ブリーチ後の毛髪が日々広がりやすくなる原因を解明

News Release
2022 年 7 ⽉ 22 ⽇



ブリーチ後の⽑髪が⽇々広がりやすくなる原因を解明
〜絡まった髪をほどく過程で⽣じるうねりについて⽑髪内部構造を解析〜

美容室向けヘア化粧品メーカーの株式会社ミルボン(本社︓東京都中央区 代表取締役社⻑・佐藤⿓⼆)は、椙⼭
⼥学園⼤学 上甲恭平名誉教授とともに、ブリーチ施術後の⽑髪が、⽇にちの経過に伴い、洗髪後のドライヤー乾燥後に
広がりやすくなるメカニズムを解明しました。また、その際に⽑髪の内部構造がどのように変化しているのかについても解析し
ました。本研究成果について、以下の研究会にて発表を⾏いました。


【外部発表】
発表研究会︓第 73 回 繊維応⽤技術研究会
発表タイトル︓ブリーチ⽑髪のシャンプー時に⽣じるうねり発⽣現象とその機構
発表⽇︓2022 年 7 ⽉ 21 ⽇


【研究の背景】
近年、ブリーチ剤を⽤いた⾼明度なヘアカラーデザインの⼈気が⾼まっています。ブリーチ施術をした⽑髪は、洗髪時など
の濡れた状態では絡まりやすくなるほか、⽇にちの経過に伴い、ドライヤー乾燥後に髪全体が根元から広がってしまうという
声が多くあります。
ブリーチ施術ではアルカリ剤や酸化剤が⽤いられており、それらの成分が⽑髪に及ぼすダメージについてはこれまでにも多く
の研究がなされています。しかし、ブリーチ施術を受けた⽑髪が、その後、⽇々の⼿⼊れの中で受ける⼆次的なダメージに
ついては⼗分に明らかになっていませんでした。そこで今回は、洗髪時に⽣じる絡まりとドライヤー乾燥後の広がりの関係性、
更に⽑髪内部の構造変化について研究を⾏いました。


【研究の成果】
1.ドライヤー乾燥する過程で引っ掛かり強い負荷がかかると、髪がうねり広がることを確認
ブリーチ⽑髪で洗髪時に⽣じた絡まりは、そのままでは洗髪後のタオルドライを経ても残ってしまいます。本研究によって、
絡まったブリーチ⽑髪をドライヤーで乾燥させる過程で引っ掛かって強い負荷がかかると、絡まった交差部分が引っ張られな
がら乾燥されて、うねりが発⽣することが確認されました(図 1)。図 1 に⽰す通り、⽑髪⼀本⼀本の形状がうねると、全体の
シルエットとしては広がりまとまりにくくなります。




図 1 ブリーチ⽑髪がドライヤー乾燥の過程で広がる様⼦

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2.ドライヤー乾燥後にうねった状態の⽑髪ではマトリックス*1 が圧縮されていることを確認
⽇々の⼿⼊れの中でうねりという形状変化を起こすブリーチ⽑髪について、⽑髪内部ではどのような変化が起きているのか
を詳細に測定することを試みました。⽑髪の内部構造変化を捉える⼿法として⼤型放射光施設 SPring-8*2 でマイクロビ
ーム-⼩⾓ X 線散乱法(μ-SAXS)*3 を⽤いた測定を⾏いました。その結果、うねったブリーチ⽑髪ではマトリックス(図
2A)の構造が圧縮されていることが明らかとなりました(図 2B)。マトリックスとは、⽑髪内部においてミクロ構造を形作る
組織の⼀つです。すなわち、洗髪後の絡まりを元にブリーチ⽑髪で発⽣したうねりは、単なる⽑髪繊維の形状変化にとどま
らず、⽑髪内部においてミクロ構造の変化を伴うものであることが明らかとなりました。




(A) (B)
図2 うねり現象に伴う⽑髪内部構造の変化
(A)⽑髪の内部構造
(B)μ-SAXS 測定結果︓うねった部分ではマトリックス構造が圧縮されている。




これらの結果より、洗髪後の絡まったブリーチ⽑髪をドライヤー乾燥する過程で引っ掛かって強い負荷がかかると髪がうね
り全体のシルエットとしては広がること、そのとき⽑髪内部ではマトリックス構造にまで変化が⽣じていることが明らかとなりまし
た。


【今後の展望】
本研究成果は、洗髪時に絡まりやすく扱いが難しいブリーチ⽑髪の⽇々のお⼿⼊れを快適に導き、美しいブリーチデザイ
ンを⻑くキープすることができるヘアケア製品の開発へとつなげてまいります。今後も⽇々の美容⾏動に伴う⽑髪の変化やダ
メージに着⽬し、⽣活に寄り添った製品開発を⽬指します。




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《⽤語解説》
*1 マトリックス
⽑髪コルテックスのミクロ構造を形作る組織の1つ。コルテックスはマクロフィブリルという構造の集合体で構成されており、
マクロフィブリルは結晶性のミクロフィブリルと⾮晶性のマトリックスによって構成されている。


*2 ⼤型放射光施設 SPring-8
兵庫県の播磨科学公園都市にある世界最⾼性能の放射光を⽣み出すことができる理化学研究所の施設(同クラスの
ものはアメリカとヨーロッパ、世界で 3 台のみ)。SPring-8 の名前は Super Photon ring-8 GeV(80 億電⼦ボルト) に
由来。放射光とは、電⼦を光とほぼ等しい速度まで加速し、電磁⽯によって進⾏⽅向を曲げた時に発⽣する強⼒な電磁
波のこと。SPring-8 では、この放射光を⽤いてナノテクノロジー・バイオテクノロジー・産業利⽤まで幅広い研究が⾏われて
いる。SPring-8 ホームページを参照(http://www.spring8.or.jp/ja/)。


*3 マイクロビーム-⼩⾓ X 線散乱法(μ-SAXS)
物体に照射した X 線はその物体内で様々な⽅向に散乱する。このうち散乱⾓が数度以下の X 線を測定することにより、
数 nm〜数⼗ nm の構造情報を得る⼿法が⼩⾓ X 線散乱法である。⽤いる光源が数μm 前後の場合を特にマイクロ
ビーム-⼩⾓ X 線散乱法という。




■リリースに関するお問い合わせ先
広報室 東京都中央区京橋 2-2-1 京橋エドグラン
TEL 03-3517-3915 FAX 03-3273-3211
株式会社ミルボン/本店︓⼤阪市都島区、社⻑︓佐藤⿓⼆、証券コード︓4919(東証プライム)

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