ユーグレナ残渣を飼料の一部に用いた水産養殖試験にて養魚用飼料の代替原料になる可能性を確認

2023 年 6 月 27 日

ユーグレナ残渣を飼料の一部に用いた水産養殖試験にて
養魚用飼料の代替原料になる可能性を確認
微細藻類ユーグレナからバイオ燃料の原料となる油脂を抽出したあとの残渣の活用
株式会社ユーグレナ

株式会社ユーグレナ(本社:東京都港区、代表取締役社長:出雲充)は、微細藻類ユーグレナからバイ
オ燃料の原料となる油脂を抽出したあとの残渣(以下、
「ユーグレナ残渣」
)を用いた水産養殖試験におい
て、ユーグレナ残渣が養魚用飼料の代替原料になる可能性を確認したことをお知らせします。
なお、この成果は当社が受託した、国立研究開発法人新エネルギー・産業技術総合開発機構(NEDO)
の委託事業※1の結果得られたものです。
※1 「バイオジェット燃料生産技術開発事業/微細藻類基盤技術開発/微細藻バイオマスのカスケード利用に基づくバイオジェット燃料次世代事業モデルの実証事業」




水産養殖試験の様子(生け簀)




水産養殖試験に使用した飼料 水産養殖試験のマダイ

■背景と目的
養殖生産は世界規模で年々伸びており、養殖に必要不可欠なタンパク質源として、養魚用飼料には天然
魚を主成分とする魚粉が使用されています。飼料の低魚粉化は天然魚などの水産資源を守ることにつな
がり、持続的な養殖業の発展のためにも飼料の魚粉依存を減らすことが急務です。
当社では、ユーグレナから抽出した油脂を原料の一部に用いたバイオ燃料を製造・開発しており、油脂
を抽出したあとのユーグレナ残渣の活用方法を研究しています。ユーグレナ残渣には、飼料に必要なタン
パク質などが含まれており、養魚用飼料の代替原料になる可能性があります。
■研究の内容と結果
マダイは、国内でブリ類に次いで養殖生産量が多い市場性の高い魚種であり、植物性原料による飼料の
魚粉代替が進んでいることから、今回マダイを対象として、魚粉の一部をユーグレナ残渣で代替した飼料
を使った給餌試験を実施しました。


養殖海域:三重県水産研究所尾鷲水産研究室尾鷲湾大曽根漁場
養殖方法:生け簀
種 類:マダイ
期 間:2022 年 10 月~2023 年 1 月(隔日での定量給餌)


この条件で魚粉配合率 40%の飼料をベース(コントロール)とし、
・ユーグレナ残渣で魚粉を 5%代替(以下、
「5%代替飼料」)
・ユーグレナ残渣で魚粉を 10%代替(以下「10%代替飼料」

の 2 パターンで代替し、それぞれにおいて
・日間成長率※2 の変化
・給餌飼料ごとの増肉係数※3(体重を 1kg 増やすために必要な飼料量)
・血液成分(ヘマトクリット※4、中性脂肪、総コレステロール、総タンパク質、リン脂質)
・試験終了後のマダイの体組成と味覚項目
の分析を行いました。


※2 日間成長率:[取揚時平均体重-放養時平均体重]/養殖日数×100
※3 増肉係数:魚が 1kg 大きくなるのに必要な飼料量。増肉係数が低いほど飼料から肉になる分量が多いため養殖効率が良いといえる
※4 ヘマトクリット:血液に占める赤血球の割合



その結果、5%代替飼料を与えた時の成長が最も良く、コントロールと比べると日間成長率が 11%高
かった一方、増肉係数は 12%低くなりました(図 1)。




図 1:日間成長率の変化と給餌飼料ごとの増肉係数
図中の数字は対象区(0%)を基準としたときの相対値


血液成分にはコントロールとの目立った差はなく、肉質も従来のマダイと変わらず、健康的な魚に成
長したことが確認できました(図 2)。
図 2:試験終了後のマダイの体組成と味覚項目の分析
(分析:日本食品分析センター)



以上の研究結果から、ユーグレナ残渣が養魚用飼料における魚粉代替原料になる可能性が示唆されま
した。今後は、ユーグレナ残渣の配合率の最適化等に関する研究を進めていきます。


当社は、地球や社会が持続可能になるための研究を今後とも推進していきます。




<株式会社ユーグレナについて>
2005 年に世界で初めて微細藻類ユーグレナの食用屋外大量培養技術の確
立に成功。微細藻類ユーグレナ、クロレラなどを活用した食品、化粧品
等の開発・販売のほか、バイオ燃料の製造開発、遺伝子解析サービスの
提供を行っています。また、2014 年よりバングラデシュの子どもたちに
豊富な栄養素を持つユーグレナクッキーを届ける「ユーグレナ GENKI プログラム」を継続的に実施。
「Sustainability First(サステナビリティ・ファースト)」をユーグレナ・フィロソフィーと定義し、
事業を展開。https://euglena.jp

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