目的の糖鎖構造を得るための技術として  主力の成長ホルモン事業においては、昨年より、前述の
「J-GlycoS®」
ならびに を有しています。 持続化技術を適用した成長ホルモン製剤「JR-142」の開
「J-GlycoM®」 昆虫由来の糖鎖トリミング酵素遺伝子
  は、 発に着手し、2017年度の臨床試験入りを見据えた研究開
をCHO細胞に導入することで、全ての糖鎖が高マンノース 発を進めています。ESA事業においては、次世代薬である
型となった糖タンパク質を発現させる技術です。本技術を ダルベポエチンアルファのバイオ後続品
「JR-131」
の研究



18 JCR Pharmaceutical Co., Ltd. Annual Report 2016
開発を進めています。ダルベポエチンアルファの複雑な
糖鎖構造を、独自の糖鎖コントロール技術を適用すること
で再現し、エポエチンアルファBS注JCR」
「 の開発で培った
経験を、製法構築(スケールアップ) 非臨床試験および治

験に生かし、開発を進めています。
 難病 希少疾病の分野では、
・ 従来から取り組んできたラ
イソゾーム病の領域での研究開発に取り組んでいます。現
在、
ファブリー病の治療酵素であるα-GAL-A
「JR-051」

ついて、バイオ後続品として開発を進めており、臨床Ⅱ/Ⅲ相 ヒト間葉系幹細胞(MSC)

試験を実施中です。また、 JR-051」
「 に続いて、 J-Brain

Cargo ®( 血液脳関門通過技術)
」 の項で述べたBBB通過 遺伝子組換え医薬品に加えてもう一つの研究開発の軸と

型ハンター症候群治療酵素「JR-141」の開発を鋭意進め 位置付けています。

ています。  製造方法をGMP下での商業生産まで構築した経験をも
とに、より効率的な細胞培養技術など、当社の強みを生か
した展開を行っています。
■ 細胞治療 再生医療技術の展開

「テムセル ® HS注」
 骨髄由来の細胞である の薬理作用に
 長年にわたって細胞培養技術に取り組み、細胞治療 再生
・ 着目した新たな適応症の探索に加え、テムセル ® HS注」
「 に
医療技術のノウハウを蓄積してきました。その成果の一つと 続く、新たな細胞治療 再生医療等製品の研究開発にも取

®
して国内初の他家由来再生医療等製品「テムセル HS注」 り組んでいます。その一つとして歯髄由来幹細胞
(DPC)

の開発 上市に成功しました。
・ 当社は、本領域の先駆者と 取り組み、細胞培養技術面での強みをもとに、細胞が持つ
して研究開発を積極的に展開していく使命があると考え あらゆる機能に注目し、広範囲な疾患領域での可能性を探
ます。そのため、細胞治療 再生医療技術の研究開発を、
・ っていきます。



疾患領域ごとの製品への展開


成長ホルモン事業

JR-142

持続型
グロウジェクト®
成長ホルモン製剤

剤型追加 液状製剤
: 2017年度臨床入り予定
2017年発売予定




ESA※事業 希少疾病領域 J-Brain Cargo®
JR-131 JR-051 JR-141

ダルべポエチン α-GAL-A BBB通過型
エポエチンアルファ
バイオ後続品 ハンター症候群
BS注 バイオ後続品
(ファブリー病) 治療酵素製剤

2018年度申請予定 2017年度申請予定 2016年度臨床入り予定


※ESA(Erythropoiesis-stimulating agent) 赤血球造血刺激因子製剤





JCR Pharmaceutical Co., Ltd. Annual Report 2016 19
研究開発




■ パートナリング ■ 研究開発体制
 当社は、生み出された革新技術を、自社の開発品目に  バイオ医薬品開発のための基礎研究から開発研究、医薬
生かすだけでなく、技術としてのライセンス供与について 品の製造技術開発、さらには細胞治療 再生医療技術の研

も新しいビジネスモデルとして推進しています。 J-Brain
「 究開発を担当する研究本部と臨床開発を担当する開発本
®
Cargo 」
に関して、大日本住友製薬株式会社およびエー 部が有機的に連携をとることで、スピード感のある研究開
ザイ株式会社とライセンス供与を目的としたフィージビ 発を行っています。

リティスタディ 契 約を締 結しました。また、 年 2 月に

開発本部 先端医療開発部
は、ペプチドリーム株式会社との間で、BBB通過を可能と
臨床開発部
するキャリアーとしての特殊環状ペプチドの創製を目的と
した共 同 研 究 契 約を締 結しました。また、 期 経 営 計 画
中 開発業務部

ビジョン
「独自のバイオ技術、細胞治療 再生医療技術によ
・ 研究本部
り、グローバルで存在感のある研究開発型企業」
を達成す
創薬基盤研究所 基礎探索第1グループ
るべく、技術ライセンシングおよび自社創製品の導出の
両面において、海外展開に挑戦していきます。海外展開に 基礎探索第2グループ

関して は 、 年 1 1 月にスイスに 設 立した 子 会 社 J C R
昨 「 薬理安全性グループ
INTERNATIONAL SA」
を活用します。海外への製品供 細胞医療グループ
給を見据え、当社は世界基準の品質保証体制を既に確立
生産技術開発研究所 バイオプロセスグループ
しています
(P.22
「生産体制」
参照)

分析グループ
※事業やプロジェクトの実施前に行われる、実現可能性を検討するための予備的な
調査 研究

製剤開発グループ

研究管理部 信頼性保証室

品質保証室

申請準備室


アライアンスの強化 ライセンスアウ
・ トの戦略的活用

グローバルで存在感のある研究開発型企業
国 内 海 外
製品化 販売
・ ライセンス事業 ライセンス事業 製品供給
積極的な営業展開 国内企業への 海外企業への 開発品目の
積極的な技術導出 積極的な技術導出 グローバル展開
パートナーとの連携




新しい事業展開 アライアンス活用

・J-Brain Cargo® ・J-mAb System® ・J-MIG System®
開発品目 JCRの技術 ・J-GlycoS® ・J-GlycoM®


世界基準に対応した生産 品質保証体制



20 JCR Pharmaceutical Co., Ltd. Annual Report 2016
 2016年4月1日には、研究を進めるうえでの意思決定を
迅速化し、研究開発のさらなるスピードアップを図ることを
目的として研究本部を再編し、創薬基盤研究所」
「 および
「生
産技術開発研究所」
の2つの研究所を設置しました。



■ 研究拠点の充実化
 当社の開発をさらに加速する目的で、研究本部内に治験
薬 製 造 センタ ー C T M C C l i n i c a l T r i a l M a t e r i a l
( :
Manufacturing Center)
を設置し、2016年4月27日に
竣工しました。CTMCではディスポーザブル培養槽などシ
ングルユース技術を用いた機器を導入し、BBB通過型ハン
研究所(兵庫県神戸市)
ター症候群治療酵素製剤「JR-141」の治験薬を皮切りに、
順次開発品目の治験薬製造を予定しています。
 セルプロセッシングセンター(CPC Cell Processing

