最新研究!健康食品”凍り豆腐”に免疫賦活効果

2021年 4⽉ 28⽇
NEWS RELEASE


最新研究!健康⾷品“凍り⾖腐”に免疫賦活効果

本⽇、信州⼤学農学部との共同研究論⽂、”凍り⾖腐由来レジスタントプロテインの
免疫賦活効果”が 学術雑誌『薬理と治療』 に掲載されました。
(⽯⿊貴寛 ⽥中沙智、『薬理と治療』、49、599-603、2021)

凍り⾖腐に豊富に含まれるレジスタントプロテインによって、※IFN-γ(インターフェロンガンマ)
がたくさん作られることが分かりました。これは免疫に関わる物質で、乳酸菌による免疫賦活作⽤
にも関わっていると⾔われており、従って抗ウイルス作⽤や抗がん作⽤が期待されています。最近
では、新型コロナウイルスに対する防御にもこの物質が関わっていることが注⽬されています。健康
⻑寿を⽀える健康⾷品として、凍り⾖腐の健康機能性がまたひとつ解明されました。

<レジスタントプロテインによる免疫細胞のIFN-γ 産生>


上清 IFN-γ 濃度( ng / mL)











0 6.25 12.5 25 50 100
添加レジスタントプロテイン濃度 (μg/mL)


※IFN-γ(インターフェロンガンマ)とは?
主にT細胞やNK細胞から分泌されるサイトカインで,⽩⾎球による炎症を強化する作⽤をもつ.またMHC分⼦の発現を増加させる働き,マクロファージや樹状細
胞を刺激して細菌を貪⾷殺菌させる作⽤もある.がんに対する免疫応答に重要なサイトカインとして考えられている(⽺主社、バイオワード集より)

なお、詳細について信州⼤学のリリースも添付しますので、ご参照ください。
また、発表会を5⽉19⽇(⽔)10:00〜 南信州・飯⽥産業センター(エス・バード、⻑野県
飯⽥市座光寺3349-1)にて、予定しております。

本件に関するお問い合わせ先
■報道関係者様からのお問い合わせ先 旭松⾷品㈱ 担当:⽯⿊ TEL:0265-26-6492
■お客様からのお問い合わせ先 旭松⾷品㈱ お客様相談室 TEL:0120-306-020
受付時間:9:00〜17:00(⼟・⽇・祝⽇・弊社休業⽇を除く)
報道発表 Press Release




報道機関 各位
2021 年 4 月 28 日
国立大学法人信州大学


凍り豆腐由来レジスタントプロテインの免疫賦活効果を確認

【研究成果のポイント】
凍り豆腐由来のレジスタントプロテインにより、免疫細胞がインターフェロン-γ産生を誘導す
ることを発見しました。


【概要】
信州大学農学部・
(田中沙智 准教授)と旭松食品株式会社との共同研究により、レジスタントプ
ロテインの免疫賦活作用を世界で初めて発見しました。
凍り豆腐由来レジスタントプロテイン(SRP)によるインターフェロン-γ(IFN-γ)産生誘導
能を、脾臓細胞を用いた試験により検討したところ、SRP は IFN-γ産生誘導能を有しているこ
とが明らかになりました。さらに、その活性はタンパク質の高次構造によること、および Toll-like
receptor 4 以外の経路に依存していることが認められました。SRP および SRP を含む食材は免
疫賦活作用をもつ可能性が示唆されました。




レジスタントプロテインを添加した免疫細胞からのIFN-γ産生
培養上清中のIFN-γ濃度(ng/mL)

















