野村證券主催の機関投資家向けセミナーにて、メタバースの今後の発展とそれを支える当社空間結合技術について講演

2022 年3月 25 日


各 位
会 社 名 K u d a n 株 式 会 社
代表者名 代 表 取 締 役 C E O 項 大 雨
(コード番号 4425 東証マザーズ)
問合せ先 執 行 役 員 C F O 中 山 紘 平
( T E L . 0 3 - 4 4 0 5 - 1 3 2 5 )


野村證券主催の機関投資家向けセミナーにて、
メタバースの今後の発展とそれを支える当社空間結合技術について講演

3月 15 日(火)に開催された野村證券株式会社主催の機関投資家向けセミナーにて代表取締
役 CEO の項が登壇し、メタバースの概念や段階的な発展についての解説とともに、メタバース
を要素技術として支える当社空間結合(人工知覚/SLAM)技術の今後の戦略について講演しま
したのでお知らせいたします。
本講演は、先日公開したホワイトペーパー『メタバースの先にある世界〜人工知覚が実現す
る「人間の機械化」と「機械の人間化」〜』の詳細について紹介しており、メタバースの今
(1.0)とこれから(2.0/3.0)に焦点を当てつつ、当社の空間結合技術がメタバースの革新的
な発展にどのように貢献できるかを説明しています。
当日の講演内容スクリプトを別紙にて公開しますのでぜひご確認ください。




【Kudan株式会社について】
Kudan(東証上場コード: 4425)は機械(コンピュータやロボット)の「眼」に相当する人工知
覚(AP)のアルゴリズムを専門とする Deep Tech(ディープテック)の研究開発企業です。人
工知覚(AP)は、機械の「脳」に相当する人工知能(AI)と対をなして相互補完する Deep Tech
として、機械を自律的に機能する方向に進化させるものです。 現在、Kudan は高度な技術イノ
ベーションによって幅広い産業にインパクトを与える Deep Tech に特化した独自のマイルスト
ーンモデルに基づいた事業展開を推進しています。
詳細な情報は、Kudan のウェブサイト(https://www.kudan.io/?lang=ja)をご参照ください。


■会社概要
会 社 名:Kudan株式会社
証券コード:4425
代 表 者:代表取締役 CEO 項 大雨


■お問い合わせ先はこちら





(別紙)


【タイトル】

人工知覚とメタバースの発展


【内容】




人工知覚とメタバースの発展というテーマのもと、メタバースに関しての Kudan の取り組みに
ついて、先端技術とマーケットの現況を織り交ぜながらご紹介いたします。





さて、昨今バズワードになったメタバース。もともとは、拡張現実(AR)や仮想現実(VR)と
いう概念が5年ほどマーケットを賑わせていましたが、AR/VR というインターフェースを通じ
て、その向こう側に広がるインターネットの広がりをメタバースと称し、注目を浴びるように
なりました。AR/VR というインターフェースから拡張・発展したメタバースは、まさしく今ブ
ラッシュアップされ洗練されていく過程の真っ只中にあります。




Kudan は、AR/VR が人気を博すよりも以前に、AR のアプリケーションやソリューションを開発
する会社として 2011 年に創業しています。そこから、AR/VR の裏側にある技術の深掘りを進
め、現在は人工知覚、もしくは SLAM と呼ばれるソフトウェアの開発とライセンスを提供する会
社として発展してきました。過去 11 年間の年月をかけて、AR/VR やメタバースに関連する事業
を手がけてきたなかで、技術の”黒子”である我々から見て、バズワードがどのように変遷
し、今後どのように向かっていくかについて、Kudan のポジションを踏まえながらお話させて
いただきます。


Kudan は、イギリスのブリストルで創業し、2014 年に東京に本社を移した後、2018 年に東証マ
ザーズに上場しております。東証マザーズにおいては、海外出身の企業という珍しい会社で
す。現在は、イギリス、ドイツ、日本をメインに組織を置いており、加えて、シリコンバレー
にも営業拠点を設けています。





