女性医療領域で開発中の「PH80」について日本国内での開発および商業化に関する独占的交渉権合意のお知らせ

2023 年 9 月 6 日
報道関係者各位

女性医療領域で開発中の「PH80」について
日本国内での開発および商業化に関する独占的交渉権合意のお知らせ


富士製薬工業株式会社(本社:東京都千代田区、以下「 富士製薬工業 」)、および、
Vistagen Therapeutics, Inc.(本社:アメリカ・カリフォルニア州、以下「Vistagen」)は、
Vistagenが開発中の神経活性鼻腔スプレー「PH80」について、日本における開発および商業化
における独占的交渉権を富士製薬工業が取得する旨の合意をしましたので、お知らせいたしま
す。

PH80は、Vistagenが開発中の神経活性を有する点鼻スプレーであり、閉経期における中等度
から重度の血管運動神経症状(Hot flush)およびその他の適応症の可能性のある製剤です。後
述の通り、PH80は閉経期におけるHot flushの症状を有する女性を対象とした、第Ⅱ相無作為
化プラセボ対照二重盲検試験において、プラセボ群に対して統計的に有意な有効性を示しまし
た。本契約の締結により、富士製薬工業は、日本におけるPH80の日本における開発および商業
化について、Vistagenとの間で交渉する期限付きの独占的権利を得ます。なお、この独占交渉
権を確保するために、富士製薬工業はVistagen に対して150万米ドル(約2.2億円)を支払いま
す。

Vistagen の Chief Executive Officer である Shawn Singh は次のように述べています。「これ
までの当社の神経活性を有するフェリン点鼻薬のパイプラインと同様、PH80 は、現況のヘル
スケア市場の主要セグメントの一つである女性医療を変革する可能性を秘めています。閉経期
の Hot flush に悩んでいる女性は全世界で少なくとも数百万人はいるとみられています。
Vistagen と富士製薬工業は、ともに、女性が身体的、精神的、社会的に満たされた状態、すな
わち well-being を向上するために、革新的な治療法を女性に提供するという長年の目標を持っ
ています。Vistagen は米国での開発を進めていくとともに、日本における開発および商業化に
関する提携の可能性についても、富士製薬工業と協議を続けてまいります。」

富士製薬工業の代表取締役社長の岩井孝之は、「富士製薬工業の理念は、優れた医薬品を提供
し、人々の健やかな生活に貢献することにあります。PH80 は、患者さまの QOL を向上させる
新たな治療の選択肢を提供することができ、日本有数の女性医療のスペシャリティファーマと
しての地位を強化することにつながると確信しています。今後も、PH80 の開発の成功が日本
の女性の健康に貢献することを期待しながら、Vistagen との対話を続けてまいります。」と述
べています。

【PH80 について】
PH80 は、喘息用の吸入器と同様の方法で使用できるように設計された、速効性のある製品候補であ
り、患者が必要に応じて 1 日に複数回使用することができます。薬物動態学的および毒物動態学的
のいくつかの研究により、PH80 を経鼻投与した場合、ヒト被験者および実験動物の血漿中ではフェ
リン分子は検出レベル以下であることが示されており、また、Vistagen によって行われた他の研究
では、フェリン分子は脳内への検出可能な取り込みはなく、全身循環への吸収もないことが示され
ています。そして、これらのデータおよび現在までの全臨床試験で報告された有害事象が最小限で


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あったことは、この新しいクラスの分子が優れた安全性プロファイルを有していることを示してい
ます。また、プラセボ対照の探索的第Ⅱ相臨床試験において、PH80 は優れた安全性プロファイルを
示し、閉経期に伴う中等度から重度の血管運動神経症状(Hot flush)に対する新たな治療薬として
の可能性を示しました。

【閉経期の血管運動神経症状(Hot flush)について】
閉経期の Hot flush は、閉経期の女性がよく経験する血管運動神経症状(VMS)であり、突然の温
感や、寝汗、皮膚の紅潮など、特徴的な症状を伴います。Hot flush の発現は、閉経(他の治療や別
の疾患によって誘発される閉経を含む)によるホルモンレベルの変化に直接関連していると言われ
ていますが、その因果関係ははっきりとはわかっていません。Hot flush は最も一般的な更年期症状
であり、閉経期にある女性の約 75%、周閉経期の女性の約 40%が罹患しています。この Hot flush
を治療する現在の薬物療法としては、ホルモン療法(エストロゲン単独療法ないしはエストロゲン
とプロゲステロンの併用、もしくは、合成黄体ホルモンとの併用)をはじめ、ガバペンチン、抗う
つ薬、クロニジン、ニューロキニン 3(NK3)受容体拮抗薬であるフェゾリネタントなどがありま
すが、いずれも一定の副作用を伴います。

