第20回 Society for Brain Mapping and Therapeutics年次総会におけるグリオブラストーマ腫瘍組織解析結果の発表に関するお知らせ

2023 年 2 月 21 日




各 位

会 社 名 M e d i c i N o v a , I n c
代表者名 代 表 取 締 役 社 長 兼 CEO 岩城 裕一
(コード番号:4875 東証スタンダード)

東京事務所代表 副社長
問合せ先 松田 和子
兼最高医学責任者(CMO)
電話:03-3519-5010
E-Mail:infojapan@medicinova.com

第 20 回 Society for Brain Mapping and Therapeutics(SBMT)年次総会における
グリオブラストーマ腫瘍組織解析結果の発表に関するお知らせ

2023 年 2 月 20 日 米国 ラ・ホイヤ発 – メディシノバ(MediciNova,Inc.) (米国カリフォルニ
ア州 ラ・ホイヤ、代表取締役社長兼 CEO:岩城裕一) (以下「当社」といいます。)は、2023 年
2 月 16 日から 19 日にかけて米国カリフォルニア州ロサンゼルスにて開催された第 20 回 SBMT
(Society for Brain Mapping and Therapeutics)の年次総会で、グリオブラストーマ(神経膠芽
腫)*1(以下「GBM」といいます。 )を対象とするフェーズ 1/2 臨床治験(MN-166-GBM-1201
NCT03782415) で得られた腫瘍組織の解析データに関して、 当社の共同研究者であるジャスティ
ン ラシア(Justin Lathia)博士(クリーブランド・クリニック Rose Ella Burkhardt 脳腫瘍・
神経腫瘍学センターのディレクター、ケース・ウェスタン・リザーブ大学 クリーブランド・クリ
ニック・ラーナー医学大学 分子医学部門 教授、心臓血管・代謝科学部 教授兼副部長)より発表
されたことをお知らせします。

本研究は、当社とパトリック・ウェン(Patrick Wen)博士(ダナ・ファーバーがん研究所 神経
腫瘍センター長、ハーバード大学 医学部 神経学科 教授)及びラシア博士による共同研究です。
MN-166-GBM-1201 は、再発及び初発 GBM を対象とし、MN-166(イブジラスト)*2 とテモゾ
ロミド(TMZ)併用療法の安全性と治療効果を評価するフェーズ 1/2 試験で、治験責任医師であ
るウェン博士の下、ダナ・ファーバーがん研究所で実施されています。

ラシア博士による発表の要旨は以下の通りです。
⚫ MN-166 と TMZ 併用療法に対する治療効果の潜在的な予測因子を明らかにするために、腫
瘍組織を解析した。
⚫ 治療前の腫瘍組織は、再発神経膠芽腫と診断された治験 Part1 参加者の初発手術時または生
検時の切除腫瘍から入手した。
MIF
⚫ 切除した腫瘍組織に対して免疫組織化学的手法を行い、 (マクロファージ遊走阻止因子) 、
pERK、Ki67、CD3、CD11b、CD74 などのタンパク質発現について分析した。盲検化され
た研究者が、患者ごとに各タンパク質発現のスコアを算出した。
⚫ その後、試験参加者は、MN-166 と TMZ 治療への反応によってノンレスポンダー(MN-166
と TMZ 投与開始後 5 カ月以内に癌が進行)とレスポンダー(5 カ月間 癌の進行無し)の 2
群に分けられた。
⚫ レスポンダーの腫瘍組織ではノンレスポンダーの組織に比べて CD3 の発現割合が有意に低
かった(p < 0.05)
。さらに、CD74 の発現も低かった(p = 0.06)。
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⚫ 初発時腫瘍組織における CD3+の低発現は、MN-166 と TMZ による治療の最良の腫瘍進行
予測因子であると考えられた。

ジャスティン ラシア(Justin Lathia)博士は以下のように述べています。
「我々のグループは過去に、 MIF-CD74 間シグナルを阻害し、 かつ脳内移行性の優れている MN-
166 が、免疫抑制を担う骨髄由来抑制細胞(以下「MDSCs」といいます。 )の生成を抑制し、CD8
陽性 T 細胞機能の抑制を解除することを、in vitro(試験管内)での実験で明らかにしていまし
た。またマウスモデルでは、MN-166 の投与で単球系 MDSCsが減少し、腫瘍微小環境において
CD8 陽性 T 細胞数が増え、その機能が活性されることを確認していました。
今回得られた新しい知見は、MDSC が多いせいで初発時腫瘍組織中の CD3 陽性 T 細胞が少なか
った患者ほど、MN-166 が MDSC を抑制し CD3 陽性 T 細胞の腫瘍組織への浸潤を増加させる治
療効果があったと説明できます。 このことは、 より大規模なコホートで確認する必要があります。 」

当社取締役兼 CMO(最高医学責任者)の松田和子は次のようにコメントしています。
「GBM は原発性悪性脳腫瘍のなかでも最も頻度が高く、 生命予後が非常に悪い腫瘍です。この腫
瘍は自己免疫を高度に抑制しますが、中枢神経系の免疫環境は特殊で安全に免疫反応を誘導する
ことは難しいと考えられてきました。今回ラシア博士が発表した腫瘍組織解析の新しい知見はと
ても興味深いものです。先日、MN-166-GBM1201 試験の患者登録が完了しました。より多くの
腫瘍組織サンプルのデータ解析に期待しています。 」

