ブリンシドフォビルの抗腫瘍効果を予測する バイオマーカーの研究成果を発表(第17回ICMLにおいて)

2023年6月12日
各位

会 社 名 シ ン バ イ オ 製 薬 株 式 会 社
代表者名 代表取締役社長兼 CEO 吉 田 文 紀
(コード番号:4582)
問合せ先 IR 室(TEL.03-5472-1125)


ブリンシドフォビルの抗腫瘍効果を予測する
バイオマーカーの研究成果を発表(第17回ICMLにおいて)


シン バイオ製 薬株式会社( 本社:東 京都)は、 抗 ウイルス 薬ブリンシド フォビ ル
(brincidofovir、以下「BCV」 のシンガポール国立がんセンター
) (National Cancer Centre
Singapore以下「NCCS」
)との共同研究成果が、2023年6月13日からスイス ルガーノで開
催される第17回国際悪性リンパ腫会議(17th International Conference on Malignant
Lymphoma)において、NCCSのDr. Jason Y Chanにより発表されることをお知らせしま
す。


この度の発表では、主に以下の研究成果を公表いたします。
・ BCV に対して、NK/T 細胞リンパ腫の高感受性を示す細胞株群と低感受性の細胞株群に
おいて、BCV の高感受性ががん抑制因子である TLE1 の低発現とが高い相関を示しま
した。
・ TLE1 の低発現は、NK/T 細胞リンパ腫患者における予後(PFS:無増悪生存期間)の悪
化と高い相関が確認されました。
・ TLE1 の低発現は、がん遺伝子である MYC 等の発現亢進と高い相関を示しました。


NCCSメディカルオンコロジー部門指導医兼主任研究者及びDuke-NUS Medical School
臨床助教授であるDr. Jason Y Chanは、
「本共同研究において、BCVの抗腫瘍作用を予測し
うるバイオマーカーがNK/T細胞リンパ腫細胞において見いだされ、また患者における予後
不良とも相関し、新たな治療法として開発する上で大変有用です。今後、これらを検証する
事によって血液腫瘍・がん疾患における治療法の大きな進歩が期待できます。」とコメント
しています。


吉田文紀社長兼CEOは「この度のNCCSとの共同研究の成果であるTLE1と予後不良の
NK/T細胞リンパ腫との高い相関は、今後、血液腫瘍のみならず多くの悪性腫瘍に対する新
たな治療法の開発において、TEL1がバイオマーカーとしてBCVの有効性を事前に予測しう
ることを示唆するものです。」と語っています。




以 上




【International Conference on Malignant Lymphoma(ICML:国際悪性リンパ腫会議)

国際悪性リンパ腫会議は、リンパ系腫瘍の研究と治療に関する重要な国際会議です。
ス イ ス で 設 立 さ れ た Institutional of Oncology Research が 主 催 で 、 American
Association for Cancer Research と European School of Oncology が協力して2年ごとに
スイス ルガーノで開催され、世界中から最大 3,500 人の医師や科学者などが集まります。


【National Cancer Centre Singapore(NCCS:シンガポール国立がんセンター)】
シンガポール国立がんセンター(NCCS)は、がん治療の専門家を擁する主要なシンガポー
ル国内および地域の三次がんセンターです。NCCS は、シンガポールの公的医療部門にお
けるがん症例の大部分に対応しています。
詳細についてはウェブサイト(https://www.nccs.com.sg/)をご覧ください。


【NK/T 細胞リンパ腫】
悪性リンパ腫の種類の 1 つで、NK 細胞あるいは T 細胞由来のリンパ腫。進行の速さに
よって、「低悪性度(進行が年単位)、
」「中悪性度(進行が月単位)、
」「高悪性度(進行が週
単位) に分類されます。
」 NK/T 細胞リンパ腫は、ほとんどが節外性 NK/T 細胞リンパ腫で、
鼻腔周囲や皮膚に発生します。また中国を含めた東南アジアで比較的多くみられるのが特
徴です。


【MYC】
MYC は、c-Myc として古くから知られるがん遺伝子の一つで、
造血器腫瘍における転座、
変異、増幅をはじめ、広範ながん種において同ファミリー遺伝子の異常が見いだされていま
す。核内転写調節因子として機能し、支配遺伝子の発現を調節することで造血器細胞の増
殖・分化バランスを制御する非常に重要な因子として知られています。


【TLE1】
TLE1 は、遺伝子の発現を調節することで造血器腫瘍を含めたがんを抑制する機能が知ら
れている、転写抑制因子です。TLE1 の低発現はいくつかのがん種で予後不良と関連してい
ると報告されています。また、TLE1 は Myc の発現や他のがん促進シグナル経路を抑制す
ると報告されています。


