PSS新規技術と福島県立医科大学橋本康弘名誉教授の糖鎖・レクチン反応測定特許技術を連係させたアルツハイマー病診断システム共同開発合意に関するお知らせ

2021 年 9 月 1 日
各 位
会 社 名 プレシジョン・システム・サイエンス株式会社
代表者名 代 表 取 締役 社 長 田島 秀二
(コード番号:7707 東証マザーズ)
問合せ先 取 締 役 総 務 部 長 田中 英樹
(TEL 047-303-4800 http://www.pss.co.jp/)


PSS 新規技術と福島県立医科大学橋本康弘名誉教授の糖鎖・レクチン反応測定特許
技術を連係させたアルツハイマー病診断システム共同開発合意に関するお知らせ

プレシジョン・システム・サイエンス株式会社(以下 PSS、本社:千葉県松戸市)と公立
大学法人福島県立医科大学名誉教授橋本康弘氏は 2018 年から実施した AMED 先端計測分析技
術・機器開発プログラム「脳脊髄液産生マーカーによる脳脊髄液漏出症の診断法の開発」の中
で、脳脊髄液*中のタンパク質上の糖鎖*解析を中核とする脳脊髄液漏洩症の診断システムを
共同開発した経緯と実績があります。
その後、橋本名誉教授は脳脊髄液中のアルツハイマー病マーカーの探索研究を行い、新たな
糖鎖マーカーを見出しました。一方、PSS は血液中の各種当該微量物質を濃縮・精製する目的
で、DNA 抽出や免疫測定システムに実績のある Magtration*技術を発展改良させた Magtration
II(仮称)の開発に着手し、検体数mL からの糖タンパク質の抽出・精製システムの実現を目
指しています。
この度、両者はそれぞれが保有する技術や研究成果を結合させた「アルツハイマー病診断シ
ステム」の開発を行うことで合意いたしました。
まず現状の要素技術の集結、ブレッドボードの評価等を行い、当面アルツハイマー病研究用
ツールとして完成させます。その後、アルツハイマー病の早期診断法を確立し、根本治療薬の
コンパニオンアッセイシステム構築を目指して参ります。
尚、本システム完成のためには、レクチン*、各種抗体等の選定・入手と同時に、解析ソフ
ト、実検体によるデータ評価等の多岐、多種な要素技術や情報の把握・集積が必要となりま
す。今後、日本国内外での協力グループの設立を行って参ります。
なお、本共同開発合意に伴う当期における PSS の本年度業績への影響は軽微です。
(橋本名誉教授 コメント)
従来は、アルツハイマー病と診断しても、その根治薬はなく、病気の進行を止める手立ては
ありませんでした。本年になって、世界初のアルツハイマー病治療薬がアメリカ食品医薬品局
(FDA)により承認されました。しかし、この薬はアルツハイマー病患者を健常に戻す作用はな
く、病気の進行を遅らせる作用を持つのみです。即ち、認知症の進んでいない早期の患者への
投与が必須であり、早期診断がより重要となっています。


(PSS 田島社長 コメント)
タンパク質、核酸に続く第三のマーカー分子といわれる糖鎖の解析システムに長い間取り組
んできましたが、本プロジェクトはその実現のため、具体的で有用なテーマとなります。アル
ツハイマー病の克服は社会的重要な課題であり、早期診断が不可欠であると認識しています。
少しでも社会貢献ができますよう、改めて全力で取り組みます。


以上


(用語解説)
脳脊髄液*:脳周囲を“循環”する体液であり、中枢神経系疾患のバイオマーカーの宝庫である。
血液とは血液脳関門により隔てられているので、マーカー探索が比較的容易である。


糖鎖*:ガラクトース、グルコースなどの単糖が鎖状に連なった構造を持つ。細胞はタンパク質
を分泌するが、そのほとんどは糖鎖を結合している(糖鎖修飾)。結合している糖鎖は細胞種に
より異なる。例えば、神経細胞は固有の糖鎖修飾を行うため、糖鎖検出による神経疾患マーカ
ーの開発が可能である。


レクチン*:糖鎖認識分子である。通常の抗体はタンパク質部分のみを認識するので、糖鎖マー
カーの検出にはレクチンの使用が必要である。


Magtration*:PSS が保有する磁気ビーズのハンドリング技術。磁気ビーズを用いるアプリケー
ションの自動化実現に有効な技術である。
(特許/出願状況)
特許:認知症の診断マーカー及びそれを用いた認知症罹患鑑別方法
特許第6680873号
PCT/JP2017/017543
出願人 橋本康弘
出願:アルツハイマー病病態鑑別用組み合わせマーカー
特願:2020-163105
出願人 橋本康弘

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