多発性骨髄腫に対するTOPK阻害剤「OTS514」の抗腫瘍効果に関する論文公表のお知らせ

2019 年 11 月 15 日
各 位
オンコセラピー・サイエンス株式会社




多発性骨髄腫に対する TOPK 阻害剤「OTS514」の抗腫瘍効果に関する論文公表のお知らせ


当社のTOPK阻害剤に関して、共同研究者のシカゴ大学医学部・中村祐輔教授(現 公益財団
法人がん研究会 がんプレシジョン医療研究センター所長)のグループとシカゴ大学医学部・多
発性骨髄腫研究グループ(Andrezej J. Jakubowiak教授)によって論文が公表されましたので、
お知らせいたします。


多発性骨髄腫は、B細胞*が分化した細胞である形質細胞がんで最も多く、血液がんでは2番
目に多いものです。複雑な遺伝子異常や遺伝的不均一性により、複数のがん関連シグナルを抑
えるような治療法の開発が望まれています。


今回の論文は、多発性骨髄腫細胞移植マウスでの動物実験において、複数のヒト由来多発性
骨髄腫細胞株および多発性骨髄腫患者血液由来がん幹細胞に対して TOPK 阻害剤である
OTS514 が増殖抑制効果を示していることを報告したものです。TOPK 阻害剤の作用機序とし
て、OTS514 投与により多発性骨髄腫の発生や進行に重要とされる FOXM1, AKT, p38 MAPK や
NF-κB などのがん関連シグナル経路が抑えられていることが確認されました。さらに、多発性
骨髄腫治療に使用されるレナリドミドと OTS514 の併用により相乗的な治療効果が認められま
した。これらの結果は、TOPK 阻害剤が多発性骨髄腫のがん関連シグナルを抑えることにより
多発性骨髄腫選択的かつ強力な抗がん作用を発揮すること、またレナリドミドのような抗がん
剤との併用により、より強い治療効果が期待できることを示唆するものです。


なお、本件による当社の今年度業績への影響はありません。
本論文は、Cancer Medicine誌にオンラインで公表されております。
(https://onlinelibrary.wiley.com/doi/10.1002/cam4.2695)


*B 細胞
免疫細胞であるリンパ球の一種で、異物である抗原に特異的な抗体を産生する重要な役割を担
う細胞です。一部の B 細胞は、抗原の存在下で抗体を産生するべく、形質細胞へと最終的に分
化し大量の抗体を産生します。
以上

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