Center)
についても、CTMCと同日に竣工しました。 テム

セル ® HS注」
に続く、細胞治療 再生医療等製品の治験薬

等を製造する専用施設です。CPCの稼働によって新たな
再生医療等製品の開発を加速し、細胞治療 再生医療領

CTMC/CPC
(兵庫県神戸市)
域のプレゼンス確立を目指します。



■ 主な開発品目の進捗(2016年8月現在)

開発番号 開発品目 適応症等 前臨床 臨床試験 申請 承認 備考


遺伝子組換え ファブリー病 酵素補充療法
JR-051 α-GAL-A (ライソゾーム病)
臨床第Ⅱ/Ⅲ相試験
GSKグループと共同開発


遺伝子組換え キッセイ薬品工業
(株)

JR-131 ダルベポエチン
腎性貧血 臨床第Ⅲ相試験
共同開発


遺伝子組換え
JR-041 卵胞刺激ホルモン
不妊治療 臨床第 /Ⅱ相試験
Ⅰ あすか製薬
(株)
に導出



遺伝子組換え ハンター症候群 臨床試験 酵素補充療法
JR-032 IDS (ライソゾーム病) 準備中 GSKグループと共同開発


遺伝子組換え ゴーシェ病 酵素補充療法
JR-101 GBA (ライソゾーム病)
前臨床
J-GlycoM®


BBB通過型 ハンター症候群 酵素補充療法
JR-141 遺伝子組換えIDS (ライソゾーム病)
前臨床
J-Brain Cargo®


持続型遺伝子組換え 成長障害 持続型GH製剤
JR-142 ソマトロピン
前臨床
J-MIG System®




JCR Pharmaceutical Co., Ltd. Annual Report 2016 21
生 産体 制




高品質の医薬品を安定供給するこ を使命と

既存製品に加えて、
と して ―。
り、
今後の研究開発の発展や事業の展開に対応し、
これまで培った生産 品質保証体制のも 最新の技術を導入するなど、
・ と、
PS
JCRの取り扱う製品は尿由来医薬品原体に始ま バイオ医薬品から再生医療等製品まで多岐の領域に亘り


継続的な発展を目指します。
ます。
oduction
ystem




■ 生産体制への取り組み
 「医薬品を通して人々の健康に貢献するため、開発から を導入しています。ディスポーザブル(使い捨て)
バッグを
生産 流通まで、
・ 全ての段階において品質を重視し、世界の 用いることで、培養ごとにタンク内を洗浄する必要がなく、
人々に高品質の医薬品を提供する」
を品質方針に掲げ、安 効率的に希少疾病医薬品などの少量 多品目の医薬品原

定供給および品質確保に努めています。当社は現在、神戸 薬を生産することが可能となります。また、動物由来成分
市西区に西神工場、神戸工場、室谷工場、神戸原薬工場の を使用しない完全無血清培養技術で製造するなど、独自の
4カ所の生産拠点を有しており、原薬から製剤まで一貫し 生産プラットフォームを確立しています。
た製造を行っています。  さらに、将来のグローバル展開を見据えて神戸原薬工場
 医薬品の製造および品質管理基準
(GMP)
をはじめとす は2013年6月に世界基準の生産 品質保証体制を確立し

る関係法令 規制要求事項を遵守し、
・ 適切な製造管理 品質
・ ました。今後も、高品質でより有用な医薬品を安定的かつ
管理下で製造を行っています。 タイムリーに供給するために、技術の研鑽と情報収集に励
 原薬製造においては、
シングルユース技術を用いた設備 み、生産体制の維持 向上を進めていきます。

(ディスポーザブル培養器など)
を採用するなど、最新技術




22 JCR Pharmaceutical Co., Ltd. Annual Report 2016
■ 生産拠点

西神工場(尿由来医薬品原体 再生医療等製品 医療機器)
・ ・

 尿由来医薬品原体のウロキナーゼ、
ウリナスタチンおよびロイコプ
ロールを、中国子会社より輸入した粗原料を使用し、 ・
濃縮 精製するこ
とで製造しています。ここで培われた精製技術が、JCRの礎を築きま
した。
「テムセル ® HS注」 国内最大規模の細胞培養設
 再生医療等製品 は、
備を用い、全工程で厳密な無菌作業を行うことによって、 ト間葉系幹

細胞
(MSC)
を分離 拡大培養して製造を行っています。

「グロウジェク ® 」
 医療機器は ト の針無し注入器「ツインジェクター ®
EZ Ⅱ」の検査 包装と、
・ 子会社が販売している乳幼児呼吸モニター
「ベビーセンス」
の検査 包装を行っています。



神戸工場(製剤)

 JCRが販売している医薬品「グロウジェクト® 」 エポエチンアル
( 、

ファBS注JCR」
など)
の製剤化は、全て神戸工場で行っています。敷地
内に二つの建屋があり、バイアル製剤、凍結乾燥製剤、そしてプレフィ
ルドシリンジ製剤の製造を行っています。
 凍結乾燥製剤は、一つのシリンジに凍結乾燥した薬剤と溶解液を
区分充填する、高度な技術を使用したダブルチャンバータイプの
カートリッジ製剤とバイアル製剤の両方を製造しています。




室谷工場(原薬)

 自社 開 発したC H O 細 胞を培 養し、 度 な 精 製 技 術を駆 使して

エリスロポエチン原薬を製造しており、JCRにおけるバイオ医薬品の
原薬工場第1号となります。 エポエチンアルファBS注JCR」
「 の売上
が順調に伸展し、一定水準を確保していることから、2015年に新規
培養装置を導入のうえ、稼働を開始し、増産体制を整えて安定供給
に努めています。




神戸原薬工場(原薬)

  J C R の 製 品をグローバ ルに展 開することを想 定して設 計され、
2013年6月に竣工しました。世界基準の生産 品質保証体制を確立し

ており、シングルユース技術を用いた設備
(ディスポーザブル培養器
等)
を導入している最先端の原薬工場です。現在開発中の、JR-051」

(ファブリー病治療薬)「JR-131」 ダルベポエチンバイオ後続品)
や (
などの治験薬の製造を行っており、将来の商業生産も行います。




JCR Pharmaceutical Co., Ltd. Annual Report 2016 23
営 業戦 略




当社重点領域に特化した
営業体制と製品戦略のさらなる強化を図り
強化を図ります。
M
適正使用の推進と次世代品開発の両面から主力製品を販売する強固な営業体制を整え、
医療経済の変化に対応しながら、患者さんと医療従事者との
arketing


