第63回 毒性学会年次総会におけるMN-166(イブジラスト)の塩素ガス誘発性肺障害に関する演題発表に関するお知らせ

2024 年 3 月 12 日




各 位

会 社 名 M e d i c i N o v a , I n c
代表者名 代 表 取 締 役 社 長 兼 CEO 岩城 裕一
(コード番号:4875 東証スタンダード)

東京事務所代表 副社長
問合せ先 松田 和子
兼最高医学責任者(CMO)
電話:03-3519-5010
E-Mail:infojapan@medicinova.com



第 63 回 毒性学会(Society of Toxicology)年次総会における
MN-166(イブジラスト)の塩素ガス誘発性肺障害に関する演題発表に関するお知らせ


2024 年 3 月 12 日 米国 ラ・ホイヤ発 – メディシノバ(MediciNova,Inc.) (米国カリフォルニ
ア州 ラ・ホイヤ、代表取締役社長兼 CEO:岩城裕一)は、2024 年 3 月 10 日から 14 日にかけて
米国ユタ州ソルトレイクにて開催中の第 63 回 毒性学会(Society of Toxicology;SOT)年次総会
及び ToxExpo において、共同研究者である Perenlei Enkhbaatar MD, PhD(テキサス大学医学
部、トランスレーショナル集中治療室長、チャールズ・ロバート・アレン麻酔学科教授)により、
MN-166(イブジラスト)*1 の塩素ガス誘発性肺障害*2(CIALI;Chlorine-Gas Induced Acute
Lung Injury)の羊モデル試験(参照1)(以下、 「本動物モデル試験」といいます。 )の試験データが
発表されたことをお知らせします。

臨床へのトランスレーショナル・リサーチ(橋渡し研究)にあたる本動物モデル試験の主な目的
は、塩素ガス誘発性急性肺障害(CIALI)において臨床的に適切なモデルとされる羊モデルを用
いて MN-166(イブジラスト)の安全性と薬理学的活性などを評価するというもので、単回投与
と複数回投与による 2 つの治療レジメが評価されました。

主要評価項目は、肺機能測定値 PaO2/FiO2 比(動脈酸素分圧と吸入酸素分画の比・mmHg)で
す。その他の評価項目としては、生存率、肺機能・肺力学、肺組織の損傷評価、胸部 X 線による
肺浮腫形成の評価などです。

“ Evaluation of safety and pharmacological activity of MN-166 (ibudilast) in a clinically
relevant ovine model of chlorine-induced acute lung injury”
(抄録番号 4296)
(和訳:塩素誘発急性肺障害の臨床応用モデルにおける MN-166(イブジラスト)の安全性と薬
理活性の評価)と題された本発表のハイライトは以下の通りです。

塩素ガス吸入暴露(210ppm×30 分)により中等度の ALI(平均 PaO2/FiO2 値<200mmHg)
を誘発させ、被験動物を無作為に MN-166(イブジラスト)低用量 10mg と高用量 20mg、ポジ
ティブ対照(ロリプラム) 、ネガティブ対照(薬物を溶解するのに用いた溶媒のみ、無治療)の異
なる 4 つの群に分けて治療した。210ppm×30 分の塩素ガス暴露により、20~30%の致死率が予
想されている(福田 2015)。



-1-
治療レジメ

• 単回投与(n=5/群):塩素ガス暴露完了 30 分後に治療開始。点滴静注(30 分)を 1 回のみ
投与

• 複数回投与(n=3/群)
:塩素ガス暴露完了 30 分後に治療開始。点滴静注(30 分)を合計 4 回
12 時間ごとに投与

有効性評価

単回投与スタディ
• MN-166(イブジラスト)20mg およびロリプラム投与群では、平均 PaO2/FiO2 および最
高気道内圧で大きな改善が見られたが、効果は塩素ガス暴露 12 時間以降には消失した。

複数回投与スタディ
• MN-166(イブジラスト)20mg 群は、平均 PaO2/FiO2 比においてより大きな改善を示し
(p=0.0001)、被検動物は ARDS の基準を満たさなくなるほど回復した(ベルリン ARDS 定
義 2012 年)。
• MN-166(イブジラスト)20mg 群は、他の治療群と比較して、最高気道内圧(p<0.05) 、プ
ラトー気道内圧(p<0.05)、肺動脈圧(p<0.05)、肺損傷スコア(p<0.05)にも大きな改善
を示した。
• MN-166(イブジラスト)20mg 群は、他の治療群と比較して、心機能と腎機能も維持した。
• 特に、これらの有意な治療効果が塩素ガス暴露 12 時間以降も観察されたことは MN-166
(イブジラスト)20mg の複数回投与による有用性を強く示唆するものである

