「鶏卵バイオリアクターを用いたタンパク質製造技術」を利用したタンパク質受託製造事業の開始のお知らせ

2019 年6月 20 日
各 位
会 社 名 コスモ・バイオ株式会社
代表者名 代表取締役社長 櫻井 治久
(コード3386)
問合せ先
役職・氏名 取締役総務部長 柴山 法彦
電 話 03-5632-9600


「鶏卵バイオリアクターを用いたタンパク質製造技術」を利用した
タンパク質受託製造事業の開始のお知らせ

このたびコスモ・バイオ株式会社(以下「当社」)は、鶏卵の卵白中に、目的とする有用なタンパ
ク質を大量に生産させる技術(鶏卵バイオリアクターを用いたタンパク質製造技術)を用いて、当社
自社製品の製造に加え、タンパク質の受託製造事業を開始することといたしましたので、お知らせい
たします。


1.受託製造事業の概要および用途
本事業は、「鶏卵の卵白中に、目的とする有用なタンパク質を大量に生産させるように『ゲノム編
集』した特殊なニワトリ」を用いて、ユーザーが必要とするタンパク質を大量製造・精製して納品す
る受託製造事業です。従来のタンパク質製造技術と比べ、大量かつ安定してタンパク質を製造するこ
とができ、さらに低コストで製造ができるため、提供価格にも他技術と比べて優位性があります。
当社は、本受託製造事業を通して、医薬品メーカーから特定のタンパク質製造を請け負うなど、医
薬・食品・化学分野等における様々な原材料としてのニーズに応えます。また、これまでタンパク質
を大量に製造することが困難だったために実用化に至らなかった新規技術の応用開発等にも需要が期
待されます。


2.受託製造事業の導入の背景
(1)製造技術の確立
当社では、2016 年に国立研究開発法人 産業
表︓事業の推移
技術総合研究所(以下「産総研」)および国立研 産総研、農研機構と共同研究開始
2016 年
(NEDO 2016 年 7 ⽉〜2017 年 12 ⽉)

究開発法人 農業 食品産業技術総合研究機構
・ (以
産総研、農研機構より、ヒト インター
下「農研機構」)と NEDO プロジェクトにより 2017 年 8 ⽉ フェロン β 製造に関する特許実施権を
獲得
共同研究を開始し、2018 年にはヒト インター
産総研と共同研究
フェロンβタンパク質を一つめの実施例として、 2018 年 10 ⽉〜 (JST 2018 年 10 ⽉〜2021 年 3 ⽉
︓ (予
タンパク質の大量製造と精製方法を確立しまし 定))

た。




(2)ゲノム編集ニワトリ構築技術の導入
当社は、ゲノム編集ニワトリ構築技術の導入のために、次の3つの機関との提携の合意に至ってお
ります。
・産総研および農研機構からの「ゲノム編集ニワトリ構築のライセンス・ノウハウ導入」合意
鶏卵の卵白中に目的のタンパク質を生産させる技術はゲノム編集以外にも存在しますが、従
来技術では遺伝子導入にウイルスが使用されています。当社が実用化する技術は、産総研と農
研機構によって開発された鶏卵バイオリアクターを用いたゲノム編集ニワトリ構築技術で、従
来技術に比べてタンパク質の生産量も非常に多く、優位性の高い安全な技術です。
・C4U 株式会社(以下「C4U」)からの「ゲノム編集技術のライセンス導入」合意
C4U は 国 立 大 学 法 人 大 阪 大 学 発 ベ ン チ ャ ー で 、 同 大 学 が 最 近 特 許 を 取 得 し た
「CRISPR/Cas3」技術の実用化を目指しています。当社がこれまでに使用を検討していた
「CRISPR/Cas9」技術(先行して開発されていた海外の他者技術)に2つめの基本特許が成
立したことから、技術の利用だけでなくその技術を使った製品の使用にもライセンス費用負担
が発生するなど、製品の使用面において複雑な権利問題を考慮する必要があります。これに対
し、新たに開発された「CRISPR/Cas3」技術は、C4U の協力により、使用者が複雑な権利問
題を懸念する必要がありません。
当社は産総研、農研機構の特許技術に合わせ、国内発技術である「CRISPR/Cas3」技術を用いて
鶏卵内に有用なタンパク質を大量に製造することで、「オールジャパン」体制での「ものづくり」を
提供いたします。




3. 受託製造事業の開始時期
2019 年7月より本受託製造事業を開始いたします。
※7月3日~5日に開催されるファーマラボ EXPO にて本事業の展示をいたします。




4.ゲノム編集ニワトリを用いたタンパク質製造事業について
従来、研究用試薬として 2019 年度内の販売開始を予定しておりましたヒト インターフェロンβタ
ンパク質につきましては、先に述べた通り、ニワトリに遺伝子を導入するために検討してきたゲノム
編集技術(CRISPR/Cas9)に2つの基本特許が存在することとなり、ライセンス環境に大きな変化
が生じたことと併せて、他方では、従来の技術に代わる新しいゲノム編集技術として「CRISPR/Cas3」
が活用できる状況になったことから、「CRISPR/Cas3」を用いた製造に切り替える検討を行ってお
ります。
当社は、既に実用化したゲノム編集ニワトリの技術に基づいて、新しいライセンス環境のもとに、
様々な目的タンパク質の製造開発を進めており、このたび事業を開始する製造受託事業と並行して製
造販売を目指します。



5.業績見通しに与える影響
当年度において、当該受託事業の開始が当社グループ全体の業績に及ぼす影響は軽微であります
が、本件につきましては、中長期的に当社グループの収益基盤の強化と拡大に繋がるものと位置付
けており、今後もこのような知的財産の収益化を推進してまいります。
以上





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