社外報「SEIKO PMC Plus」Vol.3

SEIKO PMC Plus 発行2023年5月18日
Vol.3



トップメッセージ
日頃より格別のご高配を賜り、厚く御礼申し上げます。
当社グループの2023年度第1四半期は、昨年後半から続く海外での景
気減速の影響もあり、特に1~2月までは厳しい状況が継続しておりました。
但し、事業部ごとの濃淡はありますが、3月以降は販売数量が持ち直してき
ており、海外の原料市況が緩んでいることもあいまって、業績は回復傾向
にあります。
引き続き、昨年来の原料価格上昇分の製品価格への転嫁を進めるととも
に、需要回復を適確に捉えて拡販に繋げることで、通期業績計画の達成を
星光 PMC 株式会社
目指します。日用品分野での採用検討が進むセルロースナノファイバーや 代表取締役社長執行役員

事業化フェーズに入ったバイオフィルムコントロール剤だけでなく、「曲がる 菅 正道
太陽電池」関連で注目を浴びる銀ナノワイヤ、脱プラ紙化関連、機能性溶剤
代表取締役社長執行役員
といった将来が楽しみな製品群の開発・拡販にも引き続き注力いたしてお
りますので、今後ともご支援を賜りますよう、よろしくお願い申し上げます。 菅 正道


第1四半期(1Q)業績
(億円) 22年度 22年度 23年度 増減 23年度 連結業績
実績 1Q実績 1Q実績 (対1Q) 計画 主に製紙用薬品の拡販を進めると共に、これま
での原料価格の上昇に対応した製品価格への転
売上高 324 75 74 -1.0% 352
嫁に努めましたが、国内インキ市場の縮小加速や
営業利益 18.8 5.8 3.1 -46.4% 20.1 昨年後半から続く海外での景気減速の影響によ
純利益 16.4 6.2 3.0 -50.9% 15.5
る高付加価値製品の販売数量減が響き、売上高
は前年同期並みも、大幅な減益となりました。
EBITDA(*) 33.1 8.8 6.9 -22.0% 39.3

* EBITDA=営業利益+減価償却費 製紙用薬品事業
東南アジアでの拡販を進めると共に、価格転嫁
(億円) に努めましたが、ベトナム工場の償却負担増もあ
り、前年同期比では減益となりました。但し、昨年
4Q 比 では 利益 が 回復して おり 、3 月 以降 は、 国
内の販売が持ち直してきています。

樹脂事業
厳しい事業環境下、国内外共に苦戦を強いられ、
1Qのセグメント利益は赤字となりました。中国の
需要回復を適確に捉え拡販に繋げてまいります。

化成品事業
化成品事業は前年同期比では減益となりました
が 、昨 年 4Q比 で は利 益が回 復して お り 、 ま た 、
(億円)
3月以降、中国での販売が持ち直してきています。
今後、設備投資による減価償却費増の影響を一
時的に受けますが、下期以降の生産能力UPにつ
ながる見込みです。

課題と今後の見通し
通期業績見通しは据え置き、売上高352億円、
営業利益20.1億円の計画達成を目指します。
利益の稼ぎ頭である化成品事業の収益力を一
層高めつつ、製紙用薬品事業の更なる回復、樹脂
事業の改革を進めてまいります。
配当に関しては、安定配当の方針のもと、昨年
同様の水準を維持する予定です。
→2ページ目:製紙用薬品事業部 特集へ
特集:製紙用薬品事業部長インタビュー
強みは「幅広い製品ラインナップ」「技術営業力」
――改めて、当社製紙用薬品事業の歴史、強みについて教えてください。