我々が開発している人工知覚とは、人工知能(AI)と似た名前ですが、基本的にはこの AI がパ
ターン認識をする脳だとすると、人工知覚というのは空間を取り扱う技術であり、目を使って
空間の位置を認識する技術です。例えて言うならば、フィギュアスケーターが4回転ジャンプ
をする時に、自分の体がどのように回っているか、アイスリンクがどの方向にあって、いつど
のように着氷しようとしているかなど、非常にスピーディ且つ刻々と変わる周りの空間の状況
と自分の状況を認識しながらうまく体を動かさないと4回転ジャンプが出来ないですが、フィ
ギュアスケーターがアイスリンクを自由に動き回りながら自分の位置と周辺環境を認識するよ
うな認識能力を、コンピュータやロボットに与えるものが人工知覚という技術にあたります。





人工知覚技術は、基本的に空間での動作に関わる技術であり、動き回るロボット・コンピュー
タ・機械など、様々なシーンで汎用的に活用できるものです。Kudan は、当社の出自である
AR/VR に加えて自律走行型ロボットやドローン、自動運転など、世の中の動き回るあらゆる機
械の要素技術として、人工知覚技術を提供する事業を展開しております。




メタバースを深掘りする前に、技術の発展におけるメタバースの位置付けを俯瞰して見ると、
産業界におけるこれまでの技術の発展というのは、基本的には「人間」と「機械」の対立軸の
なかで、人間と機械が互いに近づいていくという「人間の機械化」と「機械の人間化」、この 2
つの潮流に推し進められて様々な技術発展が起きてきました。


「人間の機械化」というのは、人間同士のコミュニケーションやコミュニティ、多くの活動自
体をデジタル化し、インターネット空間に移行してきたという点で「人間の機械化」と言えま
す。古くは、電話・電信から始まり、インターネットやモバイルでデジタルの活用、さらには
SNS を通じてデジタル上でのコミュニケーションの活動の場がさらに広がり、現在は、デジタ
ルの中に入り込むメタバースという最新のトレンドに直面しております。


一方で、
「機械の人間化」というのは、人間が持っている能力を機械が獲得していく、さらに
は、その能力を強化していく流れを表しており、古くは、蒸気機関や内燃機関のように動力を
獲得していくというフェーズから、コンピュータやロボットなどのように知能の獲得と強化が
現在のトレンドと言えます。いわば、メタバースが「人間の機械化」における最新トレンドで
ある一方、ロボティクスは「機械の人間化」における最新トレンドになります。





「人間の機械化」
「機械の人間化」の双方の最新トレンドがメタバースとロボティクスであると
説明してきましたが、メタバースの発展において非常に重要になってくるのが、人間の空間
(リアルな空間)と機械の空間(デジタルな空間)を結合する技術、すなわち人工知覚技術に
あたります。




例えば、メタバースの事例として、デジタル空間のなかで没入感を持ってゲームや仕事ができ
るようになりますが、この際、ユーザーがいる空間(リアル空間)と仮想空間(デジタル空
間)をうまく結合させないと、その空間に入りこむことができません。つまり、ユーザーは画
面越しにデジタル世界を見ているのではなく、ヘッドマウントディスプレイのようなデバイス
を装着し、リアル空間で横を見たときに、仮想世界で横にあるものを映し出してくれる、後ろ




を振り向いたときには後ろの世界が見えるといったような、リアル空間での人の動きと、デジ
タル空間の中でのユーザーのアバターの動きを完全に一致させるためには、二つの空間を結合
する技術が必要不可欠です。




また、ロボティクスにおいても同じような結合技術が必要で、ロボットが情報処理を行うデジ
タル空間と、実際に動き回るリアル空間の情報が必ず一致しなければなりません。二つの空間
の情報が一致しない限り、ロボットはリアル空間の中を自由に動き回ることはできません。




