電通の海外子会社カラが、世界の広告費成長率予測の定期改定と新規予測を実施

2015 年 3 月 25 日


電通の海外子会社カラが、世界の広告費成長率予測の定期改定と新規予測を実施
●2014 年の世界の広告市場は前年比 4.6%増。2015 年は 4.6%増、2016 年は 5.0%増と予測
●2015 年の世界の広告市場は前年比 4.6%増の 5,400 億ドル(前年差+238 億ドル)へ
●デジタルシフトが進み、2016 年には世界の広告市場に占めるデジタル広告費の比率は
25.9%へ
●日本の広告市場は 2015 年が 0.9%増、2016 年は 1.2%増へ


電通の海外子会社でメディア・コミュニケーション・エージェンシーである Carat(カラ)
は、年に 2 回(3 月と 9 月)、全世界 59 地域から収集したデータを基に、世界の広告費成長率予
測を行っています。今回の改定では、昨年 9 月に予測した 2014 年の広告費成長率実績の確定、
2015 年予測の改定、および 2016 年の新規予測を行っています。本リリースでは、全世界 59 地
域トータル、および主要地域/国に関する推計値をお知らせします。
この予測は、世界各地の広告市場の方向性を見る上で重要な指標のひとつになっています。
成長率(前年比、%)
2014年 2015年 2016年

   調査発表時期 2014年9月 2015年3月 2014年9月 2015年3月 2015年3月
(予測) (実績) (予測) (予測改定) (予測)

全世界(59地域) 5.0 4.6 5.0 4.6 5.0
北米 4.9 4.5 4.5 4.5 4.6
  米国 4.9 4.5 4.6 4.6 4.7
  カナダ 3.3 3.3 3.1 2.5 3.0
西ヨーロッパ 2.7 2.3 2.5 2.8 2.8
  英国 7.5 6.8 4.7 6.4 5.8
  ドイツ 1.0 1.4 1.5 1.6 1.8
  フランス -0.9 -0.9 0.2 0.0 0.2
  イタリア -1.3 -2.0 0.9 0.9 0.7
  スペイン 2.6 5.8 3.3 6.8 6.9
中央および東ヨーロッパ 3.5 2.5 4.6 -2.2 3.9
  ロシア 3.9 3.8 5.0 -7.1 4.5
アジアパシフィック 5.4 5.3 5.9 5.2 5.8
  オーストラリア 0.1 0.3 0.9 1.0 1.5
  中国 7.6 7.6 7.9 7.9 8.1
  インド 8.7 8.7 9.0 11.0 11.3
  日本 2.0 2.9 1.7 0.9 1.2
ラテンアメリカ 12.1 11.4 11.8 11.1 11.9
  ブラジル 9.4 9.5 8.1 6.6 8.4




■主なポイント


2014 年の世界の広告費成長率(実績)
・2014 年は、ロシア・ソチでの冬季オリンピック・パラリンピック、ブラジルでの FIFA ワール
ドカップなど大型イベントの寄与もあり、5 つの地域(北米、西ヨーロッパ、中央および東ヨ
ーロッパ、アジアパシフィック、ラテンアメリカ)すべてがプラス成長になりました。
・ドイツ、スペイン、日本などでは実績が昨年 9 月時の予測を上回ったものの、プリント媒体の
減少が想定以上であった米国(昨年 9 月時予測の前年比 4.9%増に対し、実績は 4.5%増)
、ク
リスマス商戦のテレビ広告費が英国で想定を下回った西ヨーロッパ(同 2.7%増に対し、実績
は 2.3%増)
、地政学的な不安要因を抱える中央および東ヨーロッパ(同 3.5%増に対し、実績
は 2.5%増)などでは実績が昨年 9 月時の予測を下回ったことから、2014 年の世界の広告費成
長率は昨年 9 月時予測の 5.0%増から微減し、4.6%増となりました。


2015 年の世界の広告費成長率(昨年 9 月時予測の改定)
・2015 年の全世界の広告市場は前年比 4.6%増の 5,400 億ドル、前年に対して 238 億ドルの増加
が見込まれます。
・2015 年のデジタル広告費は 15.7%増の 171 億ドルになると予測します。


