(開示事項の経過)富山大学及び富山県とのスーパー中和抗体についての共同研究に関する覚書締結のお知らせ

News Release
2023 年 8 月 29 日

会 社 名 株 式 会 社 ペルセウスプロテオミクス
代表者名 代表取締役社長 執行役員 横川 拓哉
(コード番号:4882 東証グロース)
問 合 せ先 取締役執行役員 管理部長 鈴川 信一
(TEL. 03-6264-8224)


(開示事項の経過)富山大学及び富山県との
スーパー中和抗体についての共同研究に関する覚書締結のお知らせ

当社は、2022 年5月 18 日にお知らせしていた、国立大学法人富山大学(以下「富山大学」)及び富
山県との新型コロナウイルス感染症(以下「COVID-19」)に対する「スーパー中和抗体(開発コード:
UT28K)」の開発を中止いたしましたのでお知らせいたします。


富山大学の研究グループは、新型コロナウイルス(SARS-CoV-2)感染後に回復した複数の患者さんの抗体
を用いた研究から、多種の変異株(野生株、アルファ株、ベータ株、ガンマ株、カッパ株、デルタ株、エプシロン株、
オミクロン株)の感染を防御できる UT28K を見出すとともに、本抗体が感染性に重要な役割を持つ中心的結
合部位に強く作用して感染を抑えることを発見しました。また、この中心的結合部位において抗体が結合できな
くなるような変異が起こると、ウイルスの感染性が弱まることや、そうした変異が起きていない変異株に対しては
UT28K が基本的に有効であるという解析結果を得て、これを検証するため、動物による感染実験および結果
の解析を進めていました。


しかしながら、オミクロン株 BA.5 等の変異株では、上記の中心的結合部位が変異すると同時に、複数の別
の部位も変異して新たな結合部位を生成することで感染性を獲得するという想定外の進化を遂げていました。こ
れらの変異株に対しては UT28K の中和活性が弱まるため、同研究グループは抗体を改良し、将来的な変異
株に対しても有効な抗体の探索を進めていましたが、そのような性質を持つひとつの抗体の設計は困難であると
の判断に至ったものです。なお、研究内容の詳細については、現在同研究グループが論文の投稿を準備してい
ます。


当社は、感染症治療薬の新規開発には大きなリスクが伴うことから、政府助成金等の獲得に応じた開発を
計画しておりましたが、COVID-19 に対するワクチンや経口薬が普及した現在、COVID-19 に対する緊急的
医療ニーズは低下しております。このため、開発のための政府助成金の獲得は困難と予想されます。


以上のことから、富山大学及び富山県と協議した結果、本件の開発を中止することといたしました。一方、患
者さんの検体から取得した抗体を用いて迅速に中和抗体を作製する富山大学の技術は重要な創薬技術であ
り、今後の新興感染症等に対する活用が期待されます。


なお、本件が当社の今期業績に与える影響はございません。
以上



3681