日本企業10社 住友林業グループ組成の森林ファンドへ共同出資 -600億円規模、脱炭素社会の実現に貢献-

2023 年 7 月 10 日
報道各位
住友林業株式会社
ENEOS株式会社
大阪ガス株式会社
東京センチュリー株式会社
日本郵政株式会社
日本郵船株式会社
芙蓉総合リース株式会社
株式会社三井住友銀行
三井住友信託銀行株式会社
ユニ・チャーム株式会社
SFC アセットマネジメント株式会社

日本企業 10 社 住友林業グループ組成の森林ファンドへ共同出資
~600 億円規模、脱炭素社会の実現に貢献~
住友林業株式会社(社長:光吉 敏郎 本社:東京都千代田区 以下、住友林業)の傘下で米国の森林アセットマネジメ
ント事業会社 Eastwood Forests, LLC(CEO:Alex Finkral 以下、EF 社)は森林ファンド Eastwood Climate Smart Forestry
Fund I(以下、本ファンド)を組成し、このたび運用を開始しました。
本ファンドに参画するのはENEOS株式会社、大阪ガス株式会社、東京センチュリー株式会社、日本郵政株式会社、
日本郵船株式会社、芙蓉総合リース株式会社、株式会社三井住友銀行、三井住友信託銀行株式会社、ユニ・チャーム
株式会社と住友林業グループの日本企業 10 社です。資産規模は約 600 億円で運用期間は 15 年の計画。ファンドの
仕組みを活用することで個々では実現できない面積・資金規模で森林を適切に管理し、グローバルな気候変動対策を
実践します。
住友林業グループと参画企業は本ファンドを通じて森林の CO2 吸収能力を高め、年平均約 100 万トンの CO2 吸収を
新たに生み出し、質の高いカーボンクレジットの創出・還元で脱炭素社会の実現に貢献します。また生物多様性の維持
や水資源の保全といった自然資本としての森林の価値を高めていきます。

■背景
温暖化対策の国際枠組み「パリ協定」では世界共通の長期
目標として世界平均気温の上昇幅を産業革命前から 2℃より
十分に低く保ち、1.5℃に抑える努力を追求することが示され
ました。パリ協定の目標達成には、2050 年までに CO2 を中
心とした世界の温室効果ガス(GHG)排出量を実質ゼロにする
「カーボンニュートラル」の実現が必要です。
日本政府も「2050 年カーボンニュートラル、脱炭素社会の
実現を目指す」と宣言。各企業で CO2 などの温室効果ガス
米国の森林イメージ(※本ファンドの投資対象ではありません)
の排出量を実質ゼロにする取組が加速しています。
その中で排出量をゼロにすることが難しい企業もあり、温室
効果ガスの削減に努めた上で、技術革新や自助努力だけではどうしても削減しきれない排出量に対して、カーボンクレジ
ットを購入し実質ゼロにするオフセットの仕組みがあります。
特に CO2 吸収源としての森林への重要度は高まっており 2021 年のCOP26 で採択された「グラスゴー気候合意」で
は CO2 吸収源や炭素の貯蔵庫として森林の重要性について明記されました。本ファンドでは適切な森林管理から生み
出される CO2 吸収量を森林由来のカーボンクレジットとして発行、還元していくことで脱炭素社会の実現に向けたオフセ
ット需要への貢献を果たします。
また森林は CO2 吸収源としてのグローバルな気候変動対策だけでなく社会課題に対する自然を基盤とした解決策
Nature-based Solutions(NbS)※1として期待されています。本ファンドを通じて NbS への資金供給を促し、生物多様性、水
資源の保全の拡大につなげていきます。
カーボンクレジットには課題もあります。国や民間など様々な認証団体によるクレジットがあり、基準や算定方法が国際
的に統一されていません。今後はクレジット基準の統一化やプロセスの透明性など、質の高いクレジット創出へ向けた機
運が高まっていくことが予想されます。本ファンドにおいてもカーボンクレジットに関する世界動向を注視し、質の高いカー
ボンクレジットを創出することが求められます。

