BBB通過型ハンター症候群治療薬の病態モデル動物における中枢神経での有効性を13th Annual WORLDSymposiumTM 2017で発表

2017年2月17日
各 位




会 社 名 J C R フ ァ ー マ 株 式 会 社
代表者名 代表取締役会長兼社長 芦 田 信
(東証1部 コード番号4552)
問合せ先 執行役員経営企画本部長 本 多 裕
(TEL 0797-32-8591)

BBB通過型ハンター症候群治療薬の病態モデル動物における
中枢神経での有効性を13th Annual WORLDSymposiumTM 2017で発表

当社は、2017年2月13日から17日に米国カリフォルニア州サンディエゴで開催された
13th Annual WORLDSymposiumTM 2017*において、独自に開発した血液脳関門
(Blood-Brain Barrier:BBB)通過技術(J-Brain CargoⓇ)を応用した抗体融合型イズロ
ン酸2スルファターゼ(IDS)の、ムコ多糖症II型モデルマウスにおける中枢神経に対する
有効性を検討した結果についてポスター発表しました。本発表の概要を下記に示します。

ライソゾーム病の一種であるムコ多糖症II型(ハンター症候群)は、先天的なIDS遺伝子
の欠損・変異などにより、IDSの酵素活性が低下し、基質のグリコサミノグリカン(GAG)
が各種臓器に蓄積して引き起こされる疾患である。現在、ムコ多糖症II型の主な治療法とし
て、遺伝子組換えIDS酵素製剤を体外から投与する酵素補充療法が行われている。しかしな
がら、現在使用されている酵素製剤は末梢臓器に対しては効果を示すが、中枢神経系(CNS)
には効果を示さないことが課題であった。脳には非常に多くの毛細血管が張り巡らされて
いるが、それらのほぼ全てに血液脳関門(BBB)が存在し、不必要な物質が血中から脳内
に侵入するのを防いでいる。このため静脈内投与した酵素製剤は血中から脳内に移行でき
ず、神経細胞等に酵素を届けることができない。
当社は、独自開発の抗トランスフェリン受容体抗体を利用したBBB通過技術である
J-Brain CargoⓇの有用性を検証するため、抗体とIDSの融合タンパク(RP-2702)を作製し、
ムコ多糖症II型モデル動物であるIDS遺伝子ノックアウト(IDS KO)マウスを用いてCNS
に対する薬効を評価した。

・ IDS KOマウスへRP-2702を静脈内投与した後、脳ホモジネート中の薬剤濃度測定及び
脳切片の免疫組織化学染色によりRP-2702の脳移行性を評価した結果、薬剤の脳内への
移行性が確認された。
・ IDS KOマウスにRP-2702を反復静脈内投与した後、脳内GAG蓄積量の測定、病理組織
学的な薬効評価、およびモリスの水迷路による学習能力測定をおこなった結果、脳内
GAGは正常マウスレベルまで低下し、脳神経細胞の変性は抑制され、水迷路試験では正
常マウスと同等の学習能力が認められ、CNS症状に対する有効性が確認された。

本研究内容は、昨年10月に開催された第58回日本先天代謝異常学会総会においても発表し
ておりますが、国際学会においては初めての発表となります。

* WORLDSymposiumTM
このシンポジウムは、毎年米国で行われるライソゾーム病について基礎研究から臨床応用
をテーマとする国際学会です。(http://www.worldsymposia.org/)
以上

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