北米
・北米は引き続き安定した成長が見込まれ、2015 年の広告費成長率は昨年 9 月時予測の前年比
4.5%増を据え置いています。
・世界最大の広告市場である米国は、堅調な経済により 4.6%の成長が見込まれます。モバイル
やソーシャルメディア、オンラインビデオなどのデジタル広告が 16%程度伸長し、プリント媒
体の不調を補うものと見ています。ただし、最大のシェアを持つテレビ広告費の伸びは 2%程
度と軟調が見込まれます。


西ヨーロッパ
・2012 年、13 年とマイナス成長が続いた西ヨーロッパでも、2014 年は前年比 2.3%増となり、
2015 年も 2.8%増とプラス成長が続く見通しです。
・成長をリードする英国では、2015 年のデジタル広告費が 12.1%増、テレビ広告費が 6.9%増と
なることが見込まれ、その結果、デジタル広告費が全広告費の 48.2%を占めるようになり、2016
年にはその比率が 51.1%に達すると見ています。
・2014 年まで 3 年連続でマイナス成長になったフランスは、自動車などの広告費の増加に支え
られ、2015 年から 16 年にかけてはマイナス成長から脱却できるものと見ています。
・景気の回復が顕著になった南欧では、2014 年に 5.8%増と大きく伸長したスペインが、2015
年から 16 年にかけても 6%台後半の高い成長を見せると予測しています。



中央および東ヨーロッパ
・ロシアを含む中央および東ヨーロッパは、地政学的な不安定さから、2015 年は前年比 2.2%減
になると予測しています。
・中でもロシアは、石油価格の下落、ルーブル安といった要因も相まって経済の低迷が見込まれ
ることから、2015 年は 7.1%減と、昨年 9 月時予測の 5.0%増から大幅に下方修正した形にな
っています。なお、ロシアではほとんどの広告媒体がマイナス成長の見通しである中、デジタ
ル広告費については 15.9%増と高い成長が見込まれます。


アジアパシフィック
・世界第 2 位の広告市場である中国は、2015 年の広告費成長率は昨年 9 月時予測と同じ前年比
7.9%増を見込んでいます。中国広告市場で最大のシェアを持つテレビが 5%程度の成長、第 2
の広告媒体に成長したデジタルの成長率は 20.5%増を見込んでいます。
・安定した政権が誕生したインドでは引き続き高成長が見込まれることから、2015 年は昨年 9
月時予測の 9.0%増から 11.0%増へと上方修正しています。
・世界第 3 位の広告市場である日本は、昨年 9 月時予測の 1.7%増から 0.9%増へと下方修正して
います。これは、2014 年の予測が 2.0%増であったものが実績で 2.9%増になったこと、およ
び 2015 年 10 月に予定していた 8%から 10%への消費税増税が 2017 年 4 月に延期されたこと
に伴い、2015 年内の「駆け込み需要」が見込めなくなったことによるものです。なお、日本の
広告費は 4 年連続で前年を上回り、2016 年にかけてもプラス成長が続くと予測しています。


ラテンアメリカ
・景気の減速が続くブラジルでは広告費成長率もやや鈍化することが見込まれ、昨年 9 月時の
2015 年の成長率予測を前年比 8.1%増から 6.6%増へと下方修正しています。
・ブラジルがやや減速する中、他のラテンアメリカ諸国では安定した成長が見込まれることと、
アルゼンチンではインフレの影響が広告費にも及ぶことから、地域全体では 11.1%増と 2 桁の
成長を見込んでいます。


2016 年の世界の広告費成長率(新規予測)
・2016 年は、UEFA 欧州選手権大会 2016、リオデジャネイロ・オリンピック・パラリンピック、
米国大統領選などの大型イベントが続くことから、全世界で前年比 5.0%増と予測しています。
・デジタルシフトが進み、2016 年には世界の広告市場に占めるデジタル広告費の比率は 25.9%へと
拡大する見通しです。


(注)Carat(カラ)は同社の世界ネットワークを通して収集した情報に基づき、59 地域の広告費の成長率を独
自に分析・推計しています。対象媒体には、テレビ、新聞、雑誌、ラジオ、映画館広告(シネアド)、屋外
/交通広告、デジタルが含まれます。




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