このデジタル空間とリアル空間の結合を支える中核技術こそ、Kudan が提供している人工知
覚、もしくは、SLAM と呼ばれる技術です。




動画 URL:https://youtu.be/NeciYNEqCTE


この動画は、Kudan のオフィスを動き回った際の、コンピュータから見える世界を映していま
す。コンピュータの認識するリアルの世界は左側に見えている画像で、ここで特徴点と言われ
る物体の特徴を抽出し、右側に表示されているデジタルの空間を再現しています。このデジタ
ル空間がリアルの空間で動き回った時と全く同じように同期して、デジタルの空間が回転した
り、自分の位置が動いたりする、それらの動作を Kudan の人工知覚(SLAM)が支えているので
す。




動画 URL:https://youtu.be/PvOuGDty8ho


この動画は、ロボットがいるリアルの空間(左)とそれを同期させたデジタル空間(右)を表
しており、真ん中の画像は二つの空間がリアルタイムでうまく同期できている状態を表しま
す。このリアルタイムの同期が可能となれば、デジタルの空間をベースにして、例えば、この
障害物にはぶつからないようにする、このルートを通るように設定するなど、AI のパターン認




識を活用しながら、ロボットがどのように動くかを判断することができるようになり、結果と
して、リアル空間の中でロボットが自律的に動けるようになるのです。




動画 URL:https://youtu.be/jY8NYZdJQno


また、メタバースを代表する AR/VR も同じで、この動画は AR の例ですが、空間の中に CG を追
加していくようなアプリケーションで、この裏側で起きていることとして、右側に見えている
絵で表されているように、実際に見えているリアル空間の上にデジタルの点群がぴったりと重
なっており、これは二つの空間が結合していることを意味しています。このような結合によ
り、空間の中に CG がどんどん作られていくのです。





一般的にメタバースと言われている AR/VR と、自動運転等を含むロボティクスは、実は非常に
近しい概念と言えます。特に、我々が提供している空間の結合技術の観点から見ると、リアル
空間とデジタル空間を結合して、リアル空間の中にいる人間がデジタル空間の中に入り込むよ
うな体験を提供するのがメタバースです。一方、デジタル空間の情報を処理するコンピュータ
やロボットが、空間の結合を通してリアル空間の中を動き回るのがロボティクスです。この二
つの概念は、この二つの空間(デジタル空間とリアル空間)を軸として、いわば、コインの裏
表のような対照的な概念といえます。


AR/VR などのメタバースやロボティクスの裏側にある黒子の技術を提供している Kudan として
は、この二つの概念は非常に似ているため、今後一つの大きな概念に拡張されていくものと捉
えており、実際にそのような動きは出てきています




よって、一般的に提唱されているメタバースに対して、ロボティクスも引き込んだ新しいメタ
バースを定義すると、今までのメタバースは AR/VR 系メタバース、ロボティクスに関わるメタ
バースはロボット系メタバースとして、新しく提唱することができると考えています。





このように概念を拡張した場合、メタバースが今後段階的に発展するなかで、様々なメタバー
スが生み出されていきます。具体的には、メタバースとメタバースの間に互換性ができ、メタ
バース同士が組み合わさる、これをインターメタバースと言いますが、このインターメタバー
スが拡大・拡張し、最終的にはロボットも AR/VR も一緒に組み合わさるようなインターメタバ
ースが出てくると見据えています。実際に、初期的な開発や技術の応用は進んでいます。


現段階をメタバース 1.0 とすると、1.0 というのは、個別のメタバースであり、それぞれに互
換性を持たずに個々で出現している状態です。そこから、AR/VR 系とロボット系の垣根は超え
ずに、それぞれの範囲の中でインターメタバースが出現することが起きると考えており、これ
がメタバース 2.0 という次のステップとなります。


例えば、AR の世界に当てはめると、大手で AR のプラットフォームの研究・開発・提供をして
いる GAFA のような会社はそれぞれのプラットフォームの中でユーザーを囲い込んでおり、現在
のメタバース 1.0 の時点では、それぞれのプラットフォームの間には全く互換性がなく、個々
の陣営ごとで区切られ、ユーザーの AR 体験も限定的といえます。