さらなる信頼関係構築の支え なる う 情報提供 情報収集を行っていき
と よ な、 ・ ます。 本社 事務所





■ 全国8拠点で営業活動を実施
  J C R は 、 営 業 部 1 4 エリア 体 制とし、 8 0 名 の M R
3 約
(Medical Representative 医薬情報担当者)
: での営業 東日本営業部
体制を展開しています。全国8拠点で効率的な地域密着 中日本営業部
型 のエリアマーケット戦 略に基づき営 業 活 動を展 開し、
西日本営業部
各 地 域における医 療 従 事 者 のニーズに合った情 報 提 供
ESA営業推進部
活動を行い、地域単位での確固たる販売基盤の確立を目指
営業本部
します。持続的な成長を支える基盤として、将来的な新剤 先端医療営業部
型、新規適応症、注入器の発売に向け、患者さんのQOL 物流管理部
(Quality of Life 生活の質)
: の向上を第一に考え、
さらなる
営業業務部
情報提供活動の拡大に努めます。
マーケティング部




24 JCR Pharmaceutical Co., Ltd. Annual Report 2016
遺伝子組換え天然型ヒト成長ホルモン製剤

グロウジェク ®


「グロウジェク ® 」 1993年に製造販売承認を取得し
  ト は、
たJCRの主力製品です。体の成長と発達を調節する成長ホ
ルモンの不足による低身長などの症状を改善します。発売
以来、常に高品質な製品の安定供給に努めるとともに、臨
床試験を継続して実施し、グロウジェク ®」
「 ト の新たな効能
追加の取得に向けた可能性を広げ、製品価値の最大化を
図っています。
 成長ホルモン治療は、患者さん自らがほぼ毎日自宅で投
与する在宅注射が必要となります。子どもの患者さんが非
常に多く、
まだ自分自身で投与できない場合にはご家族の方
などが注射することになります。JCRは、信頼していただける
薬剤の提供はもとより、
より患者さんが使いやすい注入器を
提供することが重要と考えています。患者さんのニーズに合
わせて3タイプの注入器をラインナップしており、その中で

「自動溶解 自動刺針 自動注入 自動抜針」
・ ・ ・ 機能を搭載した
「グロウジェクター® 2」 好評を得ています。
電動式注入器 は、
 2015年度の売上高は、102億22百万円(前期比6.7%
増)
へと伸長し、過去最高の市場シェア18.2%を獲得しまし
た。2016年度中には液状製剤の上市を予定しており、さら
に今後も患者さんの視点に立った新しい注入器や剤型の開
発による付加価値の向上に努めるとともに、戦略的かつ組
織的な営業活動を積極的に展開し、市場シェアのさらなる
拡大を図っていきます。

【適応症】•成長ホルモン分泌不全性低身長症
(GHD)
•ターナー症候群における低身長症
(TS)
•成人成長ホルモン分泌不全症
(AGHD)
•SGA性低身長症
「グロウジェクト® 」専用注入器


ラインナップ(写真右から)
■ 2015年度 売上高
「グロウジェクター® 2」
•電動式注入器
「ツインジェクター®EZ Ⅱ」


102 億 22 百万円
•針なし圧力注入器
「BDペンジェクター®3」
•マニュアル注入器




前期比



6.7%
JCR Pharmaceutical Co., Ltd. Annual Report 2016 25
営 業戦 略




バイオ後続品とは

新有効成分含有医薬品として承
認されたバイオテクノロジー応用
医薬品
(先行バイオ医薬品)
と同
等/同質の品質、安全性、有効
性を有する医薬品です。承認申
請には、低分子のジェネリック医
薬品とは異なり、新薬開発に準
ずる臨床試験が必要となります。


遺伝子組換えヒトエリスロポエチン製剤

エポエチンアルファBS注「JCR」

 2010年5月に発売した腎性貧血治療薬
「エポエチンアル
ファBS注JCR」 JCRの完全無血清培養技術や独自のバ
は、
イオ技術を活かして開発しました。人工透析を受けられてい
る慢性腎不全の患者さんの貧血症状を改善します。また、
本製品は、JCRとキッセイ薬品工業株式会社(キッセイ薬
品)
と共同開発を行い、新薬並みの臨床試験実施により先
行バイオ医薬品との同等性 同質性が認められ、
・ 国産初の
バイオ後続品として承認を取得しました。現在、国内ではキ
ッセイ薬品とコ プロモーションによる販売を行っています。

 2015年度の売上高は、36億38百万円
(前期比1.0%増)
となり、短期作用型エリスロポエチン製剤市場における国 【適応症】•透析施行中の腎性貧血
内シェアは50%を超えています。効果ならびに品質面にお •未熟児貧血
ける同等性の認知が浸透するとともに、包括医療制度が実
施されている透析医療分野における経済性が注目され、 ■ 2015年度 売上高



36億 38 百万円
バイオ後続品のニーズがさらに高まったことにより、順調に
売上を伸ばし、当社の主力製品となりました。さらに、透析
に関連する貧血治療薬領域でのプレゼンスを確立するべ
前期比
く、長期作用型製剤ダルベポエチンアルファのバイオ後続

「JR-131」
ており、
について、現在キッセイ薬品と共同開発を行っ
2019年度中の市場投入を目指しています。
 今後も、これまでの品質面での高い評価を礎として、質
1.0%
の高い医薬情報提供活動を展開していくことによって、さ
らなる市場浸透を図っていきます。



26 JCR Pharmaceutical Co., Ltd. Annual Report 2016
間葉系幹細胞を用いた移植片対宿主病治療製品 「テムセル®HS注」 健康な成人から採取した骨髄液より
  は、
世界初
テムセル ®HS注 ヒト間葉系幹細胞(MSC)
を分離 拡大培養し、
・ その細胞自
体が有する能力を利用して疾病を治療するという画期的

「テムセル®HS注」 世界で初めて間葉系幹細胞を用い
  は、 な製品です。

た造血幹細胞移植後に発症する重篤な合併症である急性  他家細胞であるにもかかわらずMSC自体の免疫原性が

移植片対宿主病
(急性GVHD)
の治療製品として、2015年 弱いため、通常の医薬品と同様に、必要とされる患者さん

9月に日本初の他家由来の再生医療等製品として製造販 に広く投与できるという利点があり、免疫抑制剤やステロ

売承認を取得し、2016年2月から発売しました。 イドの継続投与が中心の急性GVHDの治療における新た
な選択肢となることが期待されています。
 従来にない細胞を使用した製品であることから、医療従
事者向けのWebサイトを開設するなど、情報提供に注力
しています。
「テムセル ®HS注」 品質保持のため超低温下での
 また は、
流通が必要であるため、株式会社メディパルホールディン
グスと共同開発した超低温輸送システムを運用すること
で、緊急時にも安定した品質の製品を速やかに全国の医療
機関にお届けしています。

【適応症】造血幹細胞移植後の急性移植片対宿主病


「テムセル®HS注」
■ の特性



骨髄由来
低免疫原性
間葉系幹細胞
造血幹細胞移植後の予後を左右する
移植関連合併症の一つで、移植され
た造血幹細胞に含まれる免疫担当細 細胞性免疫を
細胞遊走能

