慢性期外傷性脳損傷患者の評価指標の比較をExpert Review of Neurotherapeutics 誌に発表

2021 年 11 月1日
各 位
会 社 名 サ ン バ イ オ 株 式 会 社
代 表 者 名 代表取締役社長 森 敬太
(コード番号:4592 東証マザーズ)
問い合わせ 先 執行役員経営管理部長 角谷 芳広
(TEL.03-6264-3481)




慢性期外傷性脳損傷患者の評価指標の比較を
Expert Review of Neurotherapeutics 誌に発表



サンバイオ株式会社(本社:東京都中央区、代表取締役社長:森 敬太)は、当社グループ(サ
ンバイオ株式会社及びその子会社である SanBio, Inc.、SanBio Asia Pte. Ltd.)が慢性期の運動機能障
害を有する外傷性脳損傷患者を対象とした評価指標の比較データを Expert Review of
Neurotherapeutics 誌に発表したことを別添のとおりお知らせします。




以上
2021 年 11 月1日
サンバイオ株式会社



慢性期外傷性脳損傷患者の評価指標の比較を
Expert Review of Neurotherapeutics 誌に発表


サンバイオ株式会社(本社:東京都中央区、代表取締役社長:森 敬太)及びその子会社である SanBio,
Inc.、SanBio Asia Pte. Ltd.(以下「当社グループ」)は、慢性期の運動機能障害を有する外傷性脳損傷患者
を対象とした評価指標の比較データを Expert Review of Neurotherapeutics 誌に発表したことをお知らせし
ます。

Center For Neurotrauma Research の共同責任者でありウィスコンシン医科大学脳神経外科教授でもある
本論文の筆頭著者マイケル・A・マクレー氏は、次のように述べています。「慢性期における外傷性脳損傷の
臨床試験の成功を定義する指標は確立していないため、外傷性脳損傷による運動機能障害を有する患者
の評価に関する本論文発表は、この研究分野における大きな前進です。本研究結果は、外傷性脳損傷に
起因する慢性期運動機能障害を有する患者を対象とした今後の臨床試験において、長期的な機能的転帰
と運動機能障害の評価に Disability Rating Scale(DRS)および Fugl-Meyer Motor Scale(FMMS)を用いて評
価することが適切であることを裏付けるものです。」

急性期外傷性脳損傷の評価には Extended Glasgow Outcome Scale(GOS-E)が汎用されていますが、外
傷性脳損傷による慢性期の運動機能障害を有する患者の評価における GOS-E の有用性は、必ずしも明ら
かではありません。「Determining minimally clinically important differences (MCIDs) for outcome measures in
patients with chronic motor deficits secondary to traumatic brain injury」(外傷性脳損傷による慢性期運動
機能障害を有する患者における評価指標の臨床的に有益であると解釈できる最小の変化値(MCID)の決
定について)と題された本論文は、DRS および FMMS の MCID を定めています。MCID は、患者の臨床状
態、機能、または生活の質の患者における変化が臨床的に有益であると解釈できる最小の変化値として定
義されます。

慢性期外傷性脳損傷を対象とした DRS および FMMS の MCID の確立によって、急性期の評価で汎用さ
れている GOS-E Scale を使用した場合と比べ、外傷性脳損傷による長期的な機能的転帰および運動機能
障害を正確に評価することが出来るようになります。この研究結果は、臨床効果の評価に DRS および FMMS
を用いることを支持し、今後の慢性期外傷性脳損傷試験における臨床的に有意な改善のレベルを定義する
ものです。

当社グループの執行役員、チーフ・メディカル・オフィサーおよび研究開発ヘッドを務めるビジャン・ネジャ
ドニクは次のように述べています。「サンバイオでは、外傷性脳損傷または脳卒中による慢性期の運動機能
障害を有する患者さんの生活の質の向上に熱意をもって取り組んでいます。本論文は、臨床研究における
最も難しい分野の一つである、慢性期運動機能障害を有する患者さんにおける臨床的に有益であると解釈
できる最小の変化値の定義につながるものです。この重要な研究を支援してくださった医師やリハビリ専門
家の皆様に感謝を申し上げます。」
このレトロスペクティブ解析は、外傷性脳損傷に起因する慢性期運動機能障害を有する 61 名が、定位脳
内手術による SB623 の移植あるいは偽手術を受けた、一年間にわたるランダム化、二重盲検、偽手術対照、
国際共同フェーズ 2 試験(STEM cell therapy for TRAumatic brain injury:STEMTRA 試験)(NCT02416492)
に基づいています。本論文で、DRS および FMMS の MCID は、アンカー法および測定値分布に基づく方
法、仮想患者を用いた専門家による評価方法であるデルファイ法による値を三角計算法によって算出され
ました。先日発表されたデルファイ法の結果はこちらでご覧いただけます。外傷性脳損傷に起因する慢性期
運動機能障害を有する患者における DRS および FMMS の MCID は、1) Disability Rating Scale −1.5 点、2)
Fugl-Meyer Upper Extremity Subscale 6.2 点、3) Fugl-Meyer Lower Extremity Subscale 3.2 点、4) Fugl-
Meyer Motor Scale 8.4 点でした。