0 6.25 12.5 25 50 100

添加レジスタントプロテイン濃度(µg/mL)
【背景】
免疫は、病原体や毒素、異物などを非自己と認識し、排除する生体防御機構であり、ヒトなど
の高等動物では、多種多様な細胞やサイトカインと呼ばれるタンパク質で構成される高度なシス
テムが存在しています。この免疫システムは、食生活の乱れや加齢、ストレスといった要因で低
下することがあります。その一方で食品成分の中には免疫システムを制御するものが存在し、乳
酸菌や大麦の食物繊維であるβグルカン、信州の伝統野菜である野沢菜などに免疫賦活作用があ
ることが報告されています。
これらの食品成分による免疫賦活効果はインターフェロン-γ(IFN-γ)を介した効果であると
報告されています。IFN-γとは、免疫細胞が産生するサイトカインの一種であり、白血球を感染
局所に集めて炎症を強化したり、マクロファージの貪食作用を高めることを通じて、病原体によ
る感染防御や T 細胞の細胞傷害活性を高めて抗腫瘍免疫を誘導することから、IFN-γ産生の増加
は免疫力の向上に繋がると理解されています。
ところで、「ルミナコイド」は日本食物繊維学会が提唱している造語であり、「ヒトの小腸内で
消化・吸収されにくく、消化管を介して健康の維持に役立つ生理作用を発現する食物成分」と定
義されています(補足資料①参照)
。レジスタントプロテイン(難消化性タンパク質)は、このル
ミナコイドに包括される成分のうち唯一の炭水化物以外の成分(タンパク質)であり、酒かす・
そば・絹・大豆より見出されています。大豆タンパク質が強いコレステロール調節作用などの効
果を発揮する要因の一つとして、含まれるレジスタントプロテインが腸管内で胆汁酸(コレステ
ロールが原料)と結合し、排出を促す作用があると理解されています。さらに信州特産の食品で
ある凍り豆腐は、その製造工程によって原料である大豆よりも豊富にレジスタントプロテインを
含有することが報告されています。
(補足資料②参照)
腸管は、食物を消化・吸収する器官であると同時に巨大な免疫器官でもあります。その腸管内
に到達できるレジスタントプロテインは、免疫細胞にも何らかの影響を与える可能性が考えられ
ました。そこで、免疫細胞の IFN-γ産生誘導能を指標にレジスタントプロテインの効果を解析し、
そのメカニズムを考察しました。


【研究手法・成果】
凍り豆腐を原料に、ヒト消化酵素を用いて実験的に SRP を調製しました。マウスから単離した
脾臓細胞に SRP を添加し、培養後の IFN-γ濃度を測定したところ、添加した SRP の濃度依存的
に培地中の IFN-γ濃度が高くなることが確認されました。
次に、SRP を構成するアミノ酸の重量比を調べ、遊離アミノ酸を SRP の構成重量比に従って
混合した物についても脾臓細胞に添加して同様に調べたところ、アミノ酸混合物については、
IFN-γ産生誘導能は観察されませんでした(補足資料③) よって、
。 SRP による免疫賦活効果は、
SRP の高次構造によることが示されました。
さらに、これまでの研究で、リポポリサッカイライド(LPS)が Toll-like receptor 4(TLR4)
に結合すると、細胞から分泌される IFN-γ量が上昇することが知られていたため、SRP の IFN-
γ産生誘導における TLR4 の関与を評価しました。その結果、LPS による IFN-γの産生誘導は、
TLR4 の阻害剤である Polymyxin B(PB)の存在によりほとんど抑制されたのに対して、SRP に
よる IFN-γの産生誘導能は PB の存在下でも8割程度残存しました(補足資料④)。以上より、
SRP による IFN-γ産生誘導は、TLR4 以外の経路に依存することが示唆されました。
【波及効果・今後の予定】
メカニズムを検討した結果、レジスタントプロテインによる IFN-γ産生は TLR4 以外の経路に
依存しており、これまでに IFN-γ産生誘導を示すと報告されているリポポリサッカライドや野沢
菜不溶性画分とは異なるメカニズムであることが示されました。このことから、食材の組み合わ
せによる相乗 相加効果が期待できるのでないかと考えており、
・ メカニズムの全貌解明とともに、
より効果が期待できる食べ方等を提案できるような研究を進めたいと考えております。


【論文タイトルと著者】
タイトル:凍り豆腐由来レジスタントプロテインの免疫賦活効果
著 者:石黒 貴寛(旭松食品株式会社) 田中 沙智(信州大学農学部)

掲 載 誌:『薬理と治療』 49、599-603、2021


【補足資料】


補足資料①




補足資料②
補足資料③


培養上清中のIFN-γ濃度(ng/mL)










SRP(µg/mL) アミノ酸混合物(µg/mL)

凍り豆腐由来レジスタントプロテイン(SRP)およびSRPを構成するアミノ酸混合物の
IFN-γ産生誘導能


補足資料④


培養上清中のIFN-γ濃度(ng/mL)




5 PB (-)


PB (+) *


1 *

1 μg/mL 25 μg/mL 50 μg/mL
None LPS SRP

リポポリサッカライド(LPS)、凍り豆腐由来レジスタントプロテイン(SRP)の
Polymyxin B(PB)存在下(+)あるいは非存在下(-)におけるIFN-γ産生誘導能




【問い合わせ先】


農学部広報委員会
下記お問い合わせフォームよりご連絡ください。
https://www.shinshu-u.ac.jp/faculty/agriculture/inquiry/

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