(リンパ球など) 患者さんの身体
が、 抑制的に調整
急性移植片 を異物とみなして攻撃する疾患です。
造血幹細胞移植を受けた患者さんの
受けた患者さんの
対宿主病
約3割
(年間約1,200人)
が発症すると
0人)
(急性GVHD)
とは
考えられています。当社推計)

(当社推計)




株式会社メディパルホールディングスと共同で 超低温保管 輸送カート

SDDU
液体窒素を用いた超低温輸送システムを開発 (Specialty Drug Distribution Unit)




神戸物流センター(神戸市西区) :    メディパルグループの物流センター




JCR Pharmaceutical Co., Ltd. Annual Report 2016 27
コーポレート ガバナンス





■ 基本的な考え方 プライアンス委員会を設置しています。また業務執行体制と
しては執行役員制度を導入しており、経営と執行の分離を進
 当社グループでは、良質でより有用な医薬品・医療用機
めています。ガバナンスの構成としては、当社の現状で業態
器を社会に提供するため、経営の適法性、透明性、そして客
に即した適切な規模であり、効率的な経営が可能と考えてい
観性を高めることを目指し、さらに企業価値を高めることと
ます。また、社外取締役4名、社外監査役4名を含んだ現状の
同時に、株主の利益保護を担保する体制を構築することが
ガバナンス体制は、経営の透明性、客観性(公平性)
および
重要であると考えています。そのため有効な内部統制シス
経営監視の独立性確保に有効であると判断しています。
テムの整備 運用を確保し、
・ その有効性の評価を自ら行い、
企業としての社会的責任を果たすべく努力していきます。
■ 会社の機関の内容
 コンプライアンスについては、法令、グローバルスタン
ダード、業界の各種規範などを遵守するとともに、高い倫理 取締役会
観を醸成する企業風土を日々の企業活動のなかで育むこ  取締役会は取締役9名で構成され、定時取締役会を原則
とが重要であると認識しています。 として毎月1回開催するほか、必要に応じて臨時取締役会
を開催して、法令の事項はもとより、当社の経営に関する重

■ 企業統治の体制の概要 要事項を取締役会によって決定しています。
 なお、当社の取締役は9名以内とする旨、および取締役
 当社は、監査役会設置会社の形態のもとで、社外取締役4
の選任決議は、議決権を行使することができる株主の議決
名を含む9名で構成される取締役会、社外監査役4名で構成
権の3分の1以上を有する株主が出席し、その議決権の過
される監査役会および会計監査人を設置しています。
半数をもって行う旨を定款で定めています。また、取締役
 これらの機関のほかに経営統括委員会、 ・
指名 報酬等諮問
の選任決議は累積投票によらないものとしています。
委員会、経営会議、内部監査部、内部統制委員会およびコン



コーポレート ガバナンス体制図(2016年6月22日現在)



株 主 総 会
選任 解任
・ 選任 解任


監査 諮問
監査役会 取 締 役 会 指名 報酬等

意見・ 諮問委員会
指示 監督
・ 報告 付議

評価
報告
内部
監査部 代表取締役社長
指示
経 営 会 議
経営統括委員会
報告

指示 報告 監督 レビュー
・ 報告
内部監査

執行役員 各社内委員会
監査
内部統制 指示
会計監査人 報告 • コンプライアンス委員会
委員会 点検・
各業務執行部門 • 安全衛生委員会
評価




28 JCR Pharmaceutical Co., Ltd. Annual Report 2016
経営統括委員会 内部統制委員会
 代表取締役および役付取締役で構成しています。経営方  担当執行役員 経理部 人事総務部 内部監査部などで組
・ ・ ・
針 経営戦略など、
・ 経営に関する重要事項は、原則経営会議 織しています。監査役などとの意見交換ならびに報告を適
において審議 決定を行いますが、
・ 案件に応じて機動的に 宜行い、さらに自己点検プロセスによる内部統制報告の有
対応する会議体として運営しています。 効性に関し、会計監査人の適正財務報告を確保しています。

指名 報酬等諮問委員会

■ コンプライアンス
 社内取締役1名、独立社外取締役2名、独立社外監査役
(常勤)
1名で構成され、取締役及び執行役員ならびに監査 コンプライアンス委員会
役の指名 報酬についての重要事項および取締役会の実
・  当社は、社内規範と企業倫理に沿った経営ならびに法令
効性評価に関する意見などを述べています。 順守を実践するための組織としてコンプライアンス委員会
を設置しています。当委員会は社外弁護士を委員長とし、
経営会議
当社取締役 執行役員クラスを委員とするコンプライアンス

 社内取締役5名、取締役を兼務しない執行役員7名を含
統括委員会と、各部署の担当社員によるコンプライアンス
む人員で構成され、原則として月2回開催します。経営方
推進委員会からなっており、定期的な会議を開催し、当社の
針 経営戦略など、
・ 経営に関する重要事項を各部門間で共
コンプライアンス行動計画ならびに方針を決議し、
また、

有のうえ、経営判断に必要となる審議 決定を行い、
・ 取締役
ンプライアンス行動基準ならびにコンプライアンス ハンド

会に諮ることを目的としています。
ブックにより社員の研修 教育を行っています。

執行役員制度
 経営の効率化ならびに業務執行の迅速化を目的とした ■ リスクマネジメント
執行役員制度を導入しており、執行役員7名で取締役会が
リスク管理体制の整備の状況
決定した経営方針に基づき、業務執行に当たっています。
 当社は、医薬品という人々の健康に関わる製品を扱う企業
監査役会 として、
リスクマネジメント基本規定を定め、そのもとでリス
 当社は監査役会設置会社です。監査役4名(常勤監査役 ク管理体制を構築し、企業活動におけるリスクを把握すると
1名、非常勤監査役3名)が就任しており、全員が独立社外 ともに各部門においてリスク管理に関する手順書を制定し
監査役となっています。 ています。また、
リスクマネジメント推進室、内部統制委員会
 監査役会は、毎月1回開催するほか、必要に応じて臨時監 およびコンプライアンス委員会をはじめとする関連委員会
査役会を開催しています。 の連携を図りながら、
リスク発生の予防、
リスク管理、発生し
 監査役は、取締役会のほか重要な会議に出席し、また担 たリスクへの対処などに対応できる体制を構築しています。
当本部長をはじめ経営幹部との面談を通じて会社の状況  また当社は、特に医薬品企業として、法令に則った製造販
を把握するなかで、経営に対する監視機能を発揮できる体 売業の三役
(総括製造販売責任者、品質保証責任者、安全管
制となっています。 理責任者)
会議を定期的に開催し、医薬品の品質、有効性、
および安全性を確保する体制を構築しています。
内部監査部
 さらに、当社はグローバルへ業容を拡大するなかで、世界
 取締役社長直轄の内部監査部は、各部署において、法令
水準の医薬品品質システムを導入し、より高度な安全性を
および社内規定に沿った業務執行が行われているかの監
追求していきます。
査に当たっています。
 内部監査部は、内部監査部長1名を含む専任者3名で構 詳細については、コーポレートガバナンス報告書」
「 をご参照ください。
http://www.jcrpharm.co.jp/company/governance.html
成され、内部監査結果は、取締役社長に加えて監査役にも 事業等のリスクについては、有価証券報告書」
「 をご参照ください。
提出されています。 http://www.jcrpharm.co.jp/ir/index.html