■本ファンドの特徴
・ 本ファンドは日本企業 10 社が各社の米国子会社などを通じて出資参画。カーボンクレジットのマーケットや制度が
先行している米国で木材販売及びカーボンクレジットの創出・販売を行います。ファンドの仕組みを活用し、適切に管
理する森林を大幅に拡大しグローバルな気候変動対策、生物多様性に貢献します。
・ EF 社の Alex Finkral 氏、Glenn Wallace 氏は長年に渡る森林ファンドの運営を通じて、北米や中・南米で持続的な森
林経営を実施。木材生産をしながら森林の価値向上や森林由来のカーボンクレジットを創出してきました。本ファン
ドでも森林が持つ CO2 吸収・炭素固定機能や生物多様性、水資源の保全等の多面的機能が十分発揮できる持続
可能な森林経営を実践し、質の高いカーボンクレジットの創出を目指します。
・ 本ファンドは参画企業の出資金をもとに今後 2027 年までに北米を中心に約 13 万 ha の森林を購入・管理する計画
です。森林資産の取得・売却、森林経営といったファンド運営の全体管理は米国の森林ファンドの組成・運営に知
見・経験を有する EF 社が担当。住友林業の 100%子会社 SFC アセットマネジメント株式会社(代表:吉澤 雄次郎
本社;東京都千代田区)がファンド組成及び組成後の出資者とのコミュニケーション等に関し日本側からファンドをサ
ポートします。
・ 参画企業はファンド運営の重要事項の決定などを通じて森林経営に関与していきます。住友林業グループと参画企
業は目指すべき森林の姿を議論しながら本ファンドを運営します。




■本ファンドが目指す森林経営
本ファンドは従来の木材生産が目的の森林経営に加えて気候変動対策にも資する持続的な森林経営を行います。森
林の状況に応じたクレジット創出の方法論(再植林、保全など)を選択して CO2 吸収・炭素固定機能を高め、カーボンク
レジットを創出します。有望な後継樹を残して森林の植生回復を促し、様々な樹種や樹齢の木々で構成する階層構造を
持った森林を形成する IFM※2(Improved Forest Management、森林改善による方法論)によるクレジット創出も検討してい
ます。
森林は NbS として生物多様性や水資源の保全などの公益的機能の発揮も期待できます。本ファンドは森林管理を通
じて多様な生物が生息できる環境を提供し生物多様性を高めていきます。持続可能な森林経営の国際スタンダードで
ある FSC※3等の森林認証制度の基準に従い High Conservation Value Forest※4(生物多様性が高い地域や種の絶滅危
機にある生息地などの保護すべき価値の高い森林)を保全していきます。

■EF 社について
EF 社は 2022 年 10 月に Alex Finkral 氏、Glenn Wallace 氏と住友林業の 100%子会社 Sumitomo Forestry America, Inc.
(社長:岩崎 淳 本社:米国 テキサス州ダラス)が共同で設立しました※5。
Alex Finkral 氏
Eastwood Forests 社 CEO。米国の森林アセットマネジメント事業会社で 12 年以上の業務経験を持
ち、長年米国において森林管理・環境保全等に携わった経験を有する。イェール大学で森林環境学
の博士号を取得。

Glenn Wallace 氏
Eastwood Forests 社 CFO。米国の森林アセットマネジメント事業会社において 12 年以上の業務経験
を持ち、米国の税務・財務分野において深い知見を有する。米国公認会計士(CPA)。


※本リリースは本ファンドについて参画企業を勧誘するものではありません。


■参画企業各社メッセージ
住友林業株式会社 住友林業グループは森林経営から木材建材の製造・流通、戸建住宅・中大規
模木造建築の請負や不動産開発、木質バイオマス発電まで「木」を軸とした事業
をグローバルに展開しています。2030 年までの長期ビジョン「Mission TREEING
2030」では住友林業のバリューチェーン「ウッドサイクル」を回すことで、森林の
CO2 吸収量を増やし、木造建築の普及で炭素を長期にわたり固定し、自社のみな
らず社会全体の脱炭素に貢献することを目指しています。
長期ビジョンで掲げた「循環型森林ビジネスの加速」に向け、グローバル規模の
森林ファンド組成や森林面積拡大を進めます。住友林業グループは 2030 年まで
に管理・保有する森林面積を計 50 万ha まで拡大し、運用資産 1,000 億円規模の
森林ファンド運営を目指します。

ENEOS株式会社 ENEOSグループは、Scope1、2 の CO2 排出量を 2030 年度までに 2013
年度対比 46%削減、そして 2040 年度までにカーボンニュートラルを実現すると
いう目標を設定しております。目標達成に向け、当社の温室効果ガス排出抑制、
CCS(CO2 の回収・貯留)、CO2 除去(森林吸収等)に広く取り組んでおり、本ファン
ドがこの取組の足掛かりになると判断しました。
本ファンドにおける、適切な森林管理から創出される質の高いカーボンクレジット
が、グローバルな気候変動対策はもちろんのこと、生物多様性、水資源の確保な
ど社会課題の解決に貢献することを最大出資者として期待しております。
今後も当社はカーボンニュートラル社会の実現に向け、CO2 の自然吸収増加に
向けた取り組みを推進することで、「エネルギー・素材の安定供給」と「カーボンニュ
ートラル社会の実現」との両立に向けて挑戦します。