【バイオマーカー】
タンパク質や遺伝子などの生体内の物質で、病状の変化や治療の効果の指標となるもの
をバイオマーカーといいます。バイオマーカーでがんの性質を事前に調べ、効果を予測して
治療の方針を立てることもあります。
(出典:国立がん研究センターがん情報サービス)





【抗ウイルス薬ブリンシドフォビル(brincidofovir:BCV)概要】
BCV は欧米では既承認のシドフォビル(cidofovir:CDV、本邦は未承認)の脂質結合体
として新しい作用機序を持ち、CDV 及び他の抗ウイルス薬と比べて高活性の抗ウイルス効
果など優れた特徴を併せ持ち、広範囲の2本鎖 DNA ウイルス感染症(サイトメガロウイル
ス、アデノウイルス、エプスタイン・バー ウイルス、ヘルペスウイルス、BK ウイルス、パ
ピローマウイルス及びサル痘を含む天然痘ウイルスなど)に対して有効な治療方法となり
得るものと期待されています。BCV 分子の画期性は、CDV に特定の長さの脂肪鎖を結合す
ることにより細胞内への取り込み効率を飛躍的に向上させ、細胞内で直接作用する分子に
変換され高い抗ウイルス効果を発揮します。更には、CDV を初めとする他の抗ウイルス薬
に比べ深刻な副作用である腎毒性または骨髄抑制を回避できる新規の高活性の抗マルチウ
イルス薬として期待されています。
2019 年9月、シンバイオは、Chimerix, Inc.(本社:米国ノースカロライナ州、キメリッ
クス社)との間で、BCV に関しての天然痘やサル痘などのオルソポックスウイルスを除い
たすべての疾患について世界全域を対象として、開発・販売・製造を含めた独占的権利の取
得を目的とするライセンス契約を締結しました。
尚、錠剤および経口懸濁液(経口剤)は、2021 年6月4日に天然痘の治療薬として成人
および新生児を含む小児の患者を対象に承認を取得しています。
BCV は、高い抗ウイルス作用に加え、抗腫瘍効果も期待されており、現在、シンガポー
ル国立がんセンター、カリフォルニア大学サンフランシスコ校などとの間で抗がん活性の
確認及び抗ウイルス活性と合わせることによる相乗効果を確認するための共同研究を進め
ています。
臨床試験及び著名な研究機関との主な共同研究開発として下記を推進しています。
 造血幹細胞移植後のアデノウイルス感染症患者を対象とした第Ⅱ相臨床試験を開始
し(2021 年3月)、FDA よりファスト・トラック指定(2021 年4月)。コホート
3までのデータに基づき抗ウイルス効果の POC(Proof of Concept)の確立を確認
(2023 年5月)。
 腎移植後 BK ウイルス感染症患者を対象とした第Ⅱ相臨床試験を開始
(2022 年 5 月)

 カリフォルニア大学サンフランシスコ校脳神経外科脳腫瘍センターで難治性脳腫瘍
に対する BCV の抗腫瘍効果を検討する非臨床試験を開始(2021 年 9 月)。
 EB ウイルスの関連疾患であることが近年証明された難病の多発性硬化症について、
米国国立衛生研究所(NIH)に所属する米国国立神経疾患・脳卒中研究所(NINDS)
多発性硬化症の治療における BCV の EB ウイルスに対する効果を検証し、
との間で、
今後の臨床試験の実施に向けて必要とされる情報を得ることを目的として共同研究
開発契約(CRADA:Cooperative Research and Development Agreement)を締結
(2023 年3月)。
 NIH に所属する国立アレルギー・感染症研究所(NIAID)との間で EB ウイルス関
連リンパ増殖性疾患に対する BCV の有効性を評価する CRADA を締結(2023 年4
月)。
 アルツハイマー型認知症を含めた様々な脳神経領域の重篤性疾患に、潜伏している





ウイルスの再活性化による感染の関与についての研究がこの数年進んでおり、米国
タフツ大学により確立されたヒト神経幹細胞を培養し脳組織を3次元に模倣した単
純ヘルペスウイルス(HSV)感染・再活性化モデルを用いて、HSV 感染に対する BCV
の効果を検証するための委託研究契約(Sponsored Research Agreement)を締結
(2022 年 12 月)



【当社会社概要】
シンバイオ製薬株式会社は、米国アムジェン社元副社長で、旧アムジェン株式会社の実質的
な創業者である吉田文紀が 2005 年 3 月に設立した医薬品企業です。経営理念は「共創・共
生」(共に創り、共に生きる)で表され、患者さんを中心として医師、科学者、行政、資本
提供者を「共創・共生」の経営理念で結び、満たされない医療ニーズに応えてゆくことによ
り、社会的責任及び経営責任を果たすことを事業目的としています。なお、2016 年 5 月に
米国完全子会社 SymBio Pharma USA, Inc.(本社:米国ノースカロライナ州 ダーラム、
社長:キャロリン・ヤナビッチ)を設立しました。





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