生存率

• MN-166
(イブジラスト)20mg 群は、他の治療群よりも生存率が高いことが示された。 MN-
166(イブジラスト)20mg 群では全例(8 例中 8 例)が 48 時間の観察時間生存していた
が、他の治療群では各群で 25%(8 例中 2 例/群)が安楽死基準に達した時点で観察期間を
完了せずに安楽死の処置がなされた。


当社取締役兼 CMO(最高医学責任者)の松田和子は次のようにコメントしています。
「CIALI における臨床的に適切なモデルとされる羊モデルにおいて、 肺機能の大きく有意な改善、
すなわち ARDS からの回復や肺傷害の軽減、 そして生存率の向上などの良好な結果を報告できる
ことを大変嬉しく思います。過去に LPS 誘発性 ARDS モデルスタディ(参照 2)、ARDS 発症リス
クのある入院中の重症 COVID-19 患者を対象としたフェーズ 2 臨床治験(参照 3)などで有意かつ
良好な結果を報告しています。過去の試験における良好な結果、さらには今回の CIALI 羊モデル
の良好な結果を総合して鑑みると、MN-166 には様々な原因による急性肺疾患を治療する可能性
があると考えています。 」

(参照 1) 2021 年 6 月 7 日公表
「米国生物医学先端研究開発機構(BARDA)との提携共同開発における MN-166(イブジラス
ト)の塩素ガス暴露による肺障害に対する動物試験の開始のお知らせ」
https://medicinova.jp/wp-content/uploads/2022/01/06072021.pdf

(参照 2) 2020 年 3 月 10 日公表
「重症肺炎および急性呼吸窮迫症候群(ARDS)を対象とした MN-166(イブジラスト)の開発開
始に関するお知らせ」
https://medicinova.jp/wp-content/uploads/2020/03/03102020.pdf
(参照 3) 2022 年 6 月 8 日公表
「MN-166(イブジラスト)の急性呼吸窮迫症候群(ARDS)リスクを有する重症 COVID-19 入院

-2-
患者を対象とするフェーズ 2 臨床治験の良好なトップラインデータに関するお知らせ」
https://medicinova.jp/wp-content/uploads/2022/06/06082022.pdf



なお、本プロジェクトは、契約番号 75A50121C00022 の下、保健社会福祉省 準備・対応担当次
官補室 米国生物医学先端研究開発機構(BARDA)*3 からの連邦資金により、開発資金が提供さ
れ行われたものです。

以 上


1 MN-166(イブジラスト)について
MN-166 はファースト・イン・クラスの経口摂取可能な小分子化合物で、マクロファージ遊走阻止因子(MIF)阻
害剤、ホスホジエステラーゼ-4 及び-10 の阻害剤で、炎症促進作用のあるサイトカイン、IL-1β、TNF-a、IL-6 な
どを阻害する働きを有しており、また、反炎症性のサイトカイン IL-10、神経栄養因子及びグリア細胞株由来神経
栄養因子を活性化する働きも認められています。グリア細胞の活性化を減衰し、ある種の神経症状を緩和するこ
とがわかっています。前臨床研究および臨床研究において抗神経炎症作用及び神経保護作用を有することが確認
されており、これらの作用が MN-166 の神経変性疾患(進行型多発性硬化症、ALS など)、各種依存症、慢性神
経因性疼痛などに対する治療効果の根拠と考えられております。当社は、進行型多発性硬化症及び ALS、薬物依
存症をはじめとする多様な神経系疾患を適応とする新薬として開発しており、進行型多発性硬化症、ALS、薬物
依存などを含むさまざまな疾患治療をカバーする特許のポートフォリオを有しております。


2 急性肺障害(ALI)について
急性肺障害(ALI)は、急性呼吸窮迫症候群(ARDS)発症前後の状態を言います。
ARDS は、血液中の酸素レベルの低下を引き起こす重篤な肺機能不全の一種です。何らかの理由で肺が損傷を受
けると、肺胞と呼ばれる小さな空気嚢の内部に血液や体液が溜まり、 肺胞が膨らみを保つ界面活性剤 (サーファク
タント)が分解され、肺胞がつぶれた状態になります。そのため、肺から吸い込む空気中の酸素を血液中に取り込
むことができず、 低酸素状態になります。急性期を過ぎると肺が線維化し固くなり、コンプライアンスが低下しま
す。ARDS は数日で発症する場合もあれば、非常に急速に悪化する場合もあります。ARDS の最初の症状は通常、
息切れで、他の徴候と症状として、低酸素血症、急速で浅い呼吸、呼吸時の肺のクリック音、水疱音、または喘鳴
が聞かれます。感染症は、ARDS の最も一般的な危険因子です。これらの感染には、インフルエンザ、コロナウイ
ルスまたはその他のウイルス感染症、敗血症などが含まれます。発症後死亡率は、ARDS 患者の約 40%と言われ
ています。


3 生物医学先端研究開発機構(BARDA)について
生物医学先端研究開発機構 (BARDA) 米国福祉保健局
は、 (HHS)の一部であり、化学、生物、放射線、 (CBRN)

