脂質代謝研究素材として高脂質代謝機能と高利便性を備えるヒト肝細胞の開発の成果について

2020年5月7日
各 位
会 社 名 株式会社フェニックスバイオ
代 表 者 名 代 表 取 締 役 島 田 卓
(コード番号:6190 東証マザーズ)
問 合 せ 先 専務取締役管理部長 田村 康弘
(TEL 082-431-0016)


脂質代謝研究素材として高脂質代謝機能と高利便性を備える
ヒト肝細胞の開発の成果について


当社が平成30年度戦略的基盤技術高度化支援事業(経済産業省)に採択された「脂質代
謝研究素材として高脂質代謝機能と高利便性を備えるヒト肝細胞の開発」の成果が論文化
されましたのでお知らせいたします。


1.研究開発の概要
生活習慣病は現代社会の大きな問題であり、その予防と治療を目的として、脂質を標
的とする機能性食品や創薬などの研究開発が行われています。その研究現場では、高い
脂質代謝機能と高い利便性を備えた研究素材が求められておりますが、本研究開発で
は、当社の技術を応用して脂質の研究領域に求められているニーズを満たす新しい研究
用ヒト肝細胞を開発し、脂質研究を加速させることにより、生活習慣病による健康や医
療費の問題解決に貢献することを目指しました。

2.研究開発の成果について
論文(Lipoprotein profile and lipid metabolism of PXB-cells®, human primary
hepatocytes from liver-humanized mice: proposal of novel in vitro system for
screening anti-lipidemic drugs. Hata K et al. Biomed Res. 2020;41(1):33-42.)で
は、本研究開発の共同実施機関である秋田県総合食品研究センター 上席研究員 畠恵司
先生が、ヒト肝細胞キメラマウス(PXBマウス 🄬 )から分離された新鮮ヒト肝細胞につい
て、RT-PCR、 ELISA、ゲルろ過HPLCを用いて遺伝子の発現、培養上清中の分泌蛋白、並
びにリポタンパク質プロファイルを解析されました。
その結果、当該新鮮ヒト肝細胞は癌化ヒト肝細胞であるHepG2、HuH-7と比較し高レベ
ルのリポタンパク質を産生していたこと、リポタンパク質分画ではプライマリーなヒト
肝細胞と同様、主にVLDLを産生していたこと、VLDLの産生にApoB100と呼ばれるタンパク
質が関与している可能性があること、高脂血症の治療薬であるフェノフィブラートを添
加した培養上清では用量依存的にこのリポタンパク質の産生が抑制されたことなどが明
らかにされており、当該新鮮ヒト肝細胞とリポタンパク質プロファイル・脂質代謝解析
(所謂、悪玉コレステロールが多いか善玉コレステロールが多いかを詳細に解析するこ
となど)の組み合わせは、新しい脂質改善薬のin vitroスクリーニング法になりえると
結語されています。
当社といたしましては、本研究成果によりPXBマウス 🄬 から採取したヒト肝細胞が脂質
代謝領域の研究開発でも有用であることが確認できましたので、医薬品や機能性食品開
発を含む脂質代謝研究の領域へ展開すべく、商品の開発を進めて行く所存であります。
なお、本研究開発では、リポタンパク質プロファイル・脂質代謝解析に株式会社スカ
イライト・バイオテックのLipoSEARCH 🄬 分析法や株式会社免疫生物研究所のELISAキット
(#27181 Human ApoB-100 Assay Kit)などが使用され、当社開発商品の有用性を示すデ
ータが得られました。

3.今後の見通し
本件が当期の業績に与える影響については軽微でありますが、将来的に公表すべき事
項が生じた場合には速やかに開示いたします。


【ご参考】
※ 戦略的基盤技術高度化支援事業
本事業は、中小企業のものづくり基盤技術の高度化に関する法律に基づく12の技
術分野の向上につながる、研究開発、その試作等の取り組みを支援することを目的
に、中小企業・小規模事業者が、大学・公設試等の研究機関と連携して行う、製品
化につながる可能性の高い研究開発、試作品開発等及び販路開拓への取り組みを支
援する制度であります。



以 上

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