大阪ガス株式会社 Daigas グループは、2021 年 1 月に発表した「カーボンニュートラルビジョン」や
2023 年 3 月に発表した「エネルギートランジション 2030」のもと、2050 年のカー
ボンニュートラル実現を目指しております。
当社は、工場等から大気中に排出される CO2 と水素を合成することで都市ガ
スの主原料であるメタンを生成するメタネーション技術の研究開発や、e-methane
(合成メタン)の本格導入に向けたサプライチェーン構築に取り組むほか、カーボン
クレジットの創出事業者への出資や CCS を含む「CO2 バリューチェーンの構築」の
検討など、CO2 の削減に向けた取り組みを行っております。
本ファンドが創出する質の高いカーボンクレジットに期待しており、上記の取り組
みに加え、本ファンドへの出資を通じて脱炭素社会の実現に貢献してまいります。
東京センチュリー株式会社 東京センチュリーは、国内外のパートナー企業との共創による付加価値の高い
金融・サービスを提供しております。SDGs を踏まえたマテリアリティの一つとして
「脱炭素社会への貢献」を掲げ、太陽光発電を中心とした再エネ事業やオートリー
ス事業を通じた EV の普及に注力してまいりました。
住友林業グループの長期ビジョンと、生物多様性の確保など自然資本としての
付加価値を有する、質の高いカーボンクレジットの創出を目指す本ファンドの設立
趣旨に賛同し、出資を決定いたしました。本ファンドへの参画を通じ、森林経営に
係る知見を得るとともに、還元されるカーボンクレジットを活用した新事業の創出を
目指します。
住友林業グループをはじめ、志を共有する参画企業との協業により、社会・環境
課題の解決と持続的成長を推進することで、環境に配慮した循環型経済社会の
実現に貢献してまいります。

日本郵政株式会社 日本郵政グループは ESG 目標として 2050 年カーボンニュートラルの実現等を
掲げており、国内外のカーボンニュートラルの促進に貢献することを目指しておりま
す。本ファンドの取組みは、こうした当社グループの方向性とも整合しており、本フ
ァンドへの参画はカーボンニュートラルに向けた取組みの一環になると考え、出資
を決定しました。
また、日本郵政グループは、中期経営計画「JP ビジョン 2025」において、お客
さまと地域を支える「共創プラットフォーム」として社会的な課題の解決に向けた新
規ビジネス等の創出を目標に掲げており、今後住友林業グループとともに国内外
の森林を取り巻く様々な課題解決において役割を果たすことを目指してまいりま
す。

日本郵船株式会社 森林管理は、気候変動への対策と同時に生物多様性保全、水源涵養等の生態
系へのポジティブインパクトが期待できます。森林を保全することで大気中の GHG
を吸収し、海を豊かにすることは、 当社の ESG経営のテーマのひとつである 「海、
地球、そして人々への恩返し」に相当する事業活動です。当社は本事業投資から
創出される自然由来のカーボンクレジットを、当社グループの外航海運事業におけ
る GHG 排出量削減の長期目標を「2050 年までのネット・ゼロエミッション達成」に向
けた打ち手として、当社グループの事業活動により直接、間接的に排出される GHG
のオフセットなどに活用します。そのための枠組みづくりなども進め、本ファンドへの
出資を通じて持続可能な社会の実現に貢献してまいります。

芙蓉総合リース株式会社 芙蓉リースグループは 2022 年度からスタートした中期経営計画「Fuyo Shared
Value 2026」において、CSV(Creating Shared Value:共有価値の創造)の実践を通
じた社会課題の解決と経済価値の同時実現により、企業グループとして持続的な
成長を目指しております。
本ファンドへの参画により脱炭素社会の実現、森林が持つ生物多様性・水資源
の保護等の多面的な機能の発揮に貢献することで、豊かな社会の実現と持続的
な成長に貢献してまいります。
株式会社三井住友銀行 SMBC グループは、今年度、新たな中期経営計画「Plan for Fulfilled Growth」を
策定し、社会的価値の創造を新たに経営戦略の柱の一つに据えました。SMBC グ
ループは、社会課題の解決を主導し、経済の成長とともに社会課題が解決に向か
い、そこに生きる人々が幸福を感じられる「幸せな成長」、すなわち Fulfilled
Growth に貢献することを目指しています。
そうした「幸せな成長」に貢献していくために、幾多の社会課題の中で、特に解
決を目指すべき喫緊の課題として、DE&I・人権、貧困・格差、少子高齢化、日本の
再成長と並び、「環境」を重点課題と定めています。SMBC グループは、本ファンド
への出資を通じ、カーボンクレジットの市場拡大に寄与すると共に、トランジションの
支援を通じた脱炭素社会の実現と、自然資本の保全・回復に貢献してまいります。

