路側設置振動センサによる交通量推定システムの開発と論文発表のお知らせ-奈良先端科学技術大学院大学との産学共同研究を実施-

報道関係各位 2020 年 11 月 17 日


路側設置振動センサによる交通量推定システムの開発と論文発表のお知らせ
~奈良先端科学技術大学院大学との産学共同研究を実施~

当社グループは、長年培ってきた音に関する技術と AI(人工知能)を融合させた技術の開発を積極的に行っております。
オンキヨーホームエンターテイメント株式会社の子会社であるオンキヨー株式会社は、国立大学法人奈良先端科学技術大
学院大学(奈良県生駒市、学長:横矢 直和、以下「NAIST」といいます。)との間で産学連携した共同研究に関する協
定の締結を行い、AI を活用した新事業の創出に向けて技術開発に取り組んでおりますが、この度、NAIST ユビキタスコン
ピューティングシステム研究室との共同研究にて行った、路側設置振動センサによる交通量推定システムの研究成果につい
て、2020 年 11 月 11 日(水)~13 日(金)で開催されました情報処理学会マルチメディア通信と分散処理(DPS)研
究会※1 が主催する「DPS ワークショップ 2020」にて論文発表を行い「優秀論文賞」を受賞しましたのでお知らせいたしま
す。


1. 背景
道路交通調査は、整備計画の立案やスムーズな道路活用による CO2 の削減を目的として、道路における交通量の
実態調査と課題把握のために行われています。日本においては5年に1度、大規模な国土交通省による全国道路・
街路交通情勢調査が行われていますが、人手によらない機械計測による調査については、高速道路において ETC2.0
プローブ等を活かした機械計測が活発に行われている一方で、一般道路においては機械計測が普及していません。「平
成 27 年度全国道路・街路交通情勢調査一般交通量調査結果の概要」(国土交通省)によると最新の平成 27
年の調査でも 50%以上は人手による交通量の調査が行われており、機械化をいかにして早急に行うかが議論されてい
ます。この要因としては、現状のトラフィックカウンタが高価であること、装置の規模が大きいため設置と調整に時間と手間
がかかること、またカメラを使用する場合はプライバシー対策が必要であることや、夜間で照明の少ない道路における車両
検知が困難である等といった課題がありました。
そこで当社は、音に関する技術を活用し、プライバシーへの侵害が少ない振動センサを用いて車両通過時の道路の振
動を採取、振動信号を機械学習し、車両通過を判定する技術について、AI を用いた取り組みで先行する NAIST と共
同で技術研究を行ってまいりました。
2. NAIST ユビキタスコンピューティングシステム研究室との共同研究について
NAIST ユビキタスコンピューティングシステム研究室は、センサ・デバイス・ネットワークが連携し、センサから取り込まれる
実世界データを処理・集約・解析することで、高度なサービスを効率良くユーザに提供するシステム―ユビキタスコンピュー
ティングシステム―の実現に向けた研究に取り組んでいます。 ※2当社と NAIST ユビキタスコンピューティングシステム研究
室は、モノを伝わる振動(音)データを機械学習によって分析をすることで、様々な分野での各種分析、判断へ応用する
ことを目的に共同研究を行っております。
当社が培ってきたオーディオ技術を用いて、微弱な振動(音)に含まれる特徴的な信号を忠実に増幅することによって
得られたデータを使用して、機械学習・分析を行う NAIST ユビキタスコンピューティングシステム研究室と連携することによ
り、これまでにない幅広いニーズに対応するための研究を進めていく予定です。


3. 論文概要※3
論文名:
路側設置振動センサによる交通量推定システムの検討
概要:
道路交通量調査は、長年ほとんど人手による観測にて行われており、5 年に 1 度の道路交通センサスの最新の調査
でも約 52%が人の手によるもので、機械化されているのは 14%に過ぎません。この理由として機械計測のコストと設置
性が課題となっています。そこで、低コストで設置も簡単なピエゾ素子をもちいた振動センサを開発し車両通過時の路側
に伝わってきた振動信号から特徴量を抽出することで車両の通過判定を行う交通量推定システムの検討を行いました。
一般の複数の道路の歩道に振動センサを設置した実験を行い、振動センサから収集した振動音データのみから機械学
習アルゴリズムである SVM(Support Vector Machine)を用いて道路を通過した車両数を推定した結果、晴天・
曇天下では F 値 0.90 以上、雨天下では F 値 0.89 の高い精度で車両数をカウントすることができました。




投稿論文※3より引用




【当社コメント】
当社グループは、現在 120 名強の技術者が在籍しており、ホームオーディオ、スピーカーの素材開発から AI・振動セ
ンサーなど、多岐に渡る技術の開発を行っている中、この度、当社の技術が評価され、優秀論文賞を受賞したことを大
変光栄に思っております。
今後も当社は経営理念である「VALUE CREATION」に基づき、これまで培ってきた音に関する技術を磨くのみなら
ず、他の技術とのコラボレーションによる AI 活用の研究開発にも取り組み、生活をより豊かにする新しい価値提案を推
進してまいります。




※1
DPS 研究会について・・・DPS((Distributed Processing System)研究会は、一般社団法人情報処理学会の
情報環境領域の研究会で 1985 年に設立されました。
研究会では通信と分散処理に関して無線通信そのものから機械学習に至るまで幅広い範囲の研究者が集まり、論文発
表、ワークショップ等活発な議論を行っています。
※2
NAIST ユビキタスコンピューティングシステム研究室 HP「研究室の概要」より
※3
第 28 回マルチメディア通信と分散処理ワークショップ論文集 pp.106 – 113 (2020)


【関連リンク】
◆11 月より「Onkyo AI」 を活用したコールセンター業務開始のお知らせ~奈良先端科学技術大学院大学との産学
共同研究を実施~(2019 年 11 月5日付):
https://www.jp.onkyo.com/news/information/topics/20191105_PR_Onkyo_AI_callcenter.pdf
◆オンキヨー、振動(音)を利用した人の行動認識技術の開発と論文発表のお知らせ~奈良先端科学技術大学院大
学との産学共同研究を実施~ (2019 年 11 月 15 日付):
https://onkyo.com/news/information/topics/20191115_NAIST.pdf


以上

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