以 上



1 グリオブラストーマ(神経膠芽腫)について
原発性悪性脳腫瘍は、小児と若年者における癌死因の中で最も高く、メラノーマによる死亡よりも多いとされて
います。米国脳神経外科学会によると、グリオブラストーマ(神経膠芽腫)は脳グリア細胞(アストロサイト、オ
リゴデンドサイト) から発生し急速に周囲の脳組織に拡がる、 進行が非常に早く、 致死性も非常に高い脳腫瘍で、
世界保健機関(WHO)脳腫瘍悪性度分類で、最も悪性度の高いグレード IV に分類されます。米国脳腫瘍学会に
よるとグリオブラストーマは全脳腫瘍の 15%、グリオーマ(神経膠腫)の 56%近くを占めており、悪性脳腫瘍の
なかでも最も多く、米国では、2018 年中に約 12,760 名の患者が新たに診断されたと考えられています。近年の
脳神経画像検査、 脳外科手技、 化学療法や放射線治療などの進展向上にも関わらず、 グリオブラストーマ患者の予
後については、わずかな改善がみられているにすぎません。グリオブラストーマと診断された患者の生存期間中
央値は 14.6 ヵ月、2 年生存率は 30%といわれています。また、診断後 36 ヵ月以上生存可能な患者は、わずか 5%
といわれています。


2 MN-166(イブジラスト)について
MN-166 はファースト・イン・クラスの経口摂取可能な小分子化合物で、マクロファージ遊走阻止因子(MIF)阻
害剤、ホスホジエステラーゼ-4 及び-10 の阻害剤で、炎症促進作用のあるサイトカイン、IL-1β、TNF-a、IL-6 な
どを阻害する働きを有しており、また、反炎症性のサイトカイン IL-10、神経栄養因子及びグリア細胞株由来神経
栄養因子を活性化する働きも認められています。グリア細胞の活性化を減衰し、ある種の神経症状を緩和するこ
とがわかっています。前臨床研究および臨床研究において抗神経炎症作用及び神経保護作用を有することが確認
されており、これらの作用が MN-166 の神経変性疾患(進行型多発性硬化症、ALS など)、各種依存症、慢性神
経因性疼痛などに対する治療効果の根拠と考えられております。当社は、進行型多発性硬化症及び ALS、薬物依
存症をはじめとする多様な神経系疾患を適応とする新薬として開発しており、進行型多発性硬化症、ALS、薬物
依存などを含むさまざまな疾患治療をカバーする特許のポートフォリオを有しております。


メディシノバについて
メディシノバ(MediciNova, Inc.)は、臨床開発ステージにあるバイオ医薬品開発企業であり、炎症性疾患、線
維化疾患、神経変性疾患などの様々な疾患領域において、新規低分子化合物の広範な後期パイプラインを開発し
ています。主要な開発品である 2 つの化合物、MN-166(イブジラスト)と MN-001(タイペルカスト)は、複
数の作用機序と高い安全性プロファイルを有しており、当社は、これら 2 つの化合物について現在 11 の臨床開

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発プログラムを有しております。
当社の主力開発品である MN-166(イブジラスト)は、現在、筋萎縮性側索硬化症(ALS)及び変性性頸椎脊椎
症(DCM)で臨床第Ⅲ相(フェーズ 3)段階、進行性の多発性硬化症(MS)において臨床第Ⅲ相(フェーズ
3)準備段階にあります。加えて、MN-166(イブジラスト)は、膠芽腫(グリオブラストーマ) 、急性呼吸窮迫
症候群(ARDS)及び薬物依存症の治療薬として臨床第Ⅱ相(フェーズ 2)段階にあります。
MN-001(タイペルカスト)は、非アルコール性脂肪性肝疾患(NAFLD)について、臨床第Ⅱ相(フェーズ 2)
の準備段階にあります。
当社は、公的機関からの資金助成を受け、多くの医師主導型臨床治験を実施してきた強固な実績を有していま
す。
当社詳細につきましては https://medicinova.jp/をご覧下さい。本社所在地はアメリカ合衆国カリフォルニア州
ラ・ホイヤ、スイート 300、エグゼクティブ・スクエア 4275(電話 1-858-373-1500)です。


注意事項
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1995)に規定される意味での「将来の見通しに関する記述」が含まれている可能性があります。これらの記述に
は、MN-166、MN-001、MN-221 及び MN-029 の治療法の将来における開発や効果に関する記述などが含まれま
す。これらの「将来の見通しに関する記述」には、そこに記述され、示されたものとは大きく違う結果または事象
に導く多数のリスクまたは不確定要素が含まれます。かかる要素としては、MN-166、MN-001、MN-221、また
は MN-029 を開発するための提携先または助成金を得る可能性、当社の事業または臨床開発を行うために十分な
資金を調達する可能性、将来の臨床治験のタイミング、費用、計画など、臨床治験、製品開発および商品化に付随
するリスクや不確定要素、FDA に対して書類を提出するタイミング、臨床開発及び商品化のリスク、現段階の臨
床治験の結果が必ずしもその後の製品開発の行方を確定するものではない可能性、当局の承認取得の遅延または
失敗の可能性、臨床治験の資金を第三者機関に頼ることによるリスク、商品候補に対する知的財産権に関するリ
スク及びかかる権利の防御・執行能力に関するリスク、製品候補の臨床治験または製造を依頼している第三者機
関が当社の期待通りに履行できない可能性、さらに臨床治験の開始、患者登録、完了または解析、臨床治験計画の
妥当性または実施に関連する重大な問題、規制当局への書類提出のタイミング、第三者機関との提携またはタイ
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12 月期の Form10K 及びその後の 10Q、8K など届出書に記載されているものも含め、しかしそれに限定されな
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