JCR Pharmaceutical Co., Ltd. Annual Report 2016 29
CSR活動



「医薬品を通して人々の健康に貢献する」
という企業理念のもと、
社会に貢献し信頼される医薬品メーカーとして、
CSR活動を推進しています。



■ 社会貢献
「母子保健奨励賞」への協賛

 JCRは、 母子保健奨励賞
「 (母子衛生研究会主催)に協

賛しています。母子保健奨励賞は、1979年に国際児童年
を記念し創設され、母性および小児の保健に関する研究、
保健思想の普及啓発と実際面の教育、指導、さらには保健
施設の整備拡充など、地域に密着した母子保健の分野で貢
献し社会に多大な寄与をしている個人の功労を奨励するこ
とにより、母子保健の一層の発展につながることを目的と
しています。  本財団の人道的支援の一例として、毎年西アフリカの産

 毎年、都道府県、政令指定都市、中核市、特別区の長から 科瘻孔に苦しむ女性の治療のため結成されたスイスのボラ

推薦を受けた保健師 助産師 看護師 医師 歯科医師 栄養
・ ・ ・ ・ ・ ンティア医師団の活動支援があります。産科瘻孔は、閉塞性

士 歯科衛生士 保育士 母子保健推進員など母子保健に携
・ ・ ・ 分娩などに対して適切な医療処置が行われない場合、胎児

わる仕事をされている候補者の中から審査委員会が15名 の頭が母体の骨盤を長時間圧迫することにより、母体の膀

の受賞者を選出し、表彰を行います。表彰式典終了後、受 胱 膣 直腸などの組織が壊死し、
・ ・ 瘻孔が形成される障害で

賞者は東宮御所に参内し、皇太子殿下よりご接見がゆる す。産科瘻孔の患者数は世界で約200万人、年間約10万人

され、激励のお言葉を賜っています。JCRは母子保健奨励 の女性が新たに診断されています。

賞 へ の 協 賛を通  ボランティア医師団は、西アフリカにあるベナンの病院を

じて、これからの 定期的に訪問し、産科瘻孔の根絶活動、患者さんの外科的

母子保健の一層 治療および現地医師に技術指導を行っています。JCRは当

の 発 展 に 貢 献し 財団への活動支援を通じて、人々の健康および医療の発展

ていきます。 に貢献しています。


■ 環境への取り組み
スイス非営利財団 「GLOBAL FOUNDATION • 全社取り組みとして、社員へのコンプライアンス研修等を
FOR LIFE SCIENCES」への支援 通じ環境に関する法律、規制等の遵守に努め、
さらに、LED
  J C R は 、 9 9 9 年にスイスで 設 立 された 非 営 利 財 団
1 照明および蓄熱暖房器を導入することで、 2 排出量の
CO
「Global Foundation for Life Sciences」
の活動支援を 削減による環境保護、節電対策に努めています。
行っています。同財団は生命科学の発展に賛同し、医学分 • 製造部門は、
ディスポーザブルバッグを用いた培養器の使
野において医療的に恵まれない環境にある諸国における人 用を推進し、
これまでの固定式の培養器で必要だった洗浄
道的支援に取り組んでおり、また、若い研究者の育成支援 水の大量使用をやめるなど水や電気等のエネルギー資源
も行っています。 の省エネ化を図っています。また、製造ラインにおいても、



30 JCR Pharmaceutical Co., Ltd. Annual Report 2016
資源、廃棄物の減少に努めています。 ■ 希少疾患に関する啓発活動
• 営業部門は、営業車をハイブリッド車両に切り替え、 2
CO
 JCRは、創業当時から希少疾病用医薬品の
排出量の削減を図っています。また、
ドライブレコーダー
研究開発を進めている企業として、患者さん
を各車両に設置し、安全運転に対する意識の向上に努めて
の支援につながる啓発活動に取り組んでいます。2013年
います。
度から
「Rare Disease Day 世界希少 難治性疾患の日)
( ・ 」
 新たな取り組みとして、2015年より電気自動車を導入
に協賛しています。 ・
希少 難治性疾患に苦しむ人は世界中に
し、本社および各事業所に給電システムを設置しました。ま
いますが、患者数が少なく、病気のメカニズムが複雑なた
た営業車についても、公共の充電設備の普及に応じ、順次
め、治療薬 診断方法の研究開発がほとんど進んでいない

切り替えを行い、 2排出量の削減に貢献します。
CO
例もあります。
 今後も省資源、省エネルギー、
リサイクル活動を推進し、
 Rare Disease Dayはより良い診断や治療による希少・
環 境 の 保 護と
難治性疾患の患者さんのQOL Quality of Life 生活の質)
( :
環境への負荷
の向上を目指して、スウェーデンで2008年から始まった活
の低減に努め
動です。この取り組みが、患者さんと社会をつなぐ架け橋と
る活動に取り組
なり、 ・
希少 難治性疾患の認知度向上のきっかけとなること
んでいきます。
が期待されています。
 また、社内における啓発活動として、患者さんへの想いを
込めて従業員全員の手形を押したポスターの制作、
メール

職場の安全衛生 従業員の
・ ニュースの配信、募金活動などを行っています。JCRは、希

■ 健康管理の充実、職場環境の向上 少疾病用医薬品の研究開発だけではなく、幅広く患者さん
の支援につながるような取り組みを行っていきます。
 JCRは社員が安心して仕事に専念できる働きやすい職場
環境の確保に取り組んでいます。産業医、社会保険労務士、
Rare Disease Day
衛生管理者を含むメンバーからなる衛生委員会において、 レアディジーズデイ 世 界 希 少 難 治 性 疾 患の日


社員への研修、安全パトロールの実施、過重労働対策、
メン
タルヘルス対策の推進、健康相談などの活動を行っていま
す。また、2015年11月より西神地区研究所内に事業所内
保育所「JCRキッズ
ランド」
を開設し、社
員 が 子 育 てをしな
がら安心して働ける
環境づくりを行って
います。



