メディカルビッグデータ「REZULT」を活用した糸魚川総合病院との共同研究成果について -頭痛患者に対する処方パターンの検討-

2024 年1月 17 日
各 位
会 社 名 日本システム技術株式会社
代 表 者 の
代表取締役社長 平林 武昭
役 職 氏 名
(コード番号 4323 東証プライム市場)

問い合わせ先 取締役執行役員 平林 卓

( T E L 06-4560-1000)



メディカルビッグデータ「REZULT」を活用した糸魚川総合病院との共同研究成果について
~頭痛患者に対する処方パターンの検討~

当社は、糸魚川総合病院(新潟県糸魚川市)との間において実施中の「片頭痛と、片頭痛医薬品およ
び薬物乱用頭痛の関連性」に関する共同研究成果の一部として「日本の成人頭痛患者に対する処方パタ
ーンの検討」が医学誌に掲載されましたので別紙のとおりお知らせいたします。
なお、本件が連結業績に与える影響は軽微であります。今後の進展によって公表すべき事項が生じた
場合には、速やかにお知らせいたします。



以上
NEWS RELEASE



報道関係者各位
2024 年 1 月 17 日
日本システム技術株式会社




メディカルビッグデータ「REZULT」を活用した糸魚川総合病院との共同研究成果について
~頭痛患者に対する処方パターンの検討~



当社と勝木 将人先生(糸魚川総合病院、諏訪赤十字病院 脳神経外科・頭痛外来)との間において実施
中の「片頭痛と、片頭痛医薬品および薬物乱用頭痛の関連性」に関する共同研究成果の一部として、
「日本
の成人頭痛患者に対する処方パターンの検討」が、国際頭痛学会学術雑誌 Cephalalgia(インパクトファ
クター6.1)に掲載されました。また「日本における 6-17 歳の頭痛患者に対する処方パターンの検討」
が、医学雑誌 Life(インパクトファクター3.2)に掲載されました。


■ 背景
頭痛は日本人の 4 人に 1 人が保有していると言われ、長期間にわたって医療費が伴う疾病となっており
ます。その中でも片頭痛は日本人全体での有病率は 8.4%とされており、多くの人が悩まされています。
一方で、近年では片頭痛の特効薬となる急性期治療薬や予防治療薬の開発も進んでいますが、急性期治療
薬の過剰摂取による薬剤の使用過多による頭痛(薬物乱用頭痛)の発生等において問題視されるケースも
ございます。
この状況に際して、当社は勝木 将人先生協力のもと、当社メディカルビッグデータ「REZULT」を活用
した、
「片頭痛と、片頭痛医薬品および薬物乱用頭痛の関連性」に関する共同研究を 2022 年 10 月より実
施しております。
(https://www.jast.jp/cms/wp-content/uploads/2022/10/ir_notice20221018.pdf 参照)


■ 日本の成人頭痛患者に対する処方パターンの検討
題名 :Treatment patterns and characteristics of headache in patients in Japan: A retrospective
cross-sectional and longitudinal analysis of health insurance claims data
著者 :Masahito Katsuki, Yasuhiko Matsumori, Taisuke Ichihara, Yuya Yamada, Shin Kawamura,
Kenta Kashiwagi, Akihito Koh, Tetsuya Goto, Kazuma Kaneko, Naomichi Wada, Fuminori Yamagishi
掲載雑誌:Cephalalgia (https://journals.sagepub.com/home/cep)
掲載日 :2024 年 1 月 9 日
DOI :https://doi.org/10.1177/03331024231226177
研究内容 :
本研究では、レセプトで頭痛(R51 および G44)と病名が付与されている成人患者に対する処方パター
ンについて、横断的研究と、経時的変化を観察した縦断的研究の2つを行いました。医原性薬物乱用頭痛
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が否定できない処方(以下過剰処方)はトリプタンと複合鎮痛薬(30 錠/90 日以上)
、鎮痛薬単剤(45 錠
/90 日以上)としました。
横断的研究では、2020 年のレセプトデータ(※)から、急性期治療薬の処方粒数が最大となる 90 日間
を抽出し、過剰処方の割合を検討しました。急性期治療薬が処方されていた患者 13,651 患者のうち、単
剤の鎮痛薬は 12,297 例(90.1%)に、トリプタンは 1,710 例(12.5%)に処方されており、全体の 2,262
例(16.6%)に過剰処方が認められました。1,200 例(6.0%)は頭痛の予防治療薬が処方されていまし
た。
縦断的研究では、2010 年から 2022 年までのレセプトデータを用いて、初診時から 2 年間の処方パター
ンを追跡しました。頭痛初診から 2 年間追跡できた 408,183 患者のうち、2 年間で過剰処方を 1 度でも経
験した患者は 37,617 例(9.2%)でした。29,313 例(7.2%)は 2 年間で予防治療薬の処方を経験していま
した。若年であること、初診から 90 日間に多くの急性期治療薬が出されていること、予防治療が早期に
開始されていることが、2 年間で過剰処方に陥りやすい危険因子であることがわかりました。