三井住友信託銀行株式会社 三井住友信託銀行はこれまで、複数の森林ファンドへ出資しているほか、森林
信託を開発するなど、信託ならではの SDGs への取り組みを行ってきました。本フ
ァンドへの出資を通じ、お客さまのカーボンニュートラル実現へ向けた取組を後押
しするとともに、気候変動対策や生物多様性など森林が持つ価値に着目した新た
な市場・機会を捉えたソリューション提供力の強化に取り組んでいきます。
三井住友トラスト・グループは、「信託の力で、新たな価値を創造し、お客さまや
社会の豊かな未来を花開かせる」をパーパスとして定義し、「社会的価値創出と経
済的価値創出の両立」を経営の根幹に据え、社会課題の解決に貢献するインパク
トエクイティ投資や、投資家への魅力的な投資機会の提供を推進しています。

ユニ・チャーム株式会社 当社は、「SDGs の達成に貢献する」ことをパーパスと定め、事業活動を通じて環
境問題や社会課題の解決、地域社会に貢献することを目指しています。また、こ
れらを具体的に推進するべく、2020 年 10 月に中長期 ESG 目標「Kyo-sei Life
Vision 2030」を公表し、その中で「気候変動対応」を重要な課題の一つとして掲げ
ています。本ファンドは当社が取り組む「気候変動対応」に関する活動との親和性
が高いと判断し、今回出資を判断するに至りました。本ファンドにより、社会全体の
カーボンオフセットに貢献してまいります。

■ファンド概要
名称 Eastwood Climate Smart Forestry Fund I
運用資産規模 約 600 億円(約 415 百万 USD) ※1USD=144.46 円(2023 年 7 月 3 日の為替レートで計算)
アセット 主に北米の森林資産を想定
運用期間 15 年間
運営 Eastwood Forests 社(住友林業グループ)
SFC アセットマネジメント株式会社(住友林業グループ)
組成時期 2023 年 6 月
※本ファンドについてのお問い合わせは、SFC アセットマネジメント株式会社(住友林業グループ)マーケティング部(https://sfcam.jp/)まで。


※1 社会課題に効果的かつ順応的に対処し、人間の幸福および生物多様性による恩恵を同時にもたらす、自然の、そして、人為的に改変さ
れた生態系の保護、持続可能な管理、回復のための行動(The International Union for Conservation of Nature の定義)
※2 森林管理方法を改善しより多くの森林蓄積を得ることで、追加的な CO2 吸収・炭素固定を生み出してカーボンクレジットを創出する方法
論。
※3 Forest Stewardship Council の略。森林認証基準の一つ。環境、社会、経済の便益に適い、きちんと管理された森林から生産された林産
物や、その他のリスクの低い林産物を使用した製品を目に見える形で消費者に届ける仕組み。
※4 FSC(森林認証基準)の原則と基準にて定義づけされている保護すべき価値の高い森林を指す。
※5 <関連プレスリリース>
米国で森林アセットマネジメント事業会社を設立 https://sfc.jp/information/news/2023/2023-01-27.html
米国の森林ファンド組成へ https://sfc.jp/information/news/2023/2023-05-11.html




≪リリースに関するお問い合わせ≫
住友林業株式会社 コーポレート・コミュニケーション部 内田・川上・河村
TEL:03-3214-2270

ENEOS株式会社 広報部広報グループ
TEL: 03-6257-7150

大阪ガス株式会社 広報部 報道チーム 八瀬河(はせがわ)
TEL:06-6205-4515

東京センチュリー株式会社 広報 IR 部 河井
TEL:03-5209-6710

日本郵政株式会社 広報部 報道担当
TEL:03-3477-0201

日本郵船株式会社 広報グループ 報道チーム
TEL:03-3284-5190

芙蓉総合リース株式会社 経営企画部
コーポレートコミュニケーション室 山﨑・渡邊
TEL:03-5275-8891

株式会社三井住友銀行 広報部 加藤
TEL:03-4333-4614

三井住友信託銀行株式会社 広報室 佐藤
TEL:03-6256-6302

ユニ・チャーム株式会社 ESG 本部 広報室
TEL:03-6722-1019

SFC アセットマネジメント株式会社(住友林業グループ)
マーケティング部 配川・渡井・木佐貫
https://sfcam.jp/

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