微細藻類ユーグレナから製造した有機液肥でイチゴ栽培に成功

2020 年 7 月 6 日

微細藻類ユーグレナから製造した有機液肥でイチゴ栽培に成功
燃料生産の副産物を肥料として活用できる可能性を示唆

株式会社ユーグレナ

株式会社ユーグレナ(本社:東京都港区、社長:出雲充、以下「ユーグレナ社」)は、明治大学黒
川農場、戸田建設株式会社、株式会社ルートレック・ネットワークス、株式会社 DA インベント、
Office FUJIWARA と共同で、微細藻類ユーグレナ(和名:ミドリムシ、以下「ユーグレナ」
)を原料
とした有機液肥※1 を用いた農作物の栽培実証を実施し、従来の化学液肥と同等の農作物の収穫量が
得られることを確認しました。
※1 有機液肥とは、有機物を原料として、
「水熱分解処理」
(高温・高圧の密閉タンクの中へ投入し分解する処理技術)から得られ
る栄養成分を含む液体のことを指します



■背景
ユーグレナからバイオ燃料の原料となる脂質を抽出する工程で、抽出後の残渣(以下、
「ユーグレ
ナ脂質抽出残渣」)が副産物として発生します(図1)。ユーグレナ脂質抽出残渣は、その利用方法の
開発が資源の有効利用につながるだけでなく、副産物であるユーグレナ脂質抽出残渣が有価物とし
て販売可能になればバイオ燃料の生産工程全体でのコスト低減に繋がると考えています。
今回、ユーグレナ脂質抽出残渣の有効利用を検討する中で、有機液肥に注目しました。これまで明
治大学黒川農場では、牧草や野菜くずなどを原料とする有機液肥を用いて試験を実施していました
が、栽培する農作物によっては牧草や野菜くずなどに含まれる有機酸の影響により、生育障害が発生
することが課題となっていました。ユーグレナ脂質抽出残渣は、脂質を抽出する過程で含有する有機
酸が減少するため、これまで課題となっていた有機酸による農作物の生育障害の発生を抑制するこ
とを期待し、牧草や野菜くずの代わりにユーグレナ脂質抽出残渣を使用した有機液肥の可能性につ
いて実証実験を行いました。




図1 脂質抽出後のユーグレナ残渣
■研究の内容と結果
ユーグレナ脂質抽出残渣を原料とした有機液肥(以下「ユーグレナ有機液肥」 を製造し、
) これを、
イチゴの栽培において、従来の植物性原料から製造した有機液肥、および化学肥料の液肥と比較する
研究を実施しました。その結果、ユーグレナ有機液肥は、農作物生育に及ぼす有機酸の被害がみられ
ず、従来の植物性原料から製造した液肥と比較し、農作物の生育に対して有望であることが示唆され
ました。また、化学液肥と比較しても、収量、品質に差がないことも確認されました(図2、図3)

図2 1 株当たりのイチゴ収穫量 図3 実験でのイチゴ果実糖度の推移


■今後の展開
ユーグレナ社では、これまで、バイオマスの 5F※2 の基本戦略に基づき、ユーグレナなどの微細藻
類を活用して、食品や化粧品をはじめとするヘルスケア事業やバイオ燃料の開発・製造などを含むエ
ネルギー・環境事業に取り組んできました。今回のユーグレナ有機液肥は、バイオマスの 5F の内、
Fertilizer(肥料)にあたり、新たな用途でのユーグレナの活用が期待できます。現在、肥料の可能性
について、資本業務提携先である小橋工業株式会社等の複数のパートナーと共同で開発に取り組ん
でおり、今後も微細藻類やバイオテクノロジーを活用した事業を通して、サステナブルな社会の実現
を目指してまいります。
※2 バイオマスの5F とは、バイオマスには、重量単価が高い順に Food(食料)、Fiber(繊維)、Feed(飼料)、Fertilizer(肥
料)、Fuel(燃料)の 5 つの用途があり、重量単価の高いものから低いものに順次事業を展開することで、バイオマスの生産コスト
低減と利用可能性の拡大を推進する、という事業戦略(図4)




図4 バイオマスの 5F 概略図


<株式会社ユーグレナについて>
2005 年に世界で初めて石垣島で微細藻類ユーグレナ(和名:ミドリムシ)食用屋外大量培養技術の
確立に成功。石垣島で生産した微細藻類ユーグレナ・クロレラなどを活用した機能性食品、化粧品
等の開発・販売を行うほか、バイオ燃料の生産に向けた研究を行っています。2012 年 12 月東証マ
ザーズに上場。2014 年 12 月に東証一部市場変更。経営理念は「人と地球を健康にする」。
https://euglena.jp
以上

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