■ 日本における 6-17 歳の頭痛患者に対する処方パターンの検討
題名 :Treatment patterns for and characteristics of headache in children and adolescents aged 6-
17 years in Japan: A retrospective cross-sectional and longitudinal analysis of health insurance claims
data
著者 :Masahito Katsuki, Yasuhiko Matsumori, Taisuke Ichihara, Yuya Yamada, Shin Kawamura,
Kenta Kashiwagi, Akihito Koh, Tetsuya Goto, Kazuma Kaneko, Naomichi Wada, Fuminori Yamagishi
掲載雑誌:Life (https://www.mdpi.com/journal/life)
掲載日 :2024 年 1 月 8 日
DOI :https://doi.org/10.3390/life14010096
研究内容:
上記と同様の研究を、6-17 歳の患者に対して行いました。横断的研究では、2020 年のレセプトデータ
から、急性期治療薬の処方粒数が最大となる 90 日間を抽出し、トリプタンの過剰処方の割合を検討しま
した。急性期治療薬が処方されていた患者 1,524 患者のうち、トリプタンは 96 例(6.3%)に処方されて
おり、そのうち 11 例(11.5%)に過剰処方が認められました。93 例(6.1%)は頭痛の予防治療薬が処方
されていました。
縦断的研究では、2010 年から 2022 年までのレセプトデータを用いて、初診時から 2 年間の処方パター
ンを追跡しました。頭痛初診から 2 年間追跡できた 80,756 患者のうち、2 年間でトリプタン過剰処方を 1
度でも経験した患者は 44 例(0.05%)でした。3,408 例(4.2%)は 2 年間で予防治療薬の処方を経験して
いました。


■ 今後の展望
本研究により、成人においても小児においても、頭痛患者に対して過剰処方が行われている可能性が示
唆されました。今後患者も医療者も薬物乱用頭痛のリスクを正しく知り、適切な急性期治療薬の使用と処
方が望まれます。今後、医原性薬物乱用頭痛を啓発するために、保険者と患者や医療機関に向けた疾患啓
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発の取り組みを検討する予定です。


■ メディカルデータ「REZULT」の詳細は以下をご参照ください。
https://www.jastlab.jast.jp/rezult_data/


■ 未来共創Labについて
当社未来共創Labは医療ビッグデータ事業として、医療現場や各種保険者様が抱える課題の解決へ向
けて、メディカルビッグデータ(レセプトデータ、健康診断データ等)を利用した医療 DX を推進してお
ります。当社データの価値を高め、お客様の課題を解決するための可能性を広げるべく、今後も本研究に
おける分析を進めてまいります。


また未来共創Labでは、SDGs(Sustainable Development Goals)目標3「すべての人に健康と福祉
を」、目標9「産業と技術革新の基盤をつくろう」へ向けて、メディカルビッグデータを利活用した健康増
進を目的とし、産学連携での商材開発・共同研究を実施しております。




■ 共同研究者について
勝木将人(糸魚川総合病院脳神経外科、諏訪赤十字病院 脳神経外科・頭痛外来)
<略歴>
2016 年 東北大学医学部医学科卒業
2021 年 糸魚川総合病院脳神経外科 医長
2023 年 諏訪赤十字病院 脳神経外科・頭痛外来
国際頭痛学会、日本頭痛学会、日本脳神経外科学会、日本メディカル AI 学会等に所属。脳卒中や頭痛診療
の傍ら、日本の経済復興・医療過疎地域に関する問題を解決するため、公衆衛生活動や医療 AI の研究に尽
力している。


※レセプトデータについて
レセプトとは、患者が受けた保険診療について、医療機関が保険者(市町村や健康保険組合)に請求す
る医療報酬の明細書のことです。医科・歯科の場合には診療報酬明細書、保険薬局における調剤の場合に
は調剤報酬明細書、訪問看護の場合には訪問看護診療費明細書とも言います。1患者、1か月、1医療機
関あたりで1件のレセプトにまとめられており、患者が医療機関を受診した原因となる疾病情報や、医療
費を支払っている情報等を保持しています。当社ではこれらの各種情報をデータベース化して保持してい
ます。
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【本件に関するお問い合わせ先】
日本システム技術株式会社 未来共創Lab
お問い合わせ:https://www.jastlab.jast.jp/contact/
未来共創Labサイト:https://www.jastlab.jast.jp/


以上

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