「みどりの食料システム戦略」と当社の取り組みについて

2021 年 7 月 30 日
各 位
会 社 名: クミアイ化 学 工 業 株 式 会 社
代表者名: 代表取締役社長 小池 好智
(コード番号 4996 東証第一部)
問合せ先: 常務執行役員総務人事部長 吉村 巧
(TEL. 03-3822-5036)

「みどりの食料システム戦略」と当社の取り組みについて

日本政府は、 食料・農林水産業の生産力向上と持続性の両立をイノベーションで実現させるため、
中長期的な観点から戦略的に取り組む政策方針として「みどりの食料システム戦略(以下、みどり
戦略)」を策定し、強力に推進していくとしています。本戦略の中で 2050 年までに目指す姿とし
て、農林水産業のCO2ゼロエミッション化の実現の他、化学農薬の使用量をリスク換算で 50%低
減や耕地面積に占める有機農業の取組面積を 25%、 万 ha に拡大する等の目標を掲げています。


そのための 2030 年までの取組・技術として、ドローンによるピンポイント農薬散布、土着天敵
や光を活用した害虫防除技術、AI等を活用した病害虫の早期検出技術、総合的病害虫・雑草管理
(IPM)の普及、有機農業の拡大が示されています。また、本戦略の推進に当たっては、調達か
ら、生産、加工・流通、消費に至るすべてのステークホルダーの理解を得ることに最大限配慮しつ
つ、意欲的な取組を引き出すことを基本に社会実装を進めるとしています。
農薬は食料生産に必須の資材であり、世界人口の増加を考慮すれば人類の持続性を担保するため
の必需品とも言えます。環境面を含む安全性を担保したうえで、必要量を必要な時期、場所に使用
することが重要です。過去数十年にわたる農薬開発の歴史は、技術革新により化学農薬の使用量を
大きく減少させ、かつ安全性の高いものへシフトしてきました。今後もイノベーション創出により
この流れを加速していくことが求められています。
このような中、当社では、現中期経営計画の策定に当たって、20~30 年後のあるべき姿である
「食の安定供給を支える農業に貢献し、革新的な技術と独自の事業領域を確立した最先端の化学メ
ーカー」を設定し、この姿を実現化するために、今後取るべき事業戦略の方向性について整理、集
約しております。この中には環境保護やエネルギー問題等を含むみどり戦略に示された姿が既に盛
り込まれており、当社としては、このあるべき姿の実現により、みどり戦略が掲げる「食料・農林
水産業の生産力向上と持続性の両立」に資する革新的な技術の確立に取り組んでまいります。




図1.当社および当社グループのあるべき姿
【参考】


1. みどりの食料システム戦略に繋がる現在までの取組み
(1) 化学農薬の低減
① ヒトや環境に対するリスクがより低い化学・生物農薬の開発
https://www.jstage.jst.go.jp/article/kagakutoseibutsu/50/7/50_552/_pdf
② 薬剤抵抗性の獲得を抑制できる農薬の開発
http://pssj2.jp/committee/bioactivity/abst3.pdf
(2) スマート農業への参画
・ 国内農業の課題;担い手の高齢化・労働力不足
・ スマート農業の実現;農作業の省力・軽労化、栽培技術の継承
① 農業機械との連携
1) 農機メーカーとの連携
・ ドローン、ラジコンボートや背負い式動力散布機と豆つぶ剤のマッチングによる省力化、
効率化の実証、普及
・ ドローン各散布装置による豆つぶ剤吐出確認
2) 水田自動給水装置と豆つぶ剤のマッチング
・ 水田自動給水装置による豆つぶ剤水口施用による実証と普及
3) 田植同時散布機による移植時散布の普及、拡大
② 栽培体系変化への対応
1) 高密度播種;FS剤、ナエファイン剤、側条施用及び箱処理剤の高密度播種への登録拡充と
普及
2) 水稲直播栽培;直播適用除草剤、FS剤による種子処理の普及、販売
③ ICT、IoTによる農業支援
1) 全農営農管理システムZ-GISの利用
・ 展示試験圃場の履歴管理
(3) 環境負荷軽減・IPMへの取組み(現在までの取組み)
① 生物農薬(エコシリーズ、クリーンシリーズ)の普及、販売
② ドリフトの少ない豆つぶ剤、微粒剤Fの普及、販売
③ 有機栽培、特別栽培農産物への対応(生物農薬、天然物由来農薬の活用)


2. みどりの食料システム戦略に繋がる新技術開発
(1) 先進的な農業生産資材の開発(微生物農薬・バイオスティミュラント)
① Rhizobium vitis ARK-1 株(特許取得済・2024 年上市予定)
② Bacillus 属菌(特許取得済・開発予定)
③ Lysinibacillus 属菌(国際特許出願済)
(2) バイオテクノロジーの応用
① 糸状菌改変による抗生物質の生産性向上研究を活用した医農薬製造技術
② ゲノム編集技術を応用した環境ストレス及び病害虫耐性作物の作出
(3)温室効果ガス低減技術の開発
① 農地から発生するメタンガスの抑制技術(国際特許出願済)
以上

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