の脅威や、パンデミックインフルエンザ(PI)や新興感染症(EID)の脅威から国を守るために設立されました。
BARDA は、ワクチン、医薬品、診断薬などの医療対策の移行を支援し、FDA による承認や戦略的国家備蓄品に
含めるための検討に向けて、研究から高度な開発まで取り組んでいます。BARDA の支援には、臨床研究機関ネッ
トワークから先端開発・製造イノベーションセンター、 充填・製造ネットワークに至るまで、 資金提供、 技術支援、
中核的サービスなどが含まれます。 BARDA は医療対策の多様なポートフォリオをサポートしており、 これまでに
合計 57 の FDA 承認、ライセンス、またはクリアランスを取得しています。
BARDA の使命は、リスクを共有し、効率性を高め、開発を加速させるために、産業界との官民パートナーシップ
を成功させることで達成されており、同時に、国の安全保障に不可欠な対策品への継続的なアクセスを保証する
市場を維持しています。



メディシノバについて
メディシノバ(MediciNova, Inc.)は、臨床開発ステージにあるバイオ医薬品開発企業であり、炎症性疾患、線
維化疾患、神経変性疾患などの様々な疾患領域において、新規低分子化合物の広範な後期パイプラインを開発し
ています。主要な開発品である 2 つの化合物、MN-166(イブジラスト)と MN-001(タイペルカスト)は、複
数の作用機序と高い安全性プロファイルを有しており、当社は、これら 2 つの化合物について現在 11 の臨床開
発プログラムを有しております。
当社の主力開発品である MN-166(イブジラスト)は、現在、筋萎縮性側索硬化症(ALS)及び変性性頸椎脊椎

-3-
症(DCM)で臨床第Ⅲ相(フェーズ 3)段階、進行性の多発性硬化症(MS)において臨床第Ⅲ相(フェーズ
3)準備段階にあります。加えて、MN-166(イブジラスト)は、膠芽腫(グリオブラストーマ)、急性呼吸窮迫
症候群(ARDS)及び薬物依存症の治療薬として臨床第Ⅱ相(フェーズ 2)段階にあります。
MN-001(タイペルカスト)は、非アルコール性脂肪性肝疾患(NAFLD)について、臨床第Ⅱ相(フェーズ 2)
の準備段階にあります。
当社は、公的機関からの資金助成を受け、多くの医師主導型臨床治験を実施してきた強固な実績を有していま
す。
当社詳細につきましては https://medicinova.jp/をご覧下さい。本社所在地はアメリカ合衆国カリフォルニア州
ラ・ホイヤ、スイート 300、エグゼクティブ・スクエア 4275(電話 1-858-373-1500)です。


注意事項
このプレスリリースには、1995 年米国民事証券訴訟改革法(The Private Securities Litigation Reform Act of
1995)に規定される意味での「将来の見通しに関する記述」が含まれている可能性があります。これらの記述に
は、MN-166、MN-001、MN-221 及び MN-029 の治療法の将来における開発や効果に関する記述などが含まれま
す。これらの「将来の見通しに関する記述」には、そこに記述され、示されたものとは大きく違う結果または事象
に導く多数のリスクまたは不確定要素が含まれます。かかる要素としては、MN-166、MN-001、MN-221、また
は MN-029 を開発するための提携先または助成金を得る可能性、当社の事業または臨床開発を行うために十分な
資金を調達する可能性、将来の臨床治験のタイミング、費用、計画など、臨床治験、製品開発および商品化に付随
するリスクや不確定要素、FDA に対して書類を提出するタイミング、臨床開発及び商品化のリスク、現段階の臨
床治験の結果が必ずしもその後の製品開発の行方を確定するものではない可能性、当局の承認取得の遅延または
失敗の可能性、臨床治験の資金を第三者機関に頼ることによるリスク、商品候補に対する知的財産権に関するリ
スク及びかかる権利の防御・執行能力に関するリスク、製品候補の臨床治験または製造を依頼している第三者機
関が当社の期待通りに履行できない可能性、さらに臨床治験の開始、患者登録、完了または解析、臨床治験計画の
妥当性または実施に関連する重大な問題、規制当局への書類提出のタイミング、第三者機関との提携またはタイ
ムリーな資金調達の可否などに起因する遅延及び費用増大に加え、 当社が米国証券取引委員会に提出した 2023 年
12 月期の Form10K 及びその後の 10Q、8K など届出書に記載されているものも含め、しかしそれに限定されな
いその他のリスクや不確定要素があります。したがって、 「将来の見通しに関する記述」はその時点における当社
の状況を述べているにとどまり、実際の結果または成り行きは、必ずしも予想通りにはならない可能性があるこ
とにご留意下さい。また当社には、この記述に関して、情報の修正または更新を行う義務はありません。




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