JCR Pharmaceutical Co., Ltd. Annual Report 2016 31
財 務概 況




■ 経営成績 経常利益
 営業外収益が主として貸倒引当金戻入額の減少などに
売上高
より2014年度に比べ55百万円減少した一方で、営業外
 主力製品である遺伝子組換え天然型ヒト成長ホルモン
費用が有価証券評価損の減少などにより19百万円減少し
製剤「グロウジェクト® 」
については引き続き順調に売上が
た結果、経常利益は24億43百万円(前期比4.4%増)
とな
伸長し、102億22百万円(前期比6.7%増)
となりました。
りました。
遺伝子組換えヒトエリスロポエチン製剤「エポエチンアル
ファBS注JCR」および尿由来製品も順調に推移し、2015 親会社株主に帰属する当期純利益
年度の売上高は、174億38百万円(前期比3.5%増)
とな  債務保証損失引当金戻入額が2015年度において発生
りました。主業である医薬品事業の売上高は170億40百 したことなどにより特別利益が16百万円となりました。こ
万円(前期比3.6%増)
となり、全売上高に占める構成比は の結果、税金等調整前当期純利益は24億59百万円
(前期
97.7%となりました。 比5.4%増) 親会社株主に帰属する当期純利益は17億


(単位 百万円)
: 89百万円
(前期比6.4%増)
となりました。
事業別連結売上高の推移
2014年度 2015年度

「グロウジェク ®」
ト 9,580 10,222
■ 財政状態
エリスロポエチン 3,603 3,638

抗がん剤原体「テムセル®HS注」 ※
・ 他 908 1,294 資産
医薬品
代謝性および循環器系 1,080 1,161
 2015年度末における資産合計は353億46百万円(前
期末比12億60百万円増)
となりました。
契約金収入 1,270 723
 流動資産は、有価証券が減少した一方で現金及び預金
計 16,442 17,040
およびたな卸資産が増加したことなどにより、183億66百
医療用/研究用機器 413 398
万円(前期末比11億75百万円増)
となりました。固定資産
合計 16,855 17,438
については、投資有価証券の増加などにより、169億80百
「テムセル®HS注」
※ は2016年2月から販売開始
万円
(前期末比85百万円増)
となりました。


売上総利益 負債
 売上高の増収の一方で、売上総利益は前期比1.2%減  2015年度末における負債合計は、82億84百万円(前
の109億78百万円となりました。なお、契約金収入の売上 期末比4億62百万円増)
となりました。
構成比が減少したことなどにより、売上原価率は2014年  流動負債は、短期借入金が減少した一方で支払手形及
度に比べ2.9ポイント増加して37.0%となりました。 び買掛金および未払法人税等が増加したことなどにより、
60億67百万円(前期末比9億32百万円増)
となりました。
営業利益 固定負債は、退職給付に係る負債が増加した一方でリース
 販売手数料が減少した一方で、研究開発費は2014年 債務が減少したことなどにより、22億17百万円
(前期末比
度とほぼ同水準(13百万円増)
となり、販売費及び一般管 4億69百万円減)
となりました。
理費は88億26百万円(前期比3.0%減)
となりました。こ
れらの結果、営業利益は21億52百万円(前期比6.9%増) 純資産
となりました。  純資産については、親会社株主に帰属する当期純利益
の計上などにより、270億62百万円
(前期末比7億97百万
円増)
となりました。




32 JCR Pharmaceutical Co., Ltd. Annual Report 2016
 これらの結果、2015年度末における自己資本比率は、 80百万円
(当期比19.8%増) 経常利益は26億90百万円

2014年度末に比べ0.7ポイント減少して75.9%となりま (当期比10.1%増) 親会社株主に帰属する当期純利益は

した。 19億80百万円
(当期比10.6%増)
を見込んでいます。


キャッシュ フロー

 2015年度における、営業活動によるキャッシュ フロー

■ 配当政策
は、22億1百万円の収入(前期比17億2百万円の収入増) 利益配分に関する基本方針および配当金
となりました。これは主に、たな卸資産の増加額9億47百  当社は、株主の皆様に対する利益の還元を経営上の重
万円、法人税等の支払額2億5百万円があった一方で、税 要な施策の一つとして位置付けています。
金等調整前当期純利益の計上額24億59百万円、減価償  剰余金の配当等の決定に関しては、将来の利益の源泉
却費の計上額14億7百万円があったことによるものです。 となる新薬開発や経営体質強化のための内部留保を確保
 投資活動によるキャッシュ フローは、
・ 9億80百万円の支 しつつ、業績およびキャッシュ フローの状況などを勘案し


(前期比4億39百万円の支出減)
となりました。これは主 ながら継続的かつ安定的な配当を行うことを基本方針と
に、有価証券の売却及び償還による収入11億82百万円が しています。
あった一方で、有形固定資産の取得による支出14億13百  当社は2015年9月13日をもって創立40周年を迎えま
万 円 、 資 有 価 証 券 の 取 得による支 出 7 億 2 4 百 万 円 が
投 した。これもひとえに株主の皆様をはじめ、関係各位の長
あったことによるものです。 年にわたるご支援の賜物と心より感謝申し上げます。株主
 また、財務活動によるキャッシュ フローは、
・ 13億14百 の皆様に感謝の意を表し、2015年度の期末配当金につい
万円の支出(前期比52百万円の支出増)
となりました。こ ては、1株当たり2円の記念配当を実施することを2016年
れは主に、長期借入金の借入による収入5億円があった一 5 月1 2日開 催 の 取 締 役 会で決 議しました。これにより、
方で、長期借入金の返済による支出7億59百万円、配当金 2015年度の期末配当は、10円の普通配当に2円の記念
の支払額6億40百万円、
リース債務の減少額2億9百万円 配当を加えて12円としました。この結果、中間配当金を加
があったことによるものです。 えた通期の配当金は、1株につき22円となりました。配当
 これらの結果、2015年度末における現金及び現金同等 性向は39.2%となり、中期経営計画で公表した目標であ
物は、35億23百万円
(前期末比1億20百万円減)
となりま る40%を概ね達成できました。また、株主還元および資本
した。 効率の向上を目的として、2016年2月の取締役会におい
て自己株式取得の実施を決議しました。2016年6月30日

■ 2016年度の見通し 時点で累計取得株式数265,500株、取得金額は7億円と
なっています。
 売上高については、 「グロウジェク ®」
当期に引き続き ト の
 2016年度の配当については、1株当たり20円(中間配
順調な伸長を見込むとともに、 エポエチンアルファBS注

当金10円、期末配当金10円)
を予定しています。
も堅調な推移を予想しています。 「テムセル®HS
JCR」 また、
注」が年間を通して業績に寄与すること、血液脳関門通過
「J-Brain Cargo ®」
技術 などの当社独自技術のライセンス
にも積極的に取り組むことにより、2016年4月に実施され
た薬価改訂の影響を吸収して、JCRグループ全体で当期比
7.2%増の187億円を見込んでいます。
 利益面については、売上高増収による売上総利益の増
加により研究開発費の増加を吸収して、営業利益は25億




JCR Pharmaceutical Co., Ltd. Annual Report 2016 33
財 務諸 表




単位 千円

■ 連結貸借対照表
2014年度 2015年度
(平成27年3月31日) (平成28年3月31日)