製紙用薬品の製造販売は当社の祖業です。日本企業と外資系企業の合弁会社として設立された
経緯もあり、湿潤紙力増強剤をはじめとした海外で開発された新しい製品を、日本においていち
早く展開してきました。その際、品質を高めた製品として出すことにも妥協しませんでした。
現在の当社の強みを一言で申し上げるなら、「幅広いラインナップ」と「技術営業力」です。紙に強
度やにじみにくさ・風合いなどの個性を出す機能性薬品と、抄紙時の操業性を高める薬品のどち
らもラインナップしていますし、多様な製品群と製紙工程への深い理解を元に、営業と技術が一体
となって課題解決をする「ソリューション営業」を行っています。 製紙用薬品事業部長
村田 満広
景気回復後に向け着実に準備中、成長地域への拡販を進める
――2Qがすでに始まっていますが、現在の状況はいかがでしょう。
国内では、コロナ禍が落ち着きインバウンド需要が回復してきたことから、段ボール原紙や衛生用紙などの回復を期待したいと思い
ます。価格転嫁は道半ばですが、顧客の理解を得ながら進めていきます。海外では、未だ市況が回復途上にある地域も少なくありませ
んが、コロナ禍からの回復をきっかけに既存顧客との関係強化、新規商権獲得のための商談を活発化し、市況が回復したタイミングで
着実に業績を伸ばせるよう準備中です。

――今後の成長戦略をお教えください。

紙・板紙市場の成長が期待できる東南アジアでは、紙力増強剤としてでんぷんを使っている製紙会社が多いのですが、排水とともに
河川に流れると水質汚染を引き起こすリスクがあり、各国で規制が強まりつつあります。そのでんぷんを、当社のポリアクリルアミド系
紙力増強剤に置換することで水質汚染のリスクを軽減できるため、置き換えを狙っていきたいと思っています。その他、紙の強度を出
しつつ抄紙時の操業性も改善できる薬品も国内外でプロモートしており、好感触を得ています。


将来への種まきとして、新たな分野への挑戦も進行中
――そのほか、新たな取り組みがあれば教えてください。

最近は、バイオフィルムコントロール剤(BFC剤)へのお問い合わせをいただくことが多く、注目が高まっていると感じています。元
は製紙会社のスライムトラブル対策のために研究員が着想したアイデアでしたが、この技術を公開したところ、「水」に関わる多くの幅
広い業界から注目を集め、今年2月には医療機器用洗浄剤として製品化されました。脱プラ紙化関連製品の注目も集まっており、実機
テストに進んでいる案件もあります。早期の採用に向けて引き続き取り組んでいきます。紙の国内市場が一部シュリンクする中、BFC
剤や脱プラ紙化関連製品が新たな柱の一つになるよう育てていきたいと考えています。




製品化ニュース
医療機器洗浄剤用途で初採用!
星光PMCのバイオフィルムコントロール技術
バイオフィルムとは、細菌が集合するとできる集合体で、いわゆる「ぬめり」を指します。バイオフィルムは水を使
うあらゆる場面で発生しますが、抗生物質や洗浄剤では簡単に除去できません。当社では、発生したバイオフィルム
を除去しやすくするだけでなく、細菌の生理機能に作用することでバイオフィルムの発生を抑える という画期的な
技術を開発し(特許取得済)、「バイオフィルムコントロール剤」(BFC剤)として展開しています。


医療機器用洗浄剤「BAKU」の共同開発 家電など生活用品への展開も視野に
当社は、医療機器開発を手掛 BFC 剤 は、 医 療 機 器 だ けで な く 様 々 な 分 野
けるニューロシューティカルズ への展開を模索しています。
社と共同で、医療機器用洗浄 例えば、家電分野では、空調内部の結露水に
剤であるバイオフィルム除去剤 より、空調内にバイオフィルムが発生し、機器
「BAKU」を開発しました。 の故障や健康被害を引き起こす可能性があり
バイオフィルムを発生させず ます。これまでの検討で、BFC剤をコーティン
洗い流しやすい状態にすること グすることでバイオフィルム形成を抑制できる
で、医療機器の洗浄効果を高 ことがわかっています。
め、二次感染を引き起こすリス この他、浴室やキッチン、排水溝などへの適
クを低減します。 用も期待しており、現在検討を進めています。

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