メタバース 2.0 は、個々で出現していた AR プラットフォームが互換性を持ち、それぞれの AR
プラットフォームを体験できるフェーズで、その互換性を実現するのが、クロスプラットフォ
ームの AR クラウドという取り組みです。Kudan は、テレコムの大手や通信機器の大手を中心
に、互換性を実現するこの AR クラウドなどの取り組みにおいて技術提供しており、今後あらゆ
るユーザーが様々な会社の AR を自由に体験できるようになると見ています。これが、AR/VR 系
のメタバース 2.0 の取り組みになります。




一方で、ロボット系メタバースでも同様なことが起きています。特に、スマートシティ向けの
技術応用に携わっていると、単一のロボットだけを運用するというのは非常に稀で、様々なロ
ボットをスマートシティの中で運用していくことが必要です。例えば、デリバリーロボット、
シャトルバス、コンシューマー向けのロボットなど、多数のロボットが存在しており、それら
のロボットたちが個別に運用されていると、それぞれ個々で作られているデジタル空間がある




ため互換性がなく、運用の面で効率が悪いという課題が発生するうえ、ハードウェアにも多大
な負荷がかかるので運用コストが下がらないという問題に直面しています。


そのような問題を解決するべく、様々なロボットを統括的に動かすことができるロボットプラ
ットフォーム、つまり、個別のロボットソリューションを統括するロボット系のインターメタ
バースというものが出現する、これがロボット系メタバース 2.0 で起きることです。




さらに、メタバース 3.0 では、ロボット系と AR/VR 系の垣根を超えて、ロボット系と AR/VR 系
が組み合わさったようなメタバースに発展すると予測しています。まず、AR とロボティクスの
組み合わせとしては、基本的には AR のユーザーとロボットが同じ物理空間にいて、ロボットの
制御によって得られる機能と、AR によってユーザーが見えるデジタル情報が完全に同期するこ
とによって、例えば、ロボットがデジタル情報を更新しつつ、AR で映し出されたデジタル情報
に基づいて、ユーザーがロボットを操作するといったことができるため、ユーザーにとって効
率的に目的を達成できるようなプラットフォームが今後実現すると見込んでいます。





現在、産業用の例の一つとして、大型プラントのメンテナンスオペレーションについてパート
ナーと構想していますが、非常に広大なプラントのメンテナンスオペレーションを効率的に進
めるべく、ロボットと AR/VR を組み合わせた形でオペレーションができるように構想を練って
います。概念的には、複数の AR/VR 系のメタバースと、複数のロボット系のメタバース、この
双方が同期することによって片方はロボットを通じた物理的な問題を解決し、もう片方は情報
を通じたデジタル体験を提供することによって、ユーザーは問題解決ができるという構造で
す。




動画 URL:https://youtu.be/LciaEGlaAuw


メタバース 3.0 における先述した例というのは少し先の将来の姿のように思われるかもしれま
せんが、初期的なコンセプトとしてはすでに始まっています。自動運転用地図のグローバル大
手である HERE という会社と実証実験を進めておりますが、この動画のように、我々が提供して




いる空間認識技術を活用しながら、車の走行のレーンレベルでの位置情報を使って、ヘッズア
ップディスプレイ(HUD)
、つまり、車のフロントガラスに AR ナビゲーションを映し出していま
す。


通常のナビゲーションは、ドライバーのハンドルの横に小さなディスプレイがあり、そのディ
スプレイで道路や経路の情報を出してくれますが、レーンレベルでの AR ナビゲーションという
のは通常のナビゲーションにも使えるほかに、同じ情報を利用して、ロボティクスに近いよう
な運転支援によって、車が運転をアシストして目的地まで連れて行ってくれるというような体
験ができるようになります。


現時点では、まだレーンレベルの車線変更やナビゲーションですが、今後は、例えば、ロード
サイドにあるレストランの情報や空席情報、予約可否などの情報が映し出されたり、走行状態
の景色にあわせて広告が出てきたりするなど、より先進的なユーザー体験が提供できると考え
ています。




動画 URL:https://youtu.be/8lUwj2cR794


この動画は、Kudan が 5、6 年前に出したコンセプトムービーですが、街中を運転する際、運転
支援のみならず、周りに写る景色から連動して広告などのエンターテインメント情報が CG とし
て映し出されるようになったり、自動運転に切り替えることで、自動運転モードの間に乗車サ
ービスとして様々な機能や情報を提供して、新たなデジタル体験をユーザに楽しんでいただけ
る、そのような未来への期待が高まっています。





