悪性神経膠腫に対するペプチドワクチンパイロットスタディに関する論文公表のお知らせ

2020 年 10 月 5 日
各 位
神 奈 川 県 川 崎 市 高 津 区 坂 戸 3 - 2 - 1
オンコセラピー・サイエンス株式会社
代表取締役社長 朴 在賢
(コード番号 4564 東証マザーズ)
(問い合せ先) 管理本部長 木村 謙二
電話番号 044‐820‐8251


悪性神経膠腫に対するペプチドワクチンパイロットスタディに関する
論文公表のお知らせ


この度、慶應義塾大学医学部の研究グループ(脳神経外科学教室 戸田正博教授ら)が、悪性
神経膠腫患者を対象とし、当社が特許を保有する血管内皮増殖因子受容体(VEGFR)ペプチ
ドワクチンとベバシズマブ(bevacizumab)併用時の有害事象に関するパイロットスタディを
実施し、その解析結果をまとめた論文が公表されましたのでお知らせいたします。


悪性神経膠腫の治療には、血管内皮増殖因子(VEGF)-AとVEGFRを標的とした治療法が有効
であり、VEGF-Aのモノクローナル抗体であるベバシズマブとVEGFRのマルチキナーゼ阻害
剤の併用は進行した固形がんの治療に有効であることが報告されています。しかし、その両方
を抑えることで有害事象の割合が増えることがこれまでの課題でした。
既に、慶應義塾大学の研究グループは、悪性神経膠腫患者を対象とした VEGFR ペプチドワ
クチンの探索的臨床研究を行っており、ワクチンに関連する重篤な有害事象は認められません
でした 1-3)。今回のパイロットスタディでは、これまでに実施された探索的臨床研究 3 試験のデ
ータを用い、VEGFR ペプチドワクチン投与後にベバシズマブで治療した群の有害事象と、
VEGFR ペプチドワクチンのみ投与した群の有害事象ついて比較したところ、両群間の有害事
象の割合には統計的に有意な差がなかったことが確認されました。この結果は、VEGFR ペプ
チドワクチンとベバシズマブ併用療法が悪性神経膠腫治療の新たな選択肢になる可能性を示唆
するものです。


研究成果の一部(ELISPOT解析によるCTL誘導の確認)は、当社と当社連結子会社である株
式会社Cancer Precision Medicineで実施されました。
本論文は、Vaccines誌にオンラインで公表されております。
https://www.mdpi.com/2076-393X/8/3/498
(上記リンクでアクセスできない場合は直接URL を入力してください)





参考文献
1) Shibao et al, A pilot study of peptide vaccines for VEGF receptor 1 and 2 in patients with
recurrent/progressive high grade glioma. Oncotarget 2018, 9, 21569–21579.
2) Kikuchi et al, A Pilot Study of Vaccine Therapy with Multiple Glioma Oncoantigen/Glioma
Angiogenesis-Associated Antigen Peptides for Patients with Recurrent/Progressive High-Grade
Glioma. J. Clin. Med. 2019, 8, 263.
3) Tamura et al, Clinical and histopathological analyses of VEGF receptors peptide vaccine in patients
with primary glioblastoma—A case series. BMC Cancer 2020, 20, 196.


以上





3846