資産の部
 流動資産
  現金及び預金 1,137,461 1,948,605
  受取手形及び売掛金 5,203,535 5,384,377
  有価証券 3,735,997 1,926,989
  商品及び製品 1,522,844 1,582,482
  仕掛品 1,163,508 1,135,086
  原材料及び貯蔵品 3,715,196 4,625,293
  繰延税金資産 417,554 609,996
  その他 294,939 1,153,407
  貸倒引当金 △ 12 △3
  流動資産合計 17,191,026 18,366,235
 固定資産
  有形固定資産
   建物及び構築物
(純額) 4,611,447 4,544,593
   機械装置及び運搬具
(純額) 1,430,079 1,189,175
   土地 3,882,338 3,882,338
   リース資産
(純額) 962,980 755,985
   建設仮勘定 135,011 396,177
   その他
(純額) 590,043 676,718
   有形固定資産合計 11,611,900 11,444,988
  無形固定資産 75,242 83,996
  投資その他の資産
   投資有価証券 3,891,136 4,247,640
   退職給付に係る資産 357,658 280,955
   その他 982,006 945,893
   貸倒引当金 △ 22,915 △ 22,915
   投資その他の資産合計 5,207,886 5,451,573
  固定資産合計 16,895,030 16,980,559




 資産合計 34,086,056 35,346,794




34 JCR Pharmaceutical Co., Ltd. Annual Report 2016
単位 千円


2014年度 2015年度
(平成27年3月31日) (平成28年3月31日)

負債の部
 流動負債
  支払手形及び買掛金 534,008 783,372
  短期借入金 1,949,860 1,760,280
  リース債務 208,316 225,072
  未払法人税等 76,894 764,170
  賞与引当金 389,552 481,266
  役員賞与引当金 75,200 76,520
  その他 1,901,108 1,976,367
  流動負債合計 5,134,939 6,067,049
 固定負債
  長期借入金 716,680 646,800
  リース債務 763,154 561,529
  債務保証損失引当金 374,920 358,519
  退職給付に係る負債 457,021 566,341
  その他 374,449 83,813
  固定負債合計 2,686,225 2,217,003
 負債合計 7,821,164 8,284,052


純資産の部
 株主資本
  資本金 9,061,866 9,061,866
  資本剰余金 10,949,502 10,961,049
  利益剰余金 5,780,476 6,930,146
  自己株式 △ 571,078 △ 781,615
  株主資本合計 25,220,767 26,171,447
 その他の包括利益累計額
  その他有価証券評価差額金 732,890 587,933
  繰延ヘッジ損益 11,077 ̶
  為替換算調整勘定 235,928 205,840
  退職給付に係る調整累計額 △ 99,363 △ 145,560
  その他の包括利益累計額合計 880,533 648,213
 新株予約権 162,956 242,323
 非支配株主持分 634 757
 純資産合計 26,264,892 27,062,741
負債純資産合計 34,086,056 35,346,794




JCR Pharmaceutical Co., Ltd. Annual Report 2016 35
財 務諸 表




単位 千円


2014年度 2015年度
■ 連結損益計算書 (自 平成26年4月1日 (自 平成27年4月1日
 至 平成27年3月31日)  至 平成28年3月31日)

売上高 16,855,654 17,438,377
売上原価 5,740,928 6,459,424
売上総利益 11,114,725 10,978,952
販売費及び一般管理費 9,100,125 8,826,182
営業利益 2,014,600 2,152,770
営業外収益
 受取利息 31,075 27,075
 受取配当金 24,233 23,307
 為替差益 54,700 11,799
 有価証券償還益 110,587 162,335
 補助金収入 60,354 98,224
 その他 122,498 25,542
 営業外収益合計 403,449 348,284
営業外費用
 支払利息 38,099 32,668
 保険解約損 ̶ 8,567
 その他 39,640 16,748
 営業外費用合計 77,739 57,983
経常利益 2,340,310 2,443,071
特別利益
 債務保証損失引当金戻入額 ̶ 16,401
 特別利益合計 ̶ 16,401
特別損失
 固定資産処分損 5,999 212
 特別損失合計 5,999 212
税金等調整前当期純利益 2,334,311 2,459,259
法人税、住民税及び事業税 371,089 851,770
法人税等調整額 280,803 △ 182,109
法人税等合計 651,892 669,661
当期純利益 1,682,418 1,789,597
非支配株主に帰属する当期純利益 50 123
親会社株主に帰属する当期純利益 1,682,368 1,789,474




■ 連結包括利益計算書
当期純利益 1,682,418 1,789,597
その他の包括利益
 その他有価証券評価差額金 164,656 △ 144,956
 繰延ヘッジ損益 9,519 △ 11,077
 為替換算調整勘定 57,201 △ 30,088
 退職給付に係る調整額 22,477 △ 46,197
 その他の包括利益合計 253,854 △ 232,319
包括利益 1,936,273 1,557,278
(内訳)
 親会社株主に係る包括利益 1,936,223 1,557,155
 非支配株主に係る包括利益 50 123


36 JCR Pharmaceutical Co., Ltd. Annual Report 2016
■ 連結株主資本等変動計算書
2014年度 単位 千円

株主資本
(自 平成26年4月1日 至 平成27年3月31日)
資本金 資本剰余金 利益剰余金 自己株式 株主資本合計
当期首残高 9,061,866 10,932,987 4,445,285 △ 649,076 23,791,063
会計方針の変更による累積的影響額 243,156 243,156
会計方針の変更を反映した当期首残高 9,061,866 10,932,987 4,688,442 △ 649,076 24,034,220
当期変動額
 剰余金の配当 △590,334 △ 590,334
 親会社株主に帰属する当期純利益 1,682,368 1,682,368
 自己株式の取得 △ 204 △ 204
 自己株式の処分 16,515 78,203 94,718
 株主資本以外の項目の当期変動額(純額)
 当期変動額合計 ̶ 16,515 1,092,034 77,998 1,186,547
当期末残高 9,061,866 10,949,502 5,780,476 △ 571,078 25,220,767

その他の包括利益累計額
その他 繰延 退職給付 その他の
為替換算 新株 非支配
有価証券 ヘッジ に係る 包括利益
調整勘定
評価差額金 損益 調整累計額 累計額合計 予約権 株主持分 純資産合計
当期首残高 568,234 1,558 178,727 △ 121,841 626,678 162,487 584 24,580,813
会計方針の変更による累積的影響額 243,156
会計方針の変更を反映した当期首残高 568,234 1,558 178,727 △ 121,841 626,678 162,487 584 24,823,970
当期変動額
 剰余金の配当 △ 590,334
 親会社株主に帰属する当期純利益 1,682,368
 自己株式の取得 △ 204
 自己株式の処分 94,718
 株主資本以外の項目の当期変動額(純額) 164,656 9,519 57,201 22,477 253,854 469 50 254,374
 当期変動額合計 164,656 9,519 57,201 22,477 253,854 469 50 1,440,921
当期末残高 732,890 11,077 235,928 △ 99,363 880,533 162,956 634 26,264,892