VR とロボティクスが統合するコンセプトも次々と出現しています。イメージとしては、世界的
に大ヒットした SF 動画の「レディ・プレイヤー1」や「アバター」などを合体させたようなイ
メージです。




「レディ・プレイヤー1」の映画のように、ヘッドセットを通して、仮想現実(VR)の中のア
バターに乗り移ることができる一方で、「アバター」の映画のように、仮想現実(VR)ではな
く、物理的なアバターが存在していてそこに乗り移ることができる、つまり、仮想的にも物理
的にも両方のアバターに乗り移ることができるというのが、VR とロボットの融合です。コンセ
プトとして、ユーザーが CG のアバターとロボットのアバターの両方を行き来出来る世界が VR




とロボットが融合することで実現できると考えています。


もう少し具体的にお伝えすると、例えば、ある小売産業に勤めるユーザーが、VR ヘッドセット
を使って、VR の世界でバーチャル会議に参加し、CG 上のワークスペースで業務を遂行している
なかで、とある店舗で在庫の問題が発生した時に、ロボットに意識をつないで、そのロボット
が店舗の確認ないし倉庫を動き回って確認し、在庫問題を解決する。解決できたら、CG 上のワ
ークスペースに戻ってくる。もちろん、その間は、物理的には家にいつつも、意識はバーチャ
ルの世界にあり、なおかつ離れたリアルな世界にアバターを置いて、そこにも意識を行き来さ
せることができるようになる。これが、先述した「レディ・プレイヤー1」や「アバター」の
世界を融合した世界となります。




既に初期的な開発例というのはできております。Kudan は、自律走行のプロジェクトを多く手
がけていますが、例えばデリバリーロボットに関してお話しすると、各社で自動運転の効率を
あげるべく動いているものの、どこかでやはり立ち往生してしまうことがあります。そのよう
な時に、後ろで控えるサービスセンターのオペレーターが、VR を通して、実際にロボットにリ
モートで乗り込んで操縦するような方法で VR の活用を進めています。


このように、実際に没入感をもって、自分が運転しながら振り返ったり横を覗いたりする動き
が可能で、そのデリバリーロボットの中にいて運転するのと同じような感覚で運転できるとい
う点で非常に効率が良く、なおかつ特殊なスキルを必要としないため、ロボットをそのまま取
り込むことができます。ロボットは、そもそも自動運転できるように作られており、ロボット
の様々なセンシング情報を、そのロボット運転者のアシストとして活用可能で、操作支援とし
ても使うことができるような点が、VR とロボットの融合のコンセプトに非常に有効であると期
待されているところです。




インターメタバースという、メタバース同士が統合され、さらにロボットと AR/VR が統合する
動きは今後加速していくと考えておりますが、Kudan としては、なぜこの空間結合技術で勝負
しているかというと、二つの重要な戦略的優位性にあります。


一つ目は汎用性です。そもそも、メタバース 2.0/3.0 のフェーズにおいて、メタバースのプレ
イヤーは、ほとんど AR/VR 系の技術に特化していることが多く、ロボット側を含めて対応でき
るプレイヤーが非常に少ないのが現状です。AR/VR とロボティクス、この両方に対応できる技
術により、メタバース 2.0/3.0 の進化が加速すると考えています。この技術的な汎用性を
Kudan は戦略的に確保してきたため、メタバース 2.0/3.0 の加速に非常に貢献できると考えて
おりますし、メタバース 2.0/3.0 が進むなかにおいて選ばれるポジションにいると見ていま
す。


二つ目は独立性です。メタバース 1.0 では、各社のメタバースがそれぞれ出現しており、個々
がユーザーの囲い込みをしている状況のなかで、Kudan は大手の企業グループに属さず第三者
的な独立のポジションを貫いています。これにより、各社のメタバースの隙間を埋め共通化
し、インターメタバースの創出に貢献する事業機会を得られるポジションを確保しています。





