ユーグレナ、PETRONAS、Eniの3社、マレーシアにおけるバイオ燃料製造プラントの建設・運営プロジェクトを共同検討

2022 年 12 月 14 日


ユーグレナ、PETRONAS、Eni の 3 社、マレーシアにおける
バイオ燃料製造プラントの建設・運営プロジェクトを共同検討
株式会社ユーグレナ
Petroliam Nasional Berhad
Eni S.p.A

株式会社ユーグレナ(本社:東京都港区、代表取締役社⻑:出雲充、以下「ユーグレナ社」
)とマレ
ーシアの Petroliam Nasional Berhad(以下「PETRONAS 社」、イタリアの Eni S.p.A(以下「Eni

社」(3 社をあわせて、以下「パートナー3 社」
) )は、マレーシアにおいてバイオ燃料製造プラント(以
下、「本商業プラント」)を建設・運営するプロジェクト(以下「本プロジェクト」
)を共同で検討して
いることをお知らせします。本商業プラントは、マレーシアのジョホール州における東南アジア最大級
の製油所・石油化学コンプレックスである Pengerang Integrated Complex(以下「PIC」)内での建設
を予定しています。
パートナー3 社は現在、本プロジェクト実現に向けた技術的・経済的な実現可能性評価を共同で実施
しており、2025 年中の本商業プラント完成を目指して、2023 年中に 3 社間で最終的な投資決定を行う
見込みです。
本商業プラントは、PETRONAS 社の既存の製油所・石油化学設備に隣接して建設する予定で、PIC
のバリューチェーンやユーティリティ設備、施設などを活用することが可能です。また、PIC は、主要
な国際航路にアクセスしやすい立地のため、世界的に高まっているバイオ燃料の需要増加に対応するこ
とが可能です。
本商業プラントは、航空機用のバイオジェット燃料(SAF:Sustainable Aviation Fuel)、ならびに自
動車、ディーゼル列車、船舶用の次世代バイオディーゼル燃料(HVO:Hydrotreated Vegetable Oil)
の各製造量を、柔軟にコントロールしながら最大化できる設備を備えています。この製造における柔軟
性により、日々変化し増加する再生可能エネルギーの需要に応えることが可能となります。
本商業プラントは、Eni 社が Honeywell UOP 社※1と共同で開発した「Honeywell UOPʼs Ecofining™
process 技術」の導入を予定しており、原料処理能力は年間約 65 万トン、バイオ燃料(SAF、HVO、
バイオナフサ)の製造能力は最大で日産 1 万 2,500 バレルとなる見通しです。原料は、使用済み植物油
や動物性油脂、植物油の加工に伴う廃棄物、将来的には微細藻類由来の藻油など、食料生産と競合しな
いバイオマス原料を使用する予定です。
※1 石油精製、ガス処理、石油化学製品、および主要な製造業に技術を開発および提供するアメリカの多国籍企業



ユーグレナ社
代表取締役社⻑ 出雲充コメント:
本プロジェクトは、ユーグレナ社のバイオ燃料事業の商業化、そして私たちが掲げている日本における
バイオ燃料利用と脱酸素化の促進に向けた挑戦にとって、非常に大きな一歩となるものです。それぞれ
の専門性を持つ素晴らしいパートナーと協力し、より明るくクリーンな未来のために共に歩んでいける
ことを大変嬉しく思います。


PETRONAS 社
ダウンストリーム事業 精製・マーケティング・貿易担当副社⻑ Ahmad Adly Alias コメント:
PETRONAS 社は、持続可能なソリューションに対する世界的な需要の高まりに対応するため、バイオ
燃料分野への進出を通じた製品ポートフォリオの脱炭素化と多様化を進めています。本プロジェクト
は、各社の強みを発揮し、マレーシアおよび世界のバイオ燃料の分野におけるポジショニングを共に強
化するための重要な一手となります。


Eni 社
エネルギーエボリューション 最高執行責任者 Giuseppe Ricci コメント:
マレーシアにおいてユーグレナ社および PETRONAS 社と推進する本プロジェクトおいて、Eni 社が
2014 年にイタリアのポルト・マルゲラ(ヴェネツィア)で、石油製油所からバイオ燃料製造プラント
への転換を世界で初めて実現し、更に 2019 年にシチリアのゲラで 2 か所目のバイオ燃料製造プラント
を稼働させた経験とその画期的な技術を、パートナー企業と共有できることを誇りに思っています。


<株式会社ユーグレナ>
ユーグレナ社は、2015 年の日本ベンチャー大賞、2021 年の第 5 回ジャパン SDGs アワードと、2 度の
内閣総理大臣賞受賞実績を有する、バイオテクノロジーとサステナビリティを軸に事業を展開するスタ
ートアップ企業です。世界で初めて確立させた微細藻類ユーグレナの食用屋外大量培養技術などの研究
開発を背景に、ヘルスケア事業を急成⻑させ、バイオ燃料事業やソーシャルビジネスも推進していま
す。2018 年に日本初のバイオジェット・ディーゼル燃料製造実証プラントを完成させ、日本全国の
陸・海・空のさまざまなモビリティにバイオ燃料の導入を広げてきました。2022 年 9 月には、成田国
際空港の給油ハイドラントシステムに日本で初めて国産 SAF を導入し、同年 11 月には、日本の政府専
用機として初となる SAF 搭載フライトを実現しました。


<Petroliam Nasional Berhad>
PETRONAS 社は、2050 年までに炭素排出量ゼロを目指すことを宣言したアジア初のエネルギー企業で
す。昨今では、マレーシア航空の商業貨物および旅客便に脱炭素化に有効でクリーンな SAF を初供給す
るパートナーシップを手がけました。本プロジェクト以外にも、PETRONAS 社が保有する既存施設に
おけるコ・プロセッシングやその他の手段によるバイオ燃料分野への参入も検討しています。また、モ
ータースポーツが持続可能な燃料へとシフトする 2026 年シーズンに向けて、メルセデス AMG ペトロ
ナス F1 チームのタイトルおよびテクニカルパートナーとしての十年にわたるパートナーシップ契約も
更新しました。このことは、バイオ燃料領域における取り組み拡大だけでなく、パートナーや顧客に対
してクリーンエネルギーソリューションを開発し、提供するという PETRONAS 社のコミットメントに
沿ったものです。


<Eni SpA>
Eni 社は、イタリアで唯一、そして欧州で 2 番目の規模となる HVO 製造者であり、製品のライフサイク
ル全体で発生する CO2 排出量を削減する脱炭素化の推進により、2050 年までにカーボンニュートラル
を達成することを目標としています。この目標を達成するため、モビリティの分野ではあらゆるソリュ
ーションを相乗的に組み合わせていますが、中でも輸送分野において脱炭素化に即時貢献できるバイオ
燃料の役割は重要です。純度 100%の HVO は、化石由来の燃料と比較すると、ライフサイクル全体に
おいて原料に応じて 60%から 90%の CO2 排出量削減を可能とします。また、航空業界における脱炭素
化に向けた現実的なソリューションとしても、バイオ燃料は重要視されています。Eni 社は、リヴォル
ノ製油所とゲラバイオ燃料製造プラントとが協力して製造された SAF である Eni Biojet 燃料 20%を、
Eni のジェット燃料と混合しています。さらに 2024 年には、ゲラバイオ燃料製造プラントで年間 15 万
トンの Eni Biojet 燃料の追加製造が開始され、2025 年にイタリア市場で導入が見込まれるバイオ燃料の
混合義務への需要を満たすことが可能になります。

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