本論文の全文はこちらでご覧いただけます。

STEMTRA 試験について
STEMTRA 試験は、外傷性脳損傷による慢性期の安定した運動機能障害を有する患者様に対し、SB623 の
有効性と安全性を評価する 12 か月間、ランダム化、二重盲検、偽手術対照、国際共同フェーズ 2 試験でし
た。本試験では、SB623 は脳損傷の周辺部位に直接移植されました。主要評価項目は6か月時点の Fugl-
Meyer Motor Scale(FMMS)スコアのベースラインからの平均改善量とし、運動機能障害の変化を測定する
ものでした。
本試験においては、TBI 受傷後 12 か月を経過し、Glasgow Outcome Scale extended (GOS-E)が3~6の中
程度または重度の 18 歳~75 歳の患者を対象とし、治験期間中に実施されるすべての検査・診断受けること
と、治験参加前 3 か月間にてんかん発作を起こしていないことを条件としました。主要評価項目は、6 か月時
点の FMMS のベースラインからの改善量であり、米国、日本及びウクライナの 27 の施設で 61 名の被験者
が対象とされました。
本試験で、6か月時点の FMMS のベースラインからの改善量は、SB623 投与群で 8.3 点、コントロール群で
2.3 点(p 値=0.040)となり、主要評価項目を達成しました。新たな安全性上の懸念は認められず、最も多か
った有害事象は頭痛でした。

外傷性脳損傷について
外傷性脳損傷は、世界中の主な死因および障害の原因の一つです。2016 年の世界の急性外傷性脳損傷
の新規患者数は 2700 万人(推定)、外傷性脳損傷に続発する慢性障害の推定新規患者数は 5550 万人
(推定)でした。外傷性脳損傷および外傷性脳損傷に続発する長期に渡る運動障害は、患者の自立、雇用、
および QOL を著しく損ない、総じて各国の医療システムの大きな負担になっています。米国では、外傷性
脳損傷で入院し生存した患者の約 43%が長期の運動障害を経験しており、530 万人が外傷性脳損傷に続
発する運動障害を長期に抱えて生活していると推定されています。

SB623 について
SB623 は、一過性に遺伝子改変し、加工・培養して作製された成人骨髄由来の他家間葉系間質細胞を基
にした治験製品です。脳内の損傷した神経組織に SB623 を移植すると、損傷した神経細胞が本来持つ再
生能力を促し失われた運動機能を回復させる効果が期待されています。 当社グループは、STEMTRA 試験
の結果に基づき、外傷性脳損傷に起因する慢性期運動機能障害の治療を目的とした SB623 のバイオ医薬
品承認申請を独立行政法人医薬品医療機器総合機構に提出する準備を行っています。

サンバイオ株式会社および SanBio, Inc.について
当社グループは、再生細胞薬の研究、開発、製造及び販売を手掛ける再生細胞事業を展開しています。当
社独自の再生細胞薬である SB623 は、慢性期外傷性脳損傷及び慢性期脳梗塞を含む複数疾患を対象に
開発を進めています。東京に本社、カリフォルニア州マウンテンビュー、シンガポールに支社を置く当社グル
ープの詳細は、https://www.sanbio.com にてご覧いただけます。
<出典>
Alves, et al, “Why Does Brain Trauma Research Fail?” World Neurosurg. (2019) 130:115-121.
Selassie AW, et al. “Incidence of long-term disability following traumatic brain injury hospitalization, U.S.”,
2003. J Head Trauma Rehabil 2008;23:123-31.
James SL, et al. “Global, regional, and national burden of traumatic brain injury and spinal cord injury, 1990-
2016: a systematic analysis for the Global Burden of Disease Study 2016.” Lancet Neurol 2019;18:56-87.
Walker WC & Pickett TC. “Motor impairment after severe traumatic brain injury: a longitudinal multicenter
study.” J Rehabil Res Dev 2007;44:975-82.



本件に関するお問い合わせ先
サンバイオ株式会社
経営管理部
メール:info@sanbio.jp

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