2015年度 単位 千円

株主資本
(自 平成27年4月1日 至 平成28年3月31日)
資本金 資本剰余金 利益剰余金 自己株式 株主資本合計
当期首残高 9,061,866 10,949,502 5,780,476 △ 571,078 25,220,767
会計方針の変更による累積的影響額 ̶
会計方針の変更を反映した当期首残高 9,061,866 10,949,502 5,780,476 △ 571,078 25,220,767
当期変動額
 剰余金の配当 △ 639,804 △ 639,804
 親会社株主に帰属する当期純利益 1,789,474 1,789,474
 自己株式の取得 △ 224,295 △ 224,295
 自己株式の処分 11,547 13,758 25,305
 株主資本以外の項目の当期変動額(純額)
 当期変動額合計 ̶ 11,547 1,149,670 △ 210,537 950,680
当期末残高 9,061,866 10,961,049 6,930,146 △ 781,615 26,171,447

その他の包括利益累計額
その他 繰延 退職給付 その他の
為替換算 新株 非支配
有価証券 ヘッジ に係る 包括利益
調整勘定
評価差額金 損益 調整累計額 累計額合計 予約権 株主持分 純資産合計
当期首残高 732,890 11,077 235,928 △ 99,363 880,533 162,956 634 26,264,892
会計方針の変更による累積的影響額 ̶ ̶
会計方針の変更を反映した当期首残高 732,890 11,077 235,928 △ 99,363 880,533 162,956 634 26,264,892
当期変動額
 剰余金の配当 △ 639,804
 親会社株主に帰属する当期純利益 1,789,474
 自己株式の取得 △ 224,295
 自己株式の処分 25,305
 株主資本以外の項目の当期変動額(純額) △ 144,956 △ 11,077 △ 30,088 △ 46,197 △ 232,319 79,366 123 △ 152,830
 当期変動額合計 △ 144,956 △ 11,077 △ 30,088 △ 46,197 △ 232,319 79,366 123 797,849
当期末残高 587,933 ̶ 205,840 △ 145,560 648,213 242,323 757 27,062,741


JCR Pharmaceutical Co., Ltd. Annual Report 2016 37
財 務諸 表




単位 千円


■ 連結キャッシュ フロー計算書
・ 2014年度 2015年度
(自 平成26年4月1日 (自 平成27年4月1日
 至 平成27年3月31日)  至 平成28年3月31日)

営業活動によるキャッシュ フロー

 税金等調整前当期純利益 2,334,311 2,459,259
 減価償却費 1,352,388 1,407,655
 賞与引当金の増減額
(△は減少) 38,042 91,714
 株式報酬費用 54,704 85,590
 債務保証損失引当金の増減額
(△は減少) 288,459 △ 16,401
 退職給付に係る負債の増減額
(△は減少) 148,340 160,639
 有価証券償還損益
(△は益) △ 110,587 △ 162,335
 受取利息及び受取配当金 △ 55,309 △ 50,382
 支払利息 38,099 32,668
 為替差損益
(△は益) 533 110
 売上債権の増減額
(△は増加) △ 1,334,314 △ 180,842
 未収入金の増減額
(△は増加) 116,922 △ 106,864
 たな卸資産の増減額
(△は増加) △ 1,292,489 △ 947,050
 預け金の増減額
(△は増加) 296 △ 775,490
 仕入債務の増減額
(△は減少) △ 163,052 249,364
 未払金の増減額
(△は減少) △ 5,370 △ 53,185
 長期前払費用の増減額
(△は増加) 163,218 126,734
 長期前受金の増減額
(△は減少) △ 180,000 △ 180,000
 その他 △ 136,027 240,722
 小計 1,258,168 2,381,907
 利息及び配当金の受取額 65,666 57,613
 利息の支払額 △ 37,819 △ 32,529
 法人税等の支払額又は還付額
(△は支払) △ 786,962 △ 205,244
 営業活動によるキャッシュ フロー
・ 499,052 2,201,746
投資活動によるキャッシュ フロー

 有価証券の取得による支出 △ 1,200,000 ̶
 有価証券の売却及び償還による収入 1,957,591 1,182,940
 有形固定資産の取得による支出 △ 1,277,615 △ 1,413,936
 投資有価証券の取得による支出 △ 840,581 △ 724,401
 その他 △ 59,057 △ 25,201
 投資活動によるキャッシュ フロー
・ △ 1,419,662 △ 980,599
財務活動によるキャッシュ フロー

 長期借入れによる収入 200,000 500,000
 長期借入金の返済による支出 △ 665,260 △ 759,460
 リース債務の返済による支出 △ 243,965 △ 209,318
 自己株式の純増減額
(△は増加) 40,278 △ 205,214
 配当金の支払額 △ 592,414 △ 640,032
 財務活動によるキャッシュ フロー
・ △ 1,261,360 △ 1,314,024
現金及び現金同等物に係る換算差額 44,302 △ 27,149
現金及び現金同等物の増減額
(△は減少) △ 2,137,669 △ 120,027
現金及び現金同等物の期首残高 5,780,972 3,643,303
現金及び現金同等物の期末残高 3,643,303 3,523,276




38 JCR Pharmaceutical Co., Ltd. Annual Report 2016
会社情報
2016年3月31日現在




■会社概要


会 社 名 JCRファーマ株式会社 設 立 昭和50
(1975)
年9月13日

所 在 地 兵庫県芦屋市春日町3番19号 資 本 金 90億6,186万円

代 表 代表取締役会長兼社長  芦田 信 従 業 員 数 526名
(連結)

482名
(単体)




■株式情報

上場証券取引所 東京証券取引所市場第一部 所有者別株式数比率

証 券 コ ー ド 4552 自己名義 1.60%
発行済株式総数 32,421,577株 証券会社 2.12%

株主名簿管理人 三井住友信託銀行株式会社

東京都千代田区丸の内一丁目4番1号
個人 その他

外国法人等
会 計 監 査 人 有限責任監査法人 トーマツ 19.13%
31.46%
株 主 数 4,415名
金融機関
20.91%
その他国内法人
大 株 主
(単位 千株)
: 24.78%
株主名 持株数

GLAXO GROUP LIMITED 7,986

キッセイ薬品工業株式会社 3,800

フューチャーブレーン株式会社 2,177

野村信託銀行株式会社
(A信託口) 1,748

日本マスタートラスト信託銀行株式会社
(信託口) 871

大日本住友製薬株式会社 850

日本トラステ ・
ィ サービス信託銀行株式会社
(信託口9) 589

日本トラステ ・
ィ サービス信託銀行株式会社
(信託口) 587

持田製薬株式会社 550

株式会社みずほ銀行 444




JCR Pharmaceutical Co., Ltd. Annual Report 2016 39
本社 〒659-0021 兵庫県芦屋市春日町3-19 TEL 0797-32-8591
: (代)

http://www.jcrpharm.co.jp

2016.8

171272