微細藻類ユーグレナ成分を配合したバイオマス含有度50%のユーグレナ・プラスチックを開発

2020 年 8 月 6 日

微細藻類ユーグレナ成分を配合した
バイオマス含有度 50%のユーグレナ・プラスチックを開発
バイオ燃料生産の副産物をバイオプラスチックとして活用できる可能性

株式会社ユーグレナ

株式会社ユーグレナ(本社:東京都港区、社⻑:出雲充、以下「ユーグレナ社」
)は、株式会社バイオ
ポリ上越(本社:新潟県上越市、社⻑:武⽥豊樹、以下「バイオポリ上越」)と共同で、微細藻類ユーグ
レナ(和名:ミドリムシ、以下「ユーグレナ」
)からバイオ燃料の原料となる脂質を抽出する工程で発生
する残渣(以下、 )を配合したバイオマスプラスチック※1の開発に成功しま
「ユーグレナ脂質抽出残渣」
した。
※1 植物など再生可能な有機資源由来の物質をプラスチック構成成分として所定量以上含むプラスチック




図1 加工前のユーグレナ・ポリプロピレン複合体のペレット 図2 ユーグレナ・ポリプロピレン複合体を用いて作成した
お弁当箱、フォーク、スプーン、お箸


海洋プラスチックごみ等の社会問題に対応するため、環境省は 2019 年 5 月に策定した「プラスチック
資源循環戦略」の中で、プラスチックの使用量削減やリサイクル推進とともに、植物などの再生可能な資
源を用いたバイオマスプラスチックの利用推進を掲げています。ユーグレナ社では、創業以来、食料問題
や環境問題をはじめとする社会問題の解決を目指した事業を展開しており、バイオプラスチックの需要
が高まっている中、その取り組みの一つとしてユーグレナを用いたバイオマスプラスチックの研究を進
めています。


このたび、パラミロン※2粒子を含有する複合体に関する特許第 5882675 号の技術を基に、汎用プラス
チックの一種であるポリプロピレンとユーグレナ脂質抽出残渣を混錬し均一分散させたバイオマス含有
度 50%のユーグレナ・ポリプロピレン複合体(図1)を開発しました。
本研究で開発したユーグレナ・ポリプロピレン複合体の物性上の特⻑は、100%石油由来ポリプロピレ
ンと比較し、曲げ試験※3における最大曲げ応力と曲げ弾性率の向上が見られ、強さと硬さが付与されま
した(図3)
。この結果は、ポリプロピレンに有機物固体であるユーグレナ脂質抽出残渣をフィラー※4と
して添加することにより、力学物性が向上したことを示しています。更に、開発したユーグレナ・ポリプ
ロピレン複合体を用いて射出成型によりフォーク等のサンプルを作成し、一般的な射出成型機での成型
が可能であることを確認しました(図 2)。今後、食品容器や成型材料など様々な用途への展開が期待さ
れます。
※2 微細藻類ユーグレナの特有成分でありβ-1,3 グルカンからなる多糖類
※3 試験方法はプラスチックの曲げ特性を求める試験規格 JIS k7171 により実施
※4 プラスチックの改質を目的に添加される充填剤




※PP:ポリプロピレンの略
図3 ユーグレナ・ポリプロピレン複合体の物性



当社は、ユーグレナなどの微細藻類を活用した事業を通して、社会をよりサステナブルに変革していく
ことを目指しています。石油由来プラスチック量削減の方策の一つとして、ユーグレナの特有成分であ
るパラミロンを用いた機能性プラスチック※5の開発と共に、バイオマスプラスチックの可能性について
検討を進めてまいります。
※5 2020 年 4 月 2 日リリース https://www.euglena.jp/news/20200402/



<株式会社ユーグレナについて>
2005 年に世界で初めて石垣島で微細藻類ユーグレナ(和名:ミドリムシ)の食用屋外大量培養技術の確
立に成功。石垣島で生産した微細藻類ユーグレナ・クロレラなどを活用した機能性食品、化粧品等の開
発・販売を行うほか、バイオ燃料の生産に向けた研究を行っています。2012 年 12 月東証マザーズに上
場。2014 年 12 月に東証一部市場変更。https://euglena.jp


<株式会社バイオポリ上越について>
2011 年創業、バイオマスプラスチック樹脂の製造・販売メーカー。樹脂の製造からプラスチック最終製
品の製造まで、自社工場で一貫して行う。難易度の高いバイオマス複合化技術の積み重ねにより、様々な
自然素材からプラスチック樹脂を創る高度な混錬加工技術を保有する。


以上

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