遺伝子編集iPS細胞からNK細胞を分化誘導し、肺がん細胞株に対するin vitro抗腫瘍効果を確認

2021 年 11 月8日
各 位
会 社 名 株 式 会 社 ヘ リ オ ス
代 表者 名 代表執行役社長 CEO 鍵 本 忠 尚
(コード番号: 4593 東証マザーズ)



遺伝子編集 iPS 細胞から NK 細胞を分化誘導し、
肺がん細胞株に対する in vitro 抗腫瘍効果を確認



当社は、iPSC 再生医薬品分野において、固形がん*1 を対象に、遺伝子編集技術により特
定機能を強化した他家 iPS 細胞由来 NK 細胞*2 を用いた次世代がん免疫細胞療法の研究・開
発(開発コード:HLCN061)を推進しております。固形がんは、がん疾患の多くを占めて
いますが、がん免疫細胞療法として承認されている製品はなく、現在、有効な治療法が望ま
れています。
この度、当社において遺伝子編集した iPS 細胞を NK 細胞に分化誘導(以下、遺伝子編集
NK 細胞といいます。
)できたことを確認しました。さらに、遺伝子編集 NK 細胞が、固形が
んの一種である肺がんに由来する細胞株 A549(以下、肺がん細胞株といいます。
)に対して
in vitro 抗腫瘍効果(細胞傷害性)を有することが確認できましたのでお知らせいたします。


【研究成果】
肺がん細胞株に対する遺伝子編集 NK 細胞の in vitro 抗腫瘍効果




本試験では、肺がん細胞株に遺伝子編集 NK 細胞を添加あるいは、遺伝子編集 NK 細胞と
抗がん剤として使用されている抗 EGFR 抗体を添加し、電気抵抗の変化を測定することによ



「遺伝子編集 NK 細胞」「遺伝子編集 NK 細胞
り細胞傷害活性を測定しました。その結果、 、
と抗 EGFR 抗体」ともに添加後から、細胞の傷害を示す電気抵抗の低下が認められ、約 80
時間後には抵抗値0付近まで低下(がん細胞の活動が見られないと推測できます)したこと
を確認いたしました。
あわせて、遺伝子編集 NK 細胞による、肺がん細胞株から作製した細胞塊に対する傷害活
性の映像を公開いたしました。遺伝子編集 NK 細胞が肺がん細胞塊を攻撃し死滅させている
ことを確認しています。
詳細は下記の URL より動画をご覧ください。
動画(1)ヘリオス遺伝子編集 NK 細胞の肺がん細胞塊に対する効果
(https://youtu.be/uIJ0BtkI_hA)
動画(2)抗 EGFR 抗体の肺がん細胞塊に対する効果
(https://youtu.be/A7cXdkb7O_w)
動画(3)ヘリオス遺伝子編集 NK 細胞+抗 EGFR 抗体の肺がん細胞塊に対する効果
(https://youtu.be/rPs9b7-KrKE)


【参考:動画】
動画(1):遺伝子編集 NK 細胞添加後の経過
0 時間 86 時間 (約 3.5 日)




遺伝子編集 NK 細胞ががん細胞を死滅させています(細胞死を検出すると試薬が緑色に発光)

動画(2):抗 EGFR 抗体添加後の経過
0 時間 86 時間 (約 3.5 日)




抗 EGFR 抗体単独では、がん細胞は死滅せず、86 時間後もがん細胞塊は残存・拡大して
います。


動画(3):遺伝子編集 NK 細胞と抗 EGFR 抗体添加後の経過
0 時間 86 時間 (約 3.5 日)




遺伝子編集 NK 細胞と抗 EGFR 抗体を併用することで、効率的にがん細胞を死滅させ、がん
細胞塊が破壊されています。遺伝子編集 NK 細胞と抗体医薬品との併用療法は、治療が困難な
固形がん患者への有効な治療法となる可能性があります。


がん疾患は、分子標的薬やがん免疫療法の登場により、その治療成績の向上が見られてい
ますが、未だ治療効果の低い疾患領域です。当社は引き続き固形がんに対する有効な治療法
の研究・開発を推進いたします。




*1固形がん
血液がん以外の、臓器や組織にできるがんの総称です。


*2ナチュラルキラー(NK)細胞
ナチュラルキラー(NK)細胞は人間の体に生まれながらに備わっている防衛機構で、が
ん細胞やウイルス感染細胞などを攻撃する白血球の一種です。さらに白血球の分類において
はリンパ球に分類されます。NK 細胞を用いた治療の有効性としては延命効果、症状の緩和
や生活の質の改善、治癒が期待されています。




本件に関するお問合せ先
コーポレートコミュニケーション室
ir@healios.jp





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