実際にこの業界で起きていることとしては、これらの大手の会社は5年前ぐらいから、AR/VR
系の技術にかなり積極的に投資をしてきました。Kudan の創業と同時期に創業した技術会社の
多くは買収されており、Kudan も買収の話はあったものの、大手企業同士が競争するなかで生
まれる隙間に入り込む独立専業のベンダーとしての道を選んでいます。2021 年には、直接競合
となるドイツの Artisense を買収したことで、専業としての基盤をさらに強固なものとしまし
た。現在は、独立専業ベンダーとしては、世界でトップの地位を確保していると自負していま
す。




メタバースを提供している会社というのは、多くはピラミッド上部の完成品やソリューション
を提供するプレイヤーになりますが、Kudan は、あえて下に深く潜る Deep Tech というアルゴ




リズムに特化した技術を提供しています。我々の大きな顧客層は、個別のメタバースに依存し
ないプレイヤーで、センサや半導体などの会社とパートナーシップを組むことが多いです。深
く潜る要素技術を提供しているからこそ、独立性を活用できるうえ、個別の完成品やソリュー
ションに大きく影響されることなく、非常に汎用性の高い技術を維持しながらポジションを固
めることができています。結果として、インターメタバースの出現ないしメタバース 2.0/3.0
と進むなかで、Kudan の技術が選ばれるように動いています。




Kudan の事業の状況については、事業フェーズを、顧客製品の開発を支援するフェーズと、顧
客製品がマーケットにリリースされてマネタイズされるという二つのフェーズとして見ると、
我々はまだ仕込みの前半にいる状況です。ただ、多くのプロジェクトが進捗しており、それら
を刈り取る後半に近づいてきています。


スライドに記載されているものは、後半の刈り取りに向けて、特に進捗しているプロジェクト
のハイライトとなりますが、基本的に大手と様々なプロジェクトを進めており、AR/VR から自
動運転、ロボティクスまで幅広く携わっています。メタバース 1.0 の案件が一番製品化に近い
状態ですが、メタバース 2.0 の案件もでてきています。今後、メタバース 1.0 の案件において
確実にマネタイズし、Kudan の収益に繋げるという動きに加えて、メタバース 2.0 の案件を手
がけながら拡大を進めていこうという状況であります。





先述のとおり、現在、事業フェーズとしては顧客製品の開発支援のフェーズですが、来期頃か
ら、顧客製品の製品化が表れると見込んでおり、中期的には、継続的な顧客の製品化による製
品ライセンスの収益が拡大すると予測しています。この仕込みのフェーズとしてメインで取り
組んでいるメタバース 1.0 の案件強化と製品ライセンスの拡大に加えて、メタバース 2.0/3.0
の段階におけるメタバース同士を結合させていく事業の比重が増加していくと考えています。
長期的には、Kudan の技術のさらなる普及拡大を目指しており、まさしく、メタバース同士の
結合によるインターメタバースが出現することによって、メタバースが効率化し、それによっ
てさらに新しいメタバースが生み出されるといった相乗効果により、Kudan の製品ライセンス
も加速度的に拡大することを見込んでいます。





今回お話しした段階的なメタバースの発展については、メタバースの展望を提唱したホワイト
ペーパーを HP で開示しておりますので、詳細についてはそちらもご参考にしていただければ幸
いです。


最後に、黒子の技術プレイヤーとして俯瞰すると、メタバースはバズワードとして席巻しつつ
も随時ブラッシュアップされていくアイデアだと考えています。メタバース 2.0/3.0 と我々は
提唱していますが、名前にこだわりはなく、マーケットが自ずと新しい洗練されたワードを生
み出していくと思います。そのなかで、Kudan としては、個別のバズワードに影響されること
なく、あくまでも技術の潮流をしっかりと読み解き、メタバースの先に何があるのかというと
ころに照準を合わせて、黒子の技術プレイヤーとして戦略的に事業を推し進めることを重要視
しております。


本日はこうした観点から、我々から見えているメタバースの世界についてお話をさせていただ
きました。ありがとうございました。





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