【閉経期の Hot flush を対象とした PH80 の初期の第Ⅱ相臨床試験について】
女性の閉経期における Hot flush の急性期管理に対する PH80 の経鼻投与の有効性、安全性、忍容性
を検討する目的で実施された、第Ⅱ相無作為化プラセボ対照二重盲検試験(n=36)において、投与
開始 1 週目の終了時点で、PH80 はプラセボと比較して 1 日の Hot flush 回数を有意に減少させ、そ
の減少は各投与週を通じて投与期間終了まで維持されました。開始時(ベースライン時)における
対象者の 1 日の Hot flush 回数の平均は 7.7 回(PH80 群、n=18) 、8.0 回(プラセボ群、n=18)で
したが、投与開始 1 週間後、Hot flush の回数は 2.8 回(PH80 群) 、6.4 回(プラセボ群)に減少し
(p<0.001)、投与開始 4 週間後の Hot flush 回数は 1.5 回(PH80 群) 、5.1 回(プラセボ群)に減少
しました(p<0.001) 。PH80 の投与は、プラセボと比較して、治療期間中の Hot flush の重症度、機
能障害および発汗も有意に減少させました。この第Ⅱ相臨床試験は、メキシコの実臨床で実施され
た も の で 、 2023 年 2 月 の Pherin 社 買 収 に 先 立 ち 、 現 在 同 社 の 完 全 子 会 社 で あ る Pherin
Pharmaceuticals 社がスポンサーとなって実施されました。また、研究責任者はペンシルバニア大
学のエレン・フリーマン博士が務めています。

【Vistagen について】
Vistagen(Nasdaq: VTGN)は、不安障害、うつ病、その他の中枢神経系疾患を抱える人々の治療
状況を変革することを目指す、後期臨床段階のバイオ医薬品企業です。不安障害、うつ病、その他
の中枢神経系疾患の治療において、現在利用可能な治療薬よりも即効性があり、副作用や安全性の
懸念が少ない可能性のある治療薬を開発しています。Vistagen のパイプラインには、フェリン系と
呼ばれる新クラスの治験薬である fasedienol(PH94B)、itruvone(PH10)、PH15、PH80、PH284、
および N-メチル-D-アスパラギン酸受容体(NMDAR)拮抗薬の経口プロドラッグである AV-101 を
含む 6 つの臨床段階の製品候補が含まれています。フェリンは、鼻腔内の化学感覚ニューロンを活
性化する革新的な作用機序で設計された神経活性点鼻薬であり、全身への吸収や脳内ニューロンへ
の直接作用なしに、脳内の主要な神経回路に有益な影響を与えることができます。Vistagen は、メ
ンタルヘルスケアに変革をもたらし、不安障害、うつ病、その他の中枢神経系疾患の治療において
何が可能かを再定義することに情熱を注いでいます。www.Vistagen.com

【富士製薬工業について】
富士製薬工業株式会社は、1965 年の設立以来、「優れた医薬品を通じて、人々の健やかな生活に貢
献する」「富士製薬工業の成長は、わたしたちの成長に正比例する」を経営理念とし、人々の痛みや
障害の改善・克服に役立つ医薬品の開発、製造、販売を通して社会に貢献すべく事業を展開してい


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ます。重点分野である女性医療領域では、不妊症をはじめ、月経困難症、子宮内膜症、避妊、更年
期障害などの女性特有の疾患の新薬およびジェネリック医薬品を数多く取り扱っています。豊富な
品ぞろえで幅広い年代の女性の健康をサポートし、女性医療のリーディングカンパニーを目指して
います。詳細につきましては、富士製薬工業ウェブサイト(https://www.fujipharma.jp/)をご参照
ください。

注意事項
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想であり、潜在的なリスクや不確実性が含まれております。様々な要因により、実際の業績等が変動する可能性があ
ることをご承知おきください。予告なしに内容が変更または廃止される場合がございますので、予めご了承ください。
また、本リリースに含まれている医薬品(開発中のものを含む)に関する情報は、宣伝広告、医学的アドバイスを目
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【本件に関するお問い合わせ】
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経営戦略本部 経営企画部 コーポレートコミュニケーション課
E-